<第169回国会 2008年5月22日 内閣委員会 第18号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 国家公務員制度改革基本法案の質疑に当たりまして、皆様からそれぞれ貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。早速ですけれども、堺屋参考人と加藤秀樹参考人にお伺いさせていただきます。
 政官接触の制限の問題ですけれども、堺屋参考人は、官僚が国会議員を説得して回る、内閣や大臣の方針と異なることも珍しくないと。そんな中で、具体の例として、高速道路や郵政事業の民営化に関してその点が著しかったということのお話をされているのを承知しております。ですから、官僚が政治家に内閣の方針にそぐわない働きかけをする、それは問題だ。同時に、これに応じる政治家の側があるわけで、政治家の側の問題でもあるわけですけれども、そういう点で、与党政治家と官僚の癒着こそ問題ではないのか、その点についてのお考えをお聞かせいただければと思います。
 それと関連しまして、加藤秀樹参考人に、資料の方でも弱い内閣の例として与党議員と官僚との関係が示されております。同様に、与党議員と官僚の癒着という点が問われているのではないかと思うわけですが、その点についての御見解、御所見をいただきたいと思っております。

○堺屋参考人 確かに、与党議員の中に、官僚と癒着という言葉が正しいかどうかはちょっとわかりませんけれども、親しくして、官僚の意見に影響を受けやすい人がいることは事実のようであります。官僚と接触していることで特別の情報を得られる、あるいは自分の意見を官僚に吹き込むことができる、そういうような利点もあると思うんですね。やはりこれは、与党議員であっても、大臣が官僚と議員との接触についてはコントロールして、どんな話をしたのか完全に大臣が握ってなきゃいけない。それで、大臣の意向と違うもので与党議員を説得して切り崩そうという官僚がいたら、これは命令違反だと思いますね。
 だから、そういう意味でも、これは与野党に関係なく、大臣が何を説明してこい、こういうことを説明してくる、それでもし間違いがあったら議員から大臣を追及する、こういう仕掛けになりますと、大臣も隠し立てもできないし、うそも言えない。責任がはっきりした方がいいと思うんです。そうでないと、いつ、どの役人がどの議員さんと接触をして何を言ったのか全然わからない状態でございますと、内閣、大臣として政治があいまいになります。もし大臣と違う意見を持っている公務員がいたらそれは配置がえをするとか、そういう意見の違うところには置かないような人事もやる必要があると思いますね。
 御指摘のように、与党議員との接触にかなり問題のあることは事実だと思います。

○加藤(秀)参考人 今、堺屋さんがおっしゃったことでもう尽きていると思いますけれども、これは癒着というよりは、内閣あるいは大臣を軸にして、大臣が仮に社長あるいは役員であれば、公務員はそれに仕えるスタッフですから、これは一体でないといけない。一方で、大臣以外の政党の議員と内閣を構成する閣僚も、これは政党という単位で一体であって、その一体の軸のところに大臣あるいはそれのまとまりとしての内閣があるというのが、くどく何回も申し上げますけれども、議院内閣制の原理原則ということなんだと思います。その軸をバイパスして、国会議員全体と公務員の行き来が野方図に行われている、むしろそちらの方が中心になっているというのが今の日本の現状で、それを何とかしないといけないということなんだと思います。
 ですから、バイパスすることによって大臣あるいは内閣の力も弱くなる、それから、大臣以外の、内閣の外の議員に対するいわゆる根回し的なことにエネルギーなり時間の本当に過半を割くような状況によって、公務員自身も本来の仕事ができなくなって、官庁というものの力が弱くなっていくというような、全体としての政治、行政の劣化を招いていることの、これが最大の要因だと思います。したがって、やはり原理原則に戻って、そこをきちんとすることが大事だと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたけれども、具体的にどうするかということについては、全面禁止から、政府案あるいはそれに対する対案の中でいろいろな知恵が出てきているわけですから、私は、まずはいろいろな試行錯誤からやっていくべきではないのかな、ただし、なるべく原理原則に近いところでスタートをしていただきたいなと考えております。

