○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 きょうは、法案につきまして、本会議でも指摘をした点ですが、官民人材交流に関連して官民癒着問題について質問したいと思います。 この間の防衛事務次官と防衛産業、防衛企業との癒着の問題ですとか、あるいは薬害をめぐる製薬企業と厚生官僚との癒着の問題など、官民癒着に対する国民の疑念というのはますます高まってきているところです。この点について、過日の本会議の私の質問に福田総理は、「もとより、交流が官民癒着との疑念を抱かれることなく、国民の信頼を得られるよう進めていくべきことは当然であります。」と述べておられます。 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、こうした官民癒着の疑念を抱かれないようにすることが公務員制度改革の柱の一つだと考えておりますが、大臣はどのように御認識でしょうか。 |
○塩川委員 今回の法案においても、官民癒着の疑念を招かないようにするということが改革の柱としてうたわれるべき趣旨だと思っておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。 |
○塩川委員 その官民人材交流に当たって、当然、透明性の確保とかそういうしかるべき措置をとるということが求められております。その点は法案でもうたわれておりますが、そういう趣旨で透明性の確保を図るということだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。 |
○塩川委員 ですから、そういう流動性を高める上でも、透明性の確保を確立することが重要だと考えますが、大臣はいかがですか。 |
○塩川委員 官民の人材交流について、七条の点で、手続の簡素化及び対象の拡大を行うという点で大臣の御答弁がありました。民間の負担軽減のための手続の簡素化の問題についてはまた後で御質問しようと思いますが、その七条で今、対応をとる前提として「透明性を確保しつつ、」とうたっているわけでありますから、そういう立場で当然この法案は臨んでおられるということだろうと思います。 そこで、現行の官民交流の制度について人事院に伺います。 民から官に人が移る、こういう交流がどのような制度で行われているのか、その点について最初に伺います。 |
○塩川委員 その四種類の中で、民から官に来てまた民に戻るということを前提としているのは、このうちのどの制度でしょうか。 |
○塩川委員 ほかの制度は同一企業に戻ることを前提としておりませんが、官民人事交流法は同一企業に戻ることを前提として制度がつくられております。こうした交流は官民癒着の疑念が生じるわけで、官民交流法はその疑念が生じないような規制をとっておると思います。 官民人事交流法において官民癒着の疑念が生じないようにどのような規制が行われているのかについて、簡単に御説明ください。 |
○塩川委員 今お答えになった中で、許認可権限のある府省との間ですとか国と契約関係のある民間企業との間の交流制限、また、同一の民間企業との継続的な人事交流に関する制限、この二点が交流基準などを念頭に具体化されておるわけですけれども、こういった制限を設けている趣旨がどういうところにあるのかについて、改めて。二つの角度、官職の制限の部分もそうですし、あと同一企業との継続的な人事交流を制限している、それぞれどういう理由で設けられているのかについて、もう一回お願いできますか。 |
○塩川委員 こういった規制というのは官民人事交流法にあるわけですけれども、先ほど挙げていただきましたその他の人事交流の制度、任期付職員法ですとか国公法に基づく選考採用ですとか、非常勤職員もそうですけれども、今答弁いただいた規制は、官民人事交流法以外のその他の制度にはあるんでしょうか。 |
○塩川委員 許認可権限のある府省との間の民間企業の交流制限、許認可権限のある役所の方には行けませんよ、あるいは同一の民間企業について継続的な人事交流はだめですよといったような規定は、ほかの制度にはあるんでしょうか。 |
○塩川委員 今お話のあるように、官民人事交流法と同様の制限がすべての制度に並びであるわけではありません。そういう点でも、今お話しになったように、戻ることを前提としていないほかの制度では対応が違っているというのが実情であるわけです。そこで、ほかの制度とは違って官民交流法は民間企業から来た人が再びもとに戻ることを前提としていますから、その対応が十分かどうかというのは置いておいても、癒着の疑念が生じないようにするためのさまざまな規制を設けているわけです。 そこで、具体的な事例でお聞きしますけれども、本会議質問でも紹介をしました原子力安全委員会の規制調査官の点であります。 原子力安全委員会事務局の規制調査課に、規制調査官として二〇〇三年四月から、三菱重工業、三菱電機、日立製作所から任期付職員法で受け入れております。この方たちは任期が終了して出身企業に戻られたと思いますけれども、確認させてください。 |
○塩川委員 二〇〇三年に来られた方は、二〇〇六年に出身企業に戻られております。二〇〇六年にその後任という形で、任期を引き継ぐような形で、やはり別な方でしょう、いずれにせよ、先ほど紹介しました三菱重工業、三菱電機、日立製作所から任期付職員法で同じ規制調査官のポストに入っております。 この方たちの任期が終了しましたら、出身企業に帰る予定になっているのではありませんか。 |
○塩川委員 事実上の人事交流といいますか、特定の企業から受け入れて、帰って、また同じ企業からいらっしゃると。 この人事交流の場合には、官民癒着の疑念を抱かれないように、先ほどの官民人事交流法などでのさまざまな規制はもとより、透明性の観点からも交流先企業は公募となっていると承知をしておりますが、これらの民間企業から任期付職員法で採用した方たちは公募で採用されておられるんでしょうか。 |
○塩川委員 これまで特定企業からの推薦で受け入れていたわけです。 任期付職員法は、先ほど確認しましたように、出身企業に復帰することを前提としておりません。そういう点で官民人事交流法とは違う規制になっているわけです。 事実上の官民交流人事をしながら、官民交流法の規制を逃れて、いわば任期付職員法で実質的な官民交流を継続するというのは、実態として脱法行為なのではないのかと率直に思いますが、しかるべく見解をお聞かせいただけますか。 |
