<第169回国会 2008年4月17日 総務委員会 第16号>


○塩川委員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょう、電波法改正案についての修正案が出されました。修正案におきまして、手続の透明性を図ることや、また電波利用料の使途の明確化などを行う、この趣旨には賛成であります。その上で、法文上の規定などについて、若干の点について質問させていただきたいと思っております。あわせて、政府に対しても、関連して質問をさせていただきます。
 最初に、新たな電波利用料の使途として追加をされました、修正案の百三条の二第四項十号の「電波の能率的な利用を確保し、又は電波の人体等への悪影響を防止するために行う周波数の使用又は人体等の防護に関するリテラシーの向上のための活動に対する必要な援助」とは何を意味するのか、リテラシーという用語の定義も含めてお答えいただけますでしょうか。

○原口委員 お答えいたします。
 電波と名がつけば何でも使える、こういう状況がもしあるとしたらそれを変えなきゃいけない、だから限定するんだ、その中で一つ一つの条項を追加してきたわけでございます。
 先生がおっしゃるように、この第十号の事務は、混信等の妨害を生じさせずに無線設備を使用する方法、例えば違法機器の見分け方。あるいは、電波から人体、電子機器を守る方法。近くに心臓のペースメーカーをつけていらっしゃる方がいらしたら、電波がその心臓のペースメーカーに影響を与える、こういったことなどに関して国民のリテラシー、理解能力の向上を図るための周知、広報、啓発、教育等を意味しているものでございます。
 法文の中にリテラシーという言葉が初めて入るわけでございますが、広辞苑によると、読み書きの能力、転じて、ある分野における知識、能力という意味でございますが、この委員会でももう十年間近く、さまざまな新しいIT分野におけるリテラシー、あるいはメディアリテラシーという言葉がございましたように、一人一人の国民の理解、そして機器をしっかりと使う、使いこなす、そういうためのものというふうに考えております。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、今回の法改正の修正案の中で、標準電波の発射あるいは電波の安全性に関する調査、トンネル内での携帯電話送受信施設整備など、これまでその他規定で読んでまいりました事項を明文化する、そのことによって電波利用料の使途の明確化を図ることが今回の修正の趣旨だと理解をしておりますが、その点について確認をさせてください。

○石田(真)委員 お答えをさせていただきます。
 御指摘のとおりでございまして、これまで電波法の第百三条の二第四項柱書きのその他事務として行ってまいりました、今御指摘の標準電波の発射、あるいは電波の安全性に関する調査、あるいは電波遮へい対策事業などを明示的に各号列記することによりまして、電波利用料の使途の明確化を図るというものでございます。
 なお、先ほど御指摘ございました第四項第十号、周波数の使用や人体等の防護に関するリテラシーの向上のために行う事務につきましては、新しい事務といたしまして、本修正案により追加的に規定したものでございます。

○塩川委員 電波利用料の使途の明確化として、修正案の百三条の二第四項十一号に「電波利用料に係る制度の企画又は立案その他前各号に掲げる事務に附帯する事務」とありますけれども、これは、その他事務の中にあったものを切り出してここに入れたという趣旨だと思うんですが、何を意味するのか。
 従来、その他事務の中に電波利用料の徴収事務なども含まれておったと承知をしておりますが、この事務も含まれるのか、その点について、御答弁をお願いいたします。

○桝屋委員 お答えをさせていただきます。
 委員の御質問は、せっかく電波利用料の使途を明確化するということで条文を整備したにもかかわらず、最後にまた、その他といいますか、変なものがあるんじゃないか、そんな御懸念かなと思っております。
 この趣旨は、第十一号の事務につきましては、電波法第百三条の二第四項各号に掲げる事務にあくまで附帯する事務だ、こういうことでございます。
 具体的には、委員が御指摘になりましたように、その他規定で読んでまいりました電波利用料制度の見直し、あるいは政省令の整備などの企画立案、さらには今御指摘がありました電波利用料の徴収事務等も含まれているという理解でございます。今日までその他で読んできたものでありまして、これはやはり必要なことかなと、あくまでも附帯をする事務として規定をさせていただいた、こういうことでございます。

○塩川委員 道路特定財源でも問題となっておりましたように、例えば自動車を購入するような形、国民や、電波利用料を支払う免許人の理解が得られないような、そういう使い方はここには入らない、自動車を買うことはないということについても、その点いかがでしょうか。

○原口委員 まさに先生がおっしゃるように、この法律案の修正の意味は、透明性、公開性それから限定性を高めて、道路特定財源で議論をされていたような使い方ができない。これは特定財源と違って、先生御案内のとおり、一般会計の中に入って、そこのまたチェックを受けるものでございますが、国民の納税者としての理解が得られないような使い方はできない。そういう趣旨を盛り込んだものだというふうに御理解をいただきたいと思います。

○塩川委員 関連して、政府、総務省に伺います。
 改正案の百三条の二第四項六号、ここは、今回の法改正で、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備事業を新規に入れることに伴う電波利用料の使途拡大の改正の部分でありますけれども、その六号の中に「その他の必要な援助」という規定があります。ここにもその他というのがあるわけですけれども、この「その他の必要な援助」とは何を指すのかについてお示しください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘になりました「その他の必要な援助」といいますのは、今回新たに使途に追加した辺地共聴施設の整備などの事業の実効性を高めるための支援でございまして、具体的にはデジタル受信相談体制の整備を行うことを予定しております。
 内容は、今申し上げました辺地共聴施設の整備あるいはデジタル混信対策といった、今回の補助金の交付対象とする事業につきまして、その地域の受信者に対する説明会、あるいは現地での地域の実情に合った対応方策の調査などを行う拠点を地域ごとに整備するものでございます。

○塩川委員 デジタル受信相談体制の整備ということですけれども、それであればそう書けばよろしいんですが、「その他の必要な援助」ということになりますと、かなり幅があるわけです。デジタル受信相談体制の整備以外の事業はここに含まれないという解釈でよろしいんですか。

○小笠原政府参考人 法文でまいりますと、「その他の必要な援助」といいますのは、「当該無線通信の利用を可能とするために行われる次に掲げる設備の整備のための補助金の交付その他の必要な援助」でございまして、その内容についても、設備整備のための必要な援助に限定されるものと考えております。
 ただ、その具体的内容につきましては、二十年度予算におきまして予定しておりますのは、先ほど申し上げましたデジタル受信相談体制の整備のみでございます。

○塩川委員 現行の規定には、その他の必要な援助という項目はないわけです。新たに改正でつけ加わる。その中身については、今お話しのデジタル受信相談体制の整備、それは、あくまでも予算措置としてはこの項目が入っているよということですから、そこには当然幅があるわけで、あいまいさを残す規定となっている。そういうことが新たに入っているということを我々としてはしっかりと見ておく必要がある、このことを感じます。
 最後に大臣に、今回の修正案のように、法改正に当たっては、電波利用料の使途の明確化、こういう立場に立って、使い道を明確にし限定することに特に配慮する必要があると考えますが、どのように対応するのか、大臣としての御見解を伺います。

○増田国務大臣 お答えを申し上げます。
 今委員の方から御指摘がございましたとおり、私ども、この修正案の趣旨に沿いまして、使い道を、安易に拡大を行うことのないように、今後一層適正な対応に努めていきたい、このように考えております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。