○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 きょうは、議院内閣制のもとでの国家公務員の役割等に関する条文、特に政務専門官、政官接触制限に関連して御質問いたします。 ここに、各府省に、国会議員への政策の説明その他の政務に関し大臣を補佐する職として政務専門官を置くとあります。この政務専門官は何人ぐらい配置をされるお考えなのか、その点をまずお聞かせください。 |
○塩川委員 まず、政務専門官の人数の点については、この前、本委員会の質疑の中でも、渡辺大臣が堺屋氏の懇談会での議論を紹介しまして、局長、審議官クラスが二、三名、課長クラスが五ないし十名、補佐クラス若干名と例示をされておられる、そのように紹介されています。それが一つのイメージかと思いますけれども、そういう点でいえば各省に数十人程度ということになるわけで、いずれにせよ、制度設計はこれからということです。 その上で、今お話にもございましたが、国会議員への政策の説明とは何を指すのかという点についても、法案の説明を含むとおっしゃっておられましたが、もう少し、法案の説明以外に例えばどんなことが政策の説明に含まれるのか、その点についてお答えいただけますか。 |
○塩川委員 その他の政務という部分で、国会や政党との連絡、交渉を初めとする政治、行政との調整を行うということです。その前にあります国会議員への政策の説明の中には、法案の説明とともに、例えば行政の業務の執行状況についての説明を行う、いわば国会の監視機能を果たす上で、行政がどのようになっているのかという国会議員の問いに対しても政務専門官が答えるという仕組みになっているということでよろしいんでしょうか。 |
○塩川委員 そうしますと、業務の執行状況の説明についても入っているということでよろしいですよね。 |
○塩川委員 限定的に考えていないということですから、幅広くということを含めて、法案の説明もそうですし、業務の執行状況の説明なども含んでいるということであります。 その上でお聞きしたいんですが、国会議員の仕事の一つは行政に対するチェック機能を果たすことにあります。行政の業務の執行状況について、その説明を国会議員が求める場合があるわけですが、その場合、政務専門官がそういう業務の執行状況の説明も行うということになるわけですけれども、行政の業務執行の全般にわたって、各省数十人という政務専門官が国会議員の質問に全部答えることが可能なんでしょうか。 |
○塩川委員 実際に行政の業務の執行全般に携わっていない政務専門官の説明だけでは足りないということですから、担当部局の職員が必要になる、その点での規律を設けるという話でありました。いずれにしても、政務専門官だけでは足りないということです。 あわせて、法案につきましても、この間、年間百本ぐらいの閣法が出され、各省ごとにでこぼこがあったとしても十本前後ぐらいの法案が提出をされているわけですけれども、当然、この法案の審議に当たって、国会議員が、法案のスキームがどうなっているのか、その法案を提出する背景や、また、これが具体的にどういう影響を与えるのか、こういう問題についてただす必要があるわけです。この政務専門官に法案の説明も含まれるということですけれども、政務専門官は法案に係る専門的な知見をすべて持ち合わせているわけではないと思いますけれども、その場合でも、当然、直接担当の職員の方が足を運ぶということになると思うんですが、その点はいかがでしょうか。 |
○塩川委員 政務専門官だけでは足りない、その他の職員が国会議員と接触をすることになる、その場合に規律を設けるということになります。 あわせて、政務専門官が行うその他の政務について、先ほどの御答弁で、国会や政党との連絡、交渉を初めとする政治、行政との調整ということが挙げられておりました。これは、現在国会対応などを担ういわゆる大臣政務官の仕事と重複しているんじゃないかと思うんですが、その辺の違い、整理というのはどうなっているんでしょうか。 |
○塩川委員 国会議員、特に、行政をチェックする、あるいは閣法に対してその法案をただす立場にいる野党の国会議員にとりまして、こういう政務専門官というのは、要するに余計なものといいますか、もともと、法案のチェックにしてみても行政の監視機能を果たす上でも、必要な人は呼ばなくちゃいけないわけで、それに加えて政務専門官がいるというのは非常に中途半端でありますし、先ほど言った大臣政務官の業務と政務専門官のその他の政務というのがダブっているという点では、実態として、政務専門官というのは現行の制度の上にお荷物として乗っかっているだけじゃないのか、こういうのが私の率直な受けとめであります。 そういう点で、大臣に伺いますが、国会議員が内閣提出法案の検討ですとか行政監視の職務を果たす上で政務専門官は本当に必要なのか、必要ないんじゃないのか、このように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。 |
