米軍機訓練の航空自衛隊百里基地への移転に関する質問に対する答弁書

2006年2月24日 内閣総理大臣 小泉 純一郎


※表枠内の質問項目は、わかりやすいようにHP管理者が入れました


Q:
一、合意文書について

 (1)航空自衛隊百里基地が訓練移転の候補地とされているが、日米で合意されたものか。今回の文書に記載がない理由は何か。
 (2)日米合意は、嘉手納基地の訓練移転ばかりでなく、「三沢飛行場や岩国飛行場といった米軍航空施設から他の軍用施設への訓練の分散を拡大することに改めて注意が払われる」と記述している。これは百里基地に三沢基地や岩国基地からも訓練移転されるということか。また、それ以外の明記されていない在日米軍基地からの訓練移転・飛来もありうるのか。
 (3)嘉手納基地には現在、米本土の戦闘機部隊が展開し、いつでも出撃できる態勢と訓練を強化している。訓練が移転された場合、これら米本土の戦闘機部隊の訓練も受け入れることになるのか。

二、訓練内容について
 (1)訓練が移転された場合、これは恒久的なものになるのか。訓練移転にともなう兵力数、戦闘機数、訓練期間、訓練回数、訓練区域を示されたい。
 (2)夜間の飛行訓練、低空飛行訓練は行うのか。
 (3)米軍機による原子力施設上空の飛行は禁止されるのか。
 (4)訓練期間、訓練内容は事前に県・地元市に連絡があるのか。訓練による離発着回数、騒音実態は公表されるのか。
 (5)米軍機が海外での戦闘作戦行動のために百里基地から出撃することもあるのか。
 (6)百里基地共用化計画で建設予定の新滑走路も米軍機の訓練に使用されるのか。

三、日米共同使用について

(2)使用条件として「年間四回、一回につき三〜十五日、年間で合計約四週間」の範囲という制限が加えられているが、今回の合意によって、この取り決めが拡大されるのか。
 (3)今回の合意によって、百里基地所属の戦闘機の日米共同訓練・演習参加が拡大されるのか。

A:
一及び二並びに三の(2)及び(3)について

 平成17年10月29日に開催された日米安全保障協議委員会で発表された文書(以下「発表文書」という。)においては、「嘉手納飛行場を始めとして、三沢飛行場や岩国飛行場といった米軍航空施設から他の軍用施設への訓練の分散を拡大することに改めて注意が払われる」とされており、航空自衛隊百里基地についても訓練の移転先になり得ると考えているが、訓練の具体的な移転先については、現在、我が国とアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)との間で協議中であることから、発表文書には同基地を含め具体的な移転先については記述されていないものである。また、その他の訓練の移転に関する具体的内容については、現在、我が国と合衆国との間で協議中であり、お答えする段階にはない。

Q:
三、日米共同使用について

 (1)現在、百里基地は、日米共同使用基地(2・4・b)となっているが、共同使用を開始して以降これまでに行われた日米共同訓練の概要(日時、目的、日米双方の参加部隊、訓練場所等)について明らかにされたい。

A:
三の(1)について


 航空自衛隊百里基地の施設が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号。以下「日米地位協定」という。)第二条4(b)の規定の適用のある施設及び区域として提供されてから現在までに、同基地を使用して行われた日米共同訓練は、平成2年4月16日から同月25日まで、平成4年6月1日から同月12日まで、平成13年7月31日から同年8月10日まで、平成14年1月10日から同月18日まで及び平成16年11月10日から同月19日までの合計5回にわたり、いずれも日米双方の戦術技量の向上等を目的として、航空自衛隊航空総隊、合衆国第5空軍等が参加して、百里沖空域等において実施してきている。

Q:
四、地元意向について

 (1)合意文書は最終的に「二〇〇六年三月までに作成する」とあるが、それまでに地元自治体の合意を得るということか。最終文書は事前に地元に説明されるのか。

(3)地元、小川町長と議会が反対の要望書を東京防衛施設局に提出しているのをはじめ、鉾田市長、行方市長など基地周辺自治体の首長が訓練移転反対を表明している。茨城県の橋本知事も「地元が反対なら反対」と県議会で明らかにしている。こうした地元の反対の意向は、どのように反映・考慮されるのか。
 (4)「騒音の加重や安全、安心面の懸念など、住民生活に大きな影響を与える」(小川町の要望書)という、地元の意思をどのように受け止め、対応しているのか。

