<第169回国会 2008年2月22日 総務委員会 第6号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 地財三法に関連して、特に地方交付税に関して総理に質問をいたします。
 お手元に資料を配付させていただきました。朝日新聞の地方交付税全国市区町村アンケートの調査に基づいてつくったグラフでありますが、人口規模が小さく地方交付税に財源を依拠する財政力の弱い自治体ほど住民サービスの見直しに踏み切らざるを得ないということが、ここでもうかがえると思います。交付税削減による自治体財政の逼迫で、医療や福祉、ごみなど、生活に密接にかかわる分野も聖域なき見直しの対象となっている、住民サービスの見直しに踏み切った自治体が七割に上る、住民サービスの見直しも、公共事業の削減も、人件費の削減も、自治体の規模が小さくなるほど大きかったと報道がされております。
 そこで、総理に質問いたしますが、私の本会議での、交付税の削減が地方の疲弊をもたらした重大な原因ではないかという質問に、総理は、結果として地方交付税の削減が急激に行われたこともあって、特に財政力の弱い地方団体には厳しいという声があったということは承知をしていると答弁をされました。
 そこで伺いますが、この間の急激な交付税の削減が財政力の弱い自治体ほど住民サービスの低下をもたらしているという認識は、総理、お持ちでしょうか。

○福田内閣総理大臣 私は、今委員がおっしゃったとおり、そういう答弁をしたと記憶いたしております。
 三位一体改革では、国、地方を通じた財政の健全化を図るために、地方歳出の見直しに伴う地方交付税総額の抑制を行った。結果として、地方交付税の削減が急激に行われたということもありまして、特に財政力の弱い地方団体には厳しいという声があったという認識を持っております。
 しかし一方で、地方の自主性とか主体性を高めるために、補助金の廃止縮小、税源の移譲というものが実現したところでございまして、地方税財政の改革の第一歩である、こういうように考えております。

○塩川委員 税財政の改革と言いましたけれども、税源移譲なども行われたわけですが、実際その税源移譲でふえる住民税の増収額というのは極めて少ないわけであります。それ以上に地方交付税が削減をされているというのが実態なわけです。
 総理、もう一度お伺いしますが、財政力の弱い自治体ほど、交付税の急激な削減がやはり住民サービスの低下をもたらしたんだ、こういうグラフに示しましたけれども、そういう認識はお持ちか、改めて伺います。

○福田内閣総理大臣 これは、地方によっていろいろございますけれども、結果としてそういう部分もあるということも、私も、具体的にどこどこということでなくて、想像できます。
 しかし、三位一体改革は、そもそもの趣旨は、地方の財政改革も迫ったわけでありまして、そういう意味において、私は成功した部分もあると思います。ですから、いいところもあったけれども悪いところもあった、こういうふうに認識をいたしております。

○塩川委員 結果としてというおっしゃり方でしたけれども、住民サービスの低下をもたらしたということもあっただろうということを、具体的ではないけれどもお認めになりました。
 そこで、私は伺いたいんですが、本来、全国どこでも同等の住民サービスが確保できるよう財源保障するのは交付税であるわけで、その交付税が大きく削減をされたことが、特に財政力の弱い地方団体で住民サービスの低下をもたらさざるを得なかったということになるわけですから、そうであるならば、財政力の弱い地方団体に対し、この間急激に削減をされた地方交付税の復元を図ることこそ、政府の仕事だと思います。地方交付税の復元を図るというお考えはございませんか。

○増田国務大臣 確かに、人口規模の小さいような、今委員がお話しになったようなところでかなり財政の仕組みを見直さざるを得なかったということにもなりましたし、そのことがいろいろと財政の窮屈さを増したことは事実でございます。
 そういった実態を踏まえて、今回の予算編成において、全体の地方の一般歳出の内容についても私どもは吟味をいたしましたのと、それから、その中でやはり枢要な部分を占める地方交付税についても、地域のさまざまな声を聞きながら、そうした法令で決められたサービス、それから、新たな自主的そして主体的な発想を生かすような財源をきちんと手当てしなければいけない、こういうことで増額をさせていただいた、こういうことでございます。
 復元ということでございますけれども、こうした地方交付税の全体につきましても、政府全体の予算編成の中でどういうやりくりをするかということ。これは、地方財政の規模も大変大きいわけでございますので、地方財政計画というものをつくって、その中でそれぞれの調整を図っている、そういう機能も地方財政計画にあるわけですが、地方財政計画をつくりながら予算全体の中での調整をしております。
 したがって、毎年毎年その額については今後も適切に考えていって、立法府の御判断をいただきたいと思っておりますが、今回は、今の地方の置かれております、先ほど表でお示しになった実態を私どもとしても十分酌み取った、そういう最大限の予算編成になっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 そういう財政力の弱い団体の声を酌み取った予算となっている、そういう点で地方交付税の増額を図ったというお話ですけれども、そこで資料の二枚目をごらんいただきたいわけです。地方交付税の増額、それは、歳出計画に適切に地方の歳出を見込むという中で地方再生対策費を設ける、そういう中での増額の反映ということになるわけですが、そもそも三位一体改革に伴うこの五年間の交付税額の減額、人口四千人未満の町村の地方交付税の増減で見ていただきたいんですが、本会議で私が例示をしました、全国の中での町村の実態であります。ごらんいただきましたように、交付税額の減額というのが数億円に上る。七億一千万とか六億四千万、三億四千万。
 こういう数字に対して、地方再生対策費による増額分というのが、五千五百万、五千五百万、五千五百万、四千万、五千万。いわばこの五年間で削減をされたうちの一割、二割程度にしかならないというのが実態であります。
 まさに、増額分はこの間の大幅な削減に比べれば微々たるものであるわけで、総理自身も、財政力の弱い地方団体が厳しい財政運営を強いられているという声があると承知をしておられるわけですから、まさにその対象の人口四千人未満の市町村に対して、ふさわしく、そういう厳しい声を酌み取って交付税の復元を図ることが必要ではありませんか。
 総理自身の御答弁に沿っての質問ですから、総理、お答えください、総理。

○増田国務大臣 私の方で先にお答え申し上げます。
 地方交付税の中で地方再生対策費、これは市町村を中心に重点的にできるだけ対応するということで配分をしております。
 それから、もう一つ申し上げたいのは、今までの財政の中で、こうした市町村も含めて、やはり見直しをせざるを得ないところはあったわけですよ。これは再三御指摘いただいておりましたとおり、公務員人件費ですとか、行革が進んでいないという一方で、さまざまな御指摘もいただいて、それを踏まえて一般歳出総額をいろいろと圧縮してきた。そういう目配りをしながらの圧縮でありますので、単純にその額をもとどおりに戻せということではなくて、きちんとそういった内容も吟味した上でこの問題は考えていく必要があるというふうに思います。

○福田内閣総理大臣 今般、地方再生対策費で対応したのは、地方交付税の算定を通じまして、市町村、特に財政状況の厳しい地域に重点的に配分をしたということであります。

○塩川委員 財政事情が厳しいといっても、削減に対して一割、二割でしかないわけですから、こういう中ではとても立ち行かなくなっているというのが実態だと思います。
 そもそも、この間の構造改革路線、骨太方針の中で、地方の歳出の総額を抑制するという枠組みをつくっている、そういうもとの中で幾ら工夫をしても、交付税の増額を図れない、復元を図れない。この構造改革路線、骨太方針そのものの撤回が必要だ、このことを強く求めて、質問を終わります。