○塩川委員 いや、法令上もともと足りないものではないのかということを聞いているわけですけれども。 もともと原子力安全委員会というのは、規制官庁、保安院などに対する監視、監査などを行うわけですけれども、しかし、その規制官庁のもとには、電気事業者やあるいは原発のメーカーがあるわけですね。ですから、本来監督される立場の民間企業の人間が、その規制官庁を監視する立場の原子力安全委員会の事務局にいるということ自身に、やはり疑念が生じるんじゃないでしょうか。それで、特定のポストのように、特定の企業から行っては帰る、行っては帰るという形になっているという点でも、極めて官民癒着と言われるような実態というのがうかがえる。そういう点でも問われるものですし、そういう意味でも、同一企業との継続的な人事交流に関する制限が適用されないような脱法的な扱いは是正されなければならないと考えます。 民間企業から任期つき職員で採用している場合に、原子力安全委員会事務局に限らず、内閣府の中でも、ほとんど出身企業に復帰、また復帰予定となっております。また、ほかの省庁でも同様の実態にあると承知をしております。こういったような脱法的な措置によって、法が求める透明性が確保できないような状態が政府全体に蔓延する可能性というものもあるわけで、そういう点でも現状が問われているわけですけれども、その上に、今回の法案でさらなる官民人事交流を拡大するということが先ほど大臣の御答弁でもありました。 そこで、大臣に伺いますが、官民人事交流法の人事交流の定義に基づいての具体化が行われるわけですけれども、官から民に行くという点での目的というのはお話のあったとおりだと思いますけれども、営利を目的とする民間企業が官の方に来る、民から官ですね、そういう場合の官民人事交流を行う利益、メリット、それは民間企業にとってはどういうものなんでしょうか。 |
○塩川委員 総務省に官民人事交流推進会議というのがございまして、昨年から三回ほどにわたって審議を行ってきていると承知をしております。 その中でも紹介されております総務省の人事・恩給局の委託研究「民間企業等における官民人事交流に対する意識に関する調査研究」の報告書、昨年、平成十九年の三月ということで出されている報告書がありますけれども、この報告書というのは、「本調査研究の主眼は、官民人事交流の相手方である「民」側の真意・本音を可能な限り如実に引き出すこと、」民間企業の官民交流についての本音を聞き出すということを目的にしている調査なんだということをうたっております。 その中で、具体的に民間側の官民人事交流のメリットについて指摘をしております。「民側の能動的な働きかけによる民から官への派遣を通じて、民側が得たいと考えているメリットを整理すると以下の三通りが考えられる。」といって、一つが「派遣する社員の人材育成」、二つが「官庁等との人脈・ネットワーク形成」、これなどは先ほど大臣がおっしゃったことだと思いますけれども、同時に三つ目に、「新たなビジネス機会の創出」とうたっているわけですね。つまり、ビジネス機会の創出というのが直接的なメリットとなるんだということをここでは民側の本音として紹介をしているわけです。 ですから、官民人事交流を推進するとした場合に、民間企業が人事交流で官に人材を出すときに、その人材が官の中で出身企業の新たなビジネス機会の創出のために業務を行うとすれば、官民癒着そのものじゃないのか。官民人材の交流を推進する、拡大するといった場合に、こういった疑念が、民のメリットを尊重した方向で進められれば当然官民癒着の疑念というのが拡大するんじゃないでしょうか。「民間企業その他の法人の意向を適切に把握した上で、」と第七条にもうたわれているとおり、官民人材交流というのは官民癒着の疑念をさらに拡大するということになるのではありませんか、大臣。 |
○塩川委員 いや、そのようにおっしゃっても、要するに本音ベースでいったら、やはり官民人材交流といえば新たなビジネス機会の創出というのが大きな目的、ねらいなんだということを願っているということがここに示されているわけです。そういう点でも癒着防止の規定の強化こそ必要なわけですけれども、今回の法案ではその点はどうなっているのかを伺いたいと思います。 法案では、この官民人材交流について七条で、「その透明性を確保しつつ、手続の簡素化及び対象の拡大等を行うこと。」とありますけれども、この手続の簡素化、対象の拡大、先ほど大臣から少し先行して御答弁をいただきましたが、改めて確認でお答えいただけますか。 |
○塩川委員 手続の簡素化ということで、交流制限作業の簡素化という点では交流基準の見直しということになるわけです。先ほど御紹介しました官民人事交流推進会議の第二回の会合で出されている資料に、「官民人事交流に関する各省からの意見等」ということで、どうやったら官民人事交流が進むのかということについて、ここで書かれております。 要するに、進まないのをどうしたらいいのかというのについて、「交流基準の見直し等」ということで、「連続交流制限の緩和」「派遣先企業の不利益処分等による交流制限の緩和」、行政処分を行ったような場合についてはストップよというのについて、ちょっとその辺を緩和してくれとかいう話ですし、「所管関係の規制は事後行為規制とする」ということで、事前規制を事後チェックに切りかえましょうという話ですとか、「交流先の業務制限の緩和」などもうたわれています。 ということは、今大臣がお話しになった手続の簡素化は、ここで挙げられているような緩和措置を行うということでよろしいんでしょうか。 |
○塩川委員 否定もされませんでしたし、官民癒着防止の規定が見直しの対象となることは明らかです。 この委託研究の報告書では、民間企業の意見として、官民交流と官民癒着は境界が不明確だということなども述べています。いわば官民交流と官民癒着は紙一重なわけで、癒着防止の制限を規制緩和するのでは、さらに官民癒着を拡大するのではないかという懸念を申し上げて、きょうの質問を終わります。 ありがとうございました。 |