<第169回国会 2008年2月22日 総務委員会 第6号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、まず住民税の住宅ローン控除の問題について、何点か確認で質問させていただきます。
 税源移譲に伴って、所得税から住宅ローン控除、引き切れない人は住民税から控除されることになります。こういう「申告をお忘れなく!」という、総務省、全国地方税務協議会で出されているもので周知徹底なども図られておるところだと思います。
 まずお聞きしますが、住宅ローン控除の対象となる方がどのくらいいらっしゃって、そのうち、控除額を所得税で引き切れなくて住民税で控除される対象者の方はどのくらいいらっしゃるのか、お答えください。

○河野政府参考人 お答えをいたします。
 今年度実施されております税源移譲に伴いまして、所得税から引き切れないローン控除につきまして、住民税から控除する制度を設けておるところでございます。
 所得税における住宅ローン控除の適用者数でございますけれども、おおむね五百万人程度と聞いているところでございます。このうち、今回の措置の対象となる、すなわち所得税で引き切れなくて個人住民税における住宅ローン控除の適用対象となる方につきましては、こういった数字をもとに、おおむね三百万人程度というふうに見込んでいるところでございます。

○塩川委員 三百万人の方がいらっしゃるということでは、大変大きな数だと思います。
 そこで、重ねてお聞きしますが、控除対象者が税源移譲のこともよく御存じない、住民税から控除されるということも知らない、あるいは忘れているということも当然あるわけですから、この三百万人の住民税控除対象者の方への周知徹底はどのようにされるのか、その点についてお答えください。

○河野政府参考人 この住民税における住宅ローン控除、適用を受けますためには申告が必要でございます。この措置につきましては、特に多額の住宅ローンを抱えておられる方の税負担に直接かかわることでございますので、国と地方団体、よく連携をいたしまして、措置の対象になる方が漏れなく申告いただけますように十分な周知、広報を図ることが大変重要でございます。
 こういう観点から、まず、総務省等国におきましては、テレビ、ラジオ、あるいは新聞、雑誌といった広告媒体を活用いたしまして、政府広報によって広く周知を図るように努めているところでございますし、それから、地方公共団体にも積極的に周知、広報に取り組むようにお願いをしているところでございます。
 地方団体におきましては、広報誌あるいはホームページなどを活用した広報等に取り組んでいただいているところでございますし、先ほどもお話ございましたが、リーフレットの配布でございますとかポスターの掲示、こういったことに取り組んでいただいているところでございます。
 今後におきましても、よく地方団体と連携を図りまして、しっかりと周知、広報を図っていきたいと思っております。

○塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、この住宅ローン控除、住民税から控除する手続の申告の一応の期限というのはいつになっているのかという点が一点と、あわせて、やはりホームページですとか広報誌を見ても、ほとんど見ない方が実際だと思うんですね。ですから、やはり対象となるような方にお知らせを送付する、個々の方にそういう、あなたは対象となり得る可能性がありますというお知らせをするような市区町村なんかもあるのかなと思っておるのですけれども、その辺の地方公共団体での取り組みの状況、個々にお知らせをお届けする、そういう状況などについて把握をしておられたら教えてください。

○河野政府参考人 お答えします。
 まず、申告の期限でございますけれども、所得税の申告期限と同じでございます。毎年三月十五日までに申告いただくことが必要でございます。ことしの場合は、三月十五日が土曜日、十六日が日曜日でございますので、十七日までに申告いただくということでございます。
 なお、今回の改正案におきまして、納税通知書が送達された後に申告書が提出された場合におきましても、市町村長がやむを得ない理由があると認める場合には、この住宅ローン控除が適用できるようにするといった改正も織り込ませていただいているところでございます。
 それから、市町村における取り組みでございますけれども、先ほど申し上げましたように、広報誌でありますとかホームページ等を使った周知、広報に取り組んでいただいているところでございますけれども、お話ございましたように、今年度の税源移譲がほぼすべての方が対象になるというのと違いまして、こういった住宅ローンを抱えておられる方が特に対象となるわけでございますので、そういう方が把握できる場合、これは給与支払報告書にそういった記載があること等によって把握が可能でございますので、そういったものにつきましては、市町村に対しまして、対象者に対して直接リーフレットを送るような取り組みも行っていただきたいということを私どもの方からお願いをいたしておりまして、かなりの市町村でそういった取り組みをしていただいているところでございます。

