○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 きょうは、放送法につきまして、再発防止計画の提出を求める新たな行政処分についてお尋ねをいたします。 今回の法案では、いわゆる捏造報道事案などがあった場合に、総務大臣が放送局に再発防止計画の提出を求め、意見をつけて公表する新たな行政処分を導入するということであります。 そこで、大臣にお聞きしますが、この新たな行政処分の発動要件についてですけれども、これはだれが認定をしたときに行政処分が発動されるということになっているんでしょうか。 |
○塩川委員 大臣が最終的に判断をする、法文上は大臣が判断をすると書かれているわけですけれども、今おっしゃった、放送事業者がみずから認めた場合を適用の対象とするという点について、これは極めて発動要件にかかわる重要なポイントなんですけれども、そういうことを言われるのであれば法文上に書かれればよいと思うんですが、それをされないのは何でなんでしょうか。 |
○塩川委員 一番根幹にかかわる行政処分の発動要件の点について、放送事業者がみずから認めた場合のみを適用の対象とするということをおっしゃるのであれば、それが法文になるというのが本来ではありませんか。 |
○塩川委員 法文上、問題があると判断するのは大臣というふうになっているわけです。 運用という話がありましたけれども、BPOの話がありました。そこでお尋ねしますが、先ほどの提案理由説明の中でも、BPOの機能強化による取り組みが機能している間は再発防止計画の提出の求めに係る規定を適用しないとしていますけれども、機能しているかどうかというのを判断するのはだれなんでしょうか。 |
○塩川委員 総務大臣が機能しているかどうかを判断すると。その場合に、機能しているかどうかの判断基準というのも当然大臣が決めるということですね。 |
○塩川委員 BPOの対策が機能しているかどうかを判断するのは総務大臣自身でありますし、その判断基準も総務大臣が定めるということになると。そういう点では、運用という話がありましたけれども、総務大臣の考えに左右されるという仕組みになっております。 そこで、加えてお聞きしますが、総務大臣は、計画を検討して意見を付し、公表するものとするとありますが、計画を検討するというのは何を検討するのか。その点、大臣にお尋ねします。 |
○塩川委員 計画が出たところで十分かどうかを見るという話で、国民に対する説明責任を果たしているかどうかということを検討するということなんでしょうけれども、では、国民に対して説明責任を果たしているのか果たしていないのかという判断基準はだれが判断するんですか。 |
○塩川委員 懸念の声というのは、やはり総務大臣の付した意見というのが今後の番組制作への内容に対する介入となりかねないという声であります。 ですから、今回の新たな行政処分の創設というのは、放送内容に問題があると判断するのも大臣ならば、再発防止計画を点検するのも大臣となっております。業界の再発防止対策が機能している間は発動しないと言うけれども、機能しているかどうかを判断するのも総務大臣であり、総務大臣の判断次第で運用されることになるということです。こういうやり方はやはりふさわしくない。 ですから、きっぱりと新たな行政処分の規定は削除をすべきではありませんか。 |
○塩川委員 今回の新たな行政処分というのが、先ほど言いましたように、政府の恣意的な運用に対する懸念がある、報道と表現の自由を侵害するおそれがある。番組の適正というのは、放送事業者の自律、世論の力によって確立されるべきであり、行政の関与は慎重であるべきだ。 捏造の報道は許されません。その際に、捏造再発の防止のために政府が行うべきことは、何よりも放送事業者の自由、自律を尊重し、BPOなどの自主的な取り組みを支援することであり、やはり独立した行政委員会に放送行政をゆだねるという対応が求められていると思います。 それに加えて指摘をしたいのが、このような捏造報道の番組をつくるような放送業界の制作環境、業界の構造上の問題の是正、こういうところにこそ政府が対応策をとるべきではないか。今、職安法や労働者派遣法違反のいわゆる偽装請負などの問題も放送業界で指摘をされております。加えて、元請、下請間の下請いじめの問題があります。 関西テレビに、この事件が起こりまして、「発掘!あるある大事典」の調査委員会、第三者委員会が置かれ、三月の二十三日に報告書が出されております。この報告書を見ますと、捏造を招いた番組制作における構造上の原因と背景として、視聴率本位の制作態度とか、再委託契約におけるピラミッド形の制作体制の問題とか、制作費の削減措置による影響などの指摘があります。