「しんぶん赤旗」北関東版に掲載のシリーズ「願い届け/鉄也が行く」を転載します。
(2007年10月27日〜12月9日まで7回シリーズ)


願い届け/鉄也が行く

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員(比例北関東ブロック)は2000年に初当選し、3期7年余、くらしと安全・安心、働く人の権利を守り北関東4県を駆け回ってきました。自公政権に代わる新しい政治の実現を訴えて奮闘する塩川さんの活動を紹介します。

1)若者雇用問題◆正社員へ東に西に
2)PSE(電気用品安全)法問題◆“決定打”の質問に反響
3)地域経済◆大型店出店規制に尽力
4)基地問題◆日米一体許さない
5)開発・環境◆ムダな事業見直す主張
6)大企業誘致◆補助金引上げ競争批判
7)郵政民営化◆論戦27回――金融弱者つくるな



1)若者雇用問題◆正社員へ東に西に
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年10月27日より)

 宇都宮市の工業団地にあるキヤノン宇都宮光学機器事業所。ここで請負労働者として働く大野秀之さんがキャノンの偽装請負を告発し、正社員化を求めたのは昨年10月でした。請負で禁止されている正社員からの指揮命令を受けていたのです。

キヤノンに是正指導

 約1年後の今年9月、厚労省栃木労働局は同事業所に偽装請負の是正指導を行いました。しかし、キヤノンは請負労働者が望む正社員化でなく、最長2年11カ月の期間工として直接雇用することを表明しました。

 9月20日、塩川さんは栃木労働局を訪れて正規雇用化を進める行政指導の強化を要請した後、大野さんら非正規労働者と懇談。10年近く働き、製造現場になくてはならない存在になっている彼らの「仕事に愛着を持っている。ぜひ正社員となって働き続けたい」との思いを受け止めました。

 ものづくりの現場では熟練と技術の継承が必要です。期限が決められた非正規の雇用形態がふさわしくない製造業の分野で、自公政府は2003年に派遣労働を解禁。さらに1年の派遣期間を最長3年に延ばして非正規雇用を拡大しています。

 塩川さんはシャープ亀山工場、トヨタ自動車系列の部品メーカー・光洋シーリングテクノ松下プラズマディスプレイ尼崎工場大分キヤノンに調査に入り、派遣や請負の非正規雇用で生産現場が成り立っている現状を繰り返し告発、政府の姿勢を追及してきました。

請負から直接雇用へ

 06年3月22日の衆院経済産業委員会で塩川さんは、光洋シーリングテクノの偽装請負の実態をあげ、「能力が向上しても正当に評価されない非正規雇用のあり方が労働者の意欲を奪っている」と質問。二階俊博経産相(当時)の「非正規雇用者の立場も経営者として考えていかなくてはならないのは当然だ。現状がどうなっているか注意を払って調査したい」との答弁を引き出しました。

 塩川さんが「直接雇用を求める労働者の声にこたえてほしい」と要求すると、二階氏は「非正規雇用の方々が将来に希望の持てるような道を開くためにどうすればいいか経営者ともいろいろな話し合いの場を通じて相談したい」とのべました。

 その後、光洋の是正を求めた労働者たちは直接雇用され、正社員への道が開かれつつあります。

 労働の規制緩和で非正規雇用を推進してきた「構造改革」路線の是非は国政の大きな焦点です。もうけ拡大のために非正規労働者を拡大し、若者を使い捨てにしてワーキングプアに陥れる大企業の勝手は許さない――塩川さんは、偽装請負が横行する大企業の責任をあいまいにせず、働く人の立場で厳正に法律や通達を守らせ正規雇用を広げるよう奔走しています。

【偽装請負】 請負会社が企業の注文を受けて業務の一部を任され、労働者を指揮して完成させるのが請負です。派遺は発注企業が労働者を直接指揮命令しますが、一定期間がたつと直接雇用の責任が生じるため、これを逃れるために実態は派遣なのに請負を装う偽装請負が横行しています。





2)PSE(電気用品安全)法問題◆“決定打”の質問に反響
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年10月31日より)

 リサイクルショップに並ぶ格安の中古家電、希少価値の高いビンテージものの音響機器が販売できなくなる――PSE法=電気用品安全法の問題を「しんぶん赤旗」が報じたのは2006年2月のことです。立ち上がる市民やリサイクル業者の願いにこたえて活躍したのが塩川鉄也議員でした。

