<第169回国会 2008年5月21日 内閣委員会 第17号>


○塩川委員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也でございます。
 先週に続きまして、官民人事交流に関連して質問をいたします。
 昨年の国家公務員法の改正法では、再就職に係る事前規制が廃止をされ、行為規制が導入をされました。そこで、人事院に最初に何点か確認をさせていただきますが、現在の官民人事交流法の交流基準では、この国家公務員法の再就職規制と同じ考え方をもとにした基準となっていると承知をしておりますが、いかがでしょうか。

○尾西政府参考人 官民人事交流法におきましては、公務の公正性を確保するという観点から、今御指摘の交流基準というものを定めております。その中で、所管関係にあります民間企業あるいは契約関係にあります民間企業との交流制限ということも盛り込んでおります。
 その内容を申し上げますと、まずは、国の機関と民間企業が所管関係、つまり許認可等の関係にある場合の制限、それから、国の機関と民間企業との間で一定以上の契約関係がある場合の制限、国の機関と民間企業との間の契約手続に現にかかわった職員なり民間の従業員についての制限、民間企業の役員等が刑事事件に関して起訴された場合などの制限、そういったような制限が盛り込まれておりまして、人事院が官民人事交流に関して寄せられます計画を認定することになっていますけれども、その認定の際には、こういった点も含めて確認しておるところでございます。
 なお、こういった公務の公正性の確保という点につきましては、これは国会の附帯決議においてもそういう要請がなされているというところでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 これは官民人事交流についての各省からの意見ということで寄せられているわけですけれども、昨年の国公法の改正では、再就職に係る事前規制が廃止をされて行為規制を導入することとなっている、現行の官民交流法の交流基準である人事院規則二一―一は、国家公務員法百三条と同じ考え方をもとにした規定であると承知をしているという指摘があるわけですけれども、それは、そのとおりということでよろしいですか。

○尾西政府参考人 いずれも、官民癒着の疑念を起こさない、そういう観点から設けられているということでございます。

○塩川委員 官民癒着をもたらさないという観点から設けられているということですけれども、民から官に来る場合にはいろいろな制度があります、任期付職員法もありますし、選考採用などもありますけれども、その中で、官民交流法がこういう規制を設けられているというのはなぜなんでしょうか。

○尾西政府参考人 官民交流法の場合は、企業から国にやってきまして、またその企業へ戻るということを前提にしておりますので、それだけに、官民癒着ということについては気を使っているということでございます。

○塩川委員 民間から官に来て、官からまたもとの企業に戻るというのが官民交流法の趣旨なので、それがほかの制度との違いで、官民癒着を招かないようにという点での交流基準、制限が設けられているという話でした。
 今回の法案で、官民人材交流の制度の抜本的見直しとして、手続の簡素化とあります。前回の質疑で渡辺大臣の御答弁で、官民人事交流法における交流制限に伴う対象確認作業等の手続の煩雑さが指摘をされている、企業側の負担感も大きいことから、これらの手続について、より簡素化する方向での見直しが想定されるというお話でした。
 そこで、人事院に伺いますが、官民交流法における交流制限に伴う対象確認作業等の手続とはどのようなものなんでしょうか。

○尾西政府参考人 官民交流の実施に当たりましては、交流計画というのを出していただきます。それを認定いたします。その際に、先ほど申し上げましたような、交流制限についても問題がないかチェックするわけでございます。そのときに、企業の方から必要な資料などを出してもらいまして、それを見てチェックしていくということでございます。

○塩川委員 交流計画を出してもらう、その中で交流制限について問題がないかチェックをする、その作業ということですけれども、それが煩雑だということで大臣が答弁されたわけです。
 そこで、大臣に伺いますが、官民人材交流の抜本的見直しと今回の法案でうたわれているわけですけれども、その見直しの対象として、官民交流法の交流基準であります人事院規則の二一―一も含まれていると考えてよろしいんでしょうか。

○渡辺国務大臣 具体的な制度化の内容については基本法成立後に検討されることになります。御指摘の人事院規則二一―一も検討の対象になるものと考えております。
 当然、検討に当たっては、官民の人事交流が官民癒着という疑念を抱かれることのないよう、公務の中立性、公正性に十分留意すべきものと考えます。