○塩川委員 法案では、政務専門官以外の職員が国会議員に接触することも大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けるとあるわけで、そういう点では、我々が政府をただす場合に、こういう規律というのが、法案のチェックをしたり行政に対するチェック機能を果たす上での障害、制約となり得る、そういう懸念というのはぬぐえません。 そういう点でも、国会議員の活動を制約する政務専門官、政官接触規制の規定というのは取り除くべきだということを思いますが、大臣、その点、改めてお答えください。 |
○塩川委員 そういう点について、もちろん法文上にもありませんし、あった場合であっても、もともと規律を設けるという形での、制約を設けるという点での新たな障害をつくることになりかねないということを改めて指摘するものであります。 もともと、この政官接触の規制、政務専門官を設けようというその意義として大臣が強調されておられるのが、大臣の意見はさておきなどといってロビーイング活動を行う、こういうことを許してしまう、そういう危うさを持っているのが現行の官僚主導制などとやゆされるシステムなんだということを述べておられます。この官僚主導のロビーイング活動を根本的に規制していこうという趣旨でこの規定を設けたと述べております。 そこで、大臣に伺いますが、官僚のロビーイング活動が問題になるとすれば、そのロビーイングを受ける国会議員もいるわけであります。いわば官僚に説得をされる国会議員がいるから官僚主導ということが問題になるのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。 |
○塩川委員 課題があるということでありました。 そこで、重ねてお聞きしますが、大臣は、郵政民営化のときに政府の方針に反した根回しをした官僚がいたという話は聞いたことがあるということで、官僚のロビーイング活動の具体的な例として紹介をしておられます。ですから、大臣のこの答弁によれば、郵政民営化反対というのは官僚主導であって、郵政民営化に反対した国会議員というのは、国民の利益の立場に立つのではなくて、官僚の利益の立場に立って郵政民営化に反対した、それが郵政民営化に反対した国会議員だということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。 |
○塩川委員 官僚から国会議員の側の問題として今回出されるわけですけれども、国会議員から官僚との関係で現状はどうなっているのかということを前提にきちっとこの議論は進めなければいかぬ。そういう点で、官僚のロビーイングの具体例として、政府の方針に反して郵政民営化反対ということで根回しをした官僚がいるということですから、それを受けた国会議員もいるんだ、そこの事実関係を具体的に明らかにして、そういう具体の事実を前提にこの議論は行われなければいけないのではないかということを申し上げているわけです。 一般論と言いましたけれども、大臣は郵政民営化という具体のお話をされているものですから、その具体の話に沿って、その事実をもとにこの法案の議論をしたいと思っているわけで、そういう意味でも、では、郵政民営化反対で根回しをした官僚というのは具体的にだれだったのか、それに応じた国会議員というのはだれだったのか。こういう具体の事実をもとにこの問題を深めていく必要があると思うんですが、具体的に根回しをした官僚がだれで、それを受けた国会議員はだれなのか、その点についてお答えいただけますか。 |
○塩川委員 ですから、政官接触制限を設けるその理由として、具体の事案として郵政民営化の話があり、政府の方針に反してロビーイング活動を行った官僚がいるということでしたから、であるならば、そういう具体の事実を明らかにしていただきたい。それを示していただいて、それを前提に議論を行うことが必要ではないですかと申し上げているわけです。 郵政民営化に限らず、例えば堺屋さんは、高速道路の議論の際にもそういうのがあったということを懇談会で申しておられたようですから、そういう具体の事実について、官僚がロビーイング活動を行っている、問題だという事実について具体的にこの委員会に示していただけませんか。 |