○塩川委員 癒着と言われるような構図をなくすということと同時に、やはり何としても透明化を図るということが何より一番の力だと思っております。そういう点では、与党、野党を問わず、透明化を図るという具体的な手だてが求められていると思いますし、野党側にしてみれば、官僚機構の問題点を明らかにする、是正させるという点におきましても、具体的な情報提供を求めるということについては、これはこれとして、制限されるようなものであってはならないというのが私どもの考えであります。
 次に、堺屋参考人に、キャリア制度の見直しの点について一点伺いたいわけです。
 身分固定的なキャリア制度をなくすという際、特に採用の問題でお聞きしたいんですが、1種、2種を改めて総合職、一般職ということになるわけですけれども、一つは、総合職は何人ぐらいの採用ということをそもそもイメージされておられるのか。今の1種の、全体で五、六百人ぐらいでしょうか、そういう規模に対して、多いのか、少ないのか、あるいは現状なのか。
 それとの関係で、総合職の人が実際幹部になっていくのは半分程度なんだということも制度懇の中での御議論にあったそうですけれども、その点についての堺屋参考人のお考えと、今回の法案がそれとの関係でどのようなものになっているのかについてお聞かせいただけますか。

○堺屋参考人 具体的な人数につきましては、明確な計算はしておりません。これから、官僚といいますか公務員の労働需要がどのぐらいのものになるのか、公務がどれぐらいのものになるのかということも問題でありますが、現在の1種よりはやや少な目であろうと思います。そして、途中採用で、大学院から来る人、それから一度どこかへ勤めて来る人、そういうような人々がどんどん入ってくる、そして一方では、また違った職場へ行く人がいる、そういう流動性の中で煮え立つような競争と実績の社会ができるべきだ、こう考えております。
 したがって、これから基本法から具体法になるときに、どれぐらいの人数を採用すべきか。これは一括採用でございますが、そのときに、自分がどういうところへ行きたいという希望も出してもらいます。そして、その希望は大体数年から十年後にはいつでも出しかえられる。大学を卒業したときにはAという経済官庁がいいと思ったけれども、やってみたらBという福祉官庁の方が自分に向いていたと思うかもしれませんし、公務を実験されて、実際に働いてごらんになって、自分の適性を探せるチャンスもつくりたいと思っています。また、公務員になってみたけれども、自分は総合職より一般職に向いていると思う方も出てくるでしょう。
 人生がいろいろと変わる中で、最初に、大学を卒業した瞬間に人生を固定してしまうというのは、一見安全なようですが、大変残酷な制度なんですね。この制度の中で埋没していった、利点を発揮できなかった個性は何万人もおります。そういう枠をはめたために、かえって不幸になった人もたくさんいます。それはまた、官庁の側でも不適任の人を抱えるということになりますから、常にこれは、身分ではなしに、そのときそのときに流動するんだという形で、途中採用も入れながら、また、一般職や技術職の方からかわられる方、その逆等を入れながら考えていくべきだと。
 人数につきましては、そのニーズを、どれぐらいになるか、これから研究する必要があると思います。

○塩川委員 人材の流動性の中で、外からも必要な人材をということだと思います。そういう点では、有為の、有能な人を民間から迎えるということも今後ふえていくんだろうと考えますけれども、その場合の官民交流におきまして、当然のことながら、一定のルール、節度、モラルが求められている、その点の整備が求められるんだと思います。
 その点で、今回、官民人材交流の推進ということで、官民人事交流法についての見直しのことも掲げられております。
 そこで、重ねて堺屋参考人に伺います。
 私も委員会で取り上げているんですけれども、個人が民から官に来る、官からまた別なところに行く、こういうのは起こり得るでしょう。現にあると思います。それとは別に、特定の企業から特定の官の所属に来て、そのところからまた特定の企業に戻るということが現にあるわけで、官民人事交流法というのはもとの職場に戻ることを前提にしている制度であるわけですけれども、その点についての制限の緩和という方向になりますと、特定の官と特定の企業の癒着、官民癒着という批判というのがやはり免れないのではないかと思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせください。