○塩川委員 検討の対象となるということでした。昨年の国公法の改正に倣って官民交流法の交流制限についても見直すということになるわけです。
 そういう点では、昨年の議論のときにも天下りの自由化という問題を我々は批判したわけですけれども、今回は、民から官に来て、その官にいる人がまた民に戻るということの部分についても、昨年と同様の、いわば天下りの自由化となるんだという方向での見直しということも対象となっているわけですから、これはやはり国民的には納得がいかない、受け入れられないのではないでしょうか。昨年の我々の言う天下りの自由化に次いで、今回も新たな天下りを拡大するということになるのではありませんか。

○渡辺国務大臣 我々は、官民の人材交流が、天下りという固定的な人事の配置とは全く別の世界であると考えております。
 天下りというのは、まさに各省が人事の一環としてはめ込んでいくやり方をいうわけでございますから、まさしく日本型のリボルビングドア、官民の人材が行ったり来たり、官から民へ、民から官へ、官から民から官から民からという形で流動化が行われていくのは、今現在行われてまいりました天下りとは根本的に異なるものと考えております。

○塩川委員 この官民交流法の制限緩和の中で、もともと民間の人が官に来て、その人がまたもとの企業に戻るということが癒着を招くという点では民間企業側からも懸念の声が上がっているわけですけれども、国民的にもこれは官と民が密接な関係にあるということを疑わざるを得ないという状況がさらに拡大する方向での見直しという点が重大だという点です。
 そういう点で、重ねてお聞きしたいんですけれども、先週の質問で紹介をしました総務省人事・恩給局の委託研究の「民間企業等における官民人事交流に対する意識に関する調査研究」、この中で、民間側が官民交流によって得たいと考えているメリットを整理すると三点ということで、派遣する社員の人材育成、二点目が官庁等との人脈・ネットワーク形成、三点目に新たなビジネス機会の創出とうたわれているわけです。
 企業として直接のメリットとなるのがこのビジネス機会の創出だということになるわけですけれども、大臣としては、こういう人材育成ですとかネットワークの形成というのは、官民交流の趣旨として、民間側のメリットとして大臣もお考えになって答弁をされておられると思うんですけれども、この新たなビジネス機会の創出になるようなメリットが生じる官民交流というのも、これはもう容認されるものだとお考えですか。

○渡辺国務大臣 官の世界が民の世界と隔絶したものでなければならないと我々は考えておりません。官の世界というのは、まさに国家公務員が国民全体の奉仕者であることからもわかるように、民のためにあるという位置づけができようかと思います。余りにも官が肥大化することによって民を圧迫してしまうというのは、まさしくこれぞ本当の勘違いというやつでございまして、我々はこういう世界から脱却をしていこうというのが行政改革の一つの基本理念でございます。

○塩川委員 民のためにあるというのは、国民全体の奉仕者としてあるわけで、一部に対する奉仕になってはならないわけですよね。ですから、特定企業にとって新たなビジネス機会の創出になるような官民交流というのは容認されるのか、そこをお聞きしているんですけれども、どうですか。

○株丹政府参考人 私ども行革事務局でございますので、総務省さんの調査の具体的なことを必ずしもよく承知をしているわけではございませんけれども、これまで官民交流につきましては、官民交流人材法がございますように、官民交流について政府として積極的に推進をしてまいる、こういう認識のもとでやってきておると思っておるところでございます。
 ただ、他方で、実際の人数等を見てまいりましても、官民交流についてはそれほど促進をされているという状況にはないということを踏まえて、総理のもとにおきます懇談会でも、より積極的に進めてまいるべきだ、こういうことで御議論が行われ、今回、官民交流法の抜本的な改革を含めて基本法の中で取り上げさせていただいている経緯というふうに承知をしてございます。
 具体的にビジネスチャンス云々ということについては、繰り返しになりますけれども、よく承知しておらないわけでございますけれども、官民交流が促進をされなかった理由ということにつきましては、民間企業側のニーズに必ずしも即していなかったのではないか、こういうような御指摘もございますので、そういう点もよく踏まえて、抜本的な改革について基本法成立後に十分に検討してまいる、こういうことだと承知をしてございます。

○塩川委員 現行の官民交流法が民間のニーズに即していないという点での見直しということになりますと、今言った新たなビジネス機会の創出というニーズ、メリットにこたえる方向になるんじゃないのかという懸念が出てくるわけです。
 そこで、具体例を挙げてお聞きしたいんですけれども、内閣府の規制改革会議、その事務局であります規制改革推進室における民間企業出身者の現状についてお尋ねをします。
 現在、規制改革推進室には、何人の方がいらっしゃって、そのうち民間出身者の方は何人従事をしておられるんでしょうか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 現時点におきまして、規制改革推進室の室員は合計三十一名であり、そのうち民間からの非常勤職員は十八名でございます。

