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第192 臨時国会 2016/9/26〜2016/12/17
日付:2016-11-29
【本会議】悪法を通すための会期延長は認められない
衆院本会議で、与党が提出した14日間の会期延長に反対する討論を行いました。以下、討論の内容です。
私は日本共産党を代表して、14日間の会期延長に断固反対の討論を行います。
政府与党は、会期延長でTPP協定と関連法案及び年金制度「改革」法案を今国会で成立させると述べました。悪法を通すための会期延長は断じて認められません。
TPPは関税撤廃を原則としており、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え地域経済・地域社会を壊すものであって、農産物重要五項目を守るという国会決議に真っ向から反するものです。また非関税「障壁」と称して、「食の安全」や医療・医薬品分野、保険・共済事業、雇用を脅かすものであります。
さらにISDS条項により、多国籍企業や投資家が損害を受けたとして、投資先の政府を訴えることができる条項が盛り込まれ、加えて、TPP委員会や各種委員会、規制の整合などによって、関税と非関税障壁の撤廃の議論が歯止めなく行われる仕組みであります。
まさに、TPPは、国民のくらしや命よりも多国籍企業の利益のために、日本の経済主権、食料主権を脅かすものであることは、国会審議であきらかであり、廃案にするべきであります。
ところが、安倍政権は、トランプ次期米国大統領がTPPからの「離脱」を明言し、協定の発効が不可能になったいまもなお、日本主導でTPPの発効にこぎつけると公言し、会期延長で承認手続きを進めようとしています。これは、意味がないどころか、きわめて危険で有害な行為といわなければなりません。
重大なことは、安倍総理が、TPP承認によって、「日本がTPP並みのレベルの高いルールをいつでも提供する用意があるという国家意思を示す」と答弁していることです。これは、TPPで譲歩した線を最低基準とし、そこまでは米国などの要求を受け入れると宣言したに等しいものであります。これをテコに米国からいっそうの譲歩を迫られることは必至ではありませんか。
トランプ次期大統領が、今後は米国第一主義で二国間協議を進めると明言しているもとで、TPP協定の国会承認を思いとどまることは、今後、米国の理不尽な市場開放と規制撤廃要求を拒む足場となるのであります。
TPP協定承認のために会期を延長することは、断じて認められません。
年金制度「改革」法案は「年金カット」法案そのものです。物価・賃金スライドとマクロ経済スライドの見直しによって、際限なく年金が削減されることになります。
政府は“将来世代の給付確保のため”といいますが、現役世代も将来の年金水準は低下し、若い世代ほど削減されます。高齢者の生活を圧迫し、若者の将来不安を拡大する「年金カット」法案を成立させるための会期延長は認められません。
そもそも今国会は、政府与党による「強行採決」発言が相次ぎ、そしてその言葉通りに強行採決が行われる国会となったことは、極めて重大です。福井照TPP特理事が「強行採決」を口にしたことで、理事を辞めざるを得なかったことは当然です。
しかし、「強行採決」発言を行った山本有二農水大臣は「行政が国会に介入するような不適切な発言でご迷惑をおかけし申し訳ない」と陳謝したにもかかわらず、それが「冗談」だとするような暴言を行い、国会の審議をないがしろにしたことに全く無反省であることを露呈しました。だからこそ4野党は農水大臣の辞任を要求したにもかかわらず、政府与党は農水大臣をかばい立てし、辞任要求に「ゼロ回答」だったばかりか、その直後にTPP特で強行採決を行ったことは、国会の権威を損ねる深刻な事態だと言わざるを得ません。
萩生田光一官房副長官の「強行採決」発言も許されません。「強行採決というのは世の中にない」どころか、その直後に「年金カット」法案を、わずか十九時間の審議で強行採決を行ったではありませんか。参考人質疑を行ったその日に強行採決したことは、国民の声に耳を貸さない態度を示すものであり、言語道断です。
このような異常な国会だからこそ、大島議長と佐藤議運委員長は、繰り返し与野党の協議を促し、「円満な運営」を行うことを求めてきました。TPP特における与党の一方的な地方公聴会設定についても、これを是正させました。また山本農水大臣の二度目の暴言後、本会議開会に向けた努力が議運で行われていた最中に、与党がTPP特別委員会を開会し、野党の反対を押し切って採決を強行し、厚労委員会でも審議を強行しました。これは衆議院規則を踏み破るものであり、佐藤議運委員長は「ルール上はできない。こんなことがまかり通れば議運はいらない」と厳しく指摘しました。
結局与党は、その日のTPPの本会議採決を強行することができず、その後厚労委員長は委員会開会の非を認め陳謝せざるを得なくなったではありませんか。暴挙を認めざるを得ないのに、その後も審議・採決の強行を重ねたことは、政府与党に全く反省がないと言わざるを得ません。
その上、この会期延長に乗じて、カジノ法案や「部落差別」永久化法案を党利党略で強行することなど、断じて容認できません。数の暴力によって議会制民主主義を壊すやり方を繰り返せば、必ず国民の厳しい審判を受けることになります。
いまなすべきことは、このような暴挙を重ねた国会は閉じて、TPP協定と関連法案、そして年金カット法案などの悪法を廃案にすることであります。以上、会期延長反対の討論を終わります。
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