<第169回国会 2008年4月10日 総務委員会 第13号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、地上デジタル対策についてお尋ねをいたします。
 昨年八月、総務省の情報通信審議会「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」第四次中間答申で、アナログ放送において放送の電波によりカバーしている地域は放送事業者の自助努力により一〇〇%カバーすることを基本として取り組んでいるが、二〇一一年時点においてデジタル放送を送り届けることができない地域が存在することは避けられないとしております。そして、衛星を活用したセーフティーネットを提言しております。
 あわせて、昨年九月の市町村別のロードマップでは、二〇一一年以降の新たな難視・デジタル化困難世帯として、NHKで十九万から二十六万世帯、民放でも同様の世帯数が生まれるとしております。もちろん、ここには、現在でもアナログ波が届かない地域は別に残されたままという状況になります。
 そこで、一点お尋ねしますが、総務省として、アナログ放送が現在視聴可能なエリアでデジタル放送がカバーできない、こういう世帯が生まれること、また、その際、衛星活用のセーフティーネットを行うということについては容認する立場なのか、その点を確認させてください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、政府といたしましては、現在アナログ放送をごらんになっている世帯のすべてにデジタル放送をごらんいただけることになりますよう、関係の放送事業者とも連携いたしまして最大限の努力を行っているところでございます。
 私どもとしては最大限努力を行っているところでございますが、どのような場合におきましても、二〇一一年七月二十四日の時点におきまして地上デジタル放送を送り届けられないことのないよう、まさにセーフティーネットといたしまして、衛星を利用してデジタル放送を送り届ける放送についても検討している、こういう段階にございます。

○塩川委員 要するに、アナログのカバーエリアは地デジでもカバーしようということで最大限努力しているけれども、そういかない場合があるということでセーフティーネットを検討するということですから、いわば達成できないということを前提にこういうことが進められているということであります。二〇一一年までに一〇〇%カバーできないことを前提にした取り組みが行われているという点でも今までの対応とあわせて重大で、改めて見直しが必要だと考えます。
 そこで、この中間答申を受けて、全国地上デジタル放送推進協議会では、「衛星によるセーフティネットに関する検討結果について」をまとめております。この中では、二〇一一年のアナログ放送終了期限において地上デジタル放送が受信できない地域に対して、放送衛星により、NHK総合・教育及び各民放が放送する番組を再送信するということをうたっております。
 そこでお尋ねしますが、この推進協議会の検討文書では、実施期間、対象世帯、視聴可能番組、そして視聴者負担はどのように取り上げておりますか。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御質問のございました、昨年十二月、全国地上デジタル放送推進協議会から情報通信審議会の地上デジタル放送推進に関する検討委員会に報告された内容でございますけれども、まず実施期間でございますが、これにつきましては、平成二十一年度内に開始し、運用期間は五年間を基本とするとされているところでございます。また対象世帯につきましては、地形等の理由により直接デジタル電波が届かない世帯、またはデジタル混信により視聴が困難となっている世帯のうち、共聴施設等の手段を用いてもデジタル放送が受信できない世帯。それから視聴可能番組につきましては、先ほど先生からもお話がございましたが、NHKは総合(東京)と教育の番組、民放は各地方局の系列キー局の番組。視聴者負担につきましては、視聴者負担のあり方を含めて今後検討を行うことが必要であるとされているところでございます。
 いずれにいたしましても、現在、具体的実施方法につきましては情報通信審議会において御議論いただいているところでございますので、本年夏までに基本的考え方をまとめていきたい、かように考えている次第でございます。

○塩川委員 この推進協議会には、NHK、民放、そして総務省も参加しているわけですから、総務省としてこの方向でやろうということになります。
 そこで、重ねてお尋ねしますが、衛星放送を活用するということですけれども、衛星放送の場合に、地域放送、地域番組というのは視聴できるのか。例えば地域の災害情報というのはテレビを通じて提供されることになるのか。その点についてお示しください。

○小笠原政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、視聴可能番組につきましては、全国協議会から御報告した内容によりますと、NHKは総合(東京)、教育の番組、民放は各地方局の系列キー局の番組ということで、各地域の番組というのはその中には含まれておりませんので、先生今おっしゃったような番組については提供が難しいということでございます。
 いずれにしましても、そういったような性格のものであるだけに、私どもとしては、いわゆる衛星セーフティーネットというものは、性格として緊急的あるいは暫定的、緊急避難的なものでございますし、そうしたものが最小限となるよう、できる限り、現在、中継局の整備、その他辺地共聴施設の整備等に最大限の努力を払っているところでございます。