○塩川委員 お手元に資料を配付させていただきました。内閣府の規制改革推進室が作成した資料です。字が小さくて恐縮ですけれども、推進室の担当表ということで、左側に「総務・総括等」ということで各分野が示されています。真ん中から下の方に「分野」、あと「タスクフォース」、昔はこれはワーキンググループと言っておりましたけれども、各分野ごとにそれぞれ、企画官や幹事、担当の方がいらっしゃる。そこに官の方もいらっしゃいますし、民間の方もいらっしゃる。机を並べて仕事をしておられるということでしょう。
 そこでお尋ねしますが、ここでは企画官とかいう肩書が紹介をされているんですけれども、実際に民間から来ておられる方の職位として、政策企画調査官、それから政策調査員という方がいらっしゃるとお聞きしているんですが、それぞれどのようなお仕事をするものなのか、それから、要するに役所の中のポストではどこに相当するのかという点についてお答えいただけますか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘ございましたように、規制改革推進室におきましては、民間からの非常勤職員は、政策企画調査官あるいは政策調査員として勤務しております。
 まず、政策企画調査官につきましては、役所のいわゆる企画官クラス、若い方の課長職レベルのお仕事でございまして、参事官、いわゆる課長級の職務のうち専門的事項の調査企画及び立案を助けることとなっております。
 一方、政策調査員につきましては、役所ではいわゆる課長補佐のレベルに相当する仕事でございますが、規制改革推進室の所掌に係る専門的事項の調査及び分析に関する事務に従事しているところでございます。

○塩川委員 この民間からいらっしゃった方は、ここでお勤めになった後、離職後、退職後は、それぞれの出身元の企業に戻られているというのが現状でしょうか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 民間からの政策調査員等は、民間企業等の職員の身分を有しつつ、非常勤の国家公務員として位置づけられているものでございます。したがいまして、任期満了等で離職した場合には、非常勤の国家公務員としての身分を失い、当該企業等の職員の身分が残る形となるものと承知いたしております。

○塩川委員 ということで、身分を持ったまま来ていらっしゃって、離職をすれば当然もとの職場で働くということになるわけです。
 今の答弁とも重なるんですけれども、採用方法はどうなっているのか、この点についてお答えください。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 採用方法につきましては、関係団体や複数の企業等からの推薦に基づき採用を行っているところでございます。

○塩川委員 その関係団体ということでいいますと、日本経団連なども含まれているということでよろしいですか。

○小島政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 これは、実際に採用のルールにのっとってという点でいいますと、受け入れの根拠は人事院規則の八―一四にのっとった非常勤としての採用というふうに承知をしているんですが、その点、確認させていただけますか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 八―一四というのは非常勤の職員ですけれども、ほかにも民から官にいらっしゃる場合の採用の方法はあるわけで、そこで重ねてお聞きしますが、例えば官民人事交流法を使うとか、任期付職員法を使うとか、あるいは選考採用、こういうものによらずにこの八―一四で行っている理由というのは何なんでしょうか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 規制改革推進室の業務という観点で、規制改革は、官から民へ、民間企業の自由な事業活動を阻害する規制制度の改革を行うということ、それをサポートするという観点から、民間の事業活動で、実際に事業をされていた方々の知識経験を有するという観点から、関連する団体、複数の企業等から推薦を依頼しているところでございます。

○塩川委員 サポートするという立場で、非常勤でも可能ということなんでしょうけれども、もう一回、その採用の方法についてお聞きしたいんです。
 先ほども紹介しました総務省の委託研究の報告書の中で、要するに、民間からの採用のやり方について官と民でどういうやり方がありますかという中に、特定プロジェクトモデルという言い方をして紹介をされている部分があるんですね。今までは、官と民のそれぞれの人事担当の部署がやりとりして、役所と企業のやりとりの中で、この人、この人という形での人事交流をしようとなるわけですけれども、そうでない方があるということで紹介をしているのがこの特定プロジェクトモデルです。
 どういうふうに紹介しているかというと、「「規制改革会議事務局」や「中央省庁等改革推進本部事務局」等に対する民間からの派遣のケースのように、政府全体での志向性を有したプロジェクトに、特別の意図をもって民間人材を幅広く登用するケース」だと。「特定プロジェクトモデルにおいては、財界や業界団体等を通じて多数の民間人材が招集され、集団(チーム)として派遣される」、このように紹介をしております。
 そこでお尋ねしますけれども、今ここにも規制改革会議事務局と例示をしているように、規制改革推進室においても今紹介したような形で行われているということでよろしいですね。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただいた内容については十分承知してございませんが、あくまでも非常勤の国家公務員として、週五日、一日六時間の勤務となっておりまして、特定の案件について従事していただく、それから、もちろん国家公務員としての守秘義務もかかっておりますので、組織としてのガバナンスもいたしておりますので、御指摘のような問題にはならないと思っております。申しわけございません、以上、お答えをいたします。