○塩川委員 幾つかの市にお聞きしたのですけれども、例えば埼玉県内のある市では、データを全部コンピューターに入れて、それで、ことしの場合は三月十七日に間に合うようにということで、一月中にはその対象となる方にお知らせを送付したそうです。
 それが、また違う別な市にお聞きしますと、市の広報やホームページでの周知徹底はされておられるわけですが、今、給与支払報告書からデータを抽出中で、お知らせを送るつもりでいるんだけれども、その時期は四月になるでしょうねという話なんですね。ですから、三月の十七日にはとても間に合わない、それを過ぎてから。まあ、担当の方も、納税通知書が届くまでに申告してもらえばよいのでということで、でも通年で申告の受け付けをやるようかな、こんなことをおっしゃっておられたようですけれども、これでは控除対象者の方も困るものですから、こういった実際の周知徹底の状況がどうなっているのかについて、大臣、実情について、市区町村について一声かけていただく、そういう実情の把握について、個々の対象の方にリーフレットやお知らせなどを送るという取り組みはどうかということについて聞いていただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○河野政府参考人 調査というちょっと実務的なことでございますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、私どもの方から、いろいろな媒体等を通じて周知、広報を図っていただきたい、さらには、直接リーフレット送付が可能な方には送付を行っていただきたいということをお願いしているところでございまして、具体的にこうしたポスターの掲示でございますとかリーフレットの配布、あるいは個別の納税義務者への周知等につきましてどういった実施状況にあるかということにつきましては、一月末現在で調査をいたしておるところでございます。
 こういったポスターの掲示、あるいはリーフレットの配布、これは大多数の団体でいろいろな形で取り組みをいただいているところでございますけれども、特に対象となり得る方への個別周知の状況につきましても、大体千を超える団体におきまして取り組んでいただいているという結果が把握できております。
 さらに、今後におきましても、しっかりと周知、広報を図っていただきますように要請をしてまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 個別の周知徹底について、まだやっておられないような市区町村もあるようですから、そういう点についても一声かけていただくのをぜひお願いしたいと思っております。これは国の施策ですから、市区町村の方が悪いわけではないので、そういう点でも国の責任をきちっと果たしていただきたいと思っているわけです。
 その上で、所得税の場合には、一度申告をすればこの住宅ローン控除が継続されますけれども、住民税の場合には毎年申告が必要で、やった方は、面倒くさいと。この負担軽減策がとれないかというのが実際の対象の方の声であります。
 その点が一つと、あと、申告を忘れた場合に、翌年度にも申告すれば控除ができると承知をしておりますけれども、そういうことについても確認で答弁いただきたいと思いますし、その趣旨も徹底するということもあわせてお願いしたいと思っておりますが、その点いかがでしょうか。

○河野政府参考人 まず、申告についてでございます。
 この制度につきましては、対象になる方は、毎年度市町村に申告していただくということが必要なわけでございまして、そういう意味では御負担をおかけすることになるわけでございます。
 ただ、これはどういう理由でこういうことにしておるかといいますと、市町村が個人住民税を減額する、住宅ローン控除を適用するということを決めますためにはいろいろな情報が必要でございまして、一つには、当然、所得税における住宅ローンの控除可能額そのものがどうか、それから、住宅ローン控除の適用前の所得税額が幾らになっているか、さらに、税源移譲に伴って所得税から引き切れない部分を住民税から引くということでございまして、税源移譲前の税率を適用して算出された税額、こういった情報をちゃんと把握する必要があるわけでございます。
 これらの情報につきましては、納税義務者の所得が当然変動いたしますので毎年変動してまいりますこと、それから、住民税の特性といたしまして、住所の異動がございますと課税団体も変わってまいります。そうした前提で市町村が漏れなくこうした、先ほど申し上げましたような情報を把握していくということは非常に困難でございますので、ちゃんと対象になる方がきちんと措置を受けられるということにいたしますためには、どうしても住所地の市町村に申告をいただくということが必要なわけでございます。
 そうした意味では、納税者に御負担をおかけするわけでございますけれども、納税者の便宜も考慮いたしまして、納税義務者が所得税の確定申告を行います場合には、税務署を経由して申告書を提出いただければいい、こういう形にしているところでございます。
 それからもう一つ、申告を忘れた人は翌年度、翌年でもいいのか、こういうお話がございました。先ほどちょっと申し上げましたところでありますけれども、この申告につきましては、原則三月十五日までということになっているわけでございます。
 ただ、この個人住民税における住宅ローン控除といいますのは、税源移譲によって負担増が生じないようにしよう、こういう措置でございます。そういう趣旨で、できるだけ救済できるようにといいますか、いろいろな事情で申告ができない場合というのは当然考えられるわけでございますので、今回の地方税法の改正案におきまして、納税通知書が送達された後に申告書が提出された場合におきましても、市町村長がやむを得ない理由があると認めるときにつきましては適用できるように改正を行うように提案させていただいているところでございます。
 この措置につきましては特に期限というものを設けておりませんので、そういったやむを得ない事情があると認められるときにつきましては、仮に翌年に申告された場合であっても控除を適用することが可能ということになるわけでございます。