ネットで注目/世論を後押し

 同年 4月から電気用品安全法で製品が技術基準に適合している表示=PSEマークをつけていない中古家電の販売が禁止されることを「赤旗」が他紙に先駆けてスクープ。同法の施行は01年4月で、5年の販売猶予期間をへて4月から一部適用となりますが、経産省が新製品だけでなく中古品も対象になるという通知を出したのはわずか2カ月前の2月でした。

 塩川さんは06年3月1日の衆院予算委分科会で「中古品も当然対象に含まれる」と強弁する経産省側に「中古品の扱いは誰がいつどこで決めたものか。法令集に書かれているのか」と追及し、「法令に書いてあるかどうかちょっと確認していない」との答弁を引き出しました。経産省側の言い分の根拠のなさを初めて明らかにした塩川さんの質問は「大スクープでした。これが一番の“決定打”だったと思います」(北海道古物商業協同組合・青田郁雄さん)などの反響を呼びました。

 同3月29日の衆院経産委では、経産省がPSEマークなしの中古品の販売を事実上認めたことを受け、改めて中古品が法律の対象外だと明確にするよう求めました。

 これらの塩川さんの質問はインターネットなどで注目され、消費者と業者の世論と運動を後押ししました。東京・新宿での反対集会に出席した塩川さんに、若者たちから手拍子と塩川コール″が沸き起こる場面も。結局経産省は方針を撒回し、PSEマークなしの中古家電販売を制度上も認めることになりました。

メーカーの責任経産省も認める

 ワンルームマンションなどで使われているユニット用電気こんろのスイッチに体や物がふれただけで知らない間に電源が入り、火災となるケースが多発していました。

 塩川さんは07年5月30日の衆院経産委で「メーカー側は、使用者の誤使用、不注意による事故で製品の欠陥ではないといっている」と独自調査の結果を紹介、認識をただすと、経産省側は「あくまでも製品の問題。しっかり対応するよう指導している」と初めてメーカーの責任を認めました。

 このためメーカー側が事故責任を回避できなくなり、6月に関連メーカー13社による「小形キッチンユニット用電気こんろ協議会」が発足。9月末までに4万台以上、7割を超えるこんろを無償改修しました。来年3月までに100%の改修をめざすとしています。

 埼玉県ふじみ野市の市営プールで小学2年の女の子が死亡した痛ましい事故(06年7月)で塩川さんは現地調査するとともに、07年2月28日の衆院予算委分科会で質問。市の安全管理のあり方を批判しながら、楽しいはずの夏休みに命が奪われた悲劇を繰り返さないよう、政府としてジェットコースターや観覧車と同様に「流れるプール」についても建築基準法に基づく構造基準を定めるよう要求しました。





3)地域経済◆大型店出店規制に尽力
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年11月2日より)

 大型小売店の出店・撤退を自由にする自公政府のまち壊し政策で、郊外に巨大ショッピングセンターができる一方、中心市街地の空洞化が止まらず商業者や住民の批判が噴出したことを受け、2006年に郊外などへの大型店出店を規制する法律改正が実現しました。塩川鉄也衆院議員は党国会議員団経済産業部会長として大型店の身勝手を許さず地域商店街を守る「まちづくり提言」(2004年)を発表し、各地の運動と連携して取り組んできました。

抜け穴許さず

 塩川さんは6月15日の衆院経済産業委員会で、11月30日の改正都市計画法施行を前に駆け込み出店の届けが相次いでいる実態を示し、生活環境を守る法の趣旨を徹底するよう求めました。

 改正都市計画法で市街化調整区域での大規模集客施設の建設は原則としてできなくなり、全国的に大型店開発の規制が始まっています。ところが埼玉県富士見市では、過去に国が規制緩和した時期に埼玉県が定めた開発制度を抜け穴として使い、市と三井不動産が一体となって市街化調整区域である市役所近くに総店舗面積8万2000平方メートルの巨大商業施設計画を進めようとしています。

 塩川さんは10月13日、地元住民の学習会で講演。市と三井不動産が活用しようとしている都市計画法の規定は、大型店開発のために使うことが想定されていないと国会答弁で確認されており、大型店開発を認めていた埼玉県も方針転換していると指摘しました。

 参加者から「市に情報公開を求め、市民合意なしに開発を許可しないよう運動してきたが、活動に確信が深まった」と感想が寄せられました。


 誰もが利用するコンビニエンスストア。賞味期限切れ前の弁当や総菜などの商品をコンビニ店頭で割引販売する「見切り販売」が、フランチャイズ事業本部の都合によって制限されていました。

