<第171通常国会 2009年02月26日 総務委員会 5号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、まず、国民共有の財産である郵政事業について、この間問題となっておりますバルク売却の問題について改めてお尋ねをしたいと思っております。
 一昨日の委員会で、私は、郵政公社時代の三回のバルクの落札者代表がすべてリクルートコスモス、現コスモスイニシアであり、できレースと見られても仕方がないと指摘をいたしました。大臣も、リクルートコスモスが三回とも全部落としていることを考えると、偶然なのかと疑問を抱くのは私だけではない、できる限りの調査をしなければならないと答弁をされました。
 その際、日本郵政にも資料要求をし、原口理事や、また松野委員の質問、私からの要求もあり、その一部が理事会、委員会に提出されました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 提出された日本郵政、旧郵政公社の資料の中で、公社不動産処分検討委員会資料というのがございます。その中の、平成十八年三月二十日付の公社不動産処分検討委員会議事録というのがございます。議題は、十七年度公社不動産の売却結果について、また十八年度公社不動産の売却についてなどでありました。
 そこで、日本郵政にお尋ねしますが、十七年度公社不動産の売却結果について、この議事録で委員長は何と発言をしておられますか。

○藤本参考人 お答えいたします。三月二十日の委員長の発言でございますね。
 三月二十日の公社不動産処分検討委員会議事録がございます。そこで、高橋委員長の発言に、「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。グルーピングの方法やもっと高く売れる方法を考える必要がある。」との発言がございます。

○塩川委員 委員長の発言として、「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。」と記録をされております。
 これは、私が、リクルートコスモスにおいて三年間連続落札をしているという経緯も含めて疑念がわくということを申し上げておりましたが、当時、この公社内の公社不動産処分検討委員会においても、委員長自身が、バルクでリクルートは転売して相当もうけたと聞いているという発言をしている。極めて重大な発言であります。
 そこで、日本郵政に、昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当もうけたと聞いているというのはどういうことなのか、お尋ねします。

○藤本参考人 そういう委員長の発言がございました。そこで、事実関係を確認してまいりました。
 二月二十六日現在の登記簿でございますが、確認の結果、これは、当時のリクルートコスモスに移転登記をされております国分寺泉町の物件であろうかというふうに思われますが、これにつきましては、平成十八年三月二十日に売買がされまして、三月二十二日に所有権の移転登記がございます。
 その後、商号変更がされまして、リクルートコスモスからコスモスイニシアに名称が変更されてございますが、それからさらに移転登記がされたというのがございませんで、結局、今見ますと、リクルートコスモスが保有されている、こういうふうに認識をいたしてございます。

○塩川委員 委員長の、リクルートは転売して相当もうけたと聞いているということについての事実関係そのものは確認をしておられないんですか。

○藤本参考人 時間の関係がございまして、直接当時の委員長に確認しているわけではございません。

○塩川委員 この議事録でありますけれども、昨年のバルクということで、このいただいた資料、今言った議事録ですね、この議事録の入っている一連のA3とA4の資料の一番後ろに、参考資料として、六番、「バルク売却D・E物件のその後」というのがあります。
 ここには、ごらんになっていると思うんですけれども、十七年度バルク売却したD・E物件、A、B、C、D、EのDとEの物件のことですね、そのD・E物件の件数と、売却先がほかへ転売をしたという件数が書かれております。それは、それぞれ何件ですか。

○藤本参考人 お答えいたします。
 このページ、「6 バルク売却D・E物件のその後」という記述がございます。AからD、Eまで物件があるわけでございますが、D、Eと申しますのは比較的市場性の低い物件のことでございます。
 そこの記述を見ますと、十七年度バルク売却したD・E物件といたしましては、評価のDというものが四十八件ございます。そのうち、売却先が他へ転売したものが三十八件ございます。それから、E物件が十六件でございまして、そのうち、失礼いたしました、先ほどのDの四十八件のうち、売却先が他へ転売した物件は、ちょっと計算いたしますので……(塩川委員「合計でいいんですけれども、ここに書いてある数字ですから」と呼ぶ)D、E合わせて申し上げてよろしゅうございますか。(塩川委員「はい、結構です」と呼ぶ)合計六十四件中、売却先が他へ転売した案件が、三足す五十七の六十でございます。