番組制作の会社でつくる全日本テレビ番組製作社連盟、ATPによる「あるある大事典2」捏造事件に関する緊急アンケート調査、これは三月の九日に行われておりますけれども、その中でも、この事件の背景として、予算不足とか、視聴率競争の弊害、孫請構造を挙げております。このような捏造を生みかねない業界の構造上のゆがみにこそメスを入れるべきであります。 そこで、私はきょう下請いじめの問題を取り上げたいと思っております。 「あるある」の調査委員会の報告では、「再委託契約による制作の問題点」、つまり、関西テレビが日本テレワークに発注をし、これ自身が親子関係ですけれども、日本テレワークからその下の制作会社に委託をする孫請構造になっているという話で、第三者委員会の報告書では、「契約内容に元請けによる下請けいじめとも受け取れる優越的地位を背景とした不当条項が入りやすい点が指摘できる。」とあります。「現に、テレワークが各再委託制作会社と結んでいた契約書によれば、専従義務と称して再委託制作会社が他の業務を行う場合はテレワークの承諾を得ることと規定され、再委託制作会社の従業員がテレワークの業務を履行するにあたって死亡・負傷・疾病にかかった場合でもテレワークは一切の責任を負わない旨規定されるなど、孫請けに対する優越的地位を濫用した不当条項ともいえる規定が設けられている。」このような指摘があります。 加えて、「最も問題なのは、納品された放送制作物の委託料の支払いが、納品日からではなく、放送日の月末締めで放送月の翌々月の十日払いとされている点である。」「資金繰りが潤沢でない零細企業が多い下請け制作会社を苦しめる不当な取り決めといってよい」「下請代金支払遅延等防止法に違反する違法な取り決めであり、言語道断の措置」だと指摘をしております。 こういった下請構造、下請いじめとなるようなこういう構造の指摘について、大臣はどのように受けとめておられますか。 |
○塩川委員 そこで、総務省としてどのような対応策をとったのかということなんですけれども、この「あるある」の第三者委員会の報告、これに基づいて総務省は三月に関西テレビに対して警告を出されておられます。ですから、当然この内容を熟知しておられるわけですけれども、ここで指摘をしているような下請いじめのような現状について、総務省として、下請取引の是正の観点でどのような対応策をとったんでしょうか。 |
○塩川委員 公正取引委員会にお尋ねします。 今、総務省からその旨公正取引委員会に伝えたということですけれども、申告として扱うのかどうかということもありますが、今回のこのような下請法違反と調査委員会の報告書が指摘をしているような状況ですから、こういう事案についてきちんとした調査をすべきだ。この点が一点と、もう一つ、やはりこういった下請いじめがまかり通っているような放送業界、情報成果物作成委託業務と下請法ではしているそうですけれども、これについて重点的な調査をすべきではありませんか、お尋ねします。 |
○塩川委員 公正取引委員会にお聞きしますが、三つの分野、業種で特別調査を実施する。その三つをちょっと例示していただきたいのと、なぜその三つをやるのかという理由を聞かせていただけますか。 |
○塩川委員 今お話にありましたように、放送については、書面交付義務違反などが多い、下請法違反が実際まかり通っているということで特別調査ということであります。陸運関係もそうでありますし、金型についても同様にそういうことを指摘する特別な調査をやろうということになっているわけです。 そこで、公正取引委員会と総務省にお尋ねしますが、公正取引委員会には、放送業を所管する総務省との連携強化を強めて、何らかの対応策を考えるべきではありませんか。 それから、公正取引委員会に確認しますけれども、金型については対応する経産省が金型を含む素形材産業についての取引のガイドラインというのを策定しております、こういうものでありますけれども。あわせて、今、国土交通省では、陸運関係、貨物関係についてのガイドラインに取り組みつつあるというふうに承知をしております。その点の確認とあわせて、総務省とどう連携強化をするのかということをお聞きしたい。 総務省に対しては、ほかの省がそれぞれ、陸運関係と、また金型についてはガイドラインという取引についての対応策についてきちんとつくっているわけですから、総務省としても放送業についてこういうガイドラインをつくるべきだ。その点、大臣にお伺いをします。 |
○塩川委員 公正取引委員会が問題とした、特別調査をしている三つの業種のうち二つについては適正な取引のためのガイドラインをつくっている、あるいはつくろうとしているわけですから、総務省においても放送業についてきちっとガイドラインをつくるということを求めて、質問を終わります。 |