2011年1月25日「しんぶん赤旗」掲載記事を転載します。

なんとかして固定資産税/商店主・ビル経営者ら悲鳴/
東京・渋谷区道玄坂/塩川議員が現地調査




 「高い固定資産税をなんとかして」と東京都渋谷区道玄坂の商店主や中小ビル経営者が悲鳴をあげています。日本共産党の塩川鉄也衆院議員は商店主やビル経営者の求めに応じ、現地を訪れ、実態を調査しました。

 訪れたのは18日。高い固定資産税の引き下げを求める「ふるさと東京を守る会」の梅原伸二郎副会長が案内しました。

 貸店舗と酒店を営む男性(69)は店から出てきて、塩川議員に訴えました。「地価の下落でテナント料はどんどん下がっている。それにあわせて固定資産税を下げるならいいけど、逆に上げている。最低でも現状維持にしてほしい。最近は固定資産税を払うために商売やっているようなものだと商売仲間と話しているんですよ」

 この男性によると、国定資産税は2008年が年155万円、09年163万円、10年185万円とこの2年で30万円の増。「今年はどれだけ上がるか不安だ」といいます。

 借り手がない

 そんな深刻な事態がすすむなか、商店街一帯にジワリと広がっているのが性風俗産業です。「町の様相が変わった。道玄坂はとんでもない街になってきているんじゃないか」と梅原さんは心配します。不況で借り手がなく、貸し部屋はガラガラです。地価の下落でオフィスビルの賃貸料は坪1万5000円から1万8000円。「そんなところへ風俗から坪30万でどうです、といわれるとフラッときますよ」と梅原さん。

 百軒店地域の「環境浄化」に取り組んできた男性(75)は、この間の商店街の動向を振り返りながらいいます。「風俗店は1990年代初めごろから増えだしましたね。ピークは2004年で、地域の約160店舗の3分の1を占めるまでになりました。その後条例などで規制が強化され、減ってきているようです。しかし、一方で携帯やインターネットを使ったやり方が増えてきているのが気になります」

 この男性は、この間複数の大学のゼミの学生が、百軒店地域を町づくりの対象としてとりあげるようになったことに注目しています。「この地域を文化の発信基地にできないか。文化に携わる人が集まってくる、そういう町にしていければと思います」

 通知が発端に

 「高い固定資産税」の発端は、税額の基準となる固定資産税評価額を「地価公示の7割程度」とした1994年の自治省(現在の総務省)通知です。そのまま適用すると、税額が全国平均で4倍〜6倍、渋谷区では10倍〜15倍にはね上がるところが出てきます。強い批判に政府は「負担調整措置」を設けています。それでも東京都は09年度に1・1倍までの税額引き上げを認め、このままだと今年度は1・33倍になります。

 今すぐ是正すべきだ

【塩川議員の話】 不況のなか、高い固定資産税が、これまで汗水たらして町づくりに力をつくしてきた商店主やビル経営者の方々を苦境に追い込んでいることを改めて痛感しました。一番の問題は、地価が下がっているのに固定資産税が上がっていることです。これは今すぐ是正すべきです。土地でもうかるからというのは、通用しません。それどころか賃料も下がって、空き部屋が増えています。固定資産税のあり方そのものが問われています。