○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 地方交付税法に関連して質問いたします。 法案についてですけれども、国税五税の減額補正に伴って、地方交付税総額の減少額が全額補てんされるというのは当然のことであります。 そこで伺いますが、今回の措置は将来の交付税の減額という仕組みになっていると思うんですが、その点を確認させてください。 |
○塩川委員 大臣が先食いとおっしゃいましたけれども、七年先の交付税にまで手をつけることになる。こういうやり方は将来の地方財政運営に支障を来すことになりはしないか。その点についてはどのようにお考えですか。 |
○塩川委員 大臣がおっしゃられましたように、この間、三位一体改革の名のもとに交付税が大幅に削減されたということがありました。政権によって対応が大きく変わるということでもあるわけで、将来について、この加算を求めていくということが実際に本当に担保されるのかということが率直に疑わしいということがあります。 この点についても、もともと地方にツケ回しをすることにおいては変わりがないわけですから、私たち、政権の立場によって交付税が上がったり下がったりするようなことが起こるのであれば、その見通しも立たない、今現在から七年先まで地方交付税の先食いをするようなやり方そのものが認められない、このことを申し上げてまいりました。 もともと交付税法に基づけば、毎年度分の交付税総額の見積もりは総務大臣の権限と責任のもとで行うことになり、地方財政計画の策定等は内閣の義務であることを規定しております。ですから、この法律の趣旨からいえば、年度途中であっても、地方財政計画で年度当初に見込んだ交付税の総額は国の責任で確保すべきであり、法案は補てんの一部を将来の地方交付税から減額するものだ、私どもとしてはこういう地方への負担転嫁は認められないということを申し上げておくものであります。 そこで、定額給付金についてお伺いします。 最初に、事務方で結構なんですが、定額給付金の中にあります所得制限の仕組み、これはどういうふうになっているのかについて、簡単に御説明いただけますか。 |
○塩川委員 一度は全員を給付対象にして、申請書に、税務情報を調べる場合もありますよということを断って、チェックをされるということであれば、給付がされる。二十一年の所得がはっきりした場合に、いわば千八百万円を超えるような人については、改めて連絡をして、返してくださいというふうにお願いをするという仕組みですよね。確認です。 |
○塩川委員 市町村は、年度末から給付を開始するというだけでも大変な労力がかかるわけであります。その上、所得制限を実施しようと思えば、その市町村は、受給権者に税情報取得の同意を求めて、それから来年、二〇一〇年の五月以降、税情報をチェックして、一千八百万円以上となれば給付金の返還を請求する必要がある、こういう仕組みになるわけです。 労力を考えましたら、市町村にとって、一度支払ったお金を後で返してくれと頼み込む仕組みというのはどういうものかな。もちろん手間も大変です。また、もらう側にとっても、一度もらった給付金ですけれども、チェックをしたといった場合に、後で返してくださいという仕組みというのも大変おかしな仕組みだと率直に思いますが、大臣、おかしいとお思いになりませんか。 |
○塩川委員 市町村にやらないでほしいと要請したいというお話ですけれども、今も、こんなばかげたことはあってはならないとおっしゃいましたし、予算委員会の質疑のとき、逢坂議員の質問の際にも、所得制限というのは非現実的だと述べておられました。非現実的ということなんですね。 |
○塩川委員 では、そのような非現実的な所得制限の仕組みをなぜ盛り込んだんですか。 |
○塩川委員 与党合意を踏まえたものということですね。 では、なぜ与党合意で所得制限を盛り込んだんですか。 |
○塩川委員 麻生総理が迷走したからではありませんか。 十月三十日、生活対策発表時には全世帯に実施と述べていたのに、十一月の四日には、貧しいとか生活に困っているところに出す、豊かなところに出す必要はないと発言をしておられるわけで、わずか五日間で制度の根幹である給付対象者の位置づけが変わったからです。総理が迷走したから、こんな非現実的な制度をつくることになったのではありませんか。 |
