○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 きょうは、地上デジタル対策についてお尋ねをいたします。 昨年八月、総務省の情報通信審議会「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」第四次中間答申で、アナログ放送において放送の電波によりカバーしている地域は放送事業者の自助努力により一〇〇%カバーすることを基本として取り組んでいるが、二〇一一年時点においてデジタル放送を送り届けることができない地域が存在することは避けられないとしております。そして、衛星を活用したセーフティーネットを提言しております。 あわせて、昨年九月の市町村別のロードマップでは、二〇一一年以降の新たな難視・デジタル化困難世帯として、NHKで十九万から二十六万世帯、民放でも同様の世帯数が生まれるとしております。もちろん、ここには、現在でもアナログ波が届かない地域は別に残されたままという状況になります。 そこで、一点お尋ねしますが、総務省として、アナログ放送が現在視聴可能なエリアでデジタル放送がカバーできない、こういう世帯が生まれること、また、その際、衛星活用のセーフティーネットを行うということについては容認する立場なのか、その点を確認させてください。 |
○塩川委員 要するに、アナログのカバーエリアは地デジでもカバーしようということで最大限努力しているけれども、そういかない場合があるということでセーフティーネットを検討するということですから、いわば達成できないということを前提にこういうことが進められているということであります。二〇一一年までに一〇〇%カバーできないことを前提にした取り組みが行われているという点でも今までの対応とあわせて重大で、改めて見直しが必要だと考えます。 そこで、この中間答申を受けて、全国地上デジタル放送推進協議会では、「衛星によるセーフティネットに関する検討結果について」をまとめております。この中では、二〇一一年のアナログ放送終了期限において地上デジタル放送が受信できない地域に対して、放送衛星により、NHK総合・教育及び各民放が放送する番組を再送信するということをうたっております。 そこでお尋ねしますが、この推進協議会の検討文書では、実施期間、対象世帯、視聴可能番組、そして視聴者負担はどのように取り上げておりますか。 |
○塩川委員 この推進協議会には、NHK、民放、そして総務省も参加しているわけですから、総務省としてこの方向でやろうということになります。 そこで、重ねてお尋ねしますが、衛星放送を活用するということですけれども、衛星放送の場合に、地域放送、地域番組というのは視聴できるのか。例えば地域の災害情報というのはテレビを通じて提供されることになるのか。その点についてお示しください。 |
○塩川委員 今お話しのように、衛星放送では地域情報が提供されません。今まで受けていたアナログ放送で地域の放送を見ていた、それが見られなくなる。ですから、地域放送の充実を掲げている総務省の方針にも反するものとなります。 この間、全国の地デジ移行に当たって、地方で取り組んでおられます四十道府県の検討会のお話を伺ってまいりました。この三月までは高知県が会長でありましたので、お話をお聞きした中でも、高知県の場合に、高知県に台風が来ているのに東京の天気予報が流れても意味がないじゃないか、こういう意見が寄せられました。 衛星放送を容認すれば、今でも地上波、地上デジタルの努力をしなくても届くわけですから、そういう点でも地デジ投資そのものを行う動機が失われることにもなるわけで、放送事業者の責務を棚上げして視聴者にしわ寄せするようなやり方になるのはおかしいということになります。 配付資料の一枚目に、今局長から答弁もいただいたセーフティーネットの実施方法についてありますけれども、一番下に「経費負担」とありますように、視聴者負担のあり方を含めて今後検討を行うことが必要だ、このようにも示されています。 結局、衛星放送を受信するための設備や受信料などの負担も検討課題になるということは、アナログ放送は映っていた、それなのに地デジでは映らなくなる、そういう人には、地元の放送は見られませんよ、東京の放送を見てください、あわせてお金の負担もしてくれと。これは余りにも虫のいい話で、通る話ではないということを申し上げたい。 そこで、大臣に伺いますが、全国協議会の検討文書では、先ほど局長の答弁にもありましたけれども、「この措置は、地上系の放送基盤により地上デジタル放送が送り届けられるまでの間の暫定的・緊急避難的な措置として実施するものであり、終了期限を定めて実施する。」とあります。つまり、五年間できちんと地デジについては対応しましょうという話になっているわけですね。 そうしますと、二〇一四年度内には地上デジタル放送が受信できないエリアを解消するという、暫定的な措置としての衛星のセーフティーネット利用になります。ということだったら、二〇一四年度には地上デジタル放送が受信できないエリアを解消するということに合わせて、アナログ停波をそもそも五年間延長したらどうですか。 |
○塩川委員 周波数帯の逼迫状況というのは、それはまさに総務省の仕事であって、問題は、国民・視聴者のためになんですよ。国民・視聴者のために行っているのに、その視聴者は地デジが見られなくなる。地方なのに東京のテレビを見なければいけない。地デジ対応の整備がならないのに、衛星放送についての負担も検討の対象になっている。踏んだりけったりな状況ですよ。こういうのを容認するのか。これは、是正する上でも、五年延ばせば対応ができるというんだったら五年延ばせばいいじゃないのかということを、やはり改めて今考えるべきです。 そこで、大臣、お聞きしますけれども、先ほども紹介しました四十道府県の検討会、地上デジタル放送普及対策検討会も昨年十一月に提言を出しておりまして、先日公表された市町村別ロードマップでは、新たな難視世帯の発生等、地上アナログ放送停波時に多くの住民がデジタル放送を視聴できない状況となっている、多くの住民がデジタル放送を視聴できない状況が二〇一一年までに改善されない場合、安易にセーフティーネットの措置を講じることを理由にアナログ放送の終了を容認することは難しいという厳しい声が自治体から寄せられております。 