 フランチャイズ本部は収益を減らしたくないため売れ残りの弁当などを値下げ販売させず、廃棄処分するよう指導していますが、廃棄した商品にも本部へのロイヤリティー(上納金)をかけるため、加盟店側に負担がのしかかっています。

周知徹底求め

 6月6日の衆院経産委で塩川さんは「独占禁止法のフランチャイズガイドラインで見切り販売の制限は優越的地位の乱用に該当するとしているが、多くの加盟店の方は知らない場合が多い。周知徹底を」とただしました。公正取引委員会は「見切り販売を制限し、あとはロスはおまえ(加盟店)が持てというようなことでは独禁法上の問題が生じ得る。PRに努力したい」と答弁しました。

 塩川さんが重ねて「一般的に見切り販売はできるということでよいですか」と確認すると、「正当な理由がないのに見切り販売を制限して売れ残りとして廃棄を余儀なくされるようなことを本部がした場合には独禁法上、優越的地位の乱用に当たる場合がある」との答弁が返ってきたのです。

 前橋市内のコンビニ店主は、全国FC加盟店協会からのメールでこの質問のことを知りました。

 「値下げ販売すれば契約を切るといわれ、泣く泣く廃棄処分する経営者はたくさんいる。全国の仲間に共産党はこんなすごいことをやってくれたと知らせたい。共産党は弱者の味方なんだと実感しました」と話します。





4)基地問題◆日米一体許さない
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年11月3日より)

 自衛隊海外派兵の拠点化が進む埼玉県の陸上自衛隊朝霞駐屯地、地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)が配備された航空自衛隊入間基地、初の海外派兵専門部隊となる中央即応連隊が配備される栃木県の宇都宮駐屯地、10月15〜19日に日米共同訓練が実施された茨城県の航空自衛隊百里基地…多くの基地を抱える北関東は、米国が地球的規模で進める「米軍再編」に深く組み込まれています。

派兵拠点化を許さず

 06年7月、塩川鉄也議員は百里基地を調査し、米軍への物品・役務提供が頻繁に行われ、日米軍事一体化が進んでいることを確認するとともに、米軍「訓練移転」に伴う訓練回数が最大で年間約千回と試算していることを明らかにしました。

 10月9日、「米軍機来るな茨城実行委員会」メンバーと日本共産党の山中泰子県議が防衛省に訓練中止の署名を提出し申し入れた席で、塩川さんは「騒音や安全・治安の問題で地元の懸念の声をしっかり受け止めてほしい」と念を押しました。

 百里基地の日米共同馴練前日の10月14日。塩川さんは小美玉市で街頭演説し、海外で米軍と戦争をするための訓練にノーの声をあげました。

 朝霞駐屯地は海外派兵専門部隊の中央即応集団司令部や先遣隊として海外に入る情報収集部隊、米軍と一体化した陸上自衛隊の運用研究の中核となる研究本部など、海外派兵の機能を集約した拠点化が進んでいます。

 2008年度の防衛省概算要求で同駐屯地にLCAC(エルキャック、ホバークラフト型輸送船)を模したコンクリート製の馴練施設を新設する予算的300万円が計上されました。塩川さんは「海外派兵に常時対応できる自衛隊づくりを進めようとしているのが概算要求にも表れている」と指摘します。

地元負担の前例なし

 米軍所沢通信基地は市をあげての返還運動で7割弱を返還させ、現在は約98ヘクタール。市の中心に位置しまちづくりの障害になっているため、市は基地を横断する東西連絡道路を求めてきました。ところが国は道路建設に伴う米軍通信局舎などの移転費用を市に負担させようとしていました。

 塩川さんは06年3月1日の衆院予算委員会分科会で「本来、日本政府が費用を負担すべきだ」とのべ、通信局舎のような軍事用施設の移転費用を地元自治体が負担した例があるか尋ねました。防衛施設庁(当時)は「これまでそのような例はない」と明言しました。

 塩川さんが所沢市長との懇談でこの答弁を伝え、日本政府としての対処を求めるようのべると、市長は「その通りだ」と応じ、東西連絡道路の実現に努力する塩川さんに謝意を表明しました。

 また、所沢通信基地が米国の核攻撃部隊への指令機能を持つことを記した文書について外務省は、米国防総省の公式文書であることを認めました。しかし額賀福志郎防衛庁長官(当時)は同基地を「日米安保条約の目的を達成していくためには必要」とのべ、基地全面返還に背を向けました。





