<第168回国会 2007年10月30日 総務委員会 第3号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 郵政民営化の議論の際にも、民営化によってサービスは後退をさせない、いや、サービスはよくなるんだという小泉首相や竹中大臣のあの答弁というのが今も耳に残っておりますけれども、きょうの審議を通じても、実態がどうなのか、率直に言って国民にとってサービスが後退しているじゃないか、こういうことを実感せざるを得ません。
 そこで、私も関連して、簡易郵便局について、きょうは少しお尋ねをしたいと思っております。
 最初に、会社の方にお聞きしますが、簡易郵便局の現在の一時閉鎖数、それから公社になって以降の廃止数は幾つなのかをお示しください。

○藤本参考人 お答えいたします。
 簡易郵便局の一時閉鎖等の関係でございますが、十月一日時点で一時閉鎖となっておりました簡易郵便局、四百十七局でございます。そのうちの二局につきましては既に再開をいたしておりまして、八局については受託者を内定し、再開に向けて準備を始めておるところでございます。なお、十月一日以降に一時閉鎖となった局は八局でございますが、そのうち一局は十一月一日に再開の予定でございます。また、二局につきましては、再開に向け今準備中でございます。
 それから、公社期間中において廃止された簡易郵便局でございますが、十五年の四月から十九年の九月までの間でございますが、二百二十二局でございます。ちなみに、十月一日以降のものはございません。
 以上でございます。

○塩川委員 配付資料にありますように、この間ずっと、一時閉鎖についても積み上がり、また廃止数もどんどん積み上がっていく、過疎地の占める割合も大きいということで、地方において非常に大きな役割を果たしている簡易局がなくなるということが、地域における金融の窓口がなくなっていく、いわば金融排除と言われるような状況が生まれる、こういうことへの懸念が強くあるということであります。
 そこで、西川社長にお尋ねいたします。
 民営化の議論の際には金融のユニバーサルサービスが議論となりまして、いわば、国民にとってみれば、国民の権利としての金融アクセス権、この保障というのが問われたわけです。
 政府は、金融のユニバーサルサービスの義務づけについての法律の規定は外すけれども、郵便局における金融サービスは大変重要なので、実体的に金融サービスが継続するようにすると説明をしてまいりました。しかしながら、ここにありますように、郵便局の一時閉鎖、廃止がふえております。これで国民にとっての金融アクセス権が保障されていると言えるのか、お伺いしたいと思います。

○西川参考人 お答えをいたします。
 私は、やはり金融排除ということが生じてはいけないということを強く考えておりまして、そういう見地からしましても、簡易局の一時閉鎖につきましては、極力早く再開をできるように努めてまいりたいというふうに考えております。
 先ほども申し上げましたが、関係者、簡易局経営者、それから地方の代表者、そして郵便局会社の代表を含めまして、簡易局チャネルの強化に関する検討会を持ちまして、そこで精力的に検討を進めて、そして有効な実行策を講じてまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 対策もとってきた、今後も検討会で具体化をしていくというお話ですけれども、資料をごらんいただいてもわかるように、一時閉鎖の数というのは、ことしの三月末の三百七が今四百十七ということで、確かに再開するのもあったかもしれないけれども、それを上回って大きく一時閉鎖数がふえているというのが実態であります。
 これがとまっていないわけですね。今お話にありましたように、十月一日以降も一時閉鎖が八局というお話もありました。そういう点では、加速しているとまで言えるかどうかはわかりませんけれども、やはり民営化と前後して、公社が民営化の準備をする過程の中で大きく一時閉鎖が拡大しているという現状があるわけです。
 そこで、これを本当に打開できるのか。国民にとっての金融アクセス権が保障されるのか。率直に改めてお聞きしたいんですが、いかがですか。

○西川参考人 お答えいたします。
 先生御指摘の金融アクセス権をやはりきちんと確保してまいらなきゃならないというふうに私ども考えておりまして、その中で簡易局の果たす役割も決して小さくない、大きい、こういうことでございますので、何としても早く再開できるように、実効が上がる施策を早急に講じてまいりたいと考えております。