今度の会長は岩手県だそうですけれども、知事時代に随分御努力されたというお話も伺いました。地デジ対応のテレビの普及状況など、受信側の対応がおくれているというのも明らかであります。加えて、送信側の対応も二〇一一年までのアナログ波のエリアカバーが間に合わない。ならば、二〇一一年のアナログ停波を延期すべきではありませんか。大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 受信側の対応のおくれは明確です。送信側についても、アナログのエリアについて一〇〇%カバーできないということを今はっきりと認めたわけですから、この点について、今の時点、二〇一一年のアナログ停波というのも選択肢として対応すべきだ、このことを強く申し上げるものであります。 次に、地デジ普及に当たっての大きな課題の一つに、共同受信施設、共聴施設の改修問題があります。 資料の二枚目に、これはNHKの資料ですけれども、全受信世帯の中で、右側上に辺地共聴、それから左側に破線で囲まれています集合住宅共聴、それから障害対策共聴、主に三つの共聴施設の対策というのが重要になってきております。 資料の四枚目に、その中で辺地共聴施設についての都道府県別の施設数、世帯数の一覧表を載せました。 NHK共聴はNHKが対応するとして、自主共聴については、全国で施設数が一万、世帯数が七十八万、これは、都道府県別で見ますと、一番右側のパーセントは都道府県ごとの世帯数に占める辺地共聴施設の世帯数です。例えば和歌山県一一・〇%とか、岩手県なども九・四%と極めて高い割合で、こういうところに対する対応策がどうなっているのか、このことが今問われているところです。 そこでお尋ねしますが、総務省の予算措置として、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備事業、これは電波法の改正にもかかわる部分ですけれども、そのうち共聴施設の整備支援事業について、国の負担、市町村の負担、視聴者の負担の割合がどうなっているのか、お答えください。 |
○塩川委員 資料の五枚目に、その負担割合、補助額の算出方法がありますけれども、特に視聴者の負担の三万五千円というのは、それ以外にもデジタルテレビや、あるいは地デジ対応のチューナーの購入も必要なわけで、大変大きな負担という点でも負担軽減が必要でありますし、あわせて、なぜ市町村が負担をしなければいけないのかという問題があります。 放送行政に係る国の共聴施設の整備支援事業について、市町村に負担を求める根拠は何なのか。大臣、この点いかがですか。 |
○塩川委員 自治体が自主的に行うものについて、私は何も、それがだめと言うものではありませんけれども、そもそも放送行政を所管する国が地方自治体に負担を求める根拠は何なのかということをお聞きしているんです。その点でお答えがないんですけれども。 では、放送法上に自治体の権限とか責務というのは規定されているんでしょうか。 |
○塩川委員 そもそも、放送行政に係る仕事については、国あるいは放送事業者の責任で行われるべきものであって、地方自治体に負担を求める根拠というのはないわけですよ。本来は、国あるいは放送事業者がきちんとこれについての負担をするということこそ求められているんじゃないですか。そもそも放送法には自治体というのは一言も出てこないわけですから。何らの規定もないわけです。 高知県などにおいても、自治体は放送法に規定されている権限、事務はないので、テレビ放送に関する業務はない、地上デジタルは本来国の責任において解決すべきだ、このように述べています。これは、地方公共団体の筋としての主張だと思いますよ。 ですから、改めて大臣に伺いますが、そもそも地デジ、自主共聴施設を含めて共聴施設については、国及び放送事業者、あるいは地デジに当たって利益を享受する事業者が負担するというのが筋であって、視聴者や、ましてや地方公共団体に負担を回すというのは筋違いじゃありませんか。 |
○塩川委員 本来、キー局のような放送事業者が負担をするとか、あるいは地デジ対応の跡地利用があるわけですから、跡地利用の周波数帯で収益を上げるような携帯電話事業者に負担を求めるとか、あるいは大手の家電メーカーなどに負担を求めるとか、本来そういうところから対応することが必要で、そういう対応を国として行うことが今求められている。筋違いの視聴者や地方公共団体に負担を求めるべきではない、このことを改めて指摘をしておくものです。 あと、残りの時間で、防衛省の航空機の受信障害対策について何点かお聞きします。 資料の六枚目に、防衛省から出していただいた、航空機受信障害に伴う実績世帯数の表を載せました。七つの防衛施設において、合わせて七万世帯の実績であります。共同受信アンテナですとかケーブルなどで全額補助の事業を防衛省として行っているわけです。 そこで、防衛省にお尋ねしますが、この対象施設の一つであります厚木航空基地のある綾瀬市においては、独自に地デジの場合の航空機受信障害調査を行い、影響があるということを確認し、その旨を防衛省に調査の要請をされたと承知をしております。防衛省としてどのような対応をされたのかをお示しください。 |
○塩川委員 基地周辺自治体から要請があれば、地デジ対応の航空機受信障害調査を行うということでよろしいんでしょうか。あわせて、ここに挙がっていないような基地がありますね。そういう基地について、もし、周辺自治体から要望があれば同様の調査を行う考えがあるか、その点をお答えください。 |
○塩川委員 地デジの場合においても受信障害が完全になくなるというわけではありませんので、そういう点でも防衛省としてきちんと調査を行う。調査を踏まえて、障害が出るということであれば、当然のことながら、地デジに対応した受信障害対策を行うということでよろしいですか。 |
○塩川委員 ここに挙がっていないような航空自衛隊百里基地ですとか、あるいは米軍横田基地、あるいは沖縄の米軍嘉手納基地などもあります。そういったところについても、要望を踏まえて適切な対応をきちっと行うことを改めて求め、もともと基地撤去を求める声もありますけれども、少なくともこういう障害は許さない、きちっと排除するということを強く求めて、質問を終わります。 |