<第169回国会 2008年4月30日 本会議 第26号>


○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、地方税三法案を再議決すべしとの趣旨の動議に反対の討論を行います。(拍手)
 この四月一日を迎えて、一九七四年以来続いてきたガソリン税を初めとする道路特定財源の暫定税率が廃止をされ、三十四年ぶりに本則の税率が適用されるようになりました。今回の再議決は、これを覆し、暫定税率を復活させるものであります。
 反対理由の第一は、暫定税率復活反対の国民世論を無視する暴挙だからであります。
 世論調査でも、本来の税率になったガソリン税などの税率を暫定税率に戻すと答えた人の割合は、現在の税率を支持する人の半分しかありません。国民の多くは、混乱どころか歓迎をしております。国民は無駄と浪費の原因となった道路特定財源の構造を見直せと要求をしています。再議決は、こうした圧倒的な国民世論に反するものであります。
 反対理由の第二は、暫定税率の復活は、大増税を国民に押しつけ、物価高騰を加速させ、国民生活を圧迫するものとなるからであります。
 暫定税率分二兆六千億円の大増税は、後期高齢者医療制度などの負担増とともに、可処分所得が減少傾向にある国民の暮らしを直撃します。また、世界的な原油・原材料価格の高騰の影響が国民生活に出始める中で、物価高騰に拍車をかけることになるからであります。全国消費者物価指数の総合指数は六カ月連続のプラスとなり、七月からは電気、ガスなどの公共料金の引き上げが予定をされており、暫定税率の復活は、新たな負担を国民に押しつけるものになるのであります。
 反対理由の第三は、地方税法の再議決が道路財源に税金を充てるという目的税を継続するものとなるからです。
 福田総理は来年度から道路特定財源の一般財源化を言いますが、地方税法では、軽油引取税などは道路整備に充てるという目的税が掲げられたままです。道路にだけ税金を使うという仕組みを残したままこの法案を押し通すことは、総理の一般財源化の言明をみずから否定するものであります。
 政府・与党は地方財政が大変だと言いますが、そもそも地方財政の疲弊の原因は、九〇年代の国から地方への公共事業の押しつけ、また、三位一体の改革での交付税の大幅削減にあります。今必要なことは、国の責任で地方への財源手当てをすると政府が明言をすることです。それが、地方団体の地方交付税の復元、増額という要望にもこたえることにもなります。また、道路にも福祉にも医療にも教育にも充てられる一般財源化を図ることは、財源の自由度を高め、地方財政に資するものとなります。
 最後に、三法案の中には地方法人特別税等に関する暫定措置法案が含まれています。
 この法案は、法人事業税の税収の半分を国税化して、改めて国が地方法人特別譲与税として地方へ配分するというもので、国から地方への税源移譲に逆行するものです。また、法案では税制の抜本的な改革に言及をしており、将来の消費税率の引き上げにつながる懸念があり、見過ごすことができません。
 こうした法案までも含めての再議決は断じて認められないということを表明して、討論を終わります。(拍手)