○塩川委員 今お話しのように、衛星放送では地域情報が提供されません。今まで受けていたアナログ放送で地域の放送を見ていた、それが見られなくなる。ですから、地域放送の充実を掲げている総務省の方針にも反するものとなります。
 この間、全国の地デジ移行に当たって、地方で取り組んでおられます四十道府県の検討会のお話を伺ってまいりました。この三月までは高知県が会長でありましたので、お話をお聞きした中でも、高知県の場合に、高知県に台風が来ているのに東京の天気予報が流れても意味がないじゃないか、こういう意見が寄せられました。
 衛星放送を容認すれば、今でも地上波、地上デジタルの努力をしなくても届くわけですから、そういう点でも地デジ投資そのものを行う動機が失われることにもなるわけで、放送事業者の責務を棚上げして視聴者にしわ寄せするようなやり方になるのはおかしいということになります。
 配付資料の一枚目に、今局長から答弁もいただいたセーフティーネットの実施方法についてありますけれども、一番下に「経費負担」とありますように、視聴者負担のあり方を含めて今後検討を行うことが必要だ、このようにも示されています。
 結局、衛星放送を受信するための設備や受信料などの負担も検討課題になるということは、アナログ放送は映っていた、それなのに地デジでは映らなくなる、そういう人には、地元の放送は見られませんよ、東京の放送を見てください、あわせてお金の負担もしてくれと。これは余りにも虫のいい話で、通る話ではないということを申し上げたい。
 そこで、大臣に伺いますが、全国協議会の検討文書では、先ほど局長の答弁にもありましたけれども、「この措置は、地上系の放送基盤により地上デジタル放送が送り届けられるまでの間の暫定的・緊急避難的な措置として実施するものであり、終了期限を定めて実施する。」とあります。つまり、五年間できちんと地デジについては対応しましょうという話になっているわけですね。
 そうしますと、二〇一四年度内には地上デジタル放送が受信できないエリアを解消するという、暫定的な措置としての衛星のセーフティーネット利用になります。ということだったら、二〇一四年度には地上デジタル放送が受信できないエリアを解消するということに合わせて、アナログ停波をそもそも五年間延長したらどうですか。

    〔馳委員長代理退席、今井委員長代理着席〕

○小笠原政府参考人 先ほども申し上げましたように、私ども、放送事業者と連携いたしまして、地上デジタル放送の電波を全国の各世帯へ送り届けようと最大限努力をしているところでございます。ただし、地形などの原因によりまして、放送を良好に受信できない地区が発生する可能性があるということも想定され、そのような地域に電波を送り届けるためには新たなチャンネルを多数確保することが必要となる可能性がございます。
 しかしながら、先生御承知のように、現在、アナログとデジタルのサイマル放送を実施しております。つまり、過去、アナログ放送に使用していた同じ周波数の幅の中に、アナログとデジタルの両方を放送しているわけでございまして、そのチャンネルと申しますか周波数というのは、相当の逼迫状況にございます。したがいまして、新たなチャンネルを多数確保することが必要となるという場合には、まずはアナログ放送を一たん停波して、周波数の余裕を生み出した上でそのための放送用のチャンネル数を確保することが必要でございます。
 したがいまして、セーフティーネットと申しますのは、これによって確保したチャンネルを利用して、まさに先生がおっしゃいました、地上系の設備を整備する期間の間、暫定的、緊急避難的な措置として実施するものであるということを御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 周波数帯の逼迫状況というのは、それはまさに総務省の仕事であって、問題は、国民・視聴者のためになんですよ。国民・視聴者のために行っているのに、その視聴者は地デジが見られなくなる。地方なのに東京のテレビを見なければいけない。地デジ対応の整備がならないのに、衛星放送についての負担も検討の対象になっている。踏んだりけったりな状況ですよ。こういうのを容認するのか。これは、是正する上でも、五年延ばせば対応ができるというんだったら五年延ばせばいいじゃないのかということを、やはり改めて今考えるべきです。
 そこで、大臣、お聞きしますけれども、先ほども紹介しました四十道府県の検討会、地上デジタル放送普及対策検討会も昨年十一月に提言を出しておりまして、先日公表された市町村別ロードマップでは、新たな難視世帯の発生等、地上アナログ放送停波時に多くの住民がデジタル放送を視聴できない状況となっている、多くの住民がデジタル放送を視聴できない状況が二〇一一年までに改善されない場合、安易にセーフティーネットの措置を講じることを理由にアナログ放送の終了を容認することは難しいという厳しい声が自治体から寄せられております。
 今度の会長は岩手県だそうですけれども、知事時代に随分御努力されたというお話も伺いました。地デジ対応のテレビの普及状況など、受信側の対応がおくれているというのも明らかであります。加えて、送信側の対応も二〇一一年までのアナログ波のエリアカバーが間に合わない。ならば、二〇一一年のアナログ停波を延期すべきではありませんか。大臣、いかがですか。

