2005年5月28日(土)「しんぶん赤旗」より

答弁すればボロ次つぎ

塩川議員の質問に――小泉首相、なぜ必要か説明できず

審議入りした郵政民営化法案


 郵政民営化関連法案は26日の衆院本会議で審議入り。小泉純一郎首相は「速やかな成立を期待している」と強気の構えですが、答弁すればするほどボロが……。日本共産党の塩川鉄也議員の追及で、法案の矛盾点と欠陥が浮かび上がっています。


そもそも論から

 「いまなぜ民営化する必要があるのか。この最も根本的な問題について、総理はいまだに国民に納得できる説明をしていない」――塩川氏はこう首相に詰め寄りました。

 塩川氏は、政府が民営化の「基本方針」でかかげた「3つのメリット」(「利便性が向上する」「税収入が増える」「特殊法人等への資金の流れがかわる」)の一つ一つについて、何の根拠もないことを論証、小泉首相をただしました。

 小泉首相は「利便性」について「必要な郵便局は維持する」というだけで、いまより利便性がよくなるなどという根拠はなにもしめせずじまい。現行の郵政公社のままの方が国への納付金が多くなるとの塩川氏の指摘には、「納付金と法人税とは制度が異なり納付率と税率の比較のみをもって論ずることはできない」とかわしました。特殊法人などへの資金の流れについては、塩川氏のいう通り、政府がむだ遣いをやめればすむことです。

 結局、いまだになんのための民営化かの説明はできないでいるのです。

郵便局どうなる

本会議で質問する塩川議員
本会議で質問する塩川議員

 「身近で便利な街の郵便局がなくなるのではないか」――郵政民営化をめぐる多くの国民の心配はここにあり、いまの郵便局が引き続き維持されるかどうかが大きな焦点になっています。

 塩川氏は、法案では郵便局の設置基準について、省令で定めるとしているだけで、その基本すら明らかにされていない問題を追及しました。

 小泉首相は「利用者の利便性を確保するために、過疎地をはじめ都市部でも必要な郵便局は維持していく」と答えました。

 この日の本会議では、現存する郵便局ネットワークの水準の維持「過疎地」の定義が初めて明らかにされました。過疎地域自立促進特別措置法を基本にするというものです。同法では、現在892市町村(5月1日現在)が対象になり、全国の市町村の37%に当たります。

 一方、首相は新たに「都市部」でも、「必要な郵便局は維持」といいだしましたが、この都市部の定義はいまだに不明です。

 国民の不安におされて、都市部、過疎地への「配慮」という空手形は切っても、以前中味は不明。そうすると、過疎地にも都市部にも該当しない中間的な地域ではどうなるのか、「配慮」の対象とならず切り捨てられる郵便局が数知れず出てくるのではないかという新たな不安を広げています。

銀行代理店間題

 民営化後の郵便局が郵便貯金業務を行うためには郵貯銀行の代理店となる必要があります。

 しかし銀行法では銀行代理店に兼業を禁じており、現行の規定を改正しないと「郵便局は銀行代理店となれず郵便貯金サービスを提供できません。

 この点を頼滴した塩川議員に、小泉首相は「所要の手当て」の必要性を認め、内閣府令に措置を盛り込むとしました。

 ここで問題になるのは、現行のすべての郵便局が銀行代理店になれるのかということです。

 基準が厳しくなれば銀行代理店になれない郵便局も続出する可能性もあります。これでは「利便性の向上」どころかサービス後退です。

 反対に、すべての郵便局が銀行代理店となれば、代理店を直接監督する責任をもたない金融庁が監督責任を果たせるのかという問題が生じます。