○塩川委員 この郵政公社の資料で見ても、D、Eの物件ということで、売却先がほかへ転売したというのが六十四のうち六十に及ぶわけですよ。すぐ転売をしているわけですね。
 ですから、転売で相当もうけたと聞いているという事実関係というのは、全部のバルク売却の物件について調べてこそ明らかになるんじゃありませんか。そういう確認調査をされましたか。

○藤本参考人 本件バルク売却におきまして、リクルートコスモスの方で所有権登記を移転されたというのは、私が先ほど申し上げました国分寺泉町二丁目の社宅のみであったというふうに認識をいたしております。
 したがいまして、このD、Eにつきましては、現在の認識でございますが、リクルートコスモスのものではないと思いますが、なお調査させていただきます。

○塩川委員 一昨日に確認しましたように、参入をしているグループの事業者の中には、SPCもございましたし、リーテックもありました。それはいずれもリクルートコスモスの関連企業だったのではないかということは、日本郵政自身もお認めになりました。
 ですから、リクルートと言う場合には、リクルートコスモスに限らず、リクルート関連企業全体を明らかにしてこそ、この指摘に即した事実関係が解明できるのではありませんか。ですから、関連企業も含めて全体を明らかにしていただきたい。その点をもう一度確認させてください。

○藤本参考人 お話ございました出資の関連のあるSPCも含めまして、調査をさせていただきます。現在調査中でございます。

○塩川委員 まさに国民の共有財産がバルクという形で切り売りされたのではないのかということを、郵政公社自身が知りながら容認したんじゃないのかと率直に疑念を持つわけですが、どのように受けとめておられますか。

○藤本参考人 私どもの認識を申し上げますと、リクルートコスモスで移転登記を受けておられますのはこの国分寺のものでございますし、あと、G7―1というSPCがございました、これが赤坂の社宅用地の移転登記を受けられておったわけでございます。
 そういうものも含めましてさらに転売があるかどうか確認いたしておりますが、今わかったところで申し上げますと、G7―1からその他へ移転登記はございませんで、吸収合併されまして、今、所有権が移転しているというのはございます。ただ、それから先への転売というのはないというふうに認識をしてございます。
 ただ、それも部分的な話でございますので、全部調査をいたしたいと思っております。

○塩川委員 鳩山大臣に伺います。
 今、旧郵政公社の内部の検討委員会の資料におきましても、その委員長の発言として、「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。」と述べている。また、D、Eの物件ということで見ましても、六十四の物件のうち六十件が短期間で転売をされている。建て売り業者に行ったり投資ファンドに行ったりしているわけですね。
 ですから、転売をして相当もうけたと言われるような実態があった、当時もそういうことが議論になっていた、それにもかかわらず、解明も事実関係の確認もされていない。こういうことでいいのか、大臣の御認識を伺いたいと思います。

○鳩山国務大臣 私は、かんぽの宿の件について疑念を強く持ったものでありますから、それなりに調査をいたしておりますし、皆様方がいろいろ調査された結果も興味深く承っております。
 しかし、そういう日本郵政の体質を考えれば、民営化以前にも、公社時代にさまざまな売却があった、本当にこれがすべて国民の財産をきちんと、一円でも高く売るようなものであったならよかったと思いますが、かんぽの宿から類推をしますと、また疑惑を招くような、あるいはできレースと思われるような、あるいは特定のところに利益、利得をもたらすというようなことが前提となってバルク売却が行われたとすれば、それは国民は許さないことでありましょうし、私にとっても大変残念なことでありますが、先ほどからの、あるいはこの間からのさまざまな質疑応答を聞いておりまして、リーテックに売った、私も書類を見ておったら、いやリーテックは書き間違いですなんという、何を隠しているんだろうかという疑惑を感じてしまいますよね。
 そういう意味で、私はかんぽの宿問題を取り上げてきたわけでございますが、それ以前の問題も解明しないと国民には納得してもらえないなと非常に重苦しい気持ちになっているのは事実でございます。

