2012年7月1日「しんぶん赤旗」首都圏版掲載の「希望ひらく/首都圏選出衆院議員に聞く」を転載します。


希望ひらく/首都圏選出衆院議員に聞く
塩川鉄也さん(北関東ブロック)


 消費税増税と社会保障大改憲の「一体改革」関連法案の衆院での採決を民主、自民、公明3党が強行したことに対し、国民の怒りが広がっています。特別委員会などで国民生活を破壊する同法案の問題と追及してきた塩川鉄也衆院議員に、日本共産党の論戦と廃案めざすたたかいについて聞きました。(佐藤つよし)

増税は被災地直撃

 民主、自民、公明の3党が消費税増税法案を衆議院で可決を強行しました。特別委員会の中央公聴会で国民の声を聞いている裏で、3党が修正協議し合意したら強行する、議会の審議も国民の芦も無視した『密室談合』で許せません。

■徹底追及

 私たち日本共産党国会議員団は増税大連合に対して、法案の中身を徹底追及していく国会論戦に、引き続き取り組むとともに、国会の外での国民のたたかいに積極的に参加しながら、国民の前に「増税に道理なし」「消費税増税に頼らない社会保障充実、財政再建の道がある」ことを示していきます。そして、法案の廃案を、何としても勝ち取るために力を尽くします。

 私は衆院で、特別委員会を含め6回議論してきました。くらしも経済も財政も壊す消費税増税の実態が私たちの追及でいっそう浮き彫りとなりました。
 消費税は、最終的に消費者が負担しますが、納税義務者は事業者です。価格に転嫁できなければ事業者が自分で負担しなければなりません。払えなければ滞納になり、廃業に追い込まれてしまうことにもなる税金が消費税です。私がこの間題を追及するなかで、野田首相や岡田副総理も小売業や中小業者は価格転嫁が困難だと認めざるを得ませんでした。

 被災者のくらしを直撃するのも消費税です。

 東日本大震災の被災地では、移転して住宅を再建する計画が進んでいます。移転予定地区が造成・整備されて初めて住宅建設ができます。しかし、仙台市では132の移転予定地区のうち8%増税の2014年4月前に完了するのはわずか7地区です。圧倒的多数の被災者が住宅を建て直そうと思ったときには、消費税増税が襲いかかり、被災地の住宅再建、生活再建を大きく損なうことになるのは明らかです。

 私は、消費税増税が、地方の路線バスと自治体病院の経営をいっそう苦しくする問題も取り上げました。

 過疎地などの路線バスは、高校生の通学、お年寄りの通院や買い物に不可欠な地方公共交通機関です。国土交通省の調査では、消費税導入のときに転嫁できたのは5割の事業者、5%への増税のときには3割しかありません。10%への増税となれば、運賃への転嫁は困難なのは明らかです。赤字路線の撤退や、バス路線の減少、事業者の廃業と地方の公共交通機関が大きく後退することになりかねません。

 地域医寮のかなめとして、小児救急や出産などの周産期医療といった不採算部門を担ってきた自治体病院にとっても、消費税増税は深刻です。医薬品や高額の医療機器の購入、建物の増改築など医療機関の経費には消費税が発生します。一方、医療費は非課税なので、経費が増大する分は医療機関が負担せざるを得ません。

 現行でさえ困難な自治体病院の経営を、消費税増税となれば、いっそう困難に追い込むことははっきりしています。

■「ねじれ」

 国会では増税大連合が8割を占めていますが、国民の世論の多数は消費税増税反対です。真の「ねじれ」はここにあります。公約違反の政治と民意に逆行する消費税増税を許さないという審判を下すためには、解散・総選挙に追いこみ、消費税に一貫して反対し、消費税に頼らない社会保障と税財政の民主的な改革の道を示す日本共産党を躍進させること、北関東ブロックでは2議席を獲得することがどうしても必要です。そのために全力で頑張ります。

 【略歴】1961年、埼玉県日高市生まれ。東京都立大学人文学部卒業、日高市役所勤務。日本共産党埼玉西南地区委員長などを歴任。2000年6月の衆院選で比例北関東ブロックから初当選、現在4期目。衆院総務委員、内閣委員。党国会議員団総務部会長・内閣部会長。