<第169回国会 2008年2月28日 総務委員会 第8号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、道路特定財源関連で質問をいたします。
 最初に、道路中期計画に関連する地方負担について、国土交通省にお尋ねをいたします。事業費五十九兆円の道路中期計画において、地方負担分、地方費はどのぐらいを想定しているのか、また、その算出方法はどのように行っているのかをお示しください。

○菊川政府参考人 お答えいたします。
 中期計画五十九兆円でございますけれども、中期計画では、個別事業箇所を決定しておりませんことから、地方負担額の算出はしておりませんが、平成十九年度予算を勘案いたしますと、地方負担額は全体の約三割程度と想定されます。これをもとに五十九兆円における地方負担額を算出いたしますと、約十七兆円になります。

○塩川委員 平成十九年度道路予算におけるシェアで出しているという話であります。
 もう一回確認ですが、地方費は三割、そうすると国費は何割ぐらいということでよろしいんですか。

○菊川政府参考人 事業費全体で平成十九年度約五・八兆円でございますが、その中で、国費ほぼ二・九兆円ということで、約五〇%ということになっております。

○塩川委員 過去にさかのぼってのこの間は、大体国費五に対して地方費三という関係で、国の道路特定財源に伴う直轄や補助、あるいは臨時交付金の事業における地方の負担というのが、大体五に対して三という格好で、国が五出せば必ず地方が三を出す、おつき合いをする、そういう関係になっております。
 あわせて、この道路中期計画の積算根拠には地方単独事業分は除いてあるとされているわけですが、その一方で、先日示されました道路の中期計画の補足資料の事業量・単価一覧では、地方単独事業分として、生活幹線道路ネットワークの形成、通学路の歩道整備、橋梁等の補修・更新が挙げられておりますけれども、それぞれこれはどのような箇所、キロを示し、それぞれの事業量というのは幾らぐらいを見込んでいるのか、この点についてお答えください。

○菊川政府参考人 お答えいたします。
 中期計画の素案の十六の政策課題がございますが、この中で、今委員御指摘の生活幹線道路ネットワークの形成、通学路の歩道整備、そして橋梁等の修繕・更新という三つの政策課題につきましては、重点対策箇所数から地方単独事業分を除いて、過去の実績を踏まえまして事業量を算出いたしております。
 具体的には、三つの政策課題の重点対策箇所数のうちの地方単独事業分でございますが、生活幹線道路ネットワークの形成という政策課題では約五千区間のうち二千七百区間、通学路の歩道整備では約四万四千キロの重点対策の対象のうち約一万九千キロメートル、それから、橋梁等の修繕・更新という政策課題では約十五万橋のうちの約五万橋というふうになっております。
 なお、この地方単独事業分の事業量につきましては、基本的には政策課題ごとに事業対策箇所数に平均単価を乗じて算出しておりますけれども、地方単独事業分の平均単価というものを私ども把握しておりませんので、地方単独事業分の事業量については算出いたしておりません。

○塩川委員 数を挙げるのに、過去の実績を踏まえて算出ということがありますから、過去の実績という点では、地方単独事業についての金額というのは出ないんでしょうか。その点と、あわせて、国のそれぞれの単価というのは、今の三つの事業について幾らを見込んでいるのかということと、当然のことながら、過去の実績を踏まえて箇所数などは算出しているわけですから、当然かかった費用も、地方単独事業であれ、把握するのが筋ではないかなと思いますが、その点について、二つお伺いします。

○菊川政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、基本的に、平均単価というのは、過去三年、四年、あるいは施策によっては五年というのはあったかと思いますけれども、それのサンプルを選び出しまして、それの単価を平均しているということでございまして、なかなか地方単独事業分についてはそういう作業ができなかったということで、算出いたしておりません。
 一方、私どもの方で、今回の重点対策箇所ということで五十九兆円の中身ということで算出したものにつきましては、生活幹線道路ネットワークの形成につきましては区間当たり三十三億円、それから通学路の歩道整備につきましてはキロ当たり一・三億円、それから橋梁等の補修・更新でございますが、これは一橋当たり三千億円という、平均の単価ということを設定いたしております。