○塩川委員 国民は納得できないわけであります。リクルートコスモスのぬれ手でアワの転売疑惑についての解明が必要であります。
 関連して、私は一昨日の質問で、平成十八年度の入札経緯が不透明であることを指摘いたしました。
 そこで、お尋ねします。
 十八年度、十九年二月の入札の参加者は二社であり、落札者はコスモスイニシアでありました。日本郵政が明らかにしました資料を拝見しました。確認ですけれども、この十八年度、十九年二月の入札の際にコスモスイニシアと争った相手方はどこですか。

○藤本参考人 お答えいたします。
 平成十八年度バルク売却の入札参加者は、コスモスイニシアほか六社の一グループ、その他は有限会社駿河ホールディングスほか一社でございます。

○塩川委員 有限会社駿河ホールディングス。ホールディングスといいますから持ち株会社かと思いましたら、有限会社。極めて不可思議な話であります。
 ほか一社というのはどこか教えていただけますか。

○藤本参考人 有限会社駿河ホールディングスが代表者でございまして、その共同購入者は合同会社CKRF4とございます。

○塩川委員 この有限会社駿河ホールディングスというのはどのような会社なのか教えていただけますか。

○赤松委員長 日本郵政藤本常務執行役。答弁を急いでください。

○藤本参考人 手元に履歴事項全部証明書がございますが、そこを見ますと、出資一口の金額が金五万円でございまして、発行可能株式総数六十株、発行済み株式の総数六十株、資本金の額、金三百万円の会社でございます。
 あと、申しわけございませんが、ちょっとその出資関係、すぐ手元に資料がございませんので、調べてお答えをいたしたいと思います。

○塩川委員 この会社の設立がいつで、この会社は解散をしているようなんですけれども、その解散の時期はいつか、おわかりですか。

○藤本参考人 今、手元にございますのは、入札参加時点の証明書でございまして、それを見ますと、会社成立の年月日は平成十六年十月七日となっております。

○塩川委員 平成十六年の十月七日にできた会社が十八年度のバルクに参加をしている。登記簿を見ますと、この会社が解散をしているのが平成二十年の五月であります。ですから、十九年の二月に入札に参加したと思ったら、もうその一年後には解散をするような会社だった。
 これが、このバルクの入札でいえば百億円になるようなバルク売却を扱うような事業者だと、どうして言えるんですか。

○藤本参考人 不動産取引実績の証明書がございます。それを見ますと、当該会社は約百二十一億円の売買代金総額の取引を行ったことがございまして、私どもの基準でいいます五十億円以上の取引のある会社という条件を満たしておるわけでございます。

○塩川委員 その関係についての資料を出していただけますか。

○藤本参考人 はい、お出しいたします。

○塩川委員 この有限会社駿河ホールディングスというのは、宅建業の届け出というのはしているんでしょうか。

○藤本参考人 直ちにはわかりませんので、調べて御回答申し上げます。

○塩川委員 東京都に確認したところ、宅建業の届け出はないということでありました。ペーパーカンパニーではないのかという疑いを強く持つわけであります。
 こういう実態について、明確に疑いが晴れるような調査をしていただきたいと思いますが、お答えください。

○藤本参考人 お答えいたします。
 御指摘のございました駿河ホールディングス、それから合同会社CKRF4、こういうものにつきまして、調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。

○塩川委員 大臣に伺います。
 この十八年度の二社の入札におきまして、非常に経緯が不透明ではないかということを一昨日も申し上げました。今のように、相手方についての実態というのがこのような取引にふさわしいのかということを率直に疑わざるを得ません。こういう実態についてしっかりとした調査を求める。
 大臣の率直なこの入札の経緯についての受けとめをお聞きしたいのと、しっかりとした調査を改めて求めたいと思います。以上二点、お願いいたします。

