<第169回国会 2008年06月10日 総務委員会 25号>


○塩川委員  日本共産党の塩川鉄也でございます。
 郵政事業に関して質問をさせていただきます。
 最初に西川社長に、地元特産品のふるさと小包、ふるさと産品事業についてお尋ねをいたします。
 地域振興にも貢献をしてきましたふるさと産品事業につきまして、民営化によって手数料等が大きく変更されました。今お手元に資料を配付させていただきましたが、郵政会社、郵便局会社からいただいた資料ですが、ふるさと産品の手数料等につきましては、民営化を機会に、これまで中間マージンを取っておりましたポスタルサービスセンターがなくなり、郵便局会社の直営となりました。その際、左側、下の方に、生産者、販売者からポスタルサービスセンターに委託をする際に、以前は販売手数料が七%前後、払込料が百円だったものが、右側、十月一日以降、民営化によって、生産者、販売者は郵便局会社に対し販売手数料が七%から一〇%に上がる、ゆうちょ銀行への払込料が百円から百二十円に上がる、そして、郵便局への配送料、チラシの配送料が、今まで無料だったものが新たに有料となる、配送料の負担がふえるということになりました。
 郵政民営化につきましては、民営化でサービスがよくなる、利便の向上、経済の活性化と言われておりましたが、このふるさと産品の手数料等の変更によって、生産者、販売者のメリットというのは何なのか、この点について西川社長にお聞きしたいと思います。

○西川参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、確かに販売手数料等が多少引き上げということになっております。これは主として、商品の安全性確保のために、現地の工場の衛生管理のチェックでありますとか、あるいは、商品の抜き取り検査等を行ったり、カタログの表記にアレルギーの注意表示を徹底したりするなどの作業を行うための必要費用を負担していただいているものでございます。
 このように品質管理の徹底を図ることによりまして、結果的には、郵便局のカタログ販売の信頼性が高まりまして、生産者、販売者の売り上げ向上につながっていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 また、郵便局会社は、生産者、販売者が御希望される場合には、カタログに掲載した商品をウエブ上でも御紹介して販売チャネルの拡大を図っておりまして、こうした点も生産者、販売者にとってメリットがあるものと考えております。
 少しサービスの内容が変わってきておるということでございます。
○塩川委員 いや、もともと商品の安全性の確保というのは今までやっていなかったのかという話にもなるわけで、このポスタルサービスセンターという、中間マージンを取る組織がなくなったんですから、手数料が上がるどころか下がってもいいくらいだというのが実態で、民営化というのであれば、こういうサービスの向上につながるんじゃないのかというのが本来の国民の皆さんの声、というより、政府が行ってきた民営化のスキームだったのではないでしょうか。これについては、販売手数料が引き上げられるということも含めて、コストがふえるということになったわけです。
 売り上げ向上につながるというお話だったわけですけれども、そこで、数字を確認させていただきますが、民営化前の十九年度上期及び民営化後の下期におけるこのふるさと産品の取り扱いの個数、取り扱いの金額はそれぞれ幾らでしょうか。あわせて、それぞれの前年比の数字をお示しください。

○伊東参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の産地直送型のいわゆるふるさと産品の平成十九年度上期それから下期の取扱個数につきましては、上期が五百七十六万個、対前年一〇〇%でございます。下期が三百八十七万個、対前年六四・一%でございます。
 取扱金額につきましては、上期が約百六十八億円、対前年一〇〇%、下期が約百十五億円、対前年比六五・六%でございます。

○塩川委員 今お示しいただきましたように、この料金などが変わる前につきましては前年比一〇〇%という数字でしたけれども、手数料などが大きく変更されて以降は、前年比で六四%、六五%と、三分の二以下に減少しているわけです。売り上げ向上につながるどころか、大きく減少するというのが実態であります。民営化後に三分の二以下に後退をしたというのが実態です。
 全国各地からいろいろ声も寄せられて、ふるさとの味発送民営化で危機、民営化により一〇%の販売手数料が新設をされ対応できない食品加工グループが多く、継続が困難になったり販売量の減少を懸念したりするケースが出ている、地域活性化に向けた取り組みに黄信号とか、以前は数人の局員が荷づくり作業を手伝いに来たが民営化後は配送を受け持つ郵便事業会社社員が一人来ただけ、分社化に伴い郵便局会社社員は配送業務に携われなくなったためだ、このように、中国新聞ですとか愛媛新聞など地方紙で、この現状を憂える声が紹介をされております。
 重ねて西川社長に伺いますが、生産者にとってはコスト増になる、会社にとっても、結果としてふるさと産品の取扱量が大きく減少したわけで、これで、民営化で掲げておりました利便の向上、経済の活性化と言えるんでしょうか。

○西川参考人 お答えいたします。
 ただいま伊東常務からお答え申し上げましたように、約三分の二に減少しておるということでございますが、これは、やはり新しい業務のやり方というものにふなれであるということによるものだと思います。それと、郵便局会社そして郵便事業会社の業務に携わる人たちのやや連携不足ということもあるのかと存じます。
 しかしながら、これは、郵便局会社にとりましても、手数料収入以外の業務の中で一つの重要な業務でございます。非常にこれには期待も持っている業務でございますから、やはり郵便局会社としても、ふるさと小包便の取り扱いについて一層力を入れていかなきゃいけないということでありますし、これに力を入れれば郵便関係の手数料も入ってくるわけでございますから、一層ふるさと小包便に力を入れるようにグループとしても推し進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