○塩川委員 橋梁等の補修・更新は〇・三億円でよろしいですね。

○菊川政府参考人 〇・三億円でございます。

○塩川委員 今言った国単価に準拠して三つの項目について試算をしますと、生活幹線道路ネットワークの形成が二千七百区間で、国の単価ですと三十三億円、これで八・九兆円。通学路の歩道整備で、一万九千キロで一・三億円、これで二・五兆円。橋梁等の補修・更新、五万橋掛ける〇・三億円で一・五兆円。合計十二・九兆円であります。もちろん、国単価と同じかどうかというのはあります。地方単独であれば、少し少ないという話もあるかもしれませんけれども。
 例えば、今お話ありましたように、中期計画に基づいて地方がおつき合いをするお金というのは三割、十七兆円に上る。あわせて、中期計画の政策目標に基づいて地方単独として行うことが想定されているもの、それについての費用というのが、国単価でいえば十二・九兆円。あわせて三十兆円。もちろん、国単価に準拠しないで、例えば半分といっても六兆円ですから、二十数兆円にはなるわけです。もちろんこの中には生活関連もありますけれども、しかし、道路中期計画に基づいて地方が負担する割合というのがこういう形で固定化されてくるわけです。
 大臣に伺いますけれども、道路中期計画とそれに連動した政策目標に基づく事業だけで、地方負担が三十兆円、まあ二十数兆円。道路中期計画関連で二十数兆円とか三十兆円の地元負担の枠組みが固定化されてしまう、道路中期計画をつくることで地方の負担分も固定化されてしまう、こういう仕組みというのはこのままでいいのか。いかがでしょうか。

○増田国務大臣 これまで、五年単位ではありましたけれども、計画をつくって、そこで決められたルールで国、地方がそれぞれ財源負担をして整備をしてきた。これまでの考え方はあったと思います。今回も、現行のルールを当てはめて、そして地方負担ということも、おおよそですけれども、そういう形で試算というか計算されるわけです。
 あと、さらに言いますと、これから、国の役割、地方の役割、これは道路のみならず、公共事業のみならず、さまざまな分野で当然見直しをしていく。大きな体制というか、例えばそれぞれの地方議会の権限ですとかそれから機能の強化等とあわせて、大きく国と地方の役割を見直ししていくということでありますので、今現在で、大きな全体の計画の中で全体の事業量それからそれに伴う財政負担というのを出した上で、それを今の仕組みの中で国、地方がどういうふうに負担し合うのかということを明らかにするのは一方で必要だと思っていますし、そういうことでありますが、さらに今後そこについての検討を加えて、見直しをしていく場合もあると思う。
 これは、これからの分権化の中で、地方が一体どういう役割を果たして、それに伴う財政負担をどのように負担していけばいいのか、住民との間でどういうふうに負担をしていけばいいのかというのはこれからもあり得る議論でありますし、それに伴って見直し、変更ということも当然あり得るというふうに思っております。

○塩川委員 道路特定財源の国の取り分、国の取り分の道路特定財源によって地方の道路づくりがコントロールされる、こういう仕組みになるんじゃないのかと思うんですけれども、国が道路特定財源をどこに配分するのか、直轄なのか補助なのか、そういう配分の仕方次第で地方の道路事業がコントロールされる、こういう仕組みにならざるを得ないんじゃないですか。

○増田国務大臣 今まで、実際に国と地方の場合の協議の場等があって、協議というか、いろいろ、それは各県、各市町村と相談しながら、どういう事業、どういう道路をどのような期間の間に整備していくのか、こういうことがお互いに話し合いをされて、それで整備をされてきたわけであります。ですから、そういう流れ、これまでの事業のやり方ということを踏まえて、そこは現実に事業をどのように、いわゆる箇所づけ、張りつけていくかという中で決められてくるということです。それに伴って、大きな負担をどこがしていくのか。これは大体国の場合でしょうけれども、国が負担をし、そしてそれに必要な地方負担も、それぞれがつき合って地方負担をしていく。まさに、今お話しになっている点は、箇所づけですとか事業箇所を地元の公共団体とどのように調整していくかという議論にかかわってくるのではないか。
 それで、右肩上がりで予算が伸びているときは、地方団体もそうした状況につき合っていろいろやっていった時代もありますが、最近はピーク時に比べて道路事業費全体二分の一ぐらいということになっていますので、箇所を相当厳選して、例えば、補助事業でここは国としては可能だと言っても、地方団体の方でそれについて断る場合というのはあちこちでいっぱい出てきていますので、そういう具体の箇所をどうするかという議論の中で、お互いによく相談、調整をしていけばいいのではないかというふうに思います。

○塩川委員 国の持つ道路特定財源によって地方の道路づくりの枠組みを先に決めてしまう、こういうシステムというのが、本来地方で行うべき道路づくりを後回しするようなことになっていはしないのか、ここが問われているんだと思うんです。
 それとの関係で少し数字を確認したいんですが、都道府県における道路関係経費の歳出の内訳ごとに、道路事業費がピークとなった九八年度に対する〇六年度の比率を示していただきたいんです。

○久保政府参考人 平成十年度の都道府県におけます道路関係経費の総額七兆八千二百四十二億円でございまして、うち、公債費が一兆四百六十四億円、一三・四%でございます。公債費を除く経常的経費四千四百十一億円、五・六%、そして、国直轄事業負担金が七千六百七億円で九・七%、補助事業費二兆五千四億円、三二%、単独事業費三兆七百五十六億円、三九・三%となっております。
 また、平成十八年度の都道府県における道路関係経費の総額五兆九千五百四十五億円でございまして、うち、公債費二兆一千二百二十三億円、三五・六%、公債費を除く経常的経費四千六十九億円、六・八%、国直轄事業負担金五千八百六十八億円、九・九%、そして、補助事業費一兆一千八百九十四億円、二〇%、単独事業費一兆六千四百九十一億円、二七・七%となっております。

