<第170回臨時国会 2008年12月11日 本会議 14号>


○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対する賛成の討論を行います。(拍手)
 郵政民営化から一年を経過して、政府・与党が主張してきた民営化のメリットなるものは、根底から破綻をしているのであります。
 民営化で利便性が向上すると言ってきましたが、現実には、簡易郵便局の閉鎖は加速をし、郵便物の配達拠点であった集配郵便局は統廃合をされて、郵便配達のおくれや時間外窓口の閉鎖が行われました。さらに、各種手数料は値上げをされ、国民へのサービスは大きく後退をしました。そして、そのしわ寄せを受けているのが地方、とりわけ過疎地であります。
 自民党は、民営化で村が元気になると紙芝居までつくりましたが、これが全くの偽りであったことは、今や明白ではありませんか。
 小泉構造改革の本丸として進められた郵政民営化が、地方を疲弊させ、貧困と格差の拡大を加速しているのであります。
 郵政の職場では、長時間労働と非正規雇用が拡大し、労働条件がますます悪化していることも重大です。
 また、官から民へ資金を流すという看板もありました。その大号令のもとに、郵便局で大量の投資信託が販売されました。それが今や、元本割れで半分になるなど大暴落をし、国民に大損害を与えております。安心、安全の郵便局の信用のもとでリスクの高い金融商品を売りさばいた責任は重大です。まさに国家的詐欺と言われても仕方がありません。
 私たちは、二〇〇五年の郵政民営化法案の審議の際、官から民へのスローガンのもとに進められた郵政民営化が、アメリカの金融業界の要求に根差したものであると指摘しました。
 アメリカの金融業界が日本と世界に押しつけてきた金融の規制緩和が何をもたらしたかは、今や明白であります。マネーゲームに狂奔し、みずから大破綻しただけでなく、世界的な金融危機を引き起こしているのであります。
 郵政事業のユニバーサルサービスの深刻な後退、財界とアメリカが旗振り役となった構造改革路線の破綻。小泉内閣の進めた郵政民営化に未来はありません。根本から見直すべきであります。
 本法案は、郵政の株式売却を凍結し、国が日本郵政の株式を一〇〇%保有し、日本郵政がゆうちょ銀行、かんぽ保険の株式を一〇〇%持ち続けることとしています。これは、全国の郵便局ネットワーク、金融サービスのユニバーサルサービスを維持するなど、公益優先の経営へ見直しを図るための不可欠の条件であります。
 法案は、見直しの具体化については今後の検討にゆだねていますが、私たちは、四分社化の見直し、三事業の一体経営、国民にあまねく公平に貯金、保険のサービスを提供する金融のユニバーサルサービスを義務づけることなどが必要だと考えています。
 民営化のもとでの利便性の低下など、現状について、事実を徹底的に検証し、国民の財産である郵政の本来あるべき姿について国民的合意をつくるべきときであります。私たちはそのために力を尽くしていくことを申し述べ、賛成討論を終わります。(拍手)