○塩川委員 報道などで伺うところでは、西川社長のインタビューの記事などで、例えば移動郵便車の話などが出ております。
 他局から週のうち何日か人を派遣してあけるとか、支社に一台程度しかない移動郵便車をふやすなどの手だても考えるとか、週二、三回、一日数時間だけ運営する移動郵便局を開設する方針を示したという話ですけれども、週二、三回とか一日数時間ということで、これで簡易局の代替ということには当然ならないと思います。
 これは、あまねく公平にという、国民にとっての権利としての金融アクセス権の保障ということではないと率直に思うのですが、その点はいかがでしょうか。

○西川参考人 お答えいたします。
 移動郵便車でありますとか、あるいは時間限定のサービスでありますとか、こういったことはいわゆる応急措置でございまして、それをもって永続的にやっていこうというわけではございません。やはり、一時閉鎖されておる簡易郵便局を再開するということが第一義でございまして、それまでの間の応急措置としてそういった施策も考えてまいりたい、少しでも御不便の解消に努めてまいりたいという意味でございます。
 以上です。

○塩川委員 簡易局も、受託のいろいろな条項の中でも、九時から四時とか九時から五時まで金融とか郵便のサービスを行っている。そういうところで見ても、九割強の簡易郵便局というのが九時から四時ぐらいの時間帯で平日は行っているわけですね。移動郵便車とか、ほかから人が来て一日数時間、週二、三回あけるとかということでは、当然足りない。
 おっしゃったように、応急措置ということですけれども、再開にこそ全力を挙げるべきで、そういう現状になっていないということが率直に今問われているわけだと思います。金融アクセス権が阻害をされる状況がある。
 その点で、大臣にお尋ねしますけれども、簡易局の一時閉鎖や廃止が増加する現状というのが金融アクセス権が保障されるとは言えない事態だと思いますが、その点についての大臣のお考えと、ではどうするのかということについて、政府としてのお考えをお聞かせください。

○増田国務大臣 こうした簡易局の一時閉鎖がふえているということは、やはりそれに対しての対策を真剣に考えなければいけないというふうに思うわけであります。
 今、公社の方で委託料の引き上げ等を行ってまいりましたけれども、そうした対策の効果、これをよく検証していただく。そして、自治体はもちろん、それから郵便局会社等の関係者が入って今後それぞれの地域で検討会を開催されるということでありますので、これまで、そうしたネットワーク水準を維持するために、それはひいては金融についてのアクセス権を保障するという意味でネットワーク水準を維持する、そういう試みが行われてきたわけでありますが、そのさまざまなこれまでとってきた対策の効果をよく検証していただいて、そして、今後に向けてのより効果的な中身を出していただければ、このように考えております。

○塩川委員 手数料を引き上げたといっても、もともと公社時代に手数料を引き下げたというのが局が減るという引き金の一つにもなっているわけですから、そういったことも含めて検証することが求められているわけで、金融アクセス権が阻害されないようにするという点で何が必要なのか、引き続き午後の質疑でただしていきたいと思っております。
 以上で終わります。

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 午前中に引き続いて、何点か、最初に簡易郵便局についてお尋ねします。
 郵便局会社の川会長がおいでですので、最初に何点かお聞かせください。
 午前中、西川社長の答弁の中でも、簡易局のチャネルの強化のための検討会を設けて確保策を考え、ネットワーク維持に努めたいというお話がございました。この検討会がいつまでに何をやるのかということについて、今はっきりしていることをお答えいただけますか。

○川参考人 お答えいたします。
 現在、まだ具体的な構成メンバーであるとかは検討中でございます。ただ、簡易局の連合会としての全簡連という組織がございます。こことは今後、簡易局の政策についていろいろ問題提起もいただくし、また、こちらからいろいろお願いもする、そういう定期的な場を設けようとしておりますので、こういう関連の中で、ただいまの御質問の検討会についても幅を広げた形で進めていきたいと考えております。

○塩川委員 重ねてもう一点伺いますが、そうしますと、簡易局をいつまでに幾つふやすのかという目標というのはお持ちなんでしょうか。

○川参考人 簡易局をいつまでに幾つふやすかという前に、現在の四百十七ある一時閉鎖、これについて対応するというのが、まず検討委員会で予定している項目の最初のテーマだというふうに考えております。

○塩川委員 一時閉鎖といっても、実際には三年も四年も一時閉鎖という格好になっているところが現にあるわけですから、要は、実質的に廃止して、ないような状況。地元との関係で、ぜひともそこに置こうということで努力をされているところが現に一時閉鎖となっているわけですから、それについて、では、四百十七をいつまでに解消しようとお考え、目標をお持ちなんでしょうか。

