<第169回国会 2008年4月15日 総務委員会 第15号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 今回の電波法の改正の中で、電波利用料の使途拡大ということで、その一つに、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備支援事業というのがあります。関連して、地デジ対策で、都市受信障害対策に関連してお尋ねします。
 都市受信障害対策共聴施設について、その原因別で分類しますと、一つに、航空機の運航に伴う電波障害対策というのが挙げられます。米軍基地や自衛隊基地につきましては、先日防衛省に確認したとおり、防衛省の責任で対応策をとることになっております。
 民間空港について、国土交通省に伺います。電波が航空機に反射したことによるテレビ画面のふらつきなどの電波障害対策について、民間空港につき、国土交通省としてどのような対策をとっているのか、その点についてお答えください。

○小野政府参考人 お答えいたします。
 航空機によるテレビの受像障害、いわゆるフラッター障害につきましては、財団法人空港環境整備協会におきまして、空港の円滑な運用の確保に協力するという観点から、その環境対策の一環として、昭和四十七年から、新たに開発されましたフラッター防止アンテナを各家庭に設置する対策を講じてきております。これまでに、全国五空港で二万本以上の実績がございます。
 このフラッター障害対策の対象空港は、障害が発生する可能性が高い、ジェット機が頻繁に離発着する空港において行っておりまして、実態調査をしっかり行った上で、実際にフラッター障害が生じておるということが確認された場合に、対策を講じておるところでございます。

○塩川委員 地デジ化に対応して、こういった電波障害対策を行っている空港において地デジに伴う電波障害の実態調査も行い、その結果、障害が認められれば、ふさわしい障害防止対策をとることが必要だと思いますが、その点についてはどのような対応となるんでしょうか。

○小野政府参考人 お答え申し上げます。
 今後、地上波デジタル放送が普及いたしました場合、その際、受像障害がもし発生するようでございますれば、これまでと同様に、財団法人の空港環境整備協会において実態調査をいたしまして、何らかの対策を講じていくことが必要になってくるのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 現行で対策をとっている空港というのがジェット機が頻繁に離発着をする空港だということですけれども、その辺の境といいますか基準というのはどのようになっているんでしょうか。その基準に当てはまらないような場合であっても現実には障害が出る可能性もありますから、そういった空港について何らかの電波障害対策をとる考えがあるのか、そのようなことについてのお話をお聞かせください。

○小野政府参考人 お答えいたします。
 先ほどから申し上げているように、実際に障害がございますれば実態を調査して対策をとるということでまいっておりますので、今後、もし実際に障害が出るといったような実態がございますれば、そのような苦情がございますれば、しかるべく対応することになると思います。

○塩川委員 成田や関空、中部空港といった民間の空港会社が措置しているのもあるそうですけれども、そこについても、地デジにおいて電波障害というのが認められれば適切に対応策を求めていく、そういうことについて国土交通省はどのようにお考えですか。

○小野政府参考人 お答えいたします。
 成田、関空、中部といったように、いわゆる株式会社が運営をしております空港におきましては、その株式会社が責任を持って環境対策をやるということになってございますので、もしそういう事実がございますれば、しっかり対応するように、それぞれの会社を指導してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 次に、高速道路などの道路の高架に伴う電波障害対策ですけれども、総務省に伺います。
 地デジ対策に関し、高速道路会社に、地デジについての受信障害の調査及び障害が認められた場合については工事費用負担を求める考えはあるのか、その点についてお聞かせください。

○小笠原政府参考人 今、高速道路の関係についての御質問でございますけれども、基本的に、デジタル化した場合に、デジタル化後、受信困難なエリアというのが発生した場合に原因者がどの程度補償するべきかというのは、成文法上定まったルールはございません。したがいまして、基本的には、いわゆる自治の原則と申しますか、その原因者と受信者の間の話し合いによるのが基本だと考えております。
 いずれにいたしましても、いろいろ前回でも御答弁申し上げましたが、デジタル化移行に当たっては、原因者あるいは事業者の方で視聴者の方に十分丁寧な御説明をし、御理解をいただいてその移行を進めるということが必要ではないかというふうに考えている次第でございます。

○塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、送電線などに伴う電波障害対策というのもございます。その際に、総務省として、電力会社などが、地デジにおいてはもう障害がないから対応策はとらないんだというようなことの説明も現場でしていると聞いているんです。
 実際に、その障害が地デジにおいて残るような場合であれば、電力会社に対しても同様に、まずは受信障害の実態調査も求め、障害対策を求めていく、そういうことについてもきちんと公益事業者として責任を果たすよう求めていく必要があると思いますが、改めて、いかがですか。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生今御指摘の、送電線等を原因とする受信障害への対応でございますが、これも共聴施設のデジタル化というものを進める上で大変重要な課題の一つと認識しておるところでございます。
 今御指摘になりました電気事業者の取り組みということでございますが、私ども総務省においては、各地方の総合通信局等を通じまして、取り組み状況を確認しているところでございます。
 それによりますと、地上デジタル放送の場合、送電線による受信障害というのは大幅に改善される見込みでございまして、その詳細な状況を把握するため、多くの事業者においては地上デジタル放送における受信障害範囲の調査を実施中と承知しております。その上で、多くの事業者は、受信障害が解消される場合は対策は継続しない、ただ、受信障害が継続する場合には何らかの対策を講じるという方針で、いわゆるこれまでの受信者等関係者への対策を進めていると承知しております。

○塩川委員 あと、前回もお聞きしましたけれども、受信障害対策を実施している公益法人、今回、京阪神ケーブルビジョンについてお尋ねしたいんです。
 前回、読売の報道を踏まえて、京阪神ケーブルビジョンが、道路、鉄道会社などの補償で受信障害世帯にケーブルテレビを無料放送してきたけれども、一部で始めた地デジでは有料となった。この京阪神ケーブルビジョンについて、先週の答弁で局長は、地デジ対応の障害調査を実施しているというお答えでしたけれども、これは、個々世帯といいますか全世帯をカバーするような調査ということなんでしょうか。

○小笠原政府参考人 財団法人京阪神ケーブルビジョンでございますけれども、平成十七年六月から九月までの間に、受信者の分布あるいは建造物の状況や地形等を勘案しつつ、計千百八十四カ所におきまして、デジタル放送の受信状況について調査を実施したと聞いております。
 財団からは、先生御指摘の全世帯というものの受信状況に関する調査というわけではございませんけれども、当該財団法人が提供しておりますエリアの受信状況の可否を把握するに当たっては十分な範囲のものであると聞いておるところでございます。

○塩川委員 大臣にお伺いしますけれども、受信障害対策を実施している公益法人において、東京ケーブルビジョンのように一部で不適切な対応があった、住民との関係で十分な説明責任を果たしていないという問題もありました。
 そういうものも踏まえて、例えばこの京阪神ケーブルビジョンも含めて、実際に地デジに移行することで受信障害が残るかもしれないのに、そういう実態の調査も行わずに、地デジ対応についての対応策はとらないということを決めるようなことがあってはならないわけで、今まで無料でケーブルテレビを提供していたのに有料にするようなことがあってはならないわけですから、そういう点についてきちんと、この京阪神ケーブルビジョンを含めて監督官庁としての指導を行う必要があると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

○増田国務大臣 お答え申し上げます。
 まず、東京ケーブルビジョンですか、あそこは地元への説明を全く行っていませんでしたので、これはやはりよくないわけでありまして、今、向こうの財団の方に話をして、私どもの方で適切な指導を行っているところでございます。
 それから、今お話がございました財団法人の京阪神ケーブルビジョンでございますが、これは、まず受信状況調査という受信状況の可否を把握するための調査ということでは、先ほど局長が話をしましたように千百八十四カ所でさまざまな調査をやっているわけでありますので、その関係での受信状況についての調査としては十分なものだ、こういうふうに聞いております。
 いずれにしても、今度デジタル化するに当たって、やはりこうした受信障害の発生を解消させるということが大変大事でありますので、この調査をきちんと生かして、この財団としても、加入世帯の皆さん方と十分な話し合いをするということが必要ではないか。これは私どもも、こうした財団についての指導ということは徹底していきたい、このように考えております。