○塩川委員 ちまたで言われているといううわさ話で我々は法案の議論をしているわけではないわけですから。では、うわさ話で法案を出されたということなんですか。 |
○塩川委員 ですから、官僚内閣制、官僚主導制というのを是正するということであれば、そういう事実がどうなのかということを提示していただきたいということを申し上げているわけです。うわさ話で、それに踊らされて法案を出したという話ではないんでしょう。そういう点でも、具体的な事実を前提に我々は議論をしたい。官僚のロビーイング活動、政府の方針に反したことをやっているという具体的な事例というのを紹介していただきたい。 今お答えがありませんでしたので、委員長、この点につきまして、政府の方針に反した官僚のロビーイング活動について、具体的な事実はどういうものがあるのか、こういう点についての事実関係の提示、その資料の提供、このことを求めたいと思います。 |
○塩川委員 よろしくお取り計らいください。 官僚主導制の問題というのは、もちろん官僚の問題もあります。同時に、それに応ずる国会議員の側の問題がある。特に、実態は、官僚と与党の政治家との関係、癒着の問題というのがまさに問われているんじゃないでしょうか。 昨日の参考人質疑におきましても、私の方から堺屋参考人に、官僚主導制、官僚内閣制の話に関連して、ロビーイング活動を行う官僚がいる、しかし、それに応ずる国会議員の側も問題ではないのか、特に与党の国会議員の問題があるのではないかという質問に対し、堺屋参考人も、官僚と親しくして影響を受けやすい議員が与党にいるのは確かだと述べておりました。単に影響を受けやすいだけではなくて、いわばあうんの呼吸で官僚と与党の政治家が行っている、ここがやはり問われているんじゃないでしょうか。 ですから、お聞きしますけれども、官僚と与党議員の関係、癒着がやはり問われている。巷間言われているのは、まさにここの点が問われているわけですから。この問題について是正するのであれば、それは政府と与党との関係の問題であります。その間での適切なルールを設定すればいいのではありませんか。それなのに、野党の国会議員としての活動を制約することになりかねない仕組みをつくるというのは、そもそも筋違いじゃないでしょうか。政府・与党の慣行を正すということであるべきだ、そのように考えますが、大臣はいかがでしょうか。 |
○塩川委員 官僚と与党との関係でいえば、今国会で官僚の代弁者として一番名をはせたのは冬柴国土交通大臣じゃないでしょうか。道路特定財源の問題について、福田総理も一般財源化を言い出さざるを得ない、そういう状況に対して、冬柴大臣は最後まで撤回、修正を行わなかったという姿勢で、予算委員会の議論を通じても、冬柴大臣は国交省の弁護人だとか、官僚の代弁者では困る、与党の公明党の議員からもそういう指摘があったというわけです。ですから、官僚と与党の癒着にまともにメスを入れないままで、野党議員などの行政チェック機能を制限するようなやり方は認められないわけで、政官接触の透明化を図ることこそ必要だということを申し上げておきたいと思います。 あと、残りの時間で何点か確認をさせていただきたいんですが、国家戦略スタッフ、それから政務スタッフ、それについて、それぞれ何人ぐらいを考えているのか。あわせて、国家戦略スタッフと首相補佐官の関係はどうなるのか。また、政務専門官と政務スタッフ及び大臣政務官の違いは何なのか。この点についてお答えいただけますか。 |
○塩川委員 国家戦略スタッフと首相補佐官の関係、違いについての具体的な御説明はありませんでした。 いずれにせよ、政策の企画立案などで補佐をするという立場では同じような組織だというふうに我々としては受けとめておりますけれども、実際、この首相補佐官自体、五名の定員なのに、今の福田内閣では使い切っていないわけですよね。三名しかいないわけです。ですから、実際、今の首相補佐官でさえ使い切っていないのに、国家戦略スタッフを設けて本当に機能するのか、この点について最後にお答えいただければと思います。 |
○塩川委員 現行の首相補佐官も特定の分野についての戦略を立てるということで置かれているわけで、それすら十分に活用できなくて、こういうのがそもそも機能するのかという点について申し上げて、質問を終わります。 |