○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 総務委員会は二年ぶりということもありまして、きょうの質疑、午前中から聞いて改めて勉強させていただいたところであります。 きょうは、地域間格差の問題、その中で地方交付税の問題について、中心に質問させていただきます。 きょうの大臣の冒頭の発言でも、地方と都市の格差の拡大を防ぎ、地方の活力を取り戻す、そういうことを述べられておりました。就任の記者会見の際にも、都市と地方の格差問題について、現実にさまざまな面で格差が出てきていると格差を認めております。 それでは、何が地域間格差拡大の要因なのか、その認識をお聞かせください。 |
○塩川委員 確かに、この間の景気回復ということでいいますと、私も各地のいろいろな大企業の製造工場などを見て、輸出型の製造業の集積があるような地域で確かに伸びているということがあります。自動車もそうですし、家電、電機などもそうですし、建設機械などもそうだと思います。これはこれとしてどう対応していくのか、地方税のあり方の問題なんかも問われてくると思うんです。 今大臣がお触れにならなかった点で、地方交付税の問題ですけれども、例えば、新聞報道ですが、太田房江大阪府知事は、地方交付税削減のため地方が疲弊し、参議院選挙での自民党の大敗を招いたということを指摘しております。地方交付税の削減が地方を疲弊させたという認識ですけれども、大臣の見解はいかがですか。 |
○塩川委員 もちろん産業振興策ということは大いに力を入れなければいけないと思っております。それを進める上でも、自治体間の財政力の格差の問題についてはやはり打開する必要があるだろう。そういう取り組みを行う上でも、それもできないような実態に地方の自治体が置かれているということが今問われているわけで、その点での自治体間の格差の問題というのが問われてくる。 大臣も、地方交付税の伸び、プラスマイナスという言い方でしたけれども、活力に影響を与えていると。この間、伸びることは決してなくて、減り続けているわけですから、そういう点でも、地方交付税についても、今それをどうするのかということが問われてくるわけです。 十月四日に地方六団体の要望書が提出をされました。その中でも「地域間格差が拡大している現状があり、この原因の一つとして、分権の趣旨とは無関係に地方交付税が大幅に削減されたことを指摘せざるを得ない。」と述べております。自治体間の財政力格差の大きな要因の一つとして、地方交付税の大幅な削減と言っているわけです。 交付税の削減が地域間格差拡大の主要な要因ではないかと思うんですが、大臣の認識はいかがでしょうか。 |
○塩川委員 小規模自治体にとって交付税の削減がその財政に大きく影響しているという話でございました。限界集落の問題なども、大臣も回っておられますように、その集落そのものが消えてなくなるような事態がある。地方において、そういった住民がそこに住み続けられるかどうかという問題が今持ち上がっている。そういうときに、この財政力、自治体の地域間格差というのは放置できないということだと思います。この格差拡大によって、憲法が保障する住民の健康で文化的な最低限の生活を保障する、その確保ができなくなるというところが今問われてくるんじゃないかと考えております。 そこで、今大臣もお話しされました四千人未満の小規模自治体の点ですけれども、私も実態を調べてみました。小泉内閣発足の平成十三年度と直近の計算数字があります十七年度の比較で見て、人口四千人未満の小規模自治体で交付税の現状がどうなっているのか、この点について確認をさせてください。 |
○塩川委員 お話しのように、百七十二のうち百七十で大きく減っている。総額で見ましても、二千七百億が二千二百億ですから、大幅な減少です。もちろん地方税がふえているような自治体もあるでしょうけれども、交付税の減額が大きいので、これらの小規模な自治体では、税と交付税を合わせた住民一人当たりの一般財源は、特別な要因のあった二つの自治体、ダムが供用開始になったとか、それで固定資産税が入るとか、そういう特定の二つの自治体を除いてはいずれもマイナスとなっているわけです。 全体の傾向を見ましても、一般財源の人口当たりの額は、都道府県では、財政力指数〇・五から一・〇の団体の平均がプラスとなり、財政力指数〇・五以下の団体はマイナスとなって、格差が拡大をする。市町村では、都市のグループ分けが若干変わって同じ比較にはなかなかならないんですけれども、町村で見ますと、五千人未満のところではマイナスとなっておりますが、二万人以上のところではプラスと、ここでも格差が出ております。東京を含めた全国平均の一般財源の人口一人当たりの額を見てもマイナスとなっているということで、この背景には交付税額の削減があることは明らかです。 こういう交付税の削減の結果、自治体でどのような事態が生まれているのか。例えば、朝日新聞が地方交付税の全国市町村アンケートを行ったのが昨年の七月に報道されていますが、そこでは、「住民サービスの見直しに踏み切った自治体は七割近い。人口二十万人以上では四八%と半数を下回ったが、十万〜二十万人未満では五八%、五万〜十万未満では六一%、一万〜五万人未満では六九%。一万人未満となると七六%に達する。人口が少なく、自主財源が乏しい自治体ほど影響が大きいことをうかがわせる。」と指摘をしております。規模が小さい自治体ほど地方交付税削減による住民サービスの低下が深刻になっているということだと思います。 大臣に伺いますが、自主財源が乏しい自治体ほど交付税削減による影響が大きいというこの指摘について、大臣の御見解はいかがですか。 |