5)開発・環境◆ムダな事業見直す主張
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年11月7日より)

 首都圏最後の巨大ダム事業である八ツ場(やんば)ダム、「軍民共用化」を看板に税金をつぎ込む茨城空港。塩川鉄也議員はムダな大型開発をやめ住民本位に税金を使うべきだと主張してきました。地域の環境、安全を守るため栃木の産廃現場にも足を運びます。

実態伴わない計画

 群馬県長野原町に計画されている八ツ場ダム。総事業費は4千600億円と膨れ上がり首都圏の各県が県費負担を強いられます。11月4日の八ツ場ダムシンポジウムに出席した塩川さんは、治水上も利水上も必要性がない八ツ場ダムの問題を繰り返し取り上げてきた国会論戦を紹介しました。

 2006年3月1日の衆院予算委員会分科会では、1947年に利根川流域に被害をもたらしたカスリン(キャサリン)台風をダム建設の理由にする国の言い分を批判。「戦時中の森林伐採で保水力が低下し被害が大きかったが、現在は山林が回復している。過大な数値にあわせて実態の伴わないダム建設が続くことが問われている」と計画の再検証を求めました。

 八ツ場ダムの治水効果が望めないことを明らかにした塩川さんの質問(05年2月)には、八ツ場ダム反対の運動に取り組む人から「分かりやすい質問で、みんなで回し読みしました」との声が寄せられました。

 10月15〜19日に日米共同訓練が行われた茨城県小美玉市の航空自衛隊百里基地。自衛隊機が使用している滑走路に平行して新しい滑走路をつくる「茨城空港」計画が進んでいます。空港本体250億円、関連事業も含めると500億円以上の税金をつぎ込みます。開港まで2年ですが、乗り入れに手を挙げる航空会社はありません。

 国交省と県は当初、開港の乗降客が年間80万7000人と過大な需要予測をしていましたが、塩川さんの調べで国交省が「69万5000人」と下方修正していたことが分かり、日本共産党の大内久美子県議の県議会での追及にもつながりました。

 塩川さんは党茨城県議団とともに国交省から説明を聞く場で、過大な需要予測を見直し、つくばエクスプレス開通や羽田空港拡張などの影響を盛り込んだ再評価が必要ではないかとのべました。

産廃問題で現地へ

 北関東でこの5年、産業廃棄物処分場の数が増えたのは、他県に比べ処分場の建設申請が容易だといわれる栃木県だけです。那須塩原市の約150カ所にのぼる処分場間題、足利市の不法投棄問題など野村節子県議とともに取り組んできました。

 宇都宮市大谷(おおや)地区で採石場跡地にごみ焼却灰を固めた溶融スラグを埋める「特区」計画が持ち上がり、塩川さんは06年6月、現地の住民から不安の声を聞きました。さらに環境省や内閣府に対し必要な資料を公開させ、スラグの安全性が担保されていないことを確認しました。

 宇都宮市は今年、6月と9月の2回にわたって特区申請を見送り、計画は進んでいません。





6)大企業誘致◆補助金引上げ競争批判
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年12月5日より)

 くらし応援を後回しにして大企業を誘致するため自治体が巨額の補助金を競いあう現象が続いています。誘致した大企業の雇用は非正現労働者が中心で、青年の正規雇用拡大に役立たないことも問題になっています。塩川鉄也議員は国会で補助金積み上げ競争、大企業呼び込み合戦促進の法律に反対を主張しました。

方向違うと経産相

 大阪150億円、和歌山100億円、三重90億円、兵庫上限なし…全国35道府県が上限10億円以上の補助金を用意して大企業を誘致しています。塩川さんは3月28日の衆院経済産業委員会で、過熱する自治体の誘致補助金つり上げ競争を告発し、認識を問いました。

 甘利明経産相は、「補助金合戦とか税金まけ合戦でやるのはちょっと方向が違う」と答弁し、好ましくない傾向だと認めました。しかし、政府提案の企業立地促進法は、自治体による大企業減税を国が穴埋めする措置をとることで、呼び込み合戦をいっそう促進する内容です。

 各県の補助金合戦は放置できない状態です。埼玉県は2006年4月、企業が県内に研究施設を新設すれば10億円を上限に補助する制度をつくりました。この補助対象となったのが、日産自動車系列の部品メーカー、カルソニックカンセイでした。