○塩川委員 この問題で最後に大臣に一言御答弁いただきたいのですが、やはり国の施策として変更がされたわけで、住宅ローン控除を受けている方にきちんと周知徹底をする、そういう点で、個々の方にやはり届くということがその人の注意喚起の一番の力ですから、市区町村の方に押しつけるということではなくて、何よりも、その対象となる方にきちんとそういった旨が伝わるように取り組むという点で、国としてふさわしい取り組みを果たしていただきたいと思うのですが、その点についての大臣のお立場をお伺いします。

○増田国務大臣 今回のことでありますけれども、なおまだ国民の皆様方にそうした手続の必要性等が十分伝わっていないということがございます。御指摘のとおりかと思いますので、市町村の方も含めて、総力を挙げてそうした皆さん方への注意喚起といいましょうか、そういうことについて御認識いただけるようにしていきたい。
 三月の十七日までということになってございますけれども、やはりホームページ等の話では、委員がお話がございましたとおり不十分でございますので、個々の皆さん方にそうしたことがきちんと届けられるようなことを、市町村のそれぞれの工夫にあと何を工夫すればいいのかということもこちらでよく考えて、やはり一番は身近な市町村から何か工夫をしてお伝えいただくことが一番いいかと思っております。
 よくそうした他の市町村での取り組みなどもほかの市町村にも伝えるなりして、そして国民の皆様方に周知徹底されるように、私どもも全力を尽くしたいというふうに思います。

○塩川委員 次に、地方法人特別税について質問いたします。
 地方法人特別税は、地域間の格差、都市と地方の格差拡大を防ぐということで、法人事業税の税収の二分の一、約二・六兆円を国税化するものであります。そこで伺いますが、地域間の財政力の格差是正といいますけれども、法人事業税の税収格差というのは最近は縮小傾向ではないかなと思うんですが、どうでしょうか。

○河野政府参考人 地方税の中にいろいろな税目があるわけでございますけれども、その中で、法人関係税、法人事業税それから法人住民税につきましては、地域の経済活動の差というものを反映いたしまして、地域間の差がかなり大きい税目であるわけでございます。
 そこで、この税収格差の状況がどうなっているのかということでございます。いろいろな見方はあろうかと思いますが、各都道府県ごとに人口一人当たりの法人事業税の税収額というものにつきまして、最大、最小の比率といったもので比較を私どもしておるわけでございます。ここ十年ぐらいの推移、具体的には平成九年度以降、十八年度まで実績が出ておりますけれども、こういったもので最大、最小の比率を見ますと、大体五倍から七倍ぐらいの間で推移しておりまして、上がったり下がったり、若干変動しているという状況にございまして、こういう指標で見まして、偏在度が拡大している傾向ということには必ずしもないものというふうに見ております。
 ただ一方で、都道府県におきます法人事業税の税収の規模は、ちょっと超過課税分は除いて申し上げますけれども、平成十四年度には三・四兆円まで減少しておったわけでありますけれども、その後急速に回復をいたしておりまして、平成十八年度には約五・二兆円というふうになっております。
 こういうふうに、もともとこの偏在度の状況は多少変動はいたしますけれども、税目として地域間の偏在が大きい税目でございまして、この税収規模が非常に大きくなってきているということで、地域間の税収の差が広がってきている、こういう状況にあるというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 この十年の経緯ということで、数字、五とか七とかというお話がされました。
 それで、ちょっとお聞きしたいんです。
 確かに税収の規模が法人事業税は伸びてきているという中での絶対額としての差の話もされましたけれども、そうしますと、この十年間で法人事業税収がボトムだったのは、平成十四年なわけですね。平成十四年度がボトムなんですけれども、その平成十四年度の人口一人当たりの倍率が幾つか、平成十八年の倍率が幾つか、その部分をとって紹介してもらえますか。

