<第169回国会 2008年4月24日 総務委員会 第18号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 法案に入る前に、一点、地デジ関連で確認をさせていただきます。
 最近の報道で、アナログの停波について二〇一一年に行う、その際に、一部地域については先行してアナログの停波を行うことはしないという趣旨の報道があったと承知をしております。
 昨年の情報通信審議会の地デジの四次中間答申の中にも、一部地域について先行してアナログ停波を実施する必要があるのではないかという提言があったかと思うんですが、一部地域において前倒しでアナログの停波を行わないという趣旨の報道内容というのは事実でしょうか。

○小笠原政府参考人 先生ただいま御指摘になりました、アナログ放送の停波を具体的にどのような方法で行うかということにつきましては、情報通信審議会でも検討課題の一つとされております。
 ただいま、放送事業者、NHK、民放事業者の方々とも、まず放送事業者側としてどのような案が考えられるか検討中でございます。近々、まず、情報通信審議会に放送事業者としての考え方も含めてそれをお話しし、その上で、審議会として、いわゆる視聴者側あるいは地方公共団体の方々等の御意見も踏まえまして、今年夏までに具体的な方法、案を考えて御提案をいただくべく検討しておるところでございます。

○塩川委員 私どもはもともと、アナログの停波そのものを延期すべきではないかと申し上げているわけです。
 その関連で、今回電波法の審議を行いましたが、辺地共聴、自主共聴に対する、地デジ移行に伴う財政支援スキームがつくられることになります。それ自身は私どもも賛成であります。その中で、視聴者の負担分を一世帯当たり三万五千円としているわけですけれども、その三万五千円となっている根拠は何なのか、この点について確認をさせてください。

○小笠原政府参考人 地上デジタル放送をごらんいただくための受信アンテナあるいはその設置工事の費用につきましては、受信者に御負担いただくことを原則としております。
 一般に、地上デジタル放送の電波が良好に届く地域の戸建て住宅の場合ですと、通常の工事を行う場合、これらの費用、つまり、アンテナ及びその設置工事の費用については三万五千円程度が必要となるものと承知しております。
 御指摘の、辺地共聴施設整備事業のうち、いわゆる有線共聴施設の整備におきましては、こうした一般の戸建て住宅の方々との費用負担の公平性に配慮いたしまして、これと同等の三万五千円を負担いただくことを前提に、今年度、平成二十年度予算において、事業費の二分の一を国が補助することを基本とした措置を盛り込んでいるものでございます。
 いずれにしましても、二〇一一年の完全デジタル化に向け、我々としては万全の対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。

○塩川委員 アンテナあるいはアンテナの取りつけの工事で三万五千円、戸建てを想定してということですけれども、当然、それに加えて、地デジ対応のテレビあるいは地デジのチューナーも必要になってくる。三万五千円プラスアルファの支出になるわけです。
 そもそも、今のアナログのテレビで満足をしている方もいるわけで、地デジ移行に伴い、国民・視聴者に一世帯当たり三万五千円もの負担を強いるものとなるわけで、この三万五千円もの負担を強いるということについて政府としてどのように説明をするお考えなのか、その点についてお聞かせください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 今御説明申し上げましたように、基本的に、受信に必要となる設備への負担、今先生もお話しになりました受信機、いわゆるテレビそのものの費用及びそれを受信するためのアンテナ等の費用につきましては、受信者の方々御自身が負担していただくことを原則として考えております。これは現在のアナログ放送でも同じというふうに考えております。
 したがいまして、私どもが支援措置を考えるという点でも、まずは、それを前提にさまざまな支援措置を検討していただくということになりますので、その点については御理解賜りたいと思います。

○塩川委員 アナログ放送のテレビを見ている、つまり、テレビを見ているという点においては、視聴者にしてみれば、アナログだろうと地デジだろうと変わりはない。地デジについてのメリットよりも、現行のアナログでの現在のテレビでいいという人は現にいるわけですから、今のテレビでいいという人に対して、アナログ波を停止します、地デジに切りかえてください、その際に三万五千円以上かかりますよといったことについて、どう納得してもらえる説明をされるわけですか。

○小笠原政府参考人 まず、デジタル放送につきましては、先生もよく御承知のように、大画面、高音質、さらにはさまざまなデータ放送を通じまして公共的な情報も提供される、あるいはデジタル放送の別な面で多チャンネルの放送も行われる可能性がある、あるいは携帯受信、つまりワンセグ放送でございますが、そういったことについても国民の利便性を大いに高めるものと考えております。
 またさらに、私ども、通信・放送全体から申しますと、地上デジタル放送で完全デジタル化を実施することによりまして、今大変逼迫しております携帯電話への周波数の再配分、あるいはITS等も含め、大きく言えば、放送から通信への電波の再配分が行われる、これは経済的にも国民生活的にも大きなメリットを及ぼすことになると考えております。
 そういった観点から、地上放送のデジタル化を進めているわけでございまして、その点について、受信者の方々も含めて国民の方の御理解をいただきたいと考えておるところでございます。

○塩川委員 白黒からカラーになる際でも白黒は白黒でずっと見続けられる。白黒からカラーになるという話とは違って、今回の場合は、アナログのテレビにおいては、地デジ移行でアナログ停波に伴えば見られなくなるわけですから。そういう点で、今お話しのように、大画面だとか高音質だとか多数の情報提供がされるという点についてメリットを感じないような人にとってみれば、三万五千円払わされるというのは納得がいかないという話になるわけです。
 そういう点でも、今お話しになったように、周波数の再配分を行うということがこの趣旨、目的の大きな理由であるわけですから、その周波数の再配分によって利益を受ける事業者が必要な負担を行うということが本来必要なんじゃないでしょうか。視聴者、受信者に負担を押しつけるのではなくて、この制度をつくり、また責務もある国と放送事業者、及び地デジ移行に伴って利益を受ける事業者がこの費用を負担する、こういう考え方でこそ対策をとるべきじゃないのか、その点について確認をさせてください。

