<第169回国会 2008年1月30日 総務委員会 第2号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 今回の与党提出のいわゆるつなぎ法案、セーフティーネット法案、全くけしからぬ話であります。
 きのう、七時半まで地方交付税法案の議論を行いました。賛成、反対の議論はあったとしても、しかし、きちんとした議論を尽くして終わったと思ったのに、その後に、夜中の十時になって理事懇をセットするだとか新たな日程協議をしたいとか、とんでもないことじゃありませんか。その中で、実際に与党だけで理事懇を開いて日程を決めたというのが深夜零時を回ってから。こんな民主主義を踏み破るような委員会の運営そのものが問われているんじゃないでしょうか。
 本来であれば、こういった重要な法案について、やるのであればきちんとした審議をしなければいけないのに、なぜきょうごり押しをしようとするのか。本来、重要な歳入法案など、国民の声を聞く、公聴会を行う、参考人質疑を行う、当たり前のことじゃありませんか。そういったきちんとした手続もなさず、なぜきょうごり押しするのか。全く納得がいかない。道理、筋が通らない。その点について改めてただしたい。いかがでしょうか。

○石田(真)議員 お答えいたします。
 先ほど逢坂議員にもお答えをさせていただいたわけですけれども、我々が提出させていただいている今回のこの法案は、国民の生活の混乱を回避するために二カ月延長をお願いしたいということでございます。これは、与党といたしましていろいろな場合を勘案する中で、その準備をしたい、いわゆる国民生活に混乱を起こさないためのセーフティーネットを張っておくということでありまして、法案自体の議論、道路特定財源初め暫定税率の議論の中に踏み込む法案ではございませんので、御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 混乱を招いているのは与党の方ですよ。なぜきょうなのか、なぜきょう採決をごり押しするのかということで一点答えてください。

○葉梨議員 国民の生活に予算というのは大変密接にかかわってまいりますし、また、その裏打ちとなる歳入関係の法案というのも大変密接にかかわってまいります。先ほど申し上げましたように、やはり予算の審議それから地方税法等の審議、この本則の審議が始まる前に、私どもは、十分な審議を確保できることが担保できる、そういう意思をこの委員会としても、あるいは衆議院としても示すことが必要なんじゃないか、そういうような思いでこの議員立法を本則の審議が始まる前に提案させていただいたわけです。
 ただ、もちろん、いろいろな与野党協議の中で、先ほど申し上げました、予算と歳入関連法案一体として議了になりますよ、それで、分けるとしたら、議員立法だったら分けてもいいですよ、それからさらには、修正についても、合意できる点については応じてまいりましょう、そういったことの合意ができなかったんです。できなかったから、予算審議あるいは地方税法の審議の前にこの法律を出して、やはり我々としては、十分な審議時間を尽くしながら国民生活の混乱を回避していきたい、そういう思いを国民に対しても示していきたいということで、きょう審議をお願いしているというわけでございます。

○塩川委員 答えていませんよ。
 大体、審議をしっかり求めるというのは野党の側からそもそも要求したんじゃないでしょうか。きょうの九時の書記局長・幹事長会談の中でも、野党側からは徹底審議、公聴会や参考人質疑など徹底審議を行った上で期限内に一定の結論を出すよう双方が努力をする、こういう立場で議長にもその点で物を言い、協議を行った。それに対して、三月三十一日までの議決の確約をあくまで要求するという棒をのんだような対応を与党の方がとったことが一番の問題じゃありませんか。そのことの反省なしにまともな議論はできない。
 大体、今回のつなぎ法案そのものだって、十分な審議が必要なのに、与党だけで勝手に箱を決めて、一時間の審議で終わりにするかのようなやり方自身が問われるんじゃないでしょうか。
 一月三十一日までに衆議院を通過させれば、この法案を参議院で三月三十一日までに成立させられない場合は、衆議院通過から六十日間を経た三月三十一日に、衆議院で三分の二の多数で、参院否決のみなし議決を行い、三分の二で再可決をし、成立をさせるシナリオというのが前提にあるから、あくまでもきょうにこだわるわけじゃありませんか。違いますか。

○葉梨議員 先ほど申し上げましたとおり、本則について審議が始まる前にということでお願いを申し上げております。その憲法の五十九条でございますか、そういう条項があるというのは承知しておりますけれども、私どもとしては、ぜひとも皆さんの賛同をいただきたいというふうに思っています。

○塩川委員 与党の要求にあるように三月三十一日までの議決の確約、それを法案として出してきたのがこのつなぎ法案ということじゃないですか。自分たちの方で勝手に土俵を決めるようなやり方、それ自身が議会制民主主義を踏み破っているんだ、そのことがまさに問われているんじゃないでしょうか。
 その上で、なぜ六十日間の延長なのか、なぜ六十日間という期間なのか、お答えください。

○葉梨議員 六十日とするか九十日とするかというのはいろいろな判断があるわけでございますけれども、おおむね二月間程度あればやはり十分な審議の時間が確保できるということで、五月の三十一日というふうにさせていただいております。

○塩川委員 我々は同意するものではありませんけれども、与党が言うように混乱を回避するというのであれば、違う日程の持ち方もあり得るんじゃないですか。なぜ二カ月なのか、もう一回お答えください。