○塩川委員 私の質問は、事前にお願いしたつもりでいたのは、九八年度と〇六年度を比較して、それぞれの内訳がどうなっているのかという点なんです。
 では、合計で何%に減り、公債費が何%になったか、その二点だけ答えてください。

○久保政府参考人 総額では二三・九%の減少でございます。公債費は、増加をしております、一〇二・八%となっております。

○塩川委員 全体が四分の三ぐらいになっているのに、公債費が二倍にふえているということです。
 なぜこんなに公債費が膨らんでいるのか、その理由について、大臣、お答えください。

○増田国務大臣 今、公債費が約二倍ぐらいふえていました。これは、それぞれの地域によってもいろいろな事情はあろうかと思いますが、概して言えば、累次の景気対策、公共事業を中心とした景気対策ということで、平成四年、五年以降ぐらいから、随時、公共事業、そして道路事業もそれに伴って多く行ってきた。これについて、当然のことながら起債を充てるわけでございまして、大体、私の記憶ですと、県の場合ですと、十五年償還あるいは二十年償還ぐらいの起債を使うことが通常でございますので、そうしたもののちょうど償還期に今当たってきているということで、それが公債費の増につながってきているというふうに考えます。

○塩川委員 先日の病院事業についての質疑の際にも、過去の公共事業の乱発政策のツケがこういう形で回ってきているという点で、そういう公共事業費の上積みを求めてきた国の責任は免れないという点を一つ指摘しておくのと、それに加えて、都道府県における道路事業の決定プロセスというのが、国との関係でやはり適切ではないのではないかと思います。
 例えば、ここに、「高速道路と自動車」という雑誌で、都道府県管理の一般道路整備についての分析の論文があるんですが、地方でどういうふうに予算を立てるのか、ちょっと長いのですが読みます。
  各都道府県は必ずしも住民の県管理道路に対するニーズを正しく把握し、社会的余剰を最大化するように道路を整備しているのではなく、むしろ「財源」が確保できた事業から道路を整備していく傾向が強いことがインタビューを通じて推察された。県の担当者から見た道路整備の流れを整理すると、まず補助事業の要望を国に提出することから始まる。このうち、認められた補助事業と国の直轄事業の自己負担分が県の財源計画で優先的に割り振られる。これは主に地方債の発行によって賄われる。補助事業とセットになった地方債の大半は後年度、地方交付税で補助されることが決まっている。次の段階で、地方債の起債許可額、道路譲与税及びその他予算から残りの県単独事業の計画が作成される。
 つまり、地方の道路予算の組み方が国の施策に左右をされている、道路特定財源に基づく国の施策に地方の道路予算の組み方が左右をされているという実態があるんじゃないか、ここを見直す必要があるんだということが問われていると思うんですが、改めて、いかがでしょうか。

○増田国務大臣 特に公共事業ですから、国の施策というのも、地方団体のそういう政策の立案過程、決定プロセスに影響はもちろん与えております。それは、そういうことで、今お話しになった方の分析、どういうふうに聞かれたのかわかりませんけれども、そういうふうに分析をされているということについての背景はやはりあるんだろうと私も思います。
 そこの問題が、私も、直轄事業が岩手県内でありましたときに、なかなか直轄の方の事業量についていくのが県としても大変な時期に、やはりそれを前年度の末あたりからきちんと協議する場をそれぞれ設けて、それで、進度調整をしたりということを途中段階からやりました。
 それから、多分、今のお話は、平成十四、五年ごろまでのいろいろな経験も踏まえて言っている部分が多いと思うんですが、私の感じでも、平成十五年ぐらいからはがらっとまた様相が変わった。要は、予算がずっとふえてきた時期にかなり当てはまる図式であって、平成十二年ぐらいがピークだったと思いますが、特に十五年ごろから加速度的に全体の予算を減らしましたので、こういうときには大分そのあたりの関係が変わってきて、国からいろいろとお話があっても自治体がもうイエスと言わないので、国の方がむしろ事業ができなくて頭を抱えるとか、やはり、そういうことは、予算が減少する、しかも急激に減少されていく局面では、予算編成のプロセスなども大分変わってきているのではないかというふうに思います。
 ただ、いずれにしても、申し上げたいことは、やはり、県財政あるいは財源をきちんと見た上で、対住民に対してきちんとした政策判断をしていかなければならない、これはもちろんそういうことであろうと思います。

○塩川委員 国の道路特定財源で高速道路中心の組み方に地方負担が強いられることによって、苦しい財政の中の地方が必要な生活道路が後回しにされる、こういう仕組みを改めることが必要だ、このことを改めて求めて、質問を終わります。