○塩川委員 ですから、そこも含めて、総理がおっしゃったからなんですね。その後の十一月の十日に、総理は、高額所得者には自発的にやってもらうんだ、辞退してもらうんだと発言をしている。だからこそ十一月の十二日の与党合意に反映をしたわけで、総理自身が非現実的な制度をつくったんですよ。 それに加えて、年明けの発言であります。十二月の十五日に、例の、さもしい、人間の矜持の問題という発言など、昨年の末までは高額所得者に辞退を促していましたのに、年が明けると一転して、高額所得者がもらった場合には盛大に消費していただきたいと。これもまた迷走しているんじゃありませんか。大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 総理が十二月の十五日には、さもしい、人間の矜持と、高額所得者に辞退を促している発言をしているのにもかかわらず、年が明けたら、受け取って盛大に消費してもらいたいという発言が、矛盾していませんか、迷走しているのではないかと考えますが、大臣はいかがですか。 |
○塩川委員 一月八日の予算委員会の答弁で、総理は、景気の情勢が大きく変わっており、生活給付金という色合いとともに消費促進という色合いと両方出てきている、消費促進の面を考えたら、高額所得者がもらわれた場合は盛大に消費していただきたいと述べておられます。 景気の情勢が大きく変わったから消費促進が重要になったということなんですが、もともと、十月三十日の定額給付金を発表した生活対策の記者会見で、総理は、全世界的な金融システムの動揺が日本の実体経済に影響を及ぼすのは確実だから、自律的な内需拡大が必要と述べていたわけです。 実体経済の悪化を確実視して消費刺激を含む内需拡大を強調していたわけですから、だったら、去年のうちから消費刺激が必要だという立場に立って、高額所得者にも定額給付金をもらって盛大に使ってくれと何で言わなかったんですか。 |
○塩川委員 十二月十五日にさもしいと言っておきながら、年明けには大いに使ってくれと言う。そういう景気情勢の認識そのものが、経済がよくわからないと言われちゃうんじゃないですか。本当に消費刺激の必要性を強調しているのであれば、所得制限の規定を残す必要もないわけであります。 もう一つお聞きしますが、定額給付金が生活支援の制度という側面を持っているんだったら、本当に生活支援を必要としているホームレスやネットカフェ難民の人たちに確実に届くのか。その点を確認させてください。 |
○塩川委員 ですから、必要な方には届かないという仕組みになってくるわけです。高額所得者には盛大に使ってくれと言いながら、本当に必要とするホームレスとかネットカフェ難民の手元に届く保証がない。 何でこんなふうに定額給付金事業の目的、性格が迷走することになるのか。それは、定額給付金の本来の目的が別なところにあるからだと言われているように、結局は選挙目当てのばらまきだったからであり、自民党にとってのもう一つの目的が連立のコストだという話も出ているじゃないですか。テレビ番組の中で、自民党の有力者の方が、国民の六割以上が反対している定額給付金をなぜ実施するのかと問われて、これは連立のコストだと述べておられる。 こんな目的、性格づけというのが結局ぶれまくる結果を生み出している。ぶれてばかりの麻生総理がぶれていないのは消費税増税計画だけであるわけで、我々は定額給付金も消費税増税計画も撤回を求めて、質問を終わります。 |
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。 まず、予算委員会の不正常な事態を踏まえ、当委員会の慎重な審議日程が求められていたにもかかわらず、委員長職権で質疑終局、採決となったことに強く抗議をするものであります。 今回、国税五税の減額補正に伴い、地方交付税総額の減少額が全額補てんされることは当然のことであります。問題は、どのような財源が充てられるかであります。 交付税法は、毎年度分の交付税総額の見積もりが総務大臣の権限と責任にあること、地方財政計画の策定等が内閣の義務であること等を規定しているのであります。この法律の趣旨から、年度途中であっても、地方財政計画で年度当初に見込んだ交付税の総額は国の責任で確保すべきであります。 ところが、法案は、補てん額の一部を将来の地方交付税から減額することになっており、地方への負担転嫁は容認できません。 今回の補正対策では、国と地方が折半して補てんする措置として、地方負担分については、特例的に臨時財政対策債の発行にかえて一般会計から交付税特別会計への振替加算を行った上で、この振替加算分については、後年度における地方交付税の総額から減額する対策を打ち出したのであります。 これは初めての対策でありますが、将来の地方交付税の総額を減額する手法は、後年度の地方財政運営に影響を与えるものであり、禍根を残すものと言わざるを得ません。 以上を申し上げ、反対討論を終わります。 |