 2000年にカルソニック社とカンセイ社が合併した同社は、本社をカルソニック社のある中野区に移し、カンセイ社の本社だったさいたま市大宮工場を03年9月に閉鎖しました。しかし今回、本社を中野区から移転新築し、研究開発センターをつくる場所は大宮工場跡地の自社の土地です。もともと本社があった場所に戻ってくるだけで県10億円、さいたま市も10億円の補助金を出し、カルソニックカンセイは合わせて20億円を得ます。

 「国内生産を縮小し、人員を削減、海外にシフトする方針を打ち出している企業に、何で税金投入までして優遇しなければいけないのか」とのべて企業立地促進法に反対し、大企業優遇のゆがんだ政治の転換を迫ったのは塩川さんだけでした。

三重、四重の優遇策

 リストラ・人減らしする大企業を減税で後押ししてきたのが、産業活力再生法です。4月11日の衆院経産委で同法の延長を可決し、減価償却で法人税をさらに安くするしくみを取り入れました。非正規雇用で薄型テレビを製造し、地元雇用そっちのけで大もうけしているシャープや松下などの大企業に適用されます。

 塩川さんは同日の質問と反対討論で、「リストラを推進して非正規労働者、ワーキングプアを大量に生み出し、経済と社会の二極化、分裂を加速した中心的な法律」と指摘し、特定大企業への三重、四重の優遇措置は許されないと批判しました。





7)郵政民営化◆論戦27回――金融弱者つくるな
(「しんぶん赤旗」北関東版・2007年12月9日より)

 郵政民営化でサービスはよくなる、と大宣伝したあの小泉内閣のごまかしとたたかってきたのが、塩川鉄也衆院議員です。

「サービスが断線」

 「民営化後、窓口で視覚障害者が局員に代書を頼んでも断られるトラブルが起きています。業務分割・民営化によって郵便局の優れたサービスが断線された」

 全日本視覚障害者協議会の山城完治総務局長は語ります。

 郵便局がこれまで、目が不自由な視覚障害者のためにやってきた 1)窓口での代書・代筆 2)取引記録の点字での通知サービス 3)第三、四種郵便物の集荷サービス――はぜひ守り抜いてほしい、と山城さんは願っています。よりどころとなっているのが、塩川さんの国会論戦です。10月30日の衆院総務委員会で質問に立ち、郵便事業会社とゆうちょ銀行側に、「引き続き同様の対応を行っていきたい」とサービスが民営化後も維持されることを確認させました。

 山城さんは「塩川さんが引き出した答弁は大きい。これからは安心して窓口で頼めるよう周りの人にも広めていきたい」と話します。

 10月からスタートした郵政民営化に、塩川議員は「福祉の増進を目的とした郵便局が今こそ必要」との論陣を国会ではってきました。郵政問題での質問は27回を数え、サービス残業問題はじめテーマは多岐におよびます。

 当時の小泉内閣と自民党、公明党が振りまいたバラ色の幻想に対し、塩川議員は「百害あって一利なし」と迫りました。

 「利便性が向上する」というごまかしに対しては、過疎地域での民間金融機関、農漁協、郵便局の店舗数の6年間の変化から民間金融機関が過疎地から撤退していることを示して根拠がないと批判。「全国一律サービスを投げ捨て、民間まかせにすれば、国民サービスの後退は明りょうだ」と地域住民の声を代弁しました。

 「民間にできることは民間に」という民営化推進論に対しては、「民間以上のサービスをしてきたのが郵便局」と反論。郵便局ではATM(現金自動預払機)の時間外引き出し手数料や両替手数料が無料なのに、銀行など民間金融機関が有料であることを示し、さらに「利益優先の民間にはできないこと、公共性を目的とする郵政公社だからこそできることがある」とのべました。

民営化後も現場に

 民営化後も現場に足を運んでいます。10月11日、塩川議員の姿は栃木県日光市にありました。配達中の郵便局員が訪問先で貯金や保険の業務もこなす「総合担務制度」が廃止された影響の調査のためです。

 平家の落人の里として知られる上栗山地区の松本栄一自治会長は「ここはお年寄りが多く足がないので、貯金の引き出しを配達員に頼んでいたが、それができなくなった」と実情を語りました。地元の栗山郵便局では、分社化後は3人いた外務職員の1人が外回りをすることになりました。市からもサービス後退を危ぐする声が寄せられました。

 塩川議員は調査で立ち寄った栃木県日光市上栗山地区にある共同浴場「開運の湯」で色紙をしたためました。色紙に書いた言葉は「いつまでも住み続けられるふるさとに」。金融弱者をつくらせない、強い願いをこめました。