<第169回国会 2008年1月29日 総務委員会 第1号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。補正予算に関連する地方交付税法案、質問させていただきます。
 今回の内容で、国税五税の減額補正に伴う地方交付税の減額分について、国の一般会計からの加算によって補てんされる、そういう形になっておりますが、これは後年度に繰り延べをされた平成十九年度法定加算の一部を充当するものとなっております。
 そこでお尋ねしますが、交付税の総額に加算をされる、この既往の法定加算額自体は地方の財源だと思いますが、その点、確認をさせてください。

○増田国務大臣 今回のこの一般会計加算ですが、これは加算ということで、借り入れではございません。後年度に繰り延べている部分を、これは国の一般会計から加算すべきということが法律上明記されているものを戻したということでございますので、言い方を変えれば、今お話ございました地方の財源と言えるのではないか、こういうふうに考えております。
    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

○塩川委員 交付税の減額分の二千九百九十二億円が実質的に地方の財源で補てんされることになる。これは、本来、地方に配分される交付税総額は、総務、財務両大臣の地方財政対策を経て、地方財政計画で最終的に額が決定をされます。この地方財政計画を策定するのは内閣の責任であり、また、交付税の総額を見積もることも内閣の一員である総務大臣の権限とされておりますから、年度当初の交付税総額の確保は、国の責任によってなされなければならない。ところが、本法案は、交付税減額の実質的な補てんは地方の財源の、いわば交付税の先食いという形で行われており、私は国の責任は果たされていないものであるということを申し上げなければなりません。
 その上で、特別交付税について関連して質問をいたします。
 昨年の十二月二十五日に、政府は原油高騰・下請中小企業に関する緊急対策を取りまとめました。その中に、生活困窮者に対する灯油購入費等の助成を行う地方公共団体に対する特別交付税措置というのがあります。新聞でも、灯油の購入費の二分の一を国が補助するかのような、正確でない報道もあったと承知をしておりますけれども、それだけ注目されているということだと思います。
 せっかくですから、この特別交付税の措置について、寒冷地云々というのが頭書きであるんですけれども、寒冷地に限定されるものではないというふうに承知をしているんですが、その点、確認で一言。

○久保政府参考人 御指摘のとおり、寒冷地に限定をしたようなことにはしておりません。

○塩川委員 その点でも、地方自治体がそれぞれの取り組み、生活困窮者に対する灯油代の補助などを行う際に、それに対する特別交付税の措置を行うということであります。
 そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、普通交付税は交付税台帳があって、その算出根拠が自治体にわかるようになっておりますけれども、特別交付税の場合は、金額、数字だけが知らされるというふうに承知をしております。なぜこの額になったのか、交付される側の自治体にはわからない。交付税は自治体の共有、固有の財源であり、本来の所有者である地方公共団体に、少なくとも特別交付税の内容がわかるように改善するという措置をとる必要があるのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○増田国務大臣 特別交付税ですけれども、これは、例えば今の時期ですとよく除雪などの経費ですね、通常よりも非常に多く雪が降った場合の、そういった除排雪の経費、それから、これからどうなるかわかりませんが、例えば今までも、鳥インフルエンザなどで特別な対応が迫られたときは特別交付税で対応するといった、突発的な需要というようなものについてお配りをするといった場合が多うございまして、なかなか普通交付税のような機械的な積み上げになじまない、こういったような事情があるというふうに理解をしております。
 その上で、しかし、お話があったように、その内容をできるだけわかりやすく各自治体ですとか皆様方にわかるように、算定式を明示するとかいったような努力は、これは一方できちんとやらなければいけないというふうに思っていまして、私も大臣に就任したときに、やはり今まで特別交付税が、受け取る側にいて非常にわかりにくかったので、ここをできるだけはっきりさせるようにということの指示も出しております。
 今まで省令に具体的にできるだけ書くなどの改善をやってきたというふうにそのとき説明を受けておりましたけれども、そのほか、いろいろな、公共団体への通知ということ、今余りはやりませんけれども、そういった、公共団体向けに文書を出しておりまして、その中で、こういう算式でやると大体この程度になるということはお示しをしてございます。
 これは、昨年も公共団体にわかりやすくお示しをしたという話を聞きましたが、今後、そうしたことがさらにできないか、そのあたりをよく検討していきたい、そして、この特交についても算定方式というものをでき得る限り明示していきたい、このように考えます。
    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 普通交付税、交付税の算定台帳というのは、コピーがありますけれども、具体的にどういう算定方式に基づいて行われるのかわかりやすくなっています。それと同じような形とまではいかないのかもしれないけれども、何らかの形で、金額だけではなくて、それぞれの地方公共団体にしっかり示すことをお考えということでよろしいですね。