○堺屋参考人 確かに、そういう官民癒着、あるいは特定の企業と特定の官庁との間に人事交流が定期化したときに問題が起こるという御指摘はございますが、実際問題として、今までそういう形のことが問題になったことは余りございません。
 例えば、私どもが閣僚をしておりましたときに金融監督庁というのをつくりました。これは、そういう金融検査の経験者が役所の中に少なかったものですから、公認会計士や金融機関から相当大勢の人に入っていただきました。けれども、それによって特定の企業と癒着したという例はございません。
 また、私が閣僚のときに、管理職以上、局長から課長まで六人ほど、学界の人とか企業の人とか来ていただいたんですが、そこで問題が起こったこともありません。
 つまり、官民交流が公になっている方が問題が起こらないんです。むしろ、そういうきちんと交流しているのは問題は起こらない。
 それから、今回は、二年で帰るんじゃなしに本当に公務員になってしまってもらう、そして、それからは生涯公務員として働いてくれることを前提とした途中入省。二年で帰るという、天上がりと言われる制度じゃなしに、途中で入ったら、それは局長にも次官にもなろうという人たち、そういうような途中入省をふやしていこうということです。
 これは、日本全体の労務の流動性、労働人口の流動性と対応した形で、時代時代に応じた能力者を取り入れようということですから、それが官民癒着に直ちにつながるとは思いません。
 ただ、その可能性はないとは言えませんから、その点はやはり監視する必要はあると思います。だけれども、原則としてもう公務員になってしまうんですから、そういうことは極めて起こりにくいことだと思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、労働基本権、労働者の労働の実態の問題について、田中参考人と加藤健次参考人にお伺いをしたいと思っております。先ほど、労働基本権の回復、協約締結権の付与について堺屋参考人と加藤秀樹参考人に問いがございましたので、田中参考人と加藤健次参考人に。
 もともと、専門調査会では協約締結権の付与と言い、制度懇では尊重するとなり、しかし今、法案にはその点が検討とだけなっている。この点についてのお考えを、田中参考人と加藤健次参考人にお聞かせいただければと思います。

○田中参考人 懇談会での考え方は堺屋参考人がお話しになりましたので触れませんが、確かにこの十二条を見ますと、非常に難しいですね。さっと読んだときはわからなくて、二回か三回読んでやっと、ああ、そういうことかとわかりました。これは我々の懇談会のそれと同じであるのか後退しているのか、その議論をしても仕方がないんですが、この内閣委員会では、どうも後退しているんじゃないかというふうな御意見だったと私は伺っております。確かにそういうことかもわかりません。
 私は、基本的に今の公務員、例えば行(二)の人も事務次官も指定職の人も同じ規定の仕方でやっているというのは、やはり問題があるのではないかと。基本権、特に協約権ぐらいまでは与えられる人たちというのは随分あるでしょうし、場合によると、もうきれいに分けて、三権与えてもいい職種もあるかもわからない。
 ただ、そういう議論を全部含めてここで検討しますと、要するに、国民が理解できるように説明してくださることが不可欠ですよとこの法律はなっておるので、そこから議論して悪いことはないわけでありますから、その前提を、労働基本権、できることから付与していくということを前提にしながら検討していくことは、それはそれで結構ではないかと私は思っております。