○葉梨議員 この二月と申しますのは、塩川先生、五十九条が六十日だからということで六十日ということではないということをまず申し上げておきます。
 それで、ここの部分ですけれども、あくまで二月であって、決して十年延長ということを前提にしている議論では全くないということもまた申し上げておきたいと思います。
 そして、この六十日の延長というのは、議了された段階でこの法案というのは消えていくわけです。本則が議了された段階で消えていく。ですから、この本則が、消えるというのにどれぐらいの十分な時間が必要かということで、六十日ということを提案させていただいているということでございます。

○塩川委員 つなぎ法案を通せば、本体の法案が衆議院で三月末までに通れば、つなぎの切れる五月末まで六十日間確保できれば、この租特の法案の参議院での採決の有無とか法案の可否にかかわらず、衆議院で三分の二の多数で再可決、成立するという次のシナリオが待っているからじゃありませんか。六十日の第一のシナリオ、次の六十日のシナリオ、この二つのシナリオを仕上げるためのつなぎ法案そのものじゃありませんか。
 政府・与党は、何があっても十年間道路特定財源確保を実現する担保をとった上で、十分な審議をしてください、大いにやってください、そういう話じゃありませんか。十年間の確保のために舞台をつくるような、二つのシナリオを設けるような、こんなつなぎ法案は認められない、これこそ国民の声じゃないでしょうか。
 大体、これまで五年間の延長期間をなぜ十年なのか、こういう問題についても、今回の議論について、もしここで出すのであれば、まともな説明があってしかるべきじゃありませんか。国民の中では、こういう重要な法案、賛否いろいろあるでしょう。大いに議論をして、その議論を尽くして国民の皆さん自身が判断したいと思っているんじゃありませんか。であれば、きょうで採決をするようなことなどまさにとんでもない。大いに国民的な議論の場をつくって、国会で一年もかけて十分な議論を行えばいいじゃありませんか。そういった議論を尽くす中で、国民の声にこたえるという、そういった中身が出てくるんじゃないでしょうか。
 ぜひお聞きしたい。例えば暫定五年を十年に延長する、こういうやり方、十年間で五十九兆円を注ぎ込む、これを前提にした本体を救済するためのつなぎ法案について、なぜ五年を十年、こういうことについて見直しをする、そういうお考えはありませんか。五十九兆円を見直しする、そういう考えはありませんか。

○土屋(正)議員 塩川先生からお話がありました件は、閣法の中で御議論をいただくもの、このように考えております。

○塩川委員 ここで入り口で大きく問題になっているように、なぜ与党はそこまでしてこういうことに固執をするのか。五年を十年にし、五十九兆円を確保する、こういうやり方そのものになぜしがみつくのかということが問われているんじゃないですか。だとすれば、この法案を出す提出者の皆さんに、その理由について明確に答えてもらうことが求められているんじゃありませんか。なぜ五年を十年にするのか、与党の立場の皆さん、はっきりお答えください。

○土屋(正)議員 先ほど答弁申し上げましたように、五年とするか十年とするか、我々与党は十年という案を出しておりますが、共産党の皆さんがどうお考えになるかは閣法の論議の中で御議論をいただくことで現在提出しているところであります。

○渡辺委員長 塩川君、質疑時間を終了しておりますので、終局をお願いします。

○塩川委員 閣法の前にあなたたちがこういう土俵を広げるような話をするから、そういったことについてこの場できちんとただすということが必要じゃないですか。当たり前のことだ。なぜ答えられないのか。もう一回答えてください。

○石田(真)議員 塩川議員にお答えをさせていただきます。
 今答弁させていただいたように、その議論は閣法の中でやっていただくということでありまして、先ほども答弁申し上げましたけれども、きょうの新聞に載っておりますように、昨日の与野党の協議の中でも、国会審議を通し、税法及びこの議員立法について合意が得られたものについては、与党としても、立法府として修正に応ずるということを言っておりますので、どうかこれからも十分な議論をしていただきたいというふうに思います。

○渡辺委員長 塩川君、時間が来ておりますので、終了してください。

○塩川委員 野党は、議長に対しても、公聴会や参考人質疑を含む徹底した審議を行った上で、期限内に一定の結論を出すよう双方が努力をする、こういう提案を行っているわけですよ。そんなときに勝手に土俵を変えるようなつなぎ法案を出すこと自身が、与党がごり押しすることをみずから明らかにしているようなものじゃありませんか。これでは国民が納得をできないということですよ。
 五年を十年に延ばすということ一つとっても、まさに入り口でこういうごり押しをやるということについて、我々は反対だったけれども、少なくとも議論を行うこういう場を設けたのに、なぜまともに答えようとしないのか。審議拒否を行うのはあなたたちの方じゃないか。けしからぬ。とんでもない。
 今、つなぎ法案の問題を見ても、つなぎ法案を通すことによって、この道路特定財源法案、国会でどのような審議をしてももう結論は決まったというようなことをみずから言っているようなものだ。

○渡辺委員長 塩川君、申し合わせの時間が終了しております。質疑を終了していただきます。

○塩川委員 道路特定財源に係る審議そのものを無意味なものにしてしまう。二カ月間のつなぎ法案を通せば、十年間もの暫定税率、道路特定財源を確保するもの、こんな歴史上かつてない暴挙は許されません。議論など、さまざまな論点がありながら、今でさえまともに答えようとしない、こういうやり方を許していたら国民の信頼を得られないのは明らかだ。与党の無法を厳しく抗議をして、この法案は撤回をする、このことを強く要求して、質問を終わります。