○鳩山国務大臣 かんぽの宿だけでなくて、公社時代の何度も何度も行われたバルク売り、あるいはバルク以外もあるかもしれませんが、そういう、昔でいうならばまさに払い下げと言われる概念に当たるような国民の財産の売却について、徹底して調べなければならなくなったというのは大変残念なことでございますが、私なりにできることがどこまであるか、総務省の権限でどこまでできるか、それを調べながら、できる限りの調査をしたい、こう思っております。
 お話を承っておりますと、ペーパーカンパニーなのか、どういう会社なのか、大体、SPCというのもどういうたぐいの会社なのか、私にはよくわからないことが多過ぎます。
 最初、かんぽの宿のときに、二十七社が名乗りを上げたときに、最初に何社かはじかれたりしている。はじかれた会社の中には、四百億とか五百億を提示したけれどもはじかれたと言っている会社もあるわけですね。それは何らかの要素をもってはじいたんだと思うけれども、こっちの十八年度のバルク売却では、もう全くわけのわからない会社でも何でもいいといって認めている。
 とすれば、その二十七社が名乗り出たときに何社かをはじいたやり方と、全く実態があるかどうかわからないようなものまで認めちゃう。それは、レッドスロープというのも、何という会社だかわからないと週刊誌には書いてあった。リーテックだって、CAM6とか7とか、G7―1とか2とか、何か私まで名前を覚えちゃったけれども、何だか、にわかづくりでつくったのか、そのためだけにつくったか、そういうようなものを平気で認めておいて、片やかんぽの宿のときにははじいたりしている。その矛盾があるなというのが感想です。

○塩川委員 三回のバルク落札がいずれもリクルートコスモスで、一回目、二回目の入札の際に争った業者に長谷工コーポレーションなどがあったわけですが、三回目には相手方にはならずに、リクルートコスモスを代表とするグループの中に長谷工コーポレーションが入って、その中で枚方レクセンターという優良な物件を受け取れると。そういう点では、全体ができレースなんじゃないのかということを率直に言わざるを得ません。
 こういった入札、十八年度の入札の経緯も含めて徹底解明をして、国民共有財産を勝手に切り売りするようなことは許さないということを、大いにこの委員会としても決意を新たにしていく、そういう質問としたいと思っております。
 そこで、地方交付税の財源不足問題に入ります。
 地方財政の財源不足が十四年連続して生じている。このことは、地財三法の本会議質問での鳩山大臣の答弁の中にもございました。重大な事態であります。
 地方交付税法は、一割を超える財源不足が三年以上連続して生じた場合には、地方行財政制度の改正か交付税率の変更を行うことを求めております。
 そこで、総務省にお聞きしますが、この地方行財政制度の改正及び交付税率の変更というのは、それぞれどのような場合に実施、適用されるのか、その点、お答えください。

○久保政府参考人 今委員御指摘のように、これまで国会答弁等で、地方交付税法の六条の三の二項の解釈をした場合の要件、これは、巨額の財源不足が平成六年から生じておりますので、平成八年度から、そういった条文の言っている要件を満たしているということでございます。
 では、どういうふうな形でやったのかということでございますけれども、まず、交付税率の変更についてお話をいたします。
 過去、地方交付税の法定率の変更があったケース、これを申し上げますと、昭和二十九年度から四十一年度まで、地方財政の状況が極めて厳しい一方で国税には大きな自然増収があったということで、交付税率が引き上げをされております。
 それから、消費税の導入などの抜本的な税制改正に伴って、あるいは国庫補助負担率の引き下げによる影響額を補てんするため、あるいは国税の減税による減収の補てんを行うためといったことで何回か交付税率が変更されておりますけれども、これは、地方交付税法の六条の三の二項に該当して法定税率を引き上げたというものでは、厳密の意味ではないというふうに思っております。
 ただ、冒頭申し上げました、昭和二十九年度の地方交付税制度の創設から四十一年度までに法定率を引き上げてきておりますけれども、直接的には今申し上げましたように法六条の三の二項に基づくというものではないけれども、趣旨としては、地方財政の状況を踏まえて引き上げが必要であるということでございましたので、法六条の三の二項の趣旨を踏まえて行われた。ただ、厳密の意味では、基づいて行ったものじゃないと考えております。
 そうしたら、先ほど申し上げました、平成六年以降、特に平成八年度以来、この法六条の三の二項の規定に該当する状況が生じているということでございまして、したがって、法定税率の引き上げをしなかったということでございますので、我々としては、その都度、地方行財政制度の改正を行って対処をしてきたというふうに考えております。
 そこで、どういうふうな形での行財政制度の改正なのかということでございますが、平成八年度と九年度におきましては、それぞれ単年度の措置といたしまして、財源不足額のうち地方交付税対応分について国と地方が折半して補てんをするという形で地方交付税法を改正いたしました。
 それから、平成十年度から平成十二年度までにおきましては、これは三年間の措置ということで、財源不足について交付税特別会計の借入金によって補てんをして、借入金の償還については国と地方が折半して負担をするという形で地方交付税法を改正いたしました。
 それから、平成十三年度以降でございますけれども、これは三年ごとに財源不足について国と地方が折半して補てんをするということにいたしまして、国は一般会計からの特例加算、そして地方分については臨時財政対策債の発行によって対処をするということでございまして、平成十三、十四、十五の改正を行いました。そして、十六、十七、十八で二回目の改正を行いました。
 そして、現在は、十九、二十、二十一年度ということで、今、あのような地方交付税法の附則の四条の三の規定を設けているということでございます。