○塩川委員 ふるさと産品事業が地域経済の振興にも資するものだということだったら、本当に振興にも努めるべきだと考えます。
 しかし、現状はこうなったということが、やはり民営・分社化で、ゆうちょ銀行は手数料を上げて、郵便会社の方は、別枠で、今まで無料だったチラシの配送料を徴収する、そして郵便局会社は手数料を引き上げざるを得なくなる、こういう形で、まさに民営・分社化がもたらした利便性の後退なのではないのか、このことが厳しく問われているわけで、民営・分社化によるサービスの後退は明らかだということを指摘しておくものです。
 次に、郵政労働者のサービス残業問題について伺います。
 二〇〇四年の十一月の総務委員会で、私の質問に対し、当時の生田郵政公社総裁は、サービス残業は経営の恥だ、かなり根気が要ると思うが根絶していきたいと答弁をし、その後、公社は、二〇〇四年十月から十二月のサービス残業の実態調査を行い、二〇〇五年二月の総務委員会での私の質問の際に、五万七千人に対し三十二億円の不払い残業代を支払うことを明らかにしました。郵政公社は、その際に、サービス残業根絶のために実態をよく把握し対応していきたいと答弁をしました。
 そこで、数字の確認をさせていただきますが、労働基準監督署から郵政公社、郵政会社に対し行われた是正勧告の件数、〇三年度から〇七年度のそれぞれの件数と、その勧告の内容はどのようなものだったのかをお示しください。

○伊東参考人 お答えいたします。
 日本郵政公社時の、私どもの今手元にあります資料ですと、二〇〇四年からあって、先生にもこれをお示ししているわけですが、二〇〇四年度から申し上げます。
 二〇〇四年度は十一件、二〇〇五年度は七件、二〇〇六年度は同じく七件、二〇〇七年度は、上半期が公社でございますので、その期間は三件、昨年の十月に民営化されまして、半年分でございますが、グループ全体で四件となっておるところでございます。

○塩川委員〇三年度は十件ということで承知をしております。労基署の勧告の内容については、時間外労働に対して割り増し賃金が支払われていないという中身だと承知をしています。
 ですから、〇四年、〇五年で指摘もしたサービス残業について、実際には、〇五年度、〇六年度、〇七年度、それぞれ七件の是正勧告が行われている。引き続きサービス残業が継続をしております。
 郵便会社の労働者から、休息、休憩時間も働いている、食事をとってからも働いている、配達区画がふやされても要員不足のまま、それなのに賃金が支払われていない、こういう訴えも聞いております。相変わらずただ働きが蔓延しているという声も寄せられています。
 そこで、西川社長にお聞きします。
 サービス残業についての西川社長の認識、あわせて、これが現状も引き続いて行われている、このことについての対応策、根絶策についてお聞かせください。

○西川参考人 サービス残業と申しますのはあってはならないことでございますが、公社時代に引き続きまして、民営化後も労働基準監督署からサービス残業に係る是正勧告を受けているということは、まことに遺憾でございます。
 この根絶など、労働時間を適正に管理いたしますため、民営化後、各社において、労働時間管理に係る指示文書を社内にそれぞれ発出をいたしました。
 第一には、管理者によります事前の超勤命令や超勤命令簿への記録の徹底、第二に、部下社員の労働時間管理の状況を管理者の人事評価の一項目に位置づけまして、管理者の人事評価へも反映させるということ、第三に、勤務時間等に関する職場の問題点を社員が申し出ることができる勤務時間相談室の設置、そして第四に、これは制度ではございませんが、遅くまで残ることが美徳といった職場風土の改革などに取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みを徹底させまして、サービス残業の根絶を期してまいりたいと考えております。

○塩川委員 民営・分社化で職場が混乱して、公務としての郵政事業への誇りが失われ、一方で大量の正社員の方が退職をする、他方で非正規の人をふやさざるを得ない、そういう中でサービス残業が蔓延する、こういう、いわば民営・分社化のゆがみこそ是正をされなければいけません。
 最後に大臣に伺いますが、政府は、郵政民営化に当たって、サービスは低下をさせないと約束をいたしました。しかしながら、現状が、簡易郵便局の一時閉鎖などの金融サービスの後退や手数料の値上げ、分社化に伴う利用者不便の拡大など、国民、利用者はサービス後退を肌で感じております。
 そこで、サービスは低下をさせないというのであれば、郵政会社のサービス状況について政府として検証作業をきちんと行うべきだ、このことを求めたいと思います。いかがでしょうか。
 
○増田国務大臣 私も、今の郵政事業がどのような形で展開されているか、いろいろ関係者から話を聞いたり、総務省としても、会社から必要に応じて報告徴収等を求めているところでございます。
 それから、やはりこうした問題については、三年ごとの見直し規定も法律にも入っておりますし、国会の方での附帯決議にもそうしたことがうたわれているところでございます。これは、もとより民営化委員会の方でまず一義的には御判断をされることでございますが、そうした民営化委員会の御判断というものも来年の三月に行われるということでございますので、そうしたものも十分踏まえたい、このように考えます。

○塩川委員 民営化委員会任せでなくて、政府としてのきちんとした検証作業を行うことが国民の要望にこたえるものだということを改めて申し上げて、終わります。