<第169回国会 2008年4月11日 総務委員会 第14号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 電波法に関して質問をいたします。
 今回、電波利用料について、国等の適用除外の話が上げられております。従来、利用料の対象から除外をされていました国、独立行政法人、国立大学法人から、治安や防災といった一定の要件に該当するものを除き、電波利用料を徴収することになります。私立大学から電波利用料を徴収していることの並びで、国立大学からも電波利用料を徴収することになるとのことです。
 そこで、お聞きしたいんですが、私立大学を含め、大学については、教育という公共性に着目して電波利用料の適用除外、こういうことを設けるべきではないかと思いますが、その点についてお聞きいたします。

○寺崎政府参考人 お答えいたします。
 電波利用料は、電波利用共益事務の処理に要する実費につきまして、その受益者である無線局免許人等全体で負担するものでございます。したがいまして、大学が開設する無線局につきましても、他の無線局と同様に電波利用料の負担を求めることとしております。
 ただし、本制度には、先生おっしゃるとおり適用除外があるのも事実でございまして、国、地方公共団体の、専ら非常時における国民の安全、安心の確保を直接の目的とする無線局、それから、専ら治安、秩序の維持を直接の目的とする無線局がその対象になっているところでございます。
 これらの無線局につきましては、人命、身体や財産に対する被害から国民を保護するものでありまして、民間ではなし得ない業務として法律上位置づけられていることにかんがみ、免除の対象としております。
 大学が開設する無線局につきましては、これらには該当しないことから、電波利用料の負担を求めることとしているものでございます。

○塩川委員 公共性という観点からは、そもそもこれに基づいて何らかの事業活動を行うということではない、そういう側面から、やはりふさわしく軽減策というものを設けるべきだということを要望として申し上げたいということと、もう一点、この適用除外については、高知県からお話を伺った中で、市町村または共聴組合が設置をしますギャップフィラー無線局については電波利用料の適用除外を行ってもらいたい、こういう要望が出されておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

○寺崎政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、電波利用料は、電波利用共益事務の処理に要する実費につきまして、その受益者である無線局免許人等全体で負担するものでございまして、したがいまして、自主共聴組合が開設する地上デジタル放送に係るギャップフィラーにつきましても、負担の公平性の観点から、電波利用料を免除せずに電波利用料の負担を求めることが適当と考えています。
 なお、今回の見直しでは、テレビジョン放送局に係る電波利用料につきましては、その出力等を勘案して料額を算定することとしているところでございます。また、平成二十二年度まではテレビジョン放送のデジタル化に係る設備投資に配慮して料額を設定しておりまして、地上デジタル放送に係るギャップフィラーの電波利用料は、平成二十年において五千四百円であり、自主共聴組合にとって過度な負担とはならないものと認識しています。

○塩川委員 治安、防災に加えて、適切に公共性を配慮した適用除外についての検討を改めて求めるものです。
 次に、電波利用料の使途拡大のところですけれども、総務省の法案の説明のペーパーにも、この使途拡大のところで、新たに加える、国際標準化に関する連絡調整事務があります。これは約三億円となっていますけれども、この三億円の内訳をお示しください。

    〔今井委員長代理退席、馳委員長代理着席〕

○寺崎政府参考人 今回の電波利用料の使途として追加いたします国際機関等との連絡調整事務とは、電波のより能率的な利用につながる我が国発の無線技術を国際標準に反映させるための活動を行うものでございまして、国際標準に準拠した国内の技術基準を策定するためのものでございます。
 具体的には、外国旅費ということで一千七百万円、それから、国際標準化を戦略的に行うための調査分析等で二億五千九百万円計上させていただいております。

○塩川委員 連絡調整事務なんですね、新たに加えるのが。外国旅費の一千七百万円というのも、本来ここで入れるかどうかというのはあるんでしょうけれども、これが連絡調整事務というんだったらそうかなと思うんですが、調査分析も入っているわけです。それが大半の、二億五千九百万円になっているわけです。連絡調整事務と説明しているのに、何で調査分析まで入っているんですか。

○寺崎政府参考人 本件の関係で国際機関等との連絡調整を進めるためには、電波のより能率的な利用につながる無線技術につきまして、重点的に標準化を行うべき具体的な技術項目だとか各国の周波数の利用状況等、そういったようなものを理解した上で参加していくことが必要でございまして、非常に技術的な、難しい、そういったような新技術の側面等もございますので、そういった点の調査が必要でございます。
 したがいまして、こうした調査は、法律の拡大解釈に当たらないものと認識しております。

○塩川委員 総務省の説明のペーパーでは、三号のところに、電波資源拡大のための研究開発及び技術試験事務に加えて国際標準化に関する連絡調整事務になっているんですよ。今説明のあったように、新技術にかかわるような調査というのは、このもとの研究開発及び技術試験事務に入るんじゃないんですか。それをあたかも連絡調整事務であるかのように入れるというのは、この説明に間違いがあるということじゃないですか。