○川参考人 お答えいたします。
 これまでの一時閉鎖対策というのは、正直申し上げまして、極めて対症療法であったというふうに私自身考えております。したがって、従来の延長線上でこの一時閉鎖の問題に対応するのではなくて、もっと幅広い形で取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
 したがって、まだ具体的に、いつまでに何局ということの議論をするには至っておりません。

○塩川委員 非常に取ってつけたような状況を率直に受けるわけですね。現状は深刻になってきているというところが当然あるわけですから。本来そういうのは、公社が始まって、公社時代に委託手数料を引き下げて大きく減ってきている、一月から手数料を上げたりという経過があったとしてもそれでも減っているという点について、対応が非常に後手後手だと率直に思うわけです。やはり率直に言って、結局コストが合わないからという形で、簡易局なり地方がどんどん切り捨てられることになるんじゃないかという懸念はぬぐえないわけです。
 西川社長に伺いますけれども、結局コストが合わないからということでサービスが後退するような状況になってくる、金融サービスに関して、先ほど骨格経営試算の話もありましたけれども、もうからない郵便局にゆうちょやかんぽが委託を続けるということは本当に可能なのか、その根拠ということで、お考えのことをお聞かせいただけますか。

○西川参考人 お答えをいたします。
 ゆうちょ、かんぽの郵便局に対する委託につきましては、この郵便局がもうからない、この郵便局はもうかるというような区別の仕方というのは現実的に不可能でございまして、郵便局を統括する郵便局会社との間で受委託契約を結んでおるということでございます。
 そしてまた、グループ全体としましても、郵便局で多分赤字局が多いだろうと思います。しかし、その赤字は全体の中で吸収をしてまいらなきゃならない、できるだけ赤字は減らさなきゃいけませんが、その上で全体の中で吸収をしていこうという考え方で臨んでおるわけでございまして、そのことによりましてネットワークをきちんと維持していくということでございます。

○塩川委員 一つのビジネスモデルとして示されているわけですけれども、経営陣も今後かわったり、そもそも、今後の株式の売却でゆうちょ、かんぽが一
〇〇%切り出されるような形、そこに効率優先、コスト優先、もうけ優先という形での株主の要求が反映をされたら、こういうビジネスモデルが続くのかということが率直に懸念として出てくるわけであります。
 午前中の審議の中で、西川社長も金融アクセス権は確保しなければならないと述べ、また、増田大臣も、これまでネットワーク維持、ひいては金融アクセス権を維持する試みがされてきたと、金融アクセス権が重要ということをお認めになっておられるわけです。しかしながら、現状は金融窓口がどんどん減少することがとまらないということです。
 そこで、大臣に伺いますけれども、やはり金融アクセス権を保障する金融のユニバーサルサービスの義務づけというのが改めて必要なんじゃないか、改めてその点についてお考えをお聞かせください。

○増田国務大臣 これはいろいろ議論があったわけでありまして、やはりネットワークをさまざまな工夫をして極力維持していく、そして、そうしたところでサービスを提供していく、このために会社に最大限努力をしていただく必要があるだろうというふうに思っています。そうしたことによって、実際上さまざまな金融的なサービスというのが地域で展開をされる、このように考えるところでございます。

○塩川委員 金融アクセス権を保障する金融のユニバーサルサービスの義務づけが必要だ、そのためにも制度設計についての根本的な見直しが求められていると思いますし、そのためにも株式の売却の凍結などの措置が必要だということを改めて述べておくものです。
 残りの時間で、郵便局での障害者サービスの問題について、何点か事業会社の方にお伺いしたいと思います。
 最初に、三種、四種の郵便物の集荷サービスについてですけれども、障害者団体の会報で活用する第三種郵便物ですとか、点字図書や録音テープなど記録媒体の郵送の場合に活用する第四種郵便について、障害者団体の運動もあり、これまで郵便局による集荷サービスが行われてまいりました。しかしながら、都内のある郵便局では、十月に入ってから、障害者団体が要望したところ、集荷サービスには行かないとの対応があったとのことです。
 これまで実施をしてきた障害者団体などへの集荷サービスは、民営会社においてもきちんと継続するのか、この点を確認させてください。

