プール事故に係る安全対策強化に関する質問に対する答弁書

2006年12月22日 内閣総理大臣 安倍 晋三

※表枠内の質問項目は、わかりやすいようにHP管理者が入れました


Q:
一、「プールの安全標準指針(仮称)」の概要について

 (1)2006年8月30日の「プールにおける事故対策に関する関係省庁連絡会議」申し合わせに基づく「プールの安全標準指針(仮称)」の基本的性格、適用範囲、主な内容などを明らかにされたい。

A:
一の(1)について

 「プールの安全標準指針(仮称)」(以下「安全標準指針」という。)の基本的性格は、プールの安全確保はその設置管理者の責任で行われるものであるが、プールの利用者の安全確保のために、関係省庁において、プールの施設面及び管理運営面で参考となる留意事項等について統一的な指針をとりまとめ、設置管理者に対し、技術的助書として本指針の遵守を要請するものである。
 安全標準指針の適用範囲については、原則としてすべてのプールを対象とするものである。
 安全標準指針の主な内容については、これまでのプールの安全確保に関する関係省庁からの通知等で示されている知見を活用し、安全上重要な施設及び管理運営に関する事項について記載することを検討している。施設に関する事項については、プールの施設のうち、排水口等の、利用者の安全確保に密接に関わる施設について守られるべき諸事項に関して、管理運営に関する事項については、管理運営体制、安全点検、監視員等の、利用者の安全確保に密接に関わるプールの管理運営について守られるべき諸事項に関して、記載することを検討している。

Q:
一、「プールの安全標準指針(仮称)」の概要について

 (2)「プールの安全標準指針」作成の際には、広く関係者、国民の意見を反映させるため、パブリックコメントを行うべきではないか。

A:
一の(2)について


 安全標準指針の作成に当たっては、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三十九条の規定に基づき意見公募手続を行う予定である。

Q:
二、プールの構造上の安全性について

 (1)ふじみ野市の市営プールの排(環)水口の安全防護柵は二重構造となっていなかった。二重構造となっていれば重大事故に至らなかった可能性が高い。文部科学省と厚生労働省の指針では、堅固な格子鉄ブタや金網の固定化とともに、吸い込み防止金具の設置という二重構造を要求しているが、国土交通省の指針ではフタの固定を求めているだけである。二重構造となるよう基準を統一すべきではないか。
 (2)「流水プール」や「造波プール」のように、動力によって水流がつくられるプールの場合、思わぬ事故が起こりやすい。緊急停止ボタンの設置など「流水プール」「造波プール」に対する安全基準が必要ではないか。

三、管理運営上の安全性について
 プール監視員の資格を定めるべきである。日本赤十字社の水上安全法救助員、日本ライフセービング協会のライフセーバー資格、日本体育施設協会の水泳指導管理士、日本水泳連盟水泳指導員など、なんらかの資格をプール監視員に要求すべきではないか。

A:
二の(1)及び(2)並びに三について


 お尋ねの件については、安全標準指針の作成に当たっての課題の一つであかと認識している。
 なお、安全標準指針の具体的内容については、現在、関係省庁で検討しているところである。

Q:
二、プールの構造上の安全性について


 (3)政府の実施した実態調査でも、施設関係で一割のプールに不備が見つかった。しかし、関係省庁会議の「申し合わせ」では「プールの安全標準指針」について、設置管理者に対する「技術的助言」にとどめている。
 これらの構造基準について、法制度上の基準を作るべきではないか。

A:
二の(3)について


 プールの安全確保は、本来その設置管理者の責任で行われるものであり、現在検討中の安全標準指針については、設置管理者に対し、技術的助言として遵守を要請するものとして作成しているところである。

Q:
二、プールの構造上の安全性について


 (4)「流水プール」について、建築基準法で遊戯施設(ジェットコースターや回転木馬など)に構造基準が示されているのに準じて、構造基準の策定を義務付けるべきではないか。

A:
二の(4)について


 流水プールも含め、プールの利用者の安全確保のために、プールの施設面及び管理運営面で参考となる留意事項等について統一的な指針となる安全標準指針について、現在、関係省庁で検討しているところである。

Q:
二、プールの構造上の安全性について


 (5)ウオータースライダー(高さ4メートル以下の場合も含む)について、安全基準を定めるべきではないか。

A:
二の(5)について


 ウォータースライダーについては、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百四十四条等において構造耐力上安全な構造方法等の基準が定められている。