○塩川委員 地方行財政制度の改正については、折半ルールという形で、この間、平成八年度以降の対応がされているということですが、この六条の三の第二項に基づく交付税率の変更というのはないんだというお話でございました。
 では、そもそも、法律においては、財源不足についてどういう事態が生まれれば交付税率の変更を行うということを想定しているんですか。

○久保政府参考人 地方行財政制度の改正ということで不足額に対応してきたということを申し上げました。
 その制度が切れましたらどうやって補てんをしていくのかと、切れるときに財務省とも議論をいたします。その都度議論をしてまいりますけれども、やはり国の方も、これまでのことでございますけれども、大量の赤字国債に頼っているといったようなこともございますので、法定率の引き上げということには至らなかった。これは今までのことを言っているだけでございます、至らなかったということでございます。

○塩川委員 私がお聞きしているのは、六条の三第二項において、財源不足が生じた場合に地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うとある。ですから、皆さんは、今、地方行財政制度の改正で対応していると言っておられますけれども、では、そもそも法律が想定をしている交付税率の変更というのは、どういう事態となれば適用、実施をされるのか、それをお聞きしているんです。

○久保政府参考人 どちらかを行うという法律の規定でございますので、これまで我々は地方行財政制度の改正で対応してきたということでございます。

○塩川委員 地方交付税の解説などを見ていますと、こういうふうに書いてあるわけです。法第六条の三第二項の適用に当たっては、地方行財政制度の改正によって財源不足が解消されることが望ましいというのが同項の規定の趣旨であり、これによっては地方財源の過不足が恒久的に解消されない場合に、交付税率の変更を行うことになると述べています。これは一般的な解釈だと思うんですが、そのとおりでよろしいですね。

○久保政府参考人 それでいいと思います。

○塩川委員 そこで、大臣にお聞きしますが、十四年連続財源不足が生じているという事態の中で、どう対応するのかということが問われてまいります。
 そもそも、財源不足に対応する措置としての交付税率の変更というのが、厳密に言えば一度もなかったんだというのは大変驚きなんですけれども、大臣はそういうことは御存じだったんでしょうか。

○鳩山国務大臣 総務大臣になるまでは、それほどこういう勉強をしておりませんでしたから、それは比較的最近の知識でございますが、この法六条の三第二項というものを素直に読めば、法定率の引き上げを考え始めなければならない、検討しなければならない時期に来ているというふうに読むのが素直なのではないかなと思います。
 ただ、御承知のように、国の財政の方も火の車でございますから、そう簡単なことではありませんけれども、中期プログラム等を検討するのであれば、こうした問題について当然検討しなければならないはずだと思います。

○塩川委員 交付税法の六条の三第二項で、財源不足が生じた場合の措置として交付税率の変更を行う、こういう規定が法律で行われたのは、さかのぼるといつのことなんでしょうか。戦後すぐのころ、およその時期がわかれば教えていただきたいんですが。

○久保政府参考人 御案内のように、今の地方交付税法は、もともとはシャウプ勧告に基づいて平衡交付金法という形で発足をして、昭和二十九年に法定率ができて、一定のものを交付税の原資にするといった形で、安定的な制度に切りかえた。昭和二十九年度に今の地方交付税制度がスタートをしております。

