日本共産党の商店街政策 三つの特徴

歩いて買い物ができる「まちづくり」へ

大型店の身勝手許さないルールで

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 日本共産党国会議員団が14日に発表した政策提言「大型店の身勝手をゆるさず、地域の商店街・中小商店の値打ちがいきる『まちづくり』ルールの確立を」は、住民たちの共同の知恵と力で、にぎわいのある商店街を取り戻し、歩いて買い物ができる「まちづくり」を呼びかけています。


 「シャッター通り」や「空き店舗」は、いまや商店街の疲弊の代名詞になっています。その一方、こうこうと照明をきらめかせ深夜営業を続ける大規模な商業施設は住環境を悪化させ、郊外での大型店の乱立で自然や景観が破壊されています。最近は、巨大外資の進出で大型店同士の激しい競争が生まれています。全国各地で広がるこのような商店街と「まち」をめぐる住民不在の状況は、これ以上放置することはできません。日本共産党の国会議員団が発表した政策提言は、次の三つの特徴があります。

●住民と自治体 自らの手で

 まず、住民と自治体による大型店の身勝手な出退店を規制できる「まちづくり」ルールを確立する問題です。

 人が住み、働き、暮らす「まち」を自治体と住民が自らの創意と工夫でつくりあげるのは、当然のことです。ところが、小泉自・公内閣は大型店の一方的な出店・撤退など身勝手な“自由”を守るだけの「規制緩和」をすすめています。しかも、地方自治体が大型店の出店を規制しないよう監視することさえ日本政府はアメリカに約束しています。こんな国は、世界にありません。

 政策は、地方自治体が独自に「まちづくり条例」をつくる権利を全面的に尊重することを提起。地域住民の生活環境の保持や商業文化の継承をすすめられるようにすることを求めています。さらに、(1)大型店に商店街、生活環境、“まちづくり計画”などの地域環境影響評価を義務付け、規制すること(2)異常な深夜営業を制限すること―などを要求しています。

●商店街の値打ち発揮へ


大型店関連法をめぐる経過

1990年6月 日米構造協議でアメリカに大規模小売店舗法(大店法)の大幅規制緩和を約束

1992年1月 大店法による出店調整期間を1年以内に短縮、地元商業者などとの協議機関を廃止

1994年5月 1000平方メートル以下の出店を原則自由に

1996年3月 規制緩和推進計画の改定で橋本内閣が大店法の制度見直しを決定

1997年5月 大店法審議会開始

1998年5月 大店法廃止決定、大店立地法制定

2000年6月 大店立地法施行

 地域社会に根付いている中小商店・商店街は、お年寄りが歩いて買い物ができる身近な存在として、なくてはならないものです。

 季節ごとにおこなわれる地域のお祭りも商店街の人たちによって支えられています。近年、社会問題になっている青少年の教育・非行問題を解決することや防犯・防災にも大きな貢献をしています。

 また、商店街の収益は、その地域の産業振興と雇用確保につながり、地域社会全体を潤しています。海外から大量仕入れとコスト(費用)削減によって国内の産地、卸に壊滅的な打撃を与えている大手流通資本とは違うところです。

 このような商店街の多面的な機能、値打ちは「地域共有の財産」です。政策は、国や自治体が、本腰を入れて地域の商店の再生に向けた総合的な取り組みをおこなうことを提起。商店街の「空き店舗」対策の拡充をはじめ、八百屋、魚屋、肉屋など生鮮食料品店の営業継続への支援強化、“地産地消”、住民参加の「青空市」への支援策などは欠かせません。

 そのためには、国、地方の十分な財政支援が必要です。政策は、箱モノ中心の交付金のばらまきではなく、国の商店街振興関連予算をソフト中心に十倍に引き上げることを求めています。

●流通取引の不公正を正す

 政策は、都市計画的な「まちづくり」だけでなく、大型チェーン店と中小テナント(入居店舗)、生産・卸・小売りの流通取引の不公正をただし、大型店の身勝手を許さない公正な取引ルールの確立を求めています。

 大手スーパーのマイカルが二〇〇一年九月に破たんした問題をきっかけに、テナントの敷金・保証金の弁済など中小テナントの権利を守る取り組みによって法的保護を実現するという前進を勝ち取りました。この成果をさらにいかし、中小テナントの営業権の継承や保証金の返還などについて大型店の運営者とテナントとの対等平等の関係を築いていくことを提起しています。

 また、大型店が街路灯など共益費の負担や行事の参加を拒否するなど、商店街活動への非協力的な態度が問題になっていますが、大型店が地域へ貢献して社会的責任を果たすことを求めています。

 大型店や量販店による取引先への「買いたたき」、不当返品、協賛金の強要が横行しています。さらに消費税の「総額表示」に便乗した消費税分の負担転嫁などの不公正取引も発生しています。

 政策は、不公正取引を取り締まる独占禁止法、改正下請法などを厳しく運用し、生産から小売りにいたる全流通ルートを総点検し、大型店と取引先との取引適正化を図ることを強調しています。

 大店法と大店立地法 大規模小売店舗法(大店法)では、既存商業への影響が大きい大型店出店については、店舗面積や開店日の削減など、商業上の調整が可能とされていました。大店立地法は、この調整を禁止し、出店地周辺の交通や騒音、廃棄物の問題など生活環境の維持に絞って基準の順守を自治体が勧告できる、というもの。

 まちづくり三法 大規模小売店舗法(大店法)廃止にともなって、大型店の立地を“規制”し、商店街の疲弊を防ぐためとして制定された三つの法律。大店立地法のほか、中心市街地の整備と商業活性化を一体的に図るとして、国の方針と地方自治体の計画にもとづき、民間を交えた「まちづくり機関」が具体化した事業を国が支援する中心市街地活性化法、開発や開発許可にたいする自治体の役割や権限をこれまでより拡大した改正都市計画法です。しかし、都市計画法上の開発規制などが及ばない地域は広大で、土地利用全般についての規制は非常に弱いものです。


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