○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 私は、空港つながりで、きょうは茨城空港について質問をさせていただきます。 まず最初に、この数年間、原油価格の高騰や、あるいは景気悪化を口実にして、国内線の廃止が相次いでおります。国内航空ネットワークの縮小が進行しているわけですが、〇六年度以降、〇七年度、〇八年度と国内路線数の推移がどうなっているのかを最初にお示しください。 |
○塩川分科員 路線の廃止だけでこれだけ激減で、減便というのを含めれば、もっと大きく減少しているというのが現状であります。羽田を中心にということもあり、一方、地方間においての路線が大きく損なわれているというのが現状であります。 その中で、茨城空港が開港する予定、最後の地方空港、一般空港となっております。 この茨城空港の開港までがあと一年でありますけれども、国土交通省の需要予測では、大阪、札幌、福岡、那覇の国内四路線、一日十二便、年間八十一万人の利用者を見込んでおります。この国内四路線の就航に名乗りを上げている航空会社はあるのか、今後の見込みはどうなのかを含めて、お答えいただけますか。 |
○塩川分科員 年間八十万の利用を見込んでいる需要予測であるにもかかわらず、来年の三月ですよね、それなのに一便もこの国内路線に就航の予定がないというのが現段階であります。国内の大手二社などはテーブルにも乗ってこない状況だと茨城県の担当者も言わざるを得ないような現状にあるというのが実態であります。 そこで、総務省に伺います。 総務省行政評価局が行った公共事業の需要予測等に関する調査結果報告書がございます。昨年の八月です。空港新設事業で調査対象となった新北九州空港、能登空港は、いずれも需要予測結果と実績値に大きな乖離が生まれていると指摘をしています。 そこで伺いますが、この報告書の空港整備事業では、需要予測等の検証状況についてどのように記述、指摘をしているのか、お答えください。 |
○塩川分科員 この指摘にありますように、事業主体の行う航空路線における需要予測と、実際に採算性で飛ばすことを判断する航空会社、それの実績というのは乖離が生まれるということを指摘しているわけですが、この指摘については大臣はどのように受けとめておられますか。 |
○塩川分科員 この報告が、原因分析を求めているという勧告になっているわけですけれども、それについてどういう努力をされて、どういう原因分析をされているのかをお聞きしたいんですけれども。いかがでしょうか。 |
○塩川分科員 要するに、国交省の中の公共事業の事業評価の実施要領を再徹底するというだけなんですよね。それで現実に起こっている乖離というのは解消するんですかということを聞いているわけですよ。新北九州空港にしろ能登空港にしろ、近年開港したばかりのところですけれども、それが二つとも、新設空港では需要予測と実績がこんなに離れているという指摘になっているわけです。 これから開港する地方空港、一般空港はもう静岡空港と百里基地に予定している茨城空港の二つしかないわけですけれども、どうそれを今後生かしていくのかという点で、事業評価の実施要領の再徹底というのはないんじゃないですか。もう一回お答えください。 |
○塩川分科員 このような対応で総務省としてはよしというお考えなんでしょうか。 |
○塩川分科員 要するに、空港をつくるというのは需要予測を前提につくるわけですよ。それなのに、実際に開港してみたら、既にスタートしている新北九州空港ですとか能登空港に大きな差が出ましたというのについて、きちんと評価をして次に生かすということがないといけないのに、それについて何も今の中で出ないじゃないですか。 事業評価の実施要領を再徹底します、再徹底ということでは、繰り返すだけですから、新しいことを何もやるという話ではないわけで、こういう対応では納得いかない。そういう状況のまま行けば、静岡空港やさらには茨城空港、今後できる空港において同じような乖離を生み出すことになるんじゃないのか、このことが問われているわけです。 大臣に伺いますけれども、つくってからでは後の祭りになるわけで、こういった、始めたらとまらない、公共事業の典型なんじゃないのか、事前の需要予測と実際の実績には乖離が生まれるような、こういった公共事業のあり方そのものを見直すときだ、こんなことでいいのかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。 |
○塩川分科員 ですから、新北九州空港や能登空港で乖離があるということを、では、今後のに生かすのかと言ったら、何もないじゃないですか。だって、新北九州空港について事業評価というのは、実施後、供用五年後の評価ですから、事後評価でしかないので、それはまだその時期ではありませんと言うだけで何にも生かされていないわけですよ。 こんな調子でいったら、まともに教訓も生かされないことになるわけで、私はこういう事態を生み出したところに国土交通省の航空行政の責任がそもそも問われていると思います。 大臣に伺いますけれども、もともと建設先にありきということになって進んできているわけです。 なぜ乖離が生まれるのかということを考えれば、一つは、もともと過剰な空港建設に邁進してきたその路線が破綻をしたのではないのかということと、路線撤退の自由化を行ったこの間の航空法の改正などの規制緩和政策のひずみというのが、結局、自由にエアラインが撤退をするという形で、地方にもしわ寄せになる、国内路線がどんどん廃止をされる、こういうことにもつながったわけですから、こういう乖離が生まれるのはもともと国交省の航空行政が生み出した当然の帰結だと思います。 大臣に伺いますが、当初想定した需要予測に基づく国内路線の就航予定が見込めないのは明らかですから、国は、茨城空港の建設計画を中止すべきだと考えますが、お聞かせください。 |
