○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 きょうは、公立病院及び産科、小児科、救急医療等への財政措置について質問をいたします。 最初に公立病院の問題について伺いますが、大臣の所信、発言の中でも公立病院の改革のことが述べられております。また、総務省はことしの七月から、公立病院に関する財政措置のあり方等検討会を開催し、公立病院等についての財政措置についての議論が行われているわけであります。 公立病院、自治体病院の位置づけそのものは、大臣もよく御承知のとおり、例えば地方公営企業決算の概況などでも、自治体病院は、地域の公的な基幹病院として、小児医療、救急医療などの不採算部門や、がん治療などの高度な医療、医療過疎地である山間僻地、離島における地域医療を担うなど、民間では採算性確保の上で困難な医療を担っている、こういう医療機関として位置づけられております。もともと、住民の福祉の保持、向上のために行っている不採算な事業も担うわけですから、適切に手当てをしなければ赤字になってまいります。 そこでお尋ねするわけですが、この間、自治体病院の損益収支の状況を見ますと、経常損益が、平成十五年度に九百三十二億円、平成十六年度に千三百十七億円、十九年度には二千六億円と、一千億円、二千億円も超えてしまったわけですけれども、この赤字が増加傾向にあるのはなぜなのか、その点についてまずお伺いいたします。 |
○塩川委員 大臣の御答弁にありましたように、採算のとれにくいところで採算がとれない事業を行っている、こういう点が当然赤字に反映をされる。加えて、医師不足というのは、この間の国のいわば過去の失政がツケ回しとしてこういう自治体病院にも影響が出ているという点でも、国の責任が大きいわけであります。 そこで、このように赤字が拡大していく一方で、実際に、自治体病院に対する繰り入れ、一般会計など他会計からの繰り入れの金額がふえていない、どちらかというと微減になっている、これはどういう状況なのか、その点についてお伺いいたします。 |
○塩川委員 大臣もお話しになりましたように、一定の制限はあるといっても、不採算部門などについては繰り入れができるということに当然なっているわけです。 お話しされたように、不採算部門を抱えているわけですから、そこについて適切に繰り入れが行われていないのではないのか。私は、このように、繰り入れについて、自治体が繰り入れを行う際に、本来、繰り入れを行う上でもそのきっかけともなる交付税が適切に措置されていないのが、結果として繰り出し額、繰入額がふえないという形にあらわれているんじゃないのか。その点についての総務省としてのお考えをお聞きしたいんですが。 |
○塩川委員 お話がありましたように、結局、地方公共団体の体力が伴わない中で赤字が拡大をするということ自身に、医師不足の問題などはまさに国策の反映ですから、そういう結果として赤字が拡大するのに対して、本来は経営を維持するために、地域に必要な医療を提供するために地方公共団体が繰り入れをしようと思っても、それもできなくなってきているわけですから、それに伴って、当然のことながら、必要な需要を踏まえた地財計画もつくるし、見合った地方交付税の増額の措置が必要なんじゃないのか、そこを問うているんですけれども、大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 久保局長のお話にありましたように、交付税がふえないので重点化を図る、配分を変える。交付税がふえないという前提でやりくりをするからこういう事態になるわけで、私どもは、適切な需要を見た場合にこの交付税の枠でいいのか、交付税のこの決まった枠の中でこっちをふやしてこっちは減らすとか、こういうやり方自身が問題なんじゃないのかという提起をしているわけです。 その上で、今お話も出ました検討会の中で、やはり今地域でも大問題になっております周産期医療や小児医療、また救急医療について検討会の中でも議論が行われているわけです。 そこで、検討会の資料にも出ておりますけれども、数字の確認をしたいんですが、周産期医療、小児医療、救急医療についての平成十九年度決算額で、一般会計の繰り出し金額と特別交付税の措置額を示していただけますか。 |
○塩川委員 一般会計繰り出し額に対する交付税措置額が低いわけですが、この検討会の議論の中で、取りまとめを行っていく上での論点整理メモが出されております。そこで、産科、小児科、救急医療等に関する財政措置の充実の項目で、地方公共団体の一般会計からの繰り出し実績を踏まえ、周産期医療、小児医療及び救急医療に関する交付税措置額の水準について充実を図るよう検討すべきとあります。このように取り上げている理由は何なのか、お聞かせください。 |
○塩川委員 大臣にお伺いします。 東京新聞の報道でも、この検討会の議論を紹介する中で、検討会は、医師不足が深刻な産科や小児科、救命救急センターがある公立病院を抱える自治体に対する地方交付税の増額を政府に求めることで合意したとあるわけですが、地方交付税を増額する方向なのかという点について大臣のお考えをお聞かせください。 |