○増田国務大臣 今先生お話しの四十道府県の会でございますけれども、私も随分、当時高知県の橋本知事に旗振りをお願いしまして、私も難視聴のところが解消されないことを大変心配して、当時の立場で積極的に総務省に物を申し上げたんです。また、いずれにしても、やはり目標を持って、そしてこの問題を解決していかなければならない。
 先ほどいろいろお話ございましたが、まず、今NHKベースで九三%ということになっているんですが、とにかく、最大限視聴可能エリアを広げていくために、NHK、民放、そして総務省、それから自治体も含めて最大限努力をしていく、目標を持って努力をしていくということが必要でございますし、そのために、送信側、受信側もいろいろロードマップをつくって今やっているわけであります。
 これが崩れてしまいますと、やはりその取り組みがおくれてしまうということになりはしないかということを大変私も懸念しておりまして、一度時期を決めたらそこに向けて、そのときに視聴可能エリアをとにかく徹底的に広げていく、いろいろな技術、ありとあらゆるものを使って広げていくということが今必要であります。私はそういうふうに思います。全力でそれに向けて努力をしていくということが必要だろうというふうに思うわけであります。
 ですから、アナログ放送の停波の時期、二〇一一年七月二十四日、これはきちんと決めた上で、もうすべてが全力を挙げて努力をしていく。そして、あと最後の最後のセーフティーネットは、これはいろいろな電波の余裕を生み出すためにも、どうしてもそうしたことで、視聴可能エリアを全部広げていく上でも必要なことでございますので、この点については特に国民の皆様方に十分御理解いただけるように説明をして、そして、いずれにしても、限りなく一〇〇%に近づけるように努力をしていきたいというふうに思います。

○塩川委員 受信側の対応のおくれは明確です。送信側についても、アナログのエリアについて一〇〇%カバーできないということを今はっきりと認めたわけですから、この点について、今の時点、二〇一一年のアナログ停波というのも選択肢として対応すべきだ、このことを強く申し上げるものであります。
 次に、地デジ普及に当たっての大きな課題の一つに、共同受信施設、共聴施設の改修問題があります。
 資料の二枚目に、これはNHKの資料ですけれども、全受信世帯の中で、右側上に辺地共聴、それから左側に破線で囲まれています集合住宅共聴、それから障害対策共聴、主に三つの共聴施設の対策というのが重要になってきております。
 資料の四枚目に、その中で辺地共聴施設についての都道府県別の施設数、世帯数の一覧表を載せました。
 NHK共聴はNHKが対応するとして、自主共聴については、全国で施設数が一万、世帯数が七十八万、これは、都道府県別で見ますと、一番右側のパーセントは都道府県ごとの世帯数に占める辺地共聴施設の世帯数です。例えば和歌山県一一・〇%とか、岩手県なども九・四%と極めて高い割合で、こういうところに対する対応策がどうなっているのか、このことが今問われているところです。
 そこでお尋ねしますが、総務省の予算措置として、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備事業、これは電波法の改正にもかかわる部分ですけれども、そのうち共聴施設の整備支援事業について、国の負担、市町村の負担、視聴者の負担の割合がどうなっているのか、お答えください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、先ほど来御答弁申し上げておりますが、二〇一一年七月二十四日までにデジタル放送の完全移行というものを確実に達成するために、辺地共聴施設において地上デジタル放送を受信するための施設整備を行う場合に、その所要経費の一部を国が補助しているところでございます。
 具体的に申しますと、二十年度予算に盛り込みました国、市町村及び視聴者のそれぞれの負担割合ということでございますが、国が整備事業費の二分の一を負担する、そして市町村と視聴者で残りの二分の一を負担するというのを基本にしているところでございます。
 なお、この補助制度の適用に当たりましては、視聴者の負担といたしまして、放送エリア内、つまり個別アンテナでごらんいただくといったような住民の方々との負担の公平さを図るため、通常デジタル化に要する費用を負担していただくことを前提にしているところでございます。