○河野政府参考人 都道府県の人口一人当たりの税収の額で比較した最大、最小の比率でございますけれども、お尋ねにございました平成十四年度におきましては、七・三倍となっております。それから、平成十八年度におきましては、五・九倍という数字になっております。

○塩川委員 人口一人当たりで見た偏在については拡大傾向にはないとおっしゃったわけですけれども、今のように、税収がボトムなところから大きく伸びている。この数年間を見ると、はっきりと縮小傾向にあるというのがこの法人事業税の実態じゃないでしょうか。
 ですから、私は、地方の、地域間の格差の是正という際にこの法人事業税の話をされるんですけれども、実態はそうじゃないんじゃないのかなというふうに思うわけですね。問われているのは、やはり本来そういった地域間の財政力の格差を是正する、財政調整機能を持つ地方交付税が問われているんだと思います。
 その点で、ちょうど「地方税」という雑誌の一月号に、「平成二十年度地方税制改正と今後の課題」という総務省自治税務局長の論文があります。そこで見ましても、「財政の健全性回復に向けた歳出削減の継続により地方交付税総額が抑制され、地域間の財政力格差が拡大する傾向」にあると局長自身が書かれているわけですね。
 つまり、地方交付税が抑制をされることによって、そのことが財政調整機能を弱めて地域間の財政力格差は拡大をしているということですから、この地域間の財政力格差の拡大は、交付税の大幅削減によって、財政力の弱い自治体、人口の少ない自治体ほど一般歳出の削減額が大きくなったことによるものなんじゃないでしょうか。改めて、どうですか。

○河野政府参考人 まず一つは、偏在度の推移でございます。
 むしろ縮小傾向にあるというお話がちょっとございましたけれども、平成九年度以降の推移を申し上げますと、平成九年度は五・四倍であったわけですけれども、一たん平成十一年度には四・八倍まで縮小し、これが平成十三年度、十四年度には七・三倍に数値が上がり、平成十五年度は五・六に下がり、また平成十六年度には七・〇に上がって、その後、十七、十八と五・九倍まで下がってきている、こういう状況でございますので、必ずしも一貫した傾向にはないわけでございます。
 先ほども、年度によって拡大したり縮小しているというふうに申し上げたわけでございますけれども、比率そのものは多少こうやって変動いたしますけれども、ほかの税目と比べますと、法人二税、法人事業税等につきましては、非常に地域間の偏在の大きい税目でございまして、それが、先ほど申し上げましたように、税収の規模が非常に拡大してきているということで、地域間の税収の差が広がっているということでございます。
 先ほど私の拙文をちょっと御紹介いただきましたけれども、お読みいただいたところの前にそういった地方税の偏在の状況について書いておるわけでございまして、それとくっつけて交付税の話をした上で、両方の要素から、私は、財政力の格差が拡大している、こういうふうに書いたつもりでございます。
 交付税を加えましたのは、特に、税収が増加いたしますと、不交付団体につきましては、これは交付税の影響を受けませんので、そういう意味で、一方的に税収のふえた分だけが結果としてあらわれるわけでございます。それから、地方交付税につきましては、一定の歳出抑制をしながら総額を決定している中で、近年減少傾向にあるわけでございますから、不交付団体については税収、一般財源の額が増加する一方で、交付団体については、税、交付税を合わせて必ずしもそういう姿になっておらないわけでございます。
 そういった両方の要素を勘案して、財政力の格差が生じている、こういったことを書いたつもりでございまして、交付税がその原因であるということだけを書いたわけではございません。