○増田国務大臣 これからどの程度のことができるか、今検討しているところでありますけれども、できるだけ透明性を高めるということで努力していきたいと思います。

○塩川委員 そこで、その内訳を明らかにする上でも、この間、特別交付税で措置する経費の算定項目自体がかなりふえているというふうに承知をしております。
 そこで伺いますが、この算定経費の算定項目が幾つになっているのか、その推移を、九七年度と〇六年度について、都道府県及び市町村ごとの数字ということで明らかにしていただけますか。

○久保政府参考人 お尋ねがございました特別交付税に関する省令、これで算定項目の数を定めておりますけれども、九七年度、平成九年度におきましては、都道府県分が百四十八項目、そして市町村分が二百二十八項目ございましたが、〇六年度、平成十八年度におきましては、都道府県分が百七十九項目、市町村分が二百七十項目となってございます。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、都道府県分が百四十八から百七十九というと、三十一項目ふえております。それから、市町村分が二百二十八項目から二百七十項目ということで、四十二項目ふえております。
 その上で、それぞれの、九七年度と〇六年度の特別交付税の総額はどうなっているでしょうか、お示しください。

○久保政府参考人 九七年度、平成九年度でございますけれども、特別交付税総額、一兆二百八十億三千百万円でございました。〇六年度、平成十八年度、これは九千五百四十五億三千九百万円でございます。
 御案内のように、特別交付税は交付税総額の六%でございますので、地方交付税、この間ずっと下がってきておりますので、金額も、特別交付税も下がっているということでございます。

○塩川委員 この十年間、算定項目はずっとふえ続ける。それぞれ、事情を勘案して項目そのものはつけ足していくわけですけれども、特別交付税の総額そのものは当然全体の六%に規定されますから、そういう金額でいえば、この十年間をとれば減るという形になっています。
 項目はふえても額の総額は減っているということになりますと、一項目当たりの措置が単純に言えば少なくなっているというようなことにもなるわけで、特別交付税で措置したといっても、本当に入っているのかなということを自治体当局の方は思わざるを得ないんじゃないでしょうか。
 例えば、今回の生活困窮者に対する灯油代の補助についての特別交付税の措置についても、実際、額として三月にもらった金額はわかるでしょうけれども、その中で、実際に灯油代補助相当のものが特別交付税でどの程度措置されたのかというのはなかなか見えてこないんじゃないでしょうか。
 ですから、本当に入っているのかどうかよくわからない、この問題についてはどのように自治体に対して示していくのか、その点についてお考えがあれば、ぜひお聞かせください。

○増田国務大臣 特交で措置したと言っているけれども、自治体の方での受け取り方が違うというようなことだと思うんですが、これはどうしても総額と関連してくるんですよね。総額と関連してまいりまして、実は、そういった特交措置が仮に当該団体にとってとられなかったとすれば、本当はもっと下がっていたはずなんですが、きちんと措置をした、だけれども全体の総額が減っているので、それを実感として受け取るということがなかなかない。しかし、厳密に言いますと、本当はもっと減額をされていたものが、減額が少し緩和された、そういうことなのかもしれません。
 今お話がございましたとおり、全体の六%を配分しているということでございますが、この特別交付税というのは、本当に突発的な財政需要が生じたときの最後の重要な財源手当てということになりますので、この制度自体をよく、いろいろな算定項目をふやしていくというのは、これはできるだけきめ細かくいろいろなものをすくい取ろうということでわかるんですが、その上で、やはり全体の交付税の額を適正に確保していく、一般財源総額をきちんと確保していく。来年度、まさにそれに向けて一歩踏み出したわけでございますが、そういうことと同時に、この特交の項目ということも吟味をしていきたいというふうに思います。