○塩川委員 日本都市センターのアンケート調査も同様な傾向が出ておりまして、住民サービス、住民にとってどういう影響が出てくるのか。この間の歳出規模の縮減というのが、単に自治体内部の組織の再編にとどまるのではなくて、住民との関係でサービスの低下になる、あるいは負担の増加になるというところが今大きく問題となってきているんだと思います。日本都市センターのアンケート調査でも、七四・七%の市などで住民サービスの縮小、廃止、六五・一%の市などで手数料、利用料、負担金等の値上げということになっているわけです。 現状が財政需要を満たす額を確保できていない。これは、小規模自治体であれば段階補正の見直しなどが大きな影響をもたらしてきたわけで、大臣もおっしゃったように、小規模自治体には税源もないような状況ですから、地方税はふえずに、その上交付税も減ったら立ち行かなくなるという状況です。 そこで伺いますが、これから予算編成の時期になります。交付税の総額がどうなるかということが、自治体、地方団体の大きな関心のところであります。先ほども紹介しました地方六団体の要望書の中にも、「平成二十年度予算の編成にあたっては、社会保障関係の経費が増大を続ける中、地方財政計画に地方の財政需要を適切に反映した上で地方交付税総額を増額する」こととあります。交付税の削減というのが格差拡大の要因というふうにお認めになるんだったら、自治体の社会保障関係費の増額を含めた財政需要を踏まえて、交付税の増額を格差是正のためにも行うべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。 |
○塩川委員 無駄遣いを正すのは当然です。ただ、行革の名のもとに必要以上なリストラが自治体に強要されて、住民サービスの低下にもつながるような事態になっている。そこで悲鳴が上がっているというのが小規模自治体の実態ということじゃないんでしょうか。ですから、本当に最低限の生活を保障するようなところが機能できないような自治体の財政状況になっているということが、先ほど大臣も紹介された小規模な、町村会などからも強く要望されているというところにあらわれているんだと思うんです。 今お話のように、交付税総額の確保という言い方をされましたけれども、地方交付税を増額するという選択肢はお持ちにならないのか。改めてお聞かせください。 |
○塩川委員 実際には、一般財源の総額の確保ということで交付税も減らされてきたわけですから、マクロで一般財源の確保という説明はできるかもしれませんけれども、先ほども言ったような税源のないあるいは乏しい自治体が交付税が減らされるというところについて、自治体間の格差を生み出しているわけですから、骨太の方針で交付税の財源保障機能の縮小ということを言ってきた、それを現実には実行しているような状況にある。格差是正を言うのであれば、こういう骨太方針の大もとそのものを変えることなしにはできないわけで、地方の事情をまず踏まえた上でどうするのかということなしには地方の疲弊をとめることはできないということを改めて申し上げておくものです。 その上で、関連して、「頑張る地方応援プログラム」について質問させていただきます。 この「頑張る地方応援プログラム」に基づく交付税の配分二千二百二十億円のうち、行革の実績を示す指標に関する部分が一千九十億円と半分を占めております。 いわば、「頑張る地方応援プログラム」という名前がありながらも、その実態というのは、自治体リストラ推進が中心の内容ということになるんじゃありませんか。大臣のお考えをお聞かせください。 |
○塩川委員 十七年度、十八年度、十九年度と、この行革インセンティブ算定というのはずっとふえてきている。 大臣もお話しになったように、地方行革の推進というのが総務省がかねがね地方を指導してきたテーマに今なってきているということで、この近年を振り返れば、二〇〇四年の今後の行政改革の方針を受けて、二〇〇五年三月に新たな行革指針を示して、〇五年を起点としたおよそ五年間の集中改革プランを作成するよう地方団体を指導し、〇五年中に公表しなさいと言ってまいりました。さらに、行政改革推進法や公共サービス改革法の成立、骨太方針の二〇〇六を受けて、二〇〇六年八月には「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」を出して、総人件費の抑制や地方公共サービスの見直しを指導しています。 これは、言ってみれば国、総務省が掲げている一つの政策であって、その国の政策や方針に従った度合いが大きいから交付税を厚くするなどということは、交付税を政策誘導に使うということで、この間批判をされてきたものであります。地方の共有財源を国の政策誘導に使うなということであります。 先ほどの六団体の要望書で、「「頑張る地方応援プログラム」の財源については、地方交付税本来の財源保障・調整機能を損なわないよう別途確保する」と言っておりますけれども、この点についての大臣の御見解を改めてお聞かせください。 |
○塩川委員 その上で、行革インセンティブ算定のお話ですけれども、地方の共有財源である交付税を政策誘導に使うということは本来抑制的でなければならないわけで、この間の行革インセンティブ算定などが自治体の歳出削減のアクセルともなって、結果としてそれが交付税総額を抑制するという方向にもつながっているんじゃないのか。 ですから、交付税総額の抑制のための道具としてこれまで「頑張る地方応援プログラム」を活用し、行革インセンティブ算定を活用するということにもなり、その点でも、この行革インセンティブ算定そのものが格差の是正どころか格差をさらに拡大するものになっているんじゃないのか、それをやはり正すことが必要なんじゃないのか。その点について改めてお聞きしたいと思います。 |
○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。 |