○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 きょうは、公立病院改革ガイドラインについて質問させていただきます。 最初に、公立病院の現状認識について伺いたいんですが、このガイドラインで、多くの公立病院において、経営が悪化するとともに、医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされていると述べております。この医師不足が公立病院の経営悪化の要因になっている、このような認識はおありでしょうか。その点を確認させてください。 |
○塩川委員 その際に、このガイドラインで医師不足が解消すると言えるんでしょうか。 |
○塩川委員 この緊急医師確保対策は、医師は基本的に足りているというような認識に立って、全体の医師数を抑制するという政策を変えるものではありません。 そういう点でも、例えば朝日新聞などでも、医師の確保策などを十分に講じず経営改善だけを急ぐなら、赤字はなくなったが地域医療が崩壊したという結果を招きかねない、こういう指摘も出されているわけです。 ですから、深刻な現状を踏まえて、医師不足とともに看護師などの医療スタッフの不足も深刻です。公立病院の経営悪化が診療報酬の引き下げあるいは医師不足等に起因すると認めるなら、小手先でなく大もとからの政策転換が必要であります。 その点でガイドラインの対策がどうかということですが、ガイドラインにあります「公立病院に関する地方財政措置の重点化」のところで、「病床数に応じた普通交付税措置に際して、今後の各病院における病床利用率の状況を反映することを検討する。」とあります。 例えば例を挙げますと、一般病床が百床で、その病床利用率が六〇%という病院の場合ですと、現状は、その病床数百床掛ける四十九万五千円で四千九百五十万円になりますけれども、もしそれが病床利用率で計算をするとなると二千九百七十万円、千九百八十万円の減額という形になりかねません。 そこでお尋ねしますが、病床利用率が低ければ交付税措置を減らすということもあり得るのか、その点いかがでしょうか。 |
○塩川委員 過疎地の充実は一律ではないという話です。それは、答弁にありましたように、病床利用率が低ければ交付税措置を減らすという見直しもあり得るという話でありました。 しかし、過疎地だろうと都市部だろうと、利用率が低いところについては、やはり医師不足が反映している、医師不足が原因だということも当然あるわけです。診療体制の縮小などとともに、常勤医師が確保できないために入院はできないという形が現に生まれているわけですから、常勤医師が確保できなければ病床利用率も改善できないんじゃないのか。医師不足の解消なしには病床利用率の改善にもつながらない。それを、実情を踏まえないペナルティー的なやり方で交付税措置を見直すということは、これはとってはならないやり方じゃないのかと思うんですが、その点いかがですか。 |
○塩川委員 実情を踏まえないペナルティー的なやり方はやめるべきだということを申し上げ、この間の診療報酬のマイナス改定それから医師不足というのに加えて、やはり地方交付税の削減の措置も自治体病院経営悪化要因の一つだと言えます。 病床当たりの普通交付税については、この間、都道府県で、平成六年度の八十三万円が平成十八年度には四十八万円、市町村では、平成九年度の七十四万円が四十八万円にとなっております。自治体病院運営費等への普通交付税措置の削減等が病院経営を深刻にする要因の一つともなっている。 自治体病院の赤字事業数がこの六年間、平成十二年の四六%が十八年には七七%と、二分の一から四分の三へと急増する。その間、普通交付税措置額の推移は、平成十二年度の二千七百二十三億円が十九年度では二千五百八十四億円、八%減という点でも、この病院事業に係る交付税措置の拡充こそ全体として図っていくべきじゃないでしょうか。その点、大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 次に、公立病院の果たすべき役割についてですけれども、明確化ということで何点か具体的に指摘をしておられます。 自治体病院は医療機関という役割だけではなくて、行政機関の一つとして、保健、福祉、医療を一体的に推進する役割も果たしております。ガイドラインでこのように公立病院の役割を限定列挙するようなことになれば、自治体病院がそれぞれ固有、歴史的な経緯を踏まえて果たしてきた行政機関としての役割、機能を損なうようなことになりはしないか、このことを思いますが、その点いかがでしょうか。 |
○塩川委員 ガイドラインの中で数値目標を設定し、国が点検、評価する仕組みをつくったり、都道府県が公立病院の再編・ネットワーク化の計画を作成することなどが行われれば、一公立病院を現状で維持存続しようとその自治体が考えたプランというのが、そういう形で計画を立てること自身が不可能になりはしないかということを率直に懸念しますが、その点はいかがでしょうか。 |
○塩川委員 医師抑制路線そのものを撤回するとともに、財政健全化法や今回の公立病院改革ガイドラインが自治体病院のリストラを推進し、地域医療の崩壊につながりかねない、そういう懸念を持つものだということを指摘して、質問を終わります。 |