○塩川委員 冒頭で御答弁いただきましたけれども、特交で措置されたという額について、その金額がどうなったのかということについては、やはりきちんとした説明があってしかるべきですから、その説明責任を総務省としてきちっと果たすということが求められているわけです。その点で、やはりこの特別交付税の算定項目自体についても見直す必要があるんじゃないのか。
 これは古い数字で、関連する論文から拾ったものですけれども、一九八二年度の十二月分の特別交付税の算定対象項目数は、都道府県が三十項目で、市町村が三十九項目でした。それが、今では、十二月分だけとりますと、都道府県が九十一項目と三倍になり、市町村は百六十一項目と四倍にふえているわけです。ですから、算定項目自体はウナギ登りにふえてきているわけですね。
 ですから、算定項目がふえるに従って、長年積み上げてきているわけですから、特別な事情と言えない経費、本来普通交付税で措置した方がいいような経費も特交の中に入っているんじゃないのか。これまでも幾つか特交から普通交付税に移行した項目があるということも伺っておりますけれども、この際、現在、合わせれば数百項目に上る特交のそれぞれの算定項目について、きちんと精査をして普通交付税で措置すべきものは措置する、こういう対応というのが改めて必要だと思いますが、その点、伺わせてください。

○増田国務大臣 毎年毎年、特別の財政需要なのか、あるいはもう普遍化した一般的な財政需要かということについては、やはりきちんと吟味をしていきたい。
 これまでも、最近の例ですと、私が記憶している限り、BSEが発生したときは、そこの当該団体の方に特交で配付をしましたけれども、全国の団体でBSE対策ということでいろいろな検査等を取り入れましたので、これを普通交付税の算定項目の中に移行させて、それで財政需要をカウントする、こういったことがとられたかと思います。
 そのほか、いろいろ項目見直しは行ってきているというふうに思いますが、今お話ございましたとおり、そうした特交の項目でも、中身をよく吟味して、これはもう普遍的な一般的な財政需要としてとらえて構わない、そうすべきだと思うものについては、今後もよく見直しをしていきたい、このように考えます。

○塩川委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

地方交付税法等の一部を改正する法律案の反対討論
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 税収の見込み違いに伴う地方交付税の減額が補てんされるのは当然のことであります。問題は、どのような財源を充てられるかであります。
 政府提出法案では、国税の減収に伴う交付税の減額二千九百九十二億円は国の一般会計から補てんされるようになっていますが、この二千九百九十二億円は、一昨年の地方財政対策で後年度に先送りされた交付税総額への加算額六千二百五十一億円との間で将来精算されることになっております。したがって、減額分が国の一般会計から補てんされたように見えますが、実態は将来の交付税の先食い、地方への負担転嫁ともいうべきものであります。
 交付税法は、毎年度分の交付税総額の見積もりが総務大臣の権限と責任にあること、地方財政計画の策定等が内閣の義務であること等を規定することによって、すべての自治体が、法令に義務づけられた事務事業その他地域住民の福祉を増進するための行政が全国的に一定の水準で実施できるよう、その財源保障を国の責任としております。こうした法の趣旨からすれば、地方財政計画で年度当初見込んだ交付税の総額を確保することは国の責任に属することであり、政府案はこうした法の趣旨に反するものであります。
 また、交付税特別会計借入金の償還繰り延べは、計画そのものが昨年つくり直されたばかりだということを考えれば、その計画が最初からつまずく事態になったことについて、財政見通しがどうだったのか、見通しの甘さが問われなければなりません。同時に、安易な計画変更は、交付税特別会計の借入金を縮減することについての総務省の熱意が那辺にあるか、疑問さえ生じるのであります。
 最後に、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党三会派共同提出の修正案は、相次ぐ交付税総額の削減のもと、厳しい財政運営を強いられている地方自治体の当座の財源確保の一つの方法であり、起債の上限も税収減に限定されていることから、賛成できるものであることを表明して討論を終わります。