○塩川委員 周産期や小児、救急などは特別交付税措置があります。それをふやす方向かなというお話であったわけですが、あわせて、検討会の議論では、普通交付税の議論で、病床数については病床利用率に改めるという点が検討課題になっているわけですけれども、これについて、先ほどの東京新聞の報道では、引き続き検討とあるわけですが、この病床利用率についての議論、方向というのは、これはどういうことになるのでしょうか。 |
○塩川委員 これは前も議論しましたが、病床利用率が低い原因として、医師が確保できない、医師不足、医師がいないことによって結局はベッドが埋まらないということが生まれるわけです。医師が確保できないのはまさに恒常的な状況になっている。国策として今までの医師抑制政策をとったのが反映しているわけですから、単純に病床利用率にすることによって実態に合ったものになるということではないということが前提で必要です。 ですから、何か病床利用率を導入することによって浮いたお金をほかの方に回すんだという話であってはならない。先ほどの答弁にもありましたように、交付税がふえない中で、重点化を図る、配分を変える、そういうやり方ではなくて、やはりそもそも医師や病院に回すお金自身が少ないわけだから、それをふさわしく需要として見込んで、それに対して交付税措置を行うということが必要なわけです。 そういう点でも、病院事業に交付税措置をしっかり増額ということで行うと同時に、そもそも大枠としての交付税について、大臣の所信の中のお話でも、一般財源の総額の確保ということを述べただけで、先日私が質問した際に、御答弁では、地方交付税が増額できるように全力で頑張ると述べておられたわけですが、その立場にお変わりはないと思いますけれども、いかがですか。 |
○塩川委員 大いにその決意で御奮闘いただきたいと思っています。地財計画や交付税の総枠を変えないままで、その中のやりくりではもう済まなくなっているのだという点での交付税の復元、増額という立場での取り組みを強く求めるものです。 最後に、国立病院への自治体の補助金支出の要件緩和の問題について質問します。 ことしの三月に、地方財政再建促進特措法に基づき、地方公共団体が国等に寄附金等を支出できる場合の要件、手続を規定した地方財政再建促進特措法の施行令が改正されました。これまで、国立病院が自治体の求める救急医療体制などに参加した場合に、自治体からの寄附等が制限をされていた、今後は可能にするという改正なわけですが、その中身についてお伺いします。 一つは、この中で、特別に医療の提供を行う場合と述べているものとは何なのか。もう一つ、通知の中でも紹介されていますが、どのような事例が想定をされているのか。その二点についてお答えいただけますか。 |
○塩川委員 そこで、大臣にお伺いしますが、現場では、やはり国立病院ですから、独立行政法人の機構であればその機構として、本来国がしかるべき財政手当てをしなければいけない、そのもとで国民に対する医療提供が必要だと考えます。同時に、現状のもとでは、やはり国、地方を挙げて、必要な地域医療の提供のために努力をしなければいかぬ、そういう点で今回の措置につながったのだと思います。 そこで、具体的な事例として、一般論としてお聞きしますけれども、一つは、二次救急、例えば、週七日ある場合に、現状では、かつて七日というのが三日しか今埋まっていないといったときに、週一回国立病院が参加をしています。地方公共団体がその国立病院に対して、今の週一回をぜひとも週二回にしてもらえないかという要請を行った場合に、地方公共団体が、ふやしたことに対して寄附を行おうと考えた際に、その寄附を行うことができるのか、国立病院側は地方公共団体から寄附を受け取ることができるのか。その点を確認させてください。 |
○塩川委員 もう一点、具体的な事例で確認をしますが、この間、東京都で起きました妊産婦の方が亡くなるという悲しい事故、その際にも、出産前後の医療を担う周産期医療の体制の充実というのが求められております。その際に、総合周産期母子医療センター、同時に、二次医療圏などでつくる地域周産期母子医療センターというのがあります。 その場合で、ある国立病院が、現状は地域周産期母子医療センターを受けている、それをいわば格上げするといいますか総合周産期母子医療センターにする、このことについて、地方公共団体側から要請があり、地域から総合に切りかえるのであれば必要な寄附行為などを行いたいといった場合には、この国立病院は地方公共団体の寄附を受けることは可能なのか。その点について確認をさせていただきます。 |
○塩川委員 私の住んでおります埼玉県というのが、全国的に見ても周産期医療での整備がおくれている、総合が一つ、地域が五つという状況で、これを大いにふやしたいと県の方も考えております。しかし、受け皿となる医療機関の困難さもあるものですから、ここは皆さん、知恵を出して、必要な財政負担なども行って、しっかりとした整備を行っていくということで力を尽くしたいと思っています。 大臣おっしゃるように、国がやっている医療の提供は国がしっかりと面倒を見なさいよ、そういうことを大いに要求していくと同時に、地方の自主的な取り組みについては、これをしっかりとサポートするという立場で御努力、ぜひ同意の方もお願いしたいということを要望して、質問を終わります。 |