○加藤(健)参考人 実はこの議論は、私の知るところだともう十年ぐらい、ずっと同じトーンで推移をしています。本来ならば、二十一世紀に入るところの省庁再編あたりで決着がついていなきゃいけない問題だったと私は承知しているんです、その後ILOからも勧告が来ておりますので。
 それで、基本的立場としては、先ほども申しましたように、これは保障すべきだという判断がなければ国民を説得しようにも説得する知恵もわかない、やはり基本的な権利にかかわる問題です。
 それからもう一つ、歴史的に言いますと、今、国家公務員に労働基本権が制限されているというこの法制自体が、実は国民的な議論でそうなっているわけじゃないんですね。新しい憲法のもとでは、当然、公務員も労働基本権が保障されるという前提でスタートしたはずだったんですが、これは占領軍の指示で今の体制ができていますから、はっきり言って、国民的に議論して今の体制ができているわけではない。ですから、これを原則にまず戻すという方針を明確にして、その上でいろいろな、さっき私が申しました具体的な議論をし、国民の理解を得る。
 それから、もう一つ申し上げたいのは、今は民間も含めて争議権等の労働基本権の行使がなかなかしづらい状況になっています。ですから、民間の状況を前提に公務員の権利を考えると、順序が間違いじゃないかと僕は思います。やはり本来保障すべきものは保障する。これは民間労働者も公務員労働者も一緒であるということを大原則として提起していかないと、この条文のまま通ると、恐らくまた十年後に同じような議論をしている可能性が高いと思いますし、せっかくの機会ですから、ここは議会ですので、まず議会の方でこの段階で保障するという方向だけは何とか明確にしていただいて、具体的な議論、具体的にどう制度設計するか、手当てをするかは各論、これぐらいまではぜひお願いしたいというふうに思っています。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 続いて、やはり田中参考人と加藤健次参考人に職員の労働実態の問題でお聞かせいただきたいんですが、長時間労働、サービス残業の問題がございます。
 制度懇での議事録を拝見していますと、田中参考人からこの問題でお話があったと承知しております。民間企業であれば労働基準監督署から指導が入って何億とか何十億というバックペイが命ぜられるのに、そういう不払い労働の問題が中央官庁では全く放置されている、こういう御発言があったというふうに承知をしておるんです。
 田中参考人が承知をしておられる公務の長時間労働、そういう中で不払い労働があるということであれば極めて重大ですけれども、そういう違法行為ということについての御認識をお聞かせいただきたいと思います。
 加藤健次参考人からも、冒頭の陳述の中で長時間労働、サービス残業が蔓延をしているというお話でございましたから、具体の例などございましたら御紹介をいただければと思っております。

○田中参考人 手元に議事録を持っておりませんので、私がどう発言したか、たくさん発言していますので定かでございませんが、公務員の長時間労働につきましては二つほど申し上げておきたいと思います。
 私も、もう現職を離れてから十年以上になりますので、最近はどうかということをよく若い人と議論するんですが、長時間労働については余り変わっていないどころかひどくなっているという問題、それは国会との関係が一つあり、各省との法律案なりあるいは政省令の協議で非常に時間をとっている。覚書の問題は、いっとき、十年前ぐらいに住専の問題で覚書が問題になりましたが、最近は大分減っていると聞いておりますけれども、私は確認しておりません。
 それからもう一つ、労働時間の問題と、ぜひとも言っておかなければいけないのは、定員が非常に制約されておる。これは行政改革で数値的に削減されていくわけでありますから、先ほども御議論ございましたが、その中でパートタイマーとか、いわゆる仕事は実際に公務員と同じことをしながら正規の公務員ではないという人たちがふえているやに聞いております。昔は局長の秘書などでも全部正規の公務員だったんですが、今は大体そういうことではないと。しかし、非常に秘密を守るポストですよね。いや、それは非常勤であっても秘密を守らなければいけないんですけれども。
 もう一回、そういう公務員そのものの種類あるいは仕事の内容とその類型とを切り分けて、どう政治をしていくのかということも重要なことではないかと思います。このことは、今御質問の長時間労働に関係がある話として、申し上げておきました。