○塩川委員 資料の五枚目に、その負担割合、補助額の算出方法がありますけれども、特に視聴者の負担の三万五千円というのは、それ以外にもデジタルテレビや、あるいは地デジ対応のチューナーの購入も必要なわけで、大変大きな負担という点でも負担軽減が必要でありますし、あわせて、なぜ市町村が負担をしなければいけないのかという問題があります。
 放送行政に係る国の共聴施設の整備支援事業について、市町村に負担を求める根拠は何なのか。大臣、この点いかがですか。

○増田国務大臣 辺地共聴の関係でありますけれども、制度が二十年度に少し変わりまして、この負担割合が変わったんですが、いずれにしても、市町村にとりましては、これは地域住民、村内の住民の皆さん方がひとしくデジタル化の恩恵を享受できる環境を確保する、そして、地域での情報通信基盤整備という側面もございますので、そういう観点からこれについて御負担をお願いするということでございます。
 もちろん、市町村負担を伴ってこうした辺地共聴施設の整備を行う場合に、国から先ほどお話がございましたとおりの補助が出るわけでございますが、この市町村負担部分については、総務省として地方財政措置を講ずることとしているところでございまして、その点については、今後もよく自治体の皆さん方に御説明をして、自治体の皆さん方の御協力も得ていきたい、こういうふうに思っております。

○塩川委員 自治体が自主的に行うものについて、私は何も、それがだめと言うものではありませんけれども、そもそも放送行政を所管する国が地方自治体に負担を求める根拠は何なのかということをお聞きしているんです。その点でお答えがないんですけれども。
 では、放送法上に自治体の権限とか責務というのは規定されているんでしょうか。

○小笠原政府参考人 放送法の上で地方公共団体の責務というのは、特段の規定はございません。
 ただ、地方公共団体の負担を求める根拠ということにつきまして申し上げますと、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、地域住民がひとしくデジタル化の恩恵を享受できる環境を確保する、あるいは地域における情報通信基盤を整備するという観点から地方公共団体が財政措置を講ずる場合もあり、その場合につきましては地方財政措置も講ずるということにしているということでございます。

○塩川委員 そもそも、放送行政に係る仕事については、国あるいは放送事業者の責任で行われるべきものであって、地方自治体に負担を求める根拠というのはないわけですよ。本来は、国あるいは放送事業者がきちんとこれについての負担をするということこそ求められているんじゃないですか。そもそも放送法には自治体というのは一言も出てこないわけですから。何らの規定もないわけです。
 高知県などにおいても、自治体は放送法に規定されている権限、事務はないので、テレビ放送に関する業務はない、地上デジタルは本来国の責任において解決すべきだ、このように述べています。これは、地方公共団体の筋としての主張だと思いますよ。
 ですから、改めて大臣に伺いますが、そもそも地デジ、自主共聴施設を含めて共聴施設については、国及び放送事業者、あるいは地デジに当たって利益を享受する事業者が負担するというのが筋であって、視聴者や、ましてや地方公共団体に負担を回すというのは筋違いじゃありませんか。

○増田国務大臣 地上デジタル放送に切りかわりますと、自治体の立場からいいましてもさまざまなサービスが提供される、災害時のさまざまな地域のきめ細かな情報等の提供も可能になってくるわけでございまして、地域の住民の皆さん方の視点から見ましても、そういう意味で情報基盤が非常に強化される、ひとしくその地域全体で情報基盤が強化されるというふうに思います。
 そうしたこともございますので、当然、昨年度、国の方で用意しましたこうした辺地共聴施設の整備の制度といいますのは国の負担割合もまだ低うございましたので、今年度は国の負担割合を高めました。逆に言いますと、各自治体の負担割合はその分下げたわけでありますが、なお自治体の方にも御支援をお願いするということが適切ではないか、こういうふうに考えているものでございます。
 しかし、全部その自治体に補助裏を負担させるということではなくて、総務省として、過疎債、辺地債等、地方財政措置も講じているところでございまして、この点については、地方の自治体の皆さん方にもよく御説明をして、御理解いただくように努力をしていきたいというふうに思います。