○寺崎政府参考人 無線システムが実用化されてくるフェーズというのは、まず研究開発がありまして、その後、国際標準化というフェーズがありまして、その次のフェーズに、技術基準を策定ということで、何といいますか、データの取得ですね、そういう事務がございます。そういった段階で、この国際標準化というのは真ん中のフェーズに該当してくるわけで、それに附帯する調査というものは、いわゆる試験事務とは違った意味での技術調査みたいなものが必要になるわけでございます。

○塩川委員 連絡調整事務ということですから、今言ったように、もともと国際標準化についても現行の中で研究開発及び技術試験事務に入っているわけでしょう。入らないんですか。

○寺崎政府参考人 技術試験事務というのは、電波法に基づく総務省令で技術基準を定めていますけれども、その技術基準を具体的に定めるための調査、そういったものが試験事務になります。
 先ほど申しましたように、研究開発段階、それからその次に国際標準化を行いまして、それからさらに試験事務となってきますので、段階に応じた対応が必要になってきます。その段階に着目して、国際標準化段階の連絡調整の段階で必要な調査は国際機関との連絡調整事務という中に入れておいた方がよりわかりやすいということで、そういった中に調査費を入れてあります。

○塩川委員 では、今までこれは入らなかったということですね、連絡調整事務で挙げている調査分析については。

○寺崎政府参考人 国際標準化のための調査は入っておりません。

○塩川委員 説明を求めても、このペーパーだけでよくわからないわけですよ。そういう点でも、連絡調整事務で外国旅費というのは入るという説明を受けましたけれども、こういう説明までについては、ペーパーも含めていただいたのは直前でしたから、そういう点でもわからない。我々が疑うのは、連絡調整事務という事務費の中でそのうち車でも買うんじゃないのか、そういう懸念なんかも浮かぶわけですから、そういう点について明確な説明というのを求めていきたい。
 その点でも、大臣の方からも、説明が極めて不十分だということについてきちんと改めてもらいたい、説明責任を果たしてもらいたいという点について、一点お答えいただけますか。

○増田国務大臣 よく事務局の方にも指示しておきます。

○塩川委員 こういう使途については、具体的に明確に示すことが求められているということを強く申し上げておくものです。
 続けて、昨日も質問しましたが、地デジ移行に当たってのさまざまな対策としての受信障害対策の問題があります。
 そこでお尋ねしたいのが、東京新聞が三月九日に報道しました、東京ケーブルビジョンの受信障害対策の補償金取り崩し問題についてであります。「受信障害対策「天下り」財団 補償金 無断取り崩し 年六億円超、住民「流用」」という声が出ているということですけれども、これについて、この受信障害対策を実施している東京ケーブルビジョンとはどのような団体なのか、今何が問題となっているのか、この点についてお答えください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 財団法人東京ケーブルビジョンでございますが、本財団は、昭和四十五年に設立された財団でございまして、主要な目的は、財団の説明によりますと、有線によるテレビジョン放送の再送信並びにこれに付随して行う役務の提供その他でございます。
 新聞において報道されました関連した業務は、さまざまな公共事業によって発生いたしました都市の受信障害、これを解消するために設置された設備の維持管理というものを現在この財団が行っているということに関連して報道されたものだと承知しております。

○塩川委員 この東京ケーブルビジョンは総務省所管の財団法人で、報道にもありますように、旧郵政省、総務省のOBも在籍をしている法人であります。
 今、二〇一一年に向けて地デジ移行の取り組みをやっていきますけれども、現行アナログ波で電波障害があるということで対策がとられてきたわけですね。地デジに移った場合でも、障害は大きく減るだろうと言われておるわけですけれども、でも残るかもしれない、十分の一とかと言われていますから。そうであるとしたら、この財団法人が電波障害対策の設備の維持管理をしているのであれば、地デジに当たっても障害が残るということについて、まずはしっかりとした調査を行う必要があるわけですよ。調査をして障害が残るということであれば、しかるべき対策をとることが求められているわけです。それなのに、この財団では、報道では二〇一一年で受信障害対策が終了することを前提に前受け金を取り崩していたわけです。
 この点について、総務省としてはどのような対応をとられるんですか。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、報道で指摘されました前受け金の取り崩しそのものにつきましては、私ども総務省といたしまして、財団法人から事情聴取あるいは立入調査、資料徴収を通じて事実関係の把握に努めてきたところでございますが、これまでの調査あるいは専門家の意見を踏まえますと、補償金の取り崩し自体については法令及び会計処理上直ちに問題があるとは言えないと考えておるところでございます。
 先生今御指摘になりました調査の件でございますが、まず、いわゆる法的な面ということについて申し上げますと、財団と共聴組合との間における契約につきましては、アナログ時代のものでありますため、そうした受信障害がデジタル化によって解消されるかどうか、そういったことを立証する責任が法的に財団にあるかどうかといった点につきましては必ずしも明確ではないと考えております。
 しかし、私ども総務省といたしましては、財団の行っている業務の公益性にかんがみまして、あるいはまた、これまでの調査、専門家の意見を踏まえまして、先般、この財団法人東京ケーブルビジョンに対して、デジタル化によって受信障害が解消するか否かについての調査を実施することを含め、文書による指導を行ったところでございます。
 私どもとしましては、今後とも、この財団における対応が適切に行われるかどうかについて注視してまいりたいとしているところでございます。

