2011年2月5日「しんぶん赤旗」掲載記事を転載します。

地デジ/首都圏8都県の難視聴/10万9千世帯全国の4割/塩川氏「国は対策急げ」




1都7県の新たな難視聴世帯

新たな難
視聴世帯
うち暫定的な衛星
対策世帯(地区数)
栃木県3万35152万5732(723)
千葉県3万17953万0361(968)
神奈川県2万20441万1656(236)
茨城県1万12699957(355)
埼玉県45852581(110)
東京都26212344(72)
群馬県2444381(46)
山梨県28774(15)
合 計10万85608万3066(2525)

※総務省資料から作成

 アナログ放送は受信できているのに地上デジタル放送では受信できなくなる「新たな難視聴世帯」が、首都圏1都7県で約10万9千世帯にのぼることが総務省の調査(昨年12月末現在)でわかりました。全国の新たな難視聴世帯(約28万9千世帯)の約4割。栃木県が全国最多で、千葉、神奈川が続いています。

 首都圏で地デジの難視聴が多く発生する主な要因は、起伏に富む地形で電波障害を起こしやすい地デジ波の特性と、電波を届ける中継局の整備の遅れが指摘されています。

 関東広域圏に地デジ波を発射している東京タワー(東京都港区)からきちんと受信できるのは、「だいたい40〜50キロ、国道16号線内が目安」(総務省地上放送課)。それ以上離れると、直進性の強い地デジ波は地形の影響を受けやすくなるといいます。

受信調査遅れ


建設中の東京スカイツリー

 また、東京タワーは2003年12月から地デジ波を発射していますが、タワーを補うための小規模中継局の大半は08年以降に開局。電波障害が起きやすい地域での受信調査や対策が遅れました。

 神奈川県鎌倉市では、全世帯の約1割に当たる7828世帯が難視聴世帯です。複雑な地形に加え、古都保存法で中継局の設置場所が決まらず、市役所の屋上に中継局が開局したのは昨年末。それでも千単位の世帯に難視聴が残る恐れがあるといわれています。

 総務省は新たな難視聴対策として、共聴施設の新設や高性能アンテナの設置、ケーブルテレビへの移行に補助金を出しています。対策が地デジに完全移行する「7月24日」に間に合わない場合は、衛星放送を使った暫定的な救済策を講じるとしています。

 全世帯の約3分の1が難視聴となっている千葉県睦沢町では、町独自の事業で無線共聴施設を整備します。町総務課は「施設の建設に国の補助は出るが、維持費はない。本来国の責任で行うべきではないか」と憤ります。

対策期限5年


 衛星放送を使った救済策も期限は5年間。対策を先送りにしたにすぎません。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員は「地デジ化は国策なのですから、難視聴対策は国が責任を持ち、住民や自治体に過度の負担を強いることは許されません。東京スカイツリーが完成すれば難視が解消するエリアもあります。対策をとるまで、アナログ停波の延期をすべきです」と話しています。


【衛星放送を使った暫定的な難視聴対策】 総務省の「難視対策リスト」に掲載された地区に対し、衛星放送チューナーやアンテナを無料で貸し出し、東京キー局の放送を届けます。画質は「標準」でデータ放送は利用できません。期限は15年3月末まで。