○塩川委員 実態がこうだということで御紹介したまでなんですが、勤務時間につきまして、今御答弁で、週五日で、勤務時間は一日六時間以内、非常勤ということであるわけですけれども、そうすると、週五日来ているわけですね。曜日はわかりませんけれども、月曜から金曜なんでしょう。週五日来ているけれども、非常勤だから、常勤に対して四分の三を超えることがないという点で六時間。すると、週三十時間は勤務をしているというのが実態ということでよろしいんでしょうか。

○小島政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 給与はどうなっているんでしょうか。政策企画調査官、それから政策調査員について、それぞれお示しください。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 政策企画調査官は一日当たり一万五千二百円、政策調査員は一日当たり八千六百円となっているところでございます。

○塩川委員 年収にすれば、例えば政策調査員、課長補佐級の方が日当八千六百円といいますと、年間二百五十日ぐらい勤務となれば、年収二百万円相当ということになるわけですね。このままでは、よく言われるワーキングプア、そういう状況になってしまうわけですけれども。
 ちなみに、先ほど言った役所の課長あるいは課長補佐クラスの方の標準的な年収は幾らぐらいなんでしょうか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 人事院の資料からの引用でございますが、本府省の課長補佐クラス、年齢三十五歳、配偶者、子一人という方の年間給与は約七百三十万というのがモデル給与例として挙げられているところでございます。
 それから、課長職、これは先ほど申しました政策企画調査官に相当する部分については当該モデル例に載っておりませんが、例えば、本府省の課長、四十五歳、配偶者、子二人といたしますと、年収約千二百万という例示が挙がっているところでございます。

○塩川委員 公務員の方であれば課長補佐クラスで標準七百三十万、それが非常勤で、そうはいっても週五日は出ているわけですから、そういう方が二百万というので大分差があるわけです。
 資料を見ていただきますと、ここでやりとりしました政策企画調査官というのが企画官と相当している部分ですね。それから、担当の方などになるんでしょう、そういう方の中にいらっしゃっている民間企業の方は政策調査員に当たる方になるわけです。この企画官に相当する方、民間の方も三人いらっしゃるということで、経団連と三菱商事、あと、ここには出ていないんですけれども、日本郵船の方がいらっしゃるということでした。
 そうしますと、企画官のもとにそれぞれ担当の方がいらっしゃるということになりますと、非常勤、パートタイムの企画官のもとで各府省の常勤職員、フルタイムの方が仕事をしているということになっているわけですね。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 組織図的に申し上げますと、その上に参事官、そしてその上に私、室長がおります。これは常勤の国家公務員でございますので、フルタイムの仕事となってございます。
 ただ、今先生御指摘のとおり、当該資料に載っております企画官職は、あくまでも週五日、一日六時間勤務の体系となってございます。

○塩川委員 ラインの図も紹介してもらいましたけれども、今言った、室長があって、参事官があって、その下に政策企画調査官という民間の方が三人いらっしゃって、その下に参事官補佐、政策企画専門職という役所の方がいらっしゃる。政策調査員という民間の方もいらっしゃる。ですから、ラインでいえば、非常勤の企画官のもとに常勤、フルタイムの役所の方がいるという構図になっているわけなんです。これでサポートという状況なのかなというふうに思うわけですね。
 それで、今のこういう職場の状況をずっと大臣、お話を聞いていただいて、実態とするとどうかなと思うんですが、感想で結構なんですけれども、こういった今の組織の状況についてのお考えをお聞かせください。

○渡辺国務大臣 昨年、私、規制改革担当大臣をやっておりました。その事務局にこうした民間からの人たちがたくさんいて、意見交換なども行ったりしてまいったのでありますが、やはり民間の感覚が生かされる、企画立案にそういうセンスを取り入れていくということは非常に大事なことだなという感想を持ったことがございます。

