○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 大臣所信に対する質疑ということで、まず、地方財政の現状について、総務省、総務大臣の認識について二、三お伺いをしたいと思っております。 財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が昨年六月の建議で「平成二十年度予算編成の基本的考え方について」を出されていますが、その中で、「地方財政の現状は、交付税特別会計の新規借入金を停止し、国負担分借入金を一般会計承継した一九八四年度と同様である。」との認識を示していますが、この点は、総務省、総務大臣、同様の認識なのか、お伺いします。 |
○塩川委員 今の方がはるかに悪化をしている、財政制度等審議会の認識との大きな違いがあるというのは、当然のことながら、地方を担う立場からの現状認識だろうと思っております。 八四年度といえば、地方財政に財源不足が生じた場合に、これまでの交付税特別会計での借入金で補てんする方法をやめて、交付税交付金の特例措置で補てんする方法に変更した年ですけれども、そういう点で、今回の地方財政対策において特別交付金の二千億円というのがありますが、これは、この八四年度で言っている交付税の特別措置とそもそも性格が違うものだと思うんですが、その点を確認させてください。 |
○塩川委員 重ねて伺いますが、財政制度等審議会の建議には、「当面は、地方税収の増加に伴い、地方財政の状況が引き続き改善することが見込まれる。」とありますけれども、こういう認識については、増田大臣はいかがでしょうか。 |
○塩川委員 昨年の六月の財政制度等審議会の認識というか考え方というのが、自治体間の財政力格差の是正の方法というのを、地方交付税を通じた国から地方への垂直的な調整によって行う、こういうやり方というのを、自治体間の水平的な財政調整、こういう方法に転換しようとするものを目指すものじゃないのか、そういう立場での現状認識というのが財政制度等審議会の建議にあらわれているんだろうと思っております。 そういう点でも、今、総務大臣、総務省の現状認識を伺いました。そういう中身を踏まえて、今後の法案審議の中で、この点を踏まえた議論を進めていきたいと思っています。 次に、運輸事業振興助成交付金に関連して質問をいたします。 自治事務次官名で昭和五十一年に、運輸事業振興助成交付金の交付についてという通達が各都道府県知事あてに出されております。この運輸事業振興助成交付金制度の設立の趣旨とその内容について説明をいただきたいと思います。 |
○塩川委員 地方の公益団体に対する補助金について自治省から通達が出ている、その場合に具体的な補助金の額についての算定根拠を示しているわけですけれども、昭和五十一年に導入をした、つまり、この制度というのは軽油引取税の暫定税率導入とともにスタートしたということになります。 そこで、昭和五十一年に導入したときのこの交付金の総額はどのような理由で定められたのかをお示しください。 |
○塩川委員 負担増の二分の一に相当する額ということで百億円というのを枠としてつくったわけですね。その後、国の補助金の一律一割カットなどのときに若干計数を変えましたけれども、昭和六十三年以降に交付金の算定基準を変更したわけです。 昭和六十三年以降の交付金の総額はどのように算定しているのか、総額の目安はどういうふうにしているのか、その点についてお答えください。 |
○塩川委員 ですから、国が地方公共団体の公益法人に対する補助金の額の総額を二百億円となるように調整するという形での算定基準を示してきているわけです。 そこで、大臣にお伺いしますけれども、地方税に関係をして、公益法人に対して一定の算定基準を示して補助金を出すように地方公共団体に通知をしているような事例というのは、この運輸事業振興助成交付金事業以外にあるんでしょうか。 |
○塩川委員 ですから、国が地方公共団体に対し、この団体に補助金を出しましょうねと自治省が、そういう通達、通知というのはほかには出していないんですよね。だから、極めて特異、異例な制度ということが言えると思います。 ですから、大臣に重ねて伺いますが、地方の補助金であるにもかかわらず国がその総額の枠づけをしている、しかも自治省が、いわば所管外の業界団体、公益法人への補助金について通達を出している、これは極めておかしいんじゃないかと思いますが、大臣のお考えはいかがですか。 |
○塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、それぞれの公益法人はそれぞれの都道府県に対応してあるわけです。その公益法人に対してその都道府県が補助金を出すということについて、何で国がその総額まで決める必要があるのか、そもそも今の時代に合わないんじゃないのか、そこを聞いているんですけれども、改めて、いかがですか。 |
○塩川委員 枠組みの問題を議論しているわけで、大臣所信でも、地方の自由度の拡大、あるいは地方に対する枠づけの大幅な見直しということを表明されておられるわけです。ですから、地方の自主的な財源の使い方に国が口を挟むような制度については、これは必要な見直しを行うべきだ。改めてお聞きしたい。 |