○塩川委員 大臣に伺います。
 全国知事会でも、この交付税の削減というのが地域間の財政力格差を拡大する要因になっているという指摘もしておるわけです。ですから、本来地方の財政調整機能を果たすべき地方交付税が、地域間の財政力格差を縮小するどころか拡大するような役割を果たしているというのは、これは問題だという認識はお持ちですか。

○増田国務大臣 やはり交付税の大事な機能というのは、それぞれの団体の財政力のばらつき、そして今お話あったような、こういう偏在を是正する、財政を調整していくという大事な機能がございますので、これも私どもは十分注意をして財政運営をしていかなければならない。ですから、それに対して、このところやはり急激な交付税の減ということが各自治体に影響を与えてきた、このことは申し上げてきたものでございます。
 それからあともう一つ、法人二税の税収がふえていく中で、やはり偏在の是正ということもどうしても見逃せない要素でございますので、これも今回手をつけた。
 例えば、税の偏在是正だけでこうした問題を全部解決、もとより解決できるようなものではございませんし、一方で、交付税の問題につきましても、今回、私どもの方でいろいろ工夫をして増額をさせていただいたということでございますので、この間、各地方団体の中で財政力に大分差が出てきたということを踏まえて、私どもとして、今回の案に至ったということでございます。

○塩川委員 地方交付税の削減というのが地域間の財政力の格差を拡大してきたという点については認めたわけですから、地方交付税の財政調整機能を壊してきたのを是正する点でも、復元、増額が求められています。このことを改めて要求するものです。
 最後に、地方法人特別税と消費税の関係についてお尋ねします。
 大臣は、今回の偏在是正措置は、税制の抜本的改革までの暫定措置として行うもので、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実、そして地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むと述べておられます。
 現行の消費税率の枠内で、大臣は、法人二税と地方消費税の税源交換を要求してこられたわけですけれども、それが今回かなわなかったということですね。その点だけ、ちょっと確認を。

○増田国務大臣 私どもの素案は、税源交換をする、こういう今委員がお話しされたとおりのものでございましたし、そのうちの消費税についての提案は、税の抜本改革の時期に検討する、こういうことになったわけでございます。

○塩川委員 暫定措置というのが税体系の抜本的改革までということであるわけですけれども、「総務大臣増田寛也からの「元気のでる便り」」というのがホームページ上にもあるそうですけれども、そこでも、税源交換の話の中に、「消費税収(国四%、地方一%)のうち、地方分の割合を増やし、それと同じ規模の地方法人二税を国の法人税に移すというものです。」と、税源交換の中身の話をされておられます。
 そこで伺いますが、こういった税源交換を要求したんだけれども、今回、こういう地方法人特別税、譲与税という形での暫定措置となったわけです。そうなりますと、つまり、現行の消費税率を前提にしては、この暫定措置は解消されないということですね。

○増田国務大臣 現行の消費税率をどういうふうに考えるか、これが税制の抜本改革の中で大きな議論になるだろうというふうに思います。
 例の社会保障ですとか少子化ですとか、そういうための財源としても期待をされているものですが、しかし、そういう抜本改革を検討する際の周辺状況というものがございますけれども、先般、私が提案をいたしましたものについては、やはりそういったこととは別に、今の地方税収の中で、先ほど局長からも話がありましたように、各年で非常に大きく税収が振れるというのは法人二税の特徴でございますので、それをもっと安定的な偏在性の少ない財源に切りかえていこうということでございますから、これについては、税率アップを前提としているというよりは、むしろ現行の税率の範囲の中でもそうした操作が必要である、こういうふうに考えたものでございます。

○塩川委員 今回の地方法人特別税、同特別譲与税というのが、やはり消費税を含む税体系の抜本的な改革というのは、皆さん、もう消費税増税を前提にという議論として動き出しているわけで、消費税増税のレールの上に乗ったものだと言えます。
 この点で、財界団体、日本経団連が平成二十年度の税制改正に関する提言を出しておりますけれども、その中に、「地方法人二税は、国税である法人税への一本化をはかり、」「全体の規模を縮小していくべきである。」あるいは、「法人実効税率を引き下げるべきである。」と述べているように、この今回の法人特別税、地方法人特別譲与税の枠組み自身が消費税増税を念頭に置いて進められている、消費税の増税の一方で、大企業の法人実効税率引き下げを要求する、その財界の要求にこたえるものになっている、こういう点は許されないということを指摘して、質問を終わります。