○塩川委員 本来、キー局のような放送事業者が負担をするとか、あるいは地デジ対応の跡地利用があるわけですから、跡地利用の周波数帯で収益を上げるような携帯電話事業者に負担を求めるとか、あるいは大手の家電メーカーなどに負担を求めるとか、本来そういうところから対応することが必要で、そういう対応を国として行うことが今求められている。筋違いの視聴者や地方公共団体に負担を求めるべきではない、このことを改めて指摘をしておくものです。
 あと、残りの時間で、防衛省の航空機の受信障害対策について何点かお聞きします。
 資料の六枚目に、防衛省から出していただいた、航空機受信障害に伴う実績世帯数の表を載せました。七つの防衛施設において、合わせて七万世帯の実績であります。共同受信アンテナですとかケーブルなどで全額補助の事業を防衛省として行っているわけです。
 そこで、防衛省にお尋ねしますが、この対象施設の一つであります厚木航空基地のある綾瀬市においては、独自に地デジの場合の航空機受信障害調査を行い、影響があるということを確認し、その旨を防衛省に調査の要請をされたと承知をしております。防衛省としてどのような対応をされたのかをお示しください。

○地引政府参考人 お答えさせていただきます。
 これまで、厚木飛行場周辺におきましては、航空機の離着陸等の頻繁な実施により生じますテレビの受信障害を防止または軽減するために、綾瀬市等に対し、アナログ放送に対応した共同受信施設の整備に当たって補助金を交付しているところでございます。
 綾瀬市は、平成十七年度に地上デジタル放送に対する航空機受信障害調査を実施されまして、一部の地域においては、航空機の飛来時にテレビ画像に障害が認められたとの結果が得られたと承知しております。
 防衛施設庁といたしましては、綾瀬市からの要望があったこと、また、地上デジタル化によりまして、今後全国の飛行場周辺において同様の要望がなされることが予想され、航空機の離発着等により地上デジタル放送に受信障害が発生するか否かの実態を把握する必要があったことから、平成十八年度におきまして、厚木航空基地周辺七市域を調査対象といたしまして、航空機受信障害について調査を実施したところでございます。
 綾瀬市及び大和市の一部の地域において瞬時の受信障害が確認されました。その調査結果につきましては、平成十八年度に厚木飛行場周辺七市へ御説明したところでございます。
 さらに、当省といたしましては、綾瀬市から共同受信施設の地上デジタル放送に対応した施設の整備要望がございましたことから、平成十九年度に綾瀬市内を対象とした詳細な受信障害調査を実施いたし、現在調査結果を取りまとめているところでございます。

○塩川委員 基地周辺自治体から要請があれば、地デジ対応の航空機受信障害調査を行うということでよろしいんでしょうか。あわせて、ここに挙がっていないような基地がありますね。そういう基地について、もし、周辺自治体から要望があれば同様の調査を行う考えがあるか、その点をお答えください。

○地引政府参考人 お答えさせていただきます。
 航空機の離陸、着陸等の実施によって生じますテレビ放送の受信障害の実態調査を実施することにつきましては、関係する地方公共団体等からの要請がございますれば、受信不能等映像の一部に乱れが生ずるなど、地上デジタル放送の航空機受信障害の具体的な状況を確認するなどした上で、調査の実施について検討してまいりたいと思っています。
 また、今までテレビ共同受信施設の対処が講じられていない地方公共団体からもそういう御要請があれば、同じような考え方で対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。

○塩川委員 地デジの場合においても受信障害が完全になくなるというわけではありませんので、そういう点でも防衛省としてきちんと調査を行う。調査を踏まえて、障害が出るということであれば、当然のことながら、地デジに対応した受信障害対策を行うということでよろしいですか。

○地引政府参考人 御指摘のとおり、そういう事態になりましたならば、周辺環境整備法に基づきまして、我が方が持っております法律に基づきまして適切に対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。

○塩川委員 ここに挙がっていないような航空自衛隊百里基地ですとか、あるいは米軍横田基地、あるいは沖縄の米軍嘉手納基地などもあります。そういったところについても、要望を踏まえて適切な対応をきちっと行うことを改めて求め、もともと基地撤去を求める声もありますけれども、少なくともこういう障害は許さない、きちっと排除するということを強く求めて、質問を終わります。