○塩川委員 そういった方がパートタイム、非常勤で、その下に常勤の人がいるという組織のあり方という点についてはいかがですか。

○渡辺国務大臣 今回の基本法の中には、いろいろな形で、例えば民間からの中途採用あるいは公募を通じた任用等、いろいろな民間からの採用ルートを定めているところでございます。

○塩川委員 実際、民間企業が自分の社員を推薦して、こういう役職についてもらうといった場合に、あなたはパートタイムですよ、日当八千六百円ですというので行きたいという人はいないんじゃないかなと率直に思うんですよね。ですから、実態とすれば、この民間企業出身者というのは、公務における日当だけではなくて、要するに出身元企業が給与の補てんを行っているというのが現状ということですかね。その点、確認させてください。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 個別企業のことでございますので、具体的なことにつきましては承知いたしておりません。

○塩川委員 では、そういう実態はないということなんですか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 実態の有無についても承知いたしてございません。

○塩川委員 役所で週三十時間以内の勤務をしている。それ以外の時間で出身元企業で仕事をしているということはあるんですか。

○小島政府参考人 お答え申し上げます。
 あくまでも、私どもの組織としてお働きいただくのは事務室にいらっしゃる週三十時間のことでございますので、それ以外の時間帯での勤務の実態等については承知いたしておらないところでございます。

○塩川委員 出身元の民間企業が給与補てんをしているということを否定されませんでした。
 先ほども紹介しています報告書の中でも、官民交流の中で民間側からの意見、不満というのも出されているわけですけれども、そういった中に、「公務員の純減分を民間企業の手弁当で補充することを目的とするような官民人事交流の拡大なのであれば、即刻やめてほしい。」公務員の方は減らしている、その穴埋めのように民間から人を入れる、その場合に手弁当だと。
 まさにこのように、非常勤の方が手弁当で来ているということになるわけですけれども、大臣、どうなんでしょう、手弁当で社員を派遣している民間企業のメリットというのは何なんでしょうか。

○渡辺国務大臣 民間企業のメリットというよりも、民間のセンスを生かした人材登用が必要な時代であると考えます。
 例えば私、今、金融担当大臣をやっておりますけれども、金融庁においては、民間からの採用が二割程度になっております。また、証券取引等監視委員会におきましては、民間からの登用が三割ほどになっております。そういった人材を活用しなければ金融行政が回らない、そういう時代になっているものと認識をいたしております。

○塩川委員 いや、この具体の事案で、手弁当で来ている人たちなんですよ。そういう人たちを派遣している企業があるわけですよね。実態は、差額分については、もとの会社における給与を補てんするということが行われているわけです、そのことは役所の担当の方はおっしゃっておられましたが。
 いずれにせよ、人も出す、それだけじゃなくて、給与についてもいわば自分の方でかぶって出してくるというのが実態なんですけれども、そういった企業にとって、まさに手弁当で人を送り出している企業にとってのメリットは何なのかということをお聞きしているんです。

○渡辺国務大臣 そういったことについてお聞きをしたことはございません。
 しかし、民間の企業の中では経験できない公務の企画立案に携わることができたというのは、大変なメリットではないでしょうか。

○塩川委員 ですから、規制改革事務局での仕事を通じて得ることのできたそういう情報などが生きてくる、それがいわば先ほども紹介した新たなビジネス機会の創出、ここが民間企業側のメリットなのではないのかということです。
 そこで、私、一昨年の予算委員会で取り上げた規制改革問題を紹介したいんです。
 高度医療での医療機関に株式会社が参入できるという規制緩和が行われました。医療産業特区というのを設けて、今まではできない営利企業、株式会社による医療機関の設立がそこで可能となる規制緩和です。神奈川県内で第一号としての診療所を開業したのがバイオマスター社というところでした。ここは、株式会社のバイオマスター社の主要株主にオリックス・キャピタル、それから三菱グループのダイヤモンドキャピタル、それから日本生命系列のニッセイ・キャピタル、これが出資をしている。
 一方、この規制緩和を主導した規制改革・民間開放推進会議、その事務局の、今は直接それに該当するのは推進室の担当表にはありませんけれども、当時、医療ワーキンググループというのがありまして、まさに医療機関への株式会社参入を議論していた、その事務方を務めていた医療ワーキンググループには、先ほど紹介した株主に対応するオリックスと三菱商事と日本生命からの出向者が在籍をしていたわけです。
 つまり、規制緩和推進担当の事務局在籍企業と規制緩和第一号の株式会社医療機関の出資者が一致をしているわけです。ですから、いわばみずから規制緩和を行い、みずから真っ先に参入し、みずから利益を得るという構図になっているわけです。改革利権などということも言われましたけれども。
 大臣に伺いますが、これがまさに、民が官に来てまた戻る、こういう官民交流の名のもとでの官民癒着が生み出している新たなビジネス機会の創出ということになるんじゃないでしょうか。これが民間企業側のメリットということではありませんか。