○塩川委員 そうしますと、地デジ移行に当たって電波障害が残るかどうか、この財団法人に調査をしてもらいたいということを要請したということでいいですか。その点、一点確認を。

○小笠原政府参考人 先生御指摘のそれぞれの調査の点についても含め指導したということでございます。

○塩川委員 こういった受信障害対策を行っている財団法人はほかに幾つもあるわけであります。受信障害対策を実施している、受け皿となっている財団法人、どのような財団法人があるのか、それについてお示しいただけますか。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の受信障害対策を実施している財団法人といいますのは、全国で申し上げますと八法人ございまして、申し上げますと、この東京ケーブルビジョン以外に、研究学園都市コミュニティケーブルサービス、首都圏ケーブルメディア、ケーブルシティ横浜、名古屋ケーブルビジョン、京阪神ケーブルビジョン、福岡ケーブルビジョン、北九州ケーブルビジョン、以上でございます。

○塩川委員 今、八つ答えましたか。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 東京ケーブルビジョン以外に七つ、合計八つでございます。

○塩川委員 失礼しました。
 この八つの財団法人についても、旧郵政省OBが在籍をしている。天下りしている、八つのうち五つに在籍をしているということであります。
 これらの財団法人の設立の経緯というのは、そもそもどういうものなのか、ほぼ同じ時期にそれぞれつくられておりますけれども、その設立の経緯についてお示しいただけますか。

○小笠原政府参考人 ちょっと正確にお答え申し上げられるかどうかわかりませんが、いずれにしましても、高度成長期に大都市で、例えば高速道路でありますとかそういった大規模な公共工事が行われ、その受信障害というものが大きく発生したということと、当時、民間におきましてはケーブルテレビといったようなものがまだ十分に発達していなかったということもその背景だったのではないかというふうに思われます。

○塩川委員 今挙げていただいた財団法人の一つの京阪神ケーブルビジョンというのがありますけれども、そこのホームページで設立された経緯が書いてあるんです。
 そこにありますのは、昭和四十五年当時に、「難視聴地域が都市開発等によって拡大し、その対策が一元化せず混乱しつつある状況を改善するため、郵政省主導で当時の経済界、放送、施設建設業界の強い要望のもとに設立された公益法人です。」と言っておりますから、そういう経緯として、郵政省主導でつくったところということであります。
 そういう点でも、こんな住民の声も聞かないで勝手に前受け金を取り崩すようなことは許されないわけですし、総務省が、今東京ケーブルビジョンについて、地デジ対策に当たって電波障害についての調査を行うべきだということを要請したということですけれども、その他の七つの財団法人についても同様の指導を行う考えがあるのか。その中にきちんと地デジの電波障害の調査を行うべきではないのか、こういうことを求めることは考えているのか、お答えください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、財団の公益的な性格、あるいは地上デジタル放送への円滑な移行に向けまして視聴者の理解を得るということは大変重要なことでございますので、他の財団におきましても、デジタル化によりまして受信障害が解消するか否かについて調査を行うことは必要と私どもも認識しております。
 私ども総務省といたしましては、今回の財団法人東京ケーブルビジョンにおける指導を踏まえまして、他の財団に対してもあわせ指導してまいる所存でございます。

○塩川委員 最後に一点、伺いたいんですが、読売新聞の大阪版の昨年の八月二十七日に、先ほど紹介しました京阪神ケーブルビジョンが、アナログ障害対策を行っているわけですけれども、今までは、道路、鉄道会社などの補償についてはケーブルテレビを無料で放送してきた。それがことしからは、一部で始めた地デジについては有料になっている、今まで無料だったものが地デジに当たって有料にしていると、受信者から約三百件の苦情が寄せられているという話がありました。これなども電波障害の調査をやった上での措置なんでしょうか。その点についての経緯を明らかにしていただけますか。

○馳委員長代理 塩川君、質疑時間が終了しておりますので、最後の質問でいいですか。

○小笠原政府参考人 京阪神ケーブルビジョンにつきましては、そういう調査につきましては実施しているというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたことですが、デジタル化に際しまして、いわゆるこれまでの都市障害の共聴施設の移管ということに当たって、住民の方々の御理解を得るということも大変重要でございまして、住民の方々、受信者の方に対して、丁寧な説明、正確な説明ということをしていただくというのは大変重要なことでございまして、私ども、関係の方面に対してもそのようにお願いをしてまいりたいと考えております。

○塩川委員 この財団法人の問題について、それぞれの現況について改めてお話をお聞かせいただいて、また次の機会に質問させていただきたいと思っています。
 終わります。