○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生まさに御指摘になりましたように、周波数の大きな再配分が行われる、それは電波の利用者全体の利益になるということから、今年度予算に電波利用料を財源としますさまざまな支援措置を盛り込み、先般、電波法について御審議を賜ったものでございます。
 ただ、これも繰り返しになりますが、そうした電波利用料を財源としますさまざまな支援措置を盛り込むと同時に、デジタル化といいますのは、国民の皆様御自身にもメリットを与えるものでありまして、これは、都市の住民の方々あるいは地方の住民の方々、共通なものでございます。したがいまして、その点につきまして、住民の方々にも、特に受信設備につきましては基本的に公平な御負担をお願いしているということでございます。

○塩川委員 必要な費用負担は、視聴者に押しつけるのではなくて、国と放送事業者、そして周波数の再配分で跡地利用などで利益を受ける事業者が負担をするということが必要だ、あわせて、このアナログ停波についての延期ということを真剣に考えるべきだということを改めて申し上げます。
 法案についてですけれども、大臣に伺います。
 今回の改正案、オプトアウト方式からオプトイン方式にするということですけれども、もともと三年前の法改正におきましてこのことの議論が行われました。私自身も質問いたしました、オプトイン方式をなぜ導入しないのかということをただしましたけれども、オプトアウト方式でいくという話になったわけです。
 今回、オプトイン方式を導入するということになったわけです。ですから、三年前にオプトイン方式にしておけばよかったのではないかと思うんですが、その点については、大臣、どのようにお考えですか。

○増田国務大臣 確かに、十四年のこの法律の制定以降、十七年にも今お話があったような議論が行われたというふうに承知してございます。オプトアウト方式をそのまま続けたわけでありますけれども、全体として、そういった法律あるいは十七年の改正法の施行によりまして、法違反として申告された件数の増加などには歯どめがかかっておりますので、今の段階では限定的ということでしょうけれども、その部分についての成果は上がってきたのだろう。
 しかし、迷惑メールの量自体は依然増加傾向にあるわけでございますし、最近は、御承知のとおり海外発が急増してきているわけですね。
 それで、技術的にも、受信拒否の通知の電子メールアドレスを通知すること自身が、かえって迷惑メールの送信を招くということもございますので、やはりここは何らかの対策をきちんととっていかなければならない。国際的に採用が進んでいるオプトインに切りかえるということで、国際的な制度的整合性も確保して、今後、国際連携を強化していく。
 やはりこの問題は、特に迷惑メールの問題は、諸外国もそのようでございますけれども、ボーダーレスで、とにかく規制が緩いところ緩いところから送るということでございますので、あわせて、国際的な制度整合性と連携強化ということがこれは必ず必要になってくると思います。そうした中で、我が国も法体系も今回切りかえをして、そうした迷惑メールの発送されている今の実態に合わせたというのが今回の改正でございます。

○塩川委員 国際的制度の整合性、連携強化というお話がありましたけれども、もともと三年前この法改正の議論をした時点で、EUにおいては欧州指令においてオプトイン方式を導入しておりました。アメリカにおいても携帯についてはオプトイン方式を導入していたわけです。ですから、ある意味では日本は出おくれていたわけですよ。ですから、三年前のときにスタートをしていれば、まさにその時点から連携がとれていたわけだし、整合性もとれる、そういう状況になっていたわけです。
 改めてお聞きしますが、三年前にオプトインを実施しておけばよかったなという反省はございませんか。

○増田国務大臣 その当時、他の国もそうしたものに切りかえたというふうに理解していますが、ただ、その切りかえの効果を判断するに、三年前の場合はまだ非常に日数が浅い段階というところでございまして、したがって、その当時の政策選択としてオプトアウト方式の継続ということであったわけですが、その後のオプトイン方式に切りかえたことによる諸外国の成果というものも出てきたわけでございます。
 したがって、今のこの段階で、現行法の仕組みがそういった迷惑メールに十分に対応できていないということはまさにそのとおりだというふうに思いますし、三年前の段階でそこを判断するというには少し時間、日にちが浅かったのではないか、こういうふうに考えております。

○塩川委員 最後に一点、今回の法改正の中において、今回の法改正が悪質な業者の取り締まりにどのような効果が上がるのか。特に、迷惑メールの新しい手口としてのボットネットやフィッシングあるいは架空請求詐欺、これが増加をしている。これに対してどう対応することが可能なのか、その点についてお答えください。

○寺崎政府参考人 ボットネットを利用いたしました迷惑メールは、送信者情報を偽った電子メールでございまして、現行法におきましても直罰の対象になっております。また、フィッシングメールや架空請求メールにつきましては、それぞれ、不正競争防止法や刑法に違反した電子メールでありまして、通常、送信者情報を偽って送信されるものでありまして、その場合には特定電子メール法におきましても直罰の対象になります。
 今回の改正では、直罰の対象となる違反者を含めまして、法人に対する罰金の上限額を百万円から三千万円に引き上げることにより、抑止力の向上も図っております。
 さらに、送信者情報を偽って送信される電子メールに対しまして、電気通信事業者が役務提供の拒否を行うことが可能となる旨の規定も盛り込んでおります。この規定に基づく電気通信事業者の措置により、受信者がこれらの電子メールを受信することの防止が図られることになろうかと思います。

○塩川委員 実効性が上がる対応、対策を求めて、質問を終わります。