○渡辺国務大臣 昨年の国家公務員法改正におきまして、かなり厳しい行為規制というのを盛り込んでおります。退職者が口ききをするというような行為を通じて一定の構成要件に該当した場合には刑事罰をもって処断する、そういう規定も盛り込まれたところでございます。
 したがって、官民人材の流動化に伴う弊害の部分は、このような規制をもって処断することが可能になっているところでございます。

○塩川委員 契約関係にある中での口ききなどは当然認められないわけで、そこまで至らないとしても、そういう状況にないとしても、官にいることによって得た情報に基づきビジネスチャンスを得ることができる、まさに規制緩和などがそういう対象だと思いますけれども、みずから開いておいてみずから参入するという構図というのが容認される方向であれば、これはやはり国民の理解が得られない、官民癒着が拡大をするということにつながらざるを得ないということで、今回の法案は、そういう点でも、官民人事交流法の規制緩和で堂々と官民癒着が拡大できる方向に規制緩和を進めるものだという点で大きな問題をはらんでいるということを指摘するものです。
 次に、法案にあります「議院内閣制の下での国家公務員の役割」に関連して、条文にも即してお聞きをしたいんです。
 渡辺大臣は先週の委員会で、政務専門官、政官接触規制の意義について、この規定は、真の議院内閣制を実現するために置かれたものであります、すなわち、官僚主導制、ともすれば官僚内閣制などとやゆされるシステムが、大臣の御意見はさておきなどといってロビーイングを許してしまう、そういう危惧を持っていますと答弁をされておられます。また、真の議院内閣制を実現するためには、内閣主導の体制を実現するためには、内閣主導の体制、すなわち政治主導の体制を確立していくことが大事なことであって、そのような官僚主導のロビーイング活動を根本的に規制していこうという趣旨でこの規定を設けたものだと答弁をされておられます。
 そこでお聞きしますが、この政務専門官また政官接触規制、その意義は、官僚の側のロビーイング活動を規制することにあるということでよろしいんでしょうか。

○渡辺国務大臣 現在、国会議員と公務員との関係については、必ずしも明確なルールがございません。本来、大臣を支えるべき公務員が、大臣の方針とは関係なく国会議員などとの折衝を行い、結果として政策決定における政治主導を損ない、官僚主導とも言われる状況を生み出しているという指摘がございます。
 今回の基本法案では、まさにそういった指摘を踏まえて、議院内閣制のもとで公務員が内閣、内閣総理大臣及び各大臣を補佐する役割を適切に果たすよう、大臣の指揮監督のもとで政と官の接触の集中管理を行うものでございます。

○塩川委員 官僚がロビーイング活動をした場合に、例えば道路特定財源問題で、道路特定財源は必要だと官僚が国会議員を説得して回るという場合で、実際に幾ら国交省の官僚が国会議員を回っても、我々は説得されるものではありません。総理が一般財源化と言って、例えばそれに反して官僚が道路特定財源は必要ですという根回しをする際に、普通は国会議員であればみずからの判断でということになると思うんですけれども、官僚がロビーイング活動をすることが問題ということになるとすれば、官僚に説得をされる国会議員がいるから大臣の言う官僚主導になるということですね。官僚の言うことがもっともだということで説得をされる国会議員がいる、それが前提となっているからこういう対応をとるということでよろしいんですか。

○渡辺国務大臣 今回の法案では、議院内閣制という言葉が入っております。これは本邦法律の中で初登場した言葉でございます。
 今まで、議院内閣制という概念がいわば空気のような存在であったのかもしれません。しかし、我々は、まさにこの議院内閣制という言葉をこの基本法の中に加え、真の政治主導というものを回復しようと試みているわけでございます。

○塩川委員 時間が参りましたので、次の機会に続けて行いたいと思います。
 ありがとうございました。