○塩川委員 都市受信障害対策につきましては、地デジ移行に当たって、入り口の受信障害の実態調査というのが現時点ではなかなか進んでいない、こういう問題があると思います。そういう点で、地デジ移行に当たっての入り口での滞りということが問題になってくると思うんです。
 そこで大臣に伺いますが、昨年の八月の情報通信審議会の四次中間答申の議論の中でも、受信障害対策共聴施設について、公的な機関や公益事業の会社が所有者や原因者になっている施設については調査や改修などを前倒しして実施する必要があるんじゃないのか、こういう指摘もあったと承知をしております。
 ですから、国や、公益事業の電力会社とか鉄道事業者とか、あるいは道路公団、高速道路会社、空港会社など、これらの公益事業の会社が所有者や原因者になっている受信障害施設については、やはり国、公益事業者が個々世帯に対応した受信障害調査を実施することが必要だし、その上で障害を認めれば改修工事を行うように徹底すべきではないかと考えますが、その点、いかがでしょうか。

○増田国務大臣 今委員御指摘いただきましたとおり、都市受信障害対策共聴施設のデジタル化を促進するということから、調査なども早期に行うことは大変大事だというふうに私も思います。
 それから、御指摘のように、公共施設による受信障害への対応、これはやはり早くやっていく必要がございますので、公共施設による受信障害については、昨年の九月に内閣官房に設置されました関係省庁連絡会議で、関係省庁で連携すべき課題の一つとして取り上げられております。関係省庁とも連携して今取り組んでいるところでございますが、この趣旨を各省庁に徹底して、早目早目の対応に取り組んでいきたい。
 それから、電力事業者などいわゆる公益事業者等の大規模な施設所有者に対しても、これはやはり社会的責任ですとか事業の公益性ということがございます。そこで、総務省としても、受信障害範囲の調査の早期実施を含めて、共聴施設利用世帯への十分な周知、それから受信障害が継続する世帯に対する適切な対応ということを公益事業者の方に働きかけをしてございます。こちらの方も早目早目の対応が必要だ、こういう認識を私どもも持っておりますので、そういう公益事業者に対しての働きかけもきちんと行っていきたい、このように考えております。

○塩川委員 国や公益事業者がふさわしく責任をまず果たしていく、その点で、住民に負担を転嫁することのないように求めたいと思っています。
 あわせて、都市受信障害対策ということで言いますと、やはりマンションなどのビル陰の問題というのが大きいわけであります。その点についても、やはり費用が一定額かかるという点については、マンション住民にとっても、こういう負担のあり方について疑問の声もある。国策でやっているんだから国に負担してもらいたい、こういう率直な声などもあるわけです。
 そういう点で、重ねてお聞きしたいんですけれども、そもそも、都市の受信障害対策について、これを円滑に進める上で、入り口の受信障害調査について公的な支援を考える、そういうお考えというのはありませんか。

○小笠原政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、デジタル化に伴う都市のさまざまな受信障害共聴施設の費用負担というものについて、現在のところ、成文法上明確なルールはございません。したがいまして、私どもこれまで、いわゆる自治の原則に従って、基本的には関係者間の話し合いで行っていただきたいということを申し上げておるところでございます。
 ただ、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますように、デジタル化の今後の推進につきましては、先ほど先生御指摘のような都市共聴施設のデジタル化をどのように進めていくかといったことも含めて、今、情報通信審議会でさまざまな観点から幅広く御議論をいただいているところでございますので、その御提言も踏まえて、総務省としての必要な対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。

○塩川委員 マンションなどの受信障害対策とは別に、そもそも、集合住宅での共聴設備の改修も必要です。
 これは、参議院での総務委員会の審議の中で小笠原局長が、四階建て以上の地上デジタル放送に対応する実態調査についての報告に対しての答弁の中で、フォローアップ調査を現在もやっているという答弁がありました。昨年の三月の段階で、改修済みが五四%で、これからあるいは未対応というのは四六%ということですから、これのフォローアップがどういうふうになっているのか、現状どれだけ改修が進んでいるのか、こういう点についてお聞かせいただけますか。

○小笠原政府参考人 今先生御指摘の昨年の調査のフォローアップでございますけれども、現在実施を進めているところでございまして、来月には結果を取りまとめることができるのではないかと考えております。

○塩川委員 やはりこの間、共聴施設につきましては、辺地の共聴施設の問題と、それから都市の受信障害対策の問題と、マンションなどの集合住宅における共聴設備の改修というのが大きな課題として残っているわけです。こういう問題についてきちんとふさわしく進める上でも、入り口のその障害調査について、きちんとした対応策というのを今本当に進める必要がある、その点を重ねて要望して、質問を終わります。