○塩川委員 おかしいと思うのは、この昭和五十一年の自治事務次官名の通達において交付金の対象事業も示されているわけですが、その中には、地方のバスやトラックの事業者から全国組織の公益法人に対する出捐、お金を出すということをわざわざ挙げているわけですけれども、例えばトラック協会の場合でいえば全日本トラック協会になるわけですけれども、その全日本トラック協会に、事務局の役員の中に役所からの天下りがあるという問題が出てまいります。 そこで、国交省の御担当の松島副大臣にお伺いいたしますが、現在の全ト協におきまして、理事長、専務理事、常務理事ポスト、七人ぐらいだと思いますけれども、そのうち中央官庁からOBの方がどこのポストに何人いるのか、省庁別にお示しいただけますか。 |
○塩川委員 事務局の役員のポスト七人中五人が天下りということで、事務局の中枢に官庁OBの方がいらっしゃるわけですが、暫定税率の導入が昭和五十一年です。この理事長職に旧運輸省からの天下りが始まった、旧運輸省から天下りで理事長につき始めたのが昭和の五十年です。つまり、暫定税率と前後をして、それ以降ずっと理事長職は旧運輸省。若干おくれますけれども、専務理事についても二代にわたって旧運輸省ということになっておりますし、常務理事五つのポストのうちの三つが旧運輸省と警察庁とそれから旧自治省ということになっております。 これはやはり、襟を正す上でも見直しが必要じゃないかと率直に思うんですが、松島副大臣、いかがでしょうか。 |
○塩川委員 三つの役所ということで、私は天下りそのものは問題があると思っておりますけれども、そういう専門家の方などを受け入れるという点で、例えば旧運輸省の方というのは事情もあるでしょう、警察庁の方も何らかの御縁もあるんでしょう。旧自治省というのはどういう御縁があるんでしょうか。それを一言答えていただけますか。 |
○塩川委員 そこで、天下りの方の一覧表をいただいたんですけれども、常務理事ポストの一つが自治省の方になっております。それは、現在いるということだけではなくて、八代にわたって旧自治省の方が常務理事職についている。いつからついているかというと、暫定税率の導入が昭和の五十一年であります。旧自治省の天下りが始まったのが昭和の五十二年であります。暫定税率の導入で今紹介したような制度ができたのを機に始まっている。 ですから、国が、地方の補助金について総枠を決めるという通達を、事務次官名で所管外の公益法人への補助金ということで出すわけですね。そういう中身というのは、これはあり方としてゆがんでいるんじゃないでしょうか。増田大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 担当の大臣がにわかに事情としてはよくわからないと言われるぐらい縁がないような関係にあるわけですね。(発言する者あり)今ありましたけれども、縁があってというところもさらに癒着を生むわけですから問題ですけれども、そういう点の枠組み自身が本当に不可思議なわけです。 先ほど言いましたように、昭和五十一年に、暫定税率導入に合わせて運輸事業の振興助成交付金というのがスタートをするわけですけれども、その時期に合わせてこの天下りのポストが持たれた。これは、まさにみずからが補助金を確保したという実績を持って天下ってきているんじゃないのかと疑われても仕方がありません。 そういう関係について、襟を正すという点でも、旧自治省、総務省からもう行かないということを示すことが国民の信頼を得る一番の道じゃないでしょうか。大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 そういう御指摘もありますし、きっぱりこれを断ち切ることが国民の不信を払拭する一番の道だということを申し上げたい。 ですから、今の現状というのは、天下りの指定席をつくるためのものじゃないのか、こういうことを疑わざるを得ないわけで、暫定税率の維持は天下りのポストを確保するためだ、こういうことを言われても仕方がないということが問われてまいります。 加えて、政治献金の問題があります。 これは毎日新聞も指摘をしておりますが、私の調査でも、〇六年には、全ト協副会長が代表を務める政治団体、道路運送経営研究会にはパーティー名目で兵庫県トラック協会から四百五十万、北海道トラック協会から百四十七万の資金が寄せられて、その道路運送経営研究会から、自民党の政治団体、国民政治協会に、五百万円の寄附も支払われているわけです。 ですから、税金が投入をされている公益法人からの政治資金提供というのは、これはもうきっぱりとやめると言うことこそ、国民の不信を解消する道だ。その点について、政治資金を所管される増田大臣と、この公益法人所管の松島副大臣にお答えいただきたいと思います。 |
○塩川委員 役員がつくる政治団体から行っているわけですから、そういう点でやはり疑念というのは抱かれるわけで、これはきっぱりとやめると、自民党の政治家としてもお答えいただきたかったというのを率直に申し上げて、この問題についても天下りをきっぱりとやめるということと、政治献金についてはもうきっぱりとなくすという上で、道路特定財源の一般財源化、暫定税率はなくすということが国民の声にこたえるものだということを述べて、質問を終わります。 |