○塩川分科員 県がつくっている茨城空港のパンフレットを見ますと、どの辺の人が羽田よりも便利ですかというエリアがあるんですよ。私、埼玉の所沢ですけれども、所沢でも羽田よりも茨城空港の方が便利だという場所になっているんですよ。感覚としても信じられないような実態があって、需要予測そのものが過大、架空のものなんじゃないのかということを率直に言わざるを得ません。 今、需要の掘り起こしと言って、全国の地方空港、大変なところはエアラインへの助成だとか旅行会社への助成を行ったり、そういう形で、地元の自治体負担はどんどんふえていくという状況に今なっている。この茨城空港でも、就航予定が見込めないといった中で、国内のエアラインが入らない場合にはハンドリング体制なんかはどこがやるのか、県が支援しなくちゃいけないんじゃないのか、そういうところの持ち出しも含めて、どんどん地元自治体がふえていくような、金食い虫にもなりかねないという点でも重大であります。 私たちは、こういった空港建設そのものが、茨城空港は一周おくれの最終ランナーだと言っておりますけれども、きっぱりと中止をすべきだと申し上げます。 関連して、この茨城空港は航空自衛隊の百里基地を活用するものであります。そこで、防衛省などに何点か伺います。 航空自衛隊百里基地も認めております百里基地の空域の問題点は何なのか、指摘されていることを紹介してください。 |
○塩川分科員 百里基地の説明資料の中に、今の訓練空域内に民間航空路線があるという指摘に加えて、成田、羽田進入管制空域との重複や、また、東海原発や大洗の原子力研究施設、鹿島コンビナートなど、上空飛行制限施設が集中しているということも問題点として指摘していると思いますが、そのとおりですね。 |
○塩川分科員 百里基地に行ってお話を伺った際に、今言った成田、羽田の進入管制空域との重複の問題や、訓練空域を民間のエアラインの路線が入っていることや、上空飛行制限施設というのが茨城県の海岸線に沿ってたくさんありますねということを問題点として指摘をしておりました。 民間機を飛ばせば空域の危険性は増大をいたします。加えて、茨城空港は、そもそも自衛隊の滑走路とは別に、西側に新たに民間航空用の滑走路をつくったわけであります。それなのに、今自衛隊の使用しております滑走路のかさ上げ工事を行っております。 そこで、この費用負担は国土交通省だということなので国交省に伺いますが、この自衛隊用の滑走路のかさ上げ工事の工事費は幾らで、そのうち地元負担は幾らで、なぜ自衛隊の滑走路をかさ上げする必要があるのか、その三点についてお聞かせください。 |
○塩川分科員 民航用の滑走路にILSを設置すれば、自衛隊の使用する滑走路のかさ上げ工事をしなくてもいいと思うんですけれども、なぜ民航用の滑走路側にILSを設置しなかったんですか。 |
○塩川分科員 地域の方の理解が得られないという実態が前提にあるわけですよね、用地の取得におきまして。その点で、民間航空用の滑走路に対応したILS対応の無線装置が施設外に設置できる条件がないということで、結果として自衛隊の滑走路のかさ上げとなるわけです。 そこで、防衛省に伺いますが、自衛隊の滑走路のかさ上げ工事によって、今までは戦闘機対応の滑走路だったわけですけれども、自衛隊の輸送機C130や、また次期輸送機のCXなどの使用も可能となるのかどうかを確認させてください。 |
○塩川分科員 自衛隊の滑走路のかさ上げ、強度の補強が行われることで、自衛隊の輸送機CXなどの発着も可能となるということです。 あわせて防衛省に伺いますが、民間航空用の滑走路については、自衛隊機の使用というのは禁止をされているんでしょうか。 |
○塩川分科員 使用はあり得るということです。 自衛隊の飛行場で見ましても、滑走路を二本持っているというところはほとんどないんですよね。小松とか徳島とか三沢などのほかの共用空港でも、自衛隊、米軍が使用する滑走路を民間も利用しているわけですから、滑走路二本体制を持つ自衛隊の基地をつくったと言われても仕方がないことに実態はなっております。 茨城空港を初め共用空港の多くが米軍との共同使用ともなっております。共用化による空港整備が、米軍の基地使用の利便性を高めるものとなる。訓練移転の米軍部隊、百里、小松などでも訓練を行っておりますが、イラクの派遣部隊だったということを見ても、県民の負担で基地強化を行うというのは納得がいかないというところであります。 最後に、滑走路の設計についてお聞きしますが、もともと茨城県は、格安航空会社の受け皿を目指すと答弁をし、ある意味では海外のLCCを受け入れる、新しいビジネスモデルを打ち立てるとまで言っておりますが、裏返せば国内線就航の見込みがないということを認めるものでもあります。その対象となっているのがマレーシアのエアアジアエックスですけれども。 そこで、航空局がつくっております空港舗装構造設計要領の中で、設計荷重の区分としては、就航している、あるいは就航予定の航空機の中で最も厚い舗装厚を必要とするであろうと推定される航空機が属する区分を選ぶのが一般的であると記述をしております。設計荷重の区分としては、LA―1、LA―12、LA―2、LA―3などがあるわけですが、LA―1が大型機対応で、LA―12は中型機対応とされております。 そこで、国交省に伺いますが、茨城空港の設計荷重の区分は何か。また、茨城空港に就航を検討しているエアアジアエックスの機種は何であって、その機種に対応する設計荷重の区分は何かをお答えください。 |
○塩川分科員 そうしますと、茨城空港の滑走路は中型機対応のLA―12ですから、エアアジアエックスが所有をするエアバスA330―300のLA―1ではないわけです。そういう点では、そもそも茨城空港の滑走路は、設計上エアアジアエックスが所有するA330―300の就航を想定していないものとなっているということはそのとおりですね。 |
○塩川分科員 もともと当初つくる際に想定していないような大型航空機の就航にもすがらざるを得ないところに需要予測の破綻も見えているわけで、茨城空港の建設はきっぱりと中止をすべきだ、私たちは、計画倒れで、金食い虫で、危険、欠陥のある三K空港ということを言っておりますけれども、中止を求めて質問を終わります。 |