A:
四の(1)、(3)及び(4)について


 政府としては、発表文書において示された我が国に駐留する合衆国軍隊の兵力態勢の再編(以下「米軍再編」という。)について、その着実かつ早期の実現を図るため、本年3月の具体案の最終的な取りまとめに向け、合衆国との協議を進めつつ、関係する地方公共団体等に対して説明し、その理解と協力が得られるよう努めていく考えである。

 また、米軍再編に係る施策を実施するに当たっては、関係する住民の生活に大きな影響を及ぼすことのないよう、航空機騒音対策、安全対策等の措置を適切に講じてまいりたい。

Q:
四、地元意向について


 (2)日米地位協定の実施に伴う国有財産管理法第七条は、「合衆国に対して国有の財産の使用を許そうとするときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長、関係のある都道府県及び市町村の長並びに学識経験を有する者の意見を聞かなければならない」と定めているが、いつ、どの地方自治体に、どういう意見を聞いたのか。

A:
四の(2)について


 米軍再編の一環としての航空自衛隊百里基地への訓練の移転については、一及び二並びに三の(2)及び(3)についてで述べたとおりであるが、現在までに、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律(昭和27年法律第110号)第7条の規定に基づき関係のある都道府県及び市町村の長の意見を聴いたことはない。

Q:
四、地元意向について


 (5)今回の米軍機訓練移転を含め百里基地に関して、今後、騒音や飛行時間などを住民生活に重大な影響を及ぼすことについて県・地元市と協定を締結する考えはあるか。

A:
四の(5)について


 米軍再編の一環としての航空自衛隊百里基地への訓練の移転については、一及び二並びに三の(2)及び(3)についてで述べたとおりであるが、いずれにせよ、政府としては、今後とも、同基地周辺における航空機騒音により生ずる障害の防止等のための生活環境等の整備の推進に努めていく考えである。

Q:
五、百里基地の機能について

(1)現在の航空自衛隊百里基地の所属部隊、隊員数、配備されている機種別機数、年間の飛行回数、騒音測定結果を示されたい。また、過去五年間の自衛隊施設の建設状況について示されたい。

A:
五の(1)について


 現在、航空自衛隊百里基地に所在する部隊は、航空総隊の部隊として中部航空方面隊第7航空団、同方面隊中部航空施設隊第3作業隊及び偵察航空隊、航空支援集団の部隊として航空救難団飛行群百里救難隊、航空保安管制群百里管制隊、同群移動管制隊及び航空気象群百里気象隊並びに長官直轄部隊として航空警務隊百里地方警務隊及び航空自衛隊情報保全隊百里地方情報保全隊である。現在、同基地の定員は、約2200名であり、配備されている航空機の機数は、F−15が約40機、RF−4Eが約10機、RF−4EJが約10機、U−125Aが5機未満、UH−60Jが5機未満、T−4が約10機である。同基地における年間の飛行回数については、統計を作成しておらず、お答えすることはできない。防衛施設庁が実施している航空機騒音の測定により得られたデータに基づき算出した平成16年度の加重等価継続感覚騒音レベル(WECPNL)の平均値は、かすみがうら市田伏において67、鉾田市紅葉において82、行方市井上において64である。お尋ねの期間中に同基地において建設した主な自衛隊施設については、平成13年度に作業場、平成14年度に医務室、平成15年度に消防車庫、平成16年度に整備場、平成17年度に管理棟があり、また、現在、燃料施設を建設している。

Q:
五、百里基地の機能について


(2)現在基地内に米軍専用施設及び共同使用施設があるのか示されたい。ある場合その施設の規模等概要を示されたい。

A:
五の(2)について


 現在、航空自衛隊百里基地においては、日米地位協定第二条4(b)の規定の適用のある施設及び区域として、飛行場施設等の用地約107万8千平方メートル、格納庫等の建物約9850平方メートル及び滑走路等の工作物が提供されている。