○加藤(健)参考人 これも平成十八年度の白書から引用しますと、最近やはり国家公務員の病気休職が非常にふえているということで、十八年度で全体の二・〇四%、六千百五名で、うち、いわゆる精神、行動の障害、メンタルヘルス系の病気による病休が三千八百四十九人、全体の六三%という数字が出ています。つまり、長時間労働で非常に、しかも、働いても働いても、働いていないと外ではたたかれるということもあって、なかなか精神的にきつくなっている。
 先ほど言いましたように、いわゆる三〇%が正職員じゃないという状況は、その裏返しなんですね。本来職員が賄うべきところが足りないからみんな長時間働く、それでも足りないからやむを得ず本来の仕事を正職員じゃない人がやる、この悪循環になっているというふうに考えます。
 この間の公務員制度の議論というのは、基本的に公務員の数を減らすというのが基調だったと思うんですけれども、統計的に見ると、日本の公務員というのは世界的に見て決して多くないんですよね。やはり必要なところには必要な人を配置するという議論もこの際必要じゃないか。そうじゃないと、今言ったように、建前としてはこれでやっているはずなんだけれども、実際には少人数で回している、足りないから本来の形じゃない人を雇う、これをどこかで断ち切らなきゃいけないというふうに思います。
 そういう中で、例えば、もっと大きなことを考えろとか、天下国家のことを考えろとか、あるいは目の前にいる利用者の国民の立場を深く考えろとか言われても、なかなか余裕がないというのが実際じゃないかという意味で、なぜかこの間の公務員制度の議論を聞いておりますと、何か減らすことばかり考えていて、やはり必要なところはちゃんとふやすという議論もしていただかないと、恐らく、先ほどから参考人の先生方がおっしゃっているような、例えば誇りを持って仕事をするということが実際にはなかなか難しいし、それから、利用者の方から見ても、なかなか親切じゃないとか、つっけんどんだとか、そういう話が出てくるということですので、ぜひ、必要な人員は幾らぐらいなのか、それを議論の中身にしていただきたいということ。
 そのためにも、やはりそういうことは、現場の労働者が、我々の仕事をするにはこれぐらいの人員が必要だ、そういう交渉ができて、それが最終的に実現するかどうかは別として、労働者がそういう権利を持って当局と交渉ができるという体制をこの機会に確保する。それが一番、言ってみれば現場から上がった実情を反映した数になると思います。それをどう最終的にやるかどうかは別ですけれども。
 そういう意味でも、団体交渉権それから協約締結権の問題というのは、そういうことを積み上げていく上でも非常に重要な意味を持っているというふうに私は考えています。
 以上です。

○塩川委員 関連して加藤健次参考人に伺いますが、非常勤職員の問題であります。
 田中参考人のお話にもありましたように、定員という制約があって、一方でのサービス残業と他方での非常勤職員の拡大という格好が、現状、大きく公務の現場に広がっているんだろうと思います。
 私も何度か、総務委員会などでもこの問題を取り上げたり、さきのこの法案での本会議質問の中でも非常勤職員問題を取り上げて、これは福田総理の御答弁でも、こういう問題について人事院は調査を行っている、これに関連して各省庁が協力をして何ができるのか検討していく、こういう御答弁でした。
 そういう点での官製ワーキングプアと言われるような現状について、先ほど、そういう非常勤の職員のあり方の問題、賃金職員のお話もございました。こういう官製ワーキングプアと言われるような非常勤職員の問題についての現状、その点についての問題解決の方向などについてのお考えがありましたら、お聞かせください。

○加藤(健)参考人 今御指摘のあった問題は、やはり基本的には定員をどう定めるかというところに帰着する問題ですが、ただ、現実にそういう方がもう相当数、十数万いらっしゃるわけです。
 一つは、この間、自治体も含めて、そういう方が任期が切れたという理由でほうり出される、実質的に解雇されるという事件があります。裁判所でも、大分今までとは違って、そういう雇いどめの仕方は違法であるというのが、去年、中野区の民営化に伴う保育士の雇いどめ事件で出て、結局、現職復帰されたようです。それから、国家公務員についても、何年か前に、国立情報学研究所というところで十数年繰り返し更新して働いてきた女性の職員について、初めて、雇いどめは無効である、つまり、雇用の継続を認めるという判決が出ました。残念ながらこれは高裁で覆りまして、今、最高裁で争っています。
 したがって、今現実にいる国家公務員の中の非正規の方については、少なくとも民間並みの法理、正職員と同様に繰り返し働いてきた人についてはきちっと雇用保障をしていく方向で、これはやはり法整備が必要だと思います。裁判所もかなり最近は踏み込みましたけれども、最後は立法論だということを言うことが多いので、この機会に、現実に存在する人たちへの規制というのは別途考える必要があるだろう。
 雇用保障がないことと、それから職場が長時間労働などのいろいろなストレスもあって、実際に労働組合の話を聞くと、そういう非正規の方へのいわゆるセクハラだとかパワハラ的な嫌がらせ事件もかなり起こっておるんですね。そうやって全体的に職場が荒廃するとか士気が低下するという問題が起こっていますので、基本的には私は定員の問題だと思いますけれども、現に存在しているそういう十数万の、地方公務員を入れるともっと大きな数になると思いますが、現実にどう権利を守るか、雇用を保障するか、あるいはそういう嫌がらせとかを防止するかという策は、これは別途何らかの形でこの機会に検討をしていただきたいというふうに思います。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。