○北村参考人 お答えいたします。
 身体障害者の方から差し出される、例えば点字郵便物等の郵便物の集荷については、今までどおり、できる限り応じることとしておりまして、第三種郵便物及び第四種郵便物についても、このような考え方に沿って集荷サービスを行っております。
 今後も、引き続き同様の対応を行っていきたいと考えております。
 以上です。

○塩川委員 次に、ゆうちょ銀行にお伺いいたします。
 視覚障害者などに対するゆうちょ銀行業務の窓口での代書についてですけれども、私のお聞きしたところでも、都内のある郵便局で、民営化になったら代筆はできないよ、普通の金融機関になったから、こういうふうに言われたという話があるそうであります。愛知の方でも同様の事例があるとお聞きしました。視覚障害者からの代書の依頼があれば必ず応じるということに変わりがないか、その点を確認させてください。

○古川参考人 お答えをいたします。
 貯金や送金の取り扱いにおきましては、職員が代書することは、一応原則的に禁じてはおりますが、視覚障害者の方など、やむを得ない理由があれば代書をさせていただいており、今後も御要望に応じられるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上であります。

○塩川委員 今、率直に、郵便局の現場などで大きく業務の内容が変わってきているということで、どこまで仕事をやるのかということについて、なかなか、現場で混乱もある。本部から、上から言われた以上のことはやるな、そういうようなことを受けとめているような職員の方もおられるというのが率直な現場の雰囲気だということでもありますので、職員のモチベーションがこんな形で下がることがないような対応というのをきちんとお願いをしたいと思うものです。
 続いて、ゆうちょ銀行に引き続きお伺いしますが、これまで郵政公社が実施をしてまいりました、貯金の取引記録の点字による通知、一カ月とかまとまって、振り込みですとか引き落としですとか、入金、出金の記録というのを点字で打ち出して送ってくれる。月に一回発送で、最大限月二回までそういった記録を送ってくれるということが、視覚障害者の方に大変喜ばれているとお聞きしました。
 都銀でも実施をしているところはごく一部だと聞いております。ぜひこの貯金の取引記録の点字通知は引き続き実施をしていただきたいと思いますが、その点の確認をお願いします。

○古川参考人 お答えをいたします。
 視覚障害者の方については、取引記録を通常の通帳で確認することは困難なことから、民営化前から、視覚障害者の方の御要望に応じて、毎月取引記録を点字で記載した通知書を交付しておること、先生のおっしゃったとおりでございます。このサービスについては、今後も継続し、視覚障害者の方にも安心して貯金を御利用していただけるよう努めてまいります。
 以上でございます。

○塩川委員 点字通知サービスのない民間の金融機関を利用されておられた視覚障害者の方が、社会保険庁による年金の振り込みのミスで、半年ぐらい実際に入っていなかった、そういうのが、点字の記録でないものですから気づかずにいたので、行員の方に教えてもらって初めて気づいた。そういう点でも、視覚障害者の方が確認できる点字の記録の通知というのが、やはり基本的な暮らしを支える大きな力になっているという点で、その点についてぜひ引き続きお願いしたいと思っておりますし、他の金融機関でも、この点についてはぜひ学んで、進めていただければと思っております。
 もう一点、お伺いいたします。
 ATMの音声案内についてですけれども、郵便局間の取引では音声対応となっているそうですけれども、郵便局のATMから他の銀行などに振り込む場合には音声案内が行われないとお聞きしました。この点でもぜひ改善をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○古川参考人 お答えをいたします。
 ゆうちょ銀行では、ATMによる入金、出金については、音声による御案内をすべてのATM本体の受話器によって行っております。また、今おっしゃった送金につきましては、自行内及び他行あてとも、音声による操作案内はいたしておりますが、送金先でありますとか氏名などの取り扱いの確認内容は、技術的に大変難しい問題がございまして、今のところ対応いたしておりません。
 ただ、改善につきましては、今後の技術動向等をかんがみながら、研究課題とさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。

○塩川委員 私、そういう形で、ATMなどについての障害者対応などについて郵便局が一〇〇%、それに対して民間が大変おくれているのがこの間引き上げられてきた、そういう点では、郵便局の果たしている積極的な役割というのは、大いに今後も果たしていただきたいと思っております。
 金融庁の方、申しわけありません。時間の関係で、質問の機会がありませんでした。また別な機会にお願いしたいと思っております。
 以上で終わります。