○塩川委員 制度としては五十年以上前にあるんですけれども、一度も使われたことがないと。抜かずの宝刀といいますか、抜かずにさびているのかもしれませんけれども。こういう状況があった上で、大臣も、素直に読めば交付税の変更をするのが筋だろうという話でございました。
 では、具体的に、この規定に沿って財源不足の解消策として交付税率の変更を行う、使うつもりだ、使うお気持ちがあるということでよろしいですか。

○鳩山国務大臣 昭和二十九年に平衡交付金から地方交付税に変わったとき、この条文が最初からあったとすれば、当然、予想外にいっぱい入ってきたときもまた考慮するということだったでしょうね。今はちょっと考えられないけれども、物すごくいっぱい入ってきちゃった、予想外にふえてきたから、これはまた行財政制度を変えるか、率を下げるかということ、実際にはそういうことはなかったようですが、それでも、二十九年、地方交付税法ができたときにはその両方の予想があったんだろう、そう思います。
 私は、いつも申し上げますように、地方税と地方交付税という、地方が自由に使えるお金が十分なければいけない。そうしないと、地域は、地域の首長さんの自由な発想のもとの経営というのでしょうか、そのもとに置かれるような形にならない。つまり、逆に言えば、市町村長さんや都道府県知事さんや、あるいは地方議会というものが地域の真の経営者たり得るというのが理想だ。その場合には、財源として自由に使える財源、補助金、交付金でなくて、地方税と地方交付税が潤沢になければならないという前提で地方税財政制度を考えております。
 ということは、当然、この地方交付税が制度的にふえる方法の一つとして、法定率の改定というものは目指していきたいと思います。

○塩川委員 地財三法の本会議質問の際に、私は、地方財政に関連して、十四年連続の財源不足が生じている、地方行財政制度の改正ではもう限界だ、だからこそ交付税率の引き上げが必要だという質問を行いました。同趣旨の質問は原口議員の方からもございましたけれども、それに対して、いずれも大臣の答弁においては、そろそろ地方交付税の算定率についても議論を始めていい時期ではないかと考えている、国税五税の算定率を上げて、地方交付税の基本的な額が少しでもふえるようにしなければならないのではないかという議論が始まっていい時期ではないかと述べておられます。
 それで、地方行財政制度の改正としてこの間措置してきた折半ルールが三年ごとに、多少形は変わっていますけれども更新をされて、それが〇九年度、来年度いっぱいまで一応枠がはまっている。再来年度からどうするかというのは今のところ白紙なんだと思うんですけれども、そういう点では、今はいい機会だろうと率直に考えております。
 ですから、〇九年度まで枠組みが決まっている、逆に言えば、その先は決まっていないわけですから、まさに検討するいい機会で、その点で、その先をどうするかということで、今大臣はどのようにお考えですか。

○鳩山国務大臣 地方交付税法第六条の三第二項に基づいて地方行財政制度の改正か地方交付税の法定率の引き上げを行うことが必要なわけですから、地方交付税の法定率の引き上げはとにかく検討しなければならないし、政府の中でも、できれば国会でも議論をしていただきたいと思っております。
 中期プログラムというものがあって、これは経済状況が好転することが前提になっているとは思いますが、そこで中福祉・中負担が議論されていく。その際に、消費税の話、そして地方消費税の話、その他の基幹税目のあり方というのも検討課題に入っておりますから、ここでもこの議論は持ち出さなければいけない。
 地方消費税のありよう等によっては、地方交付税の法定率の議論をしなくて済むというような事態もあるかもしれませんけれども、いずれ俎上に上る議題でございますので、真剣に検討を続けていこうと思っております。

○塩川委員 地方交付税の交付税率の引き上げも検討の対象となるということでございました。
 あわせて、中期プログラムの中で、地方消費税の話が出てまいりましたけれども、私どもは、消費税というのは、所得の少ない方により重い負担のかかる逆進性の強い税制で、福祉破壊の税金だ、こういう形で手当てをするということは、消費税の増税ということには断固反対であります。
 大臣がおっしゃる地方消費税の拡充、充実というのは、消費税の増税を前提としたものということでお考えですか。

○鳩山国務大臣 今は四%の消費税に一%の地方消費税ですね。これは、確たることは言えないんですが、消費税を将来一〇%にするということをお考えの方がおられるとして、九%が消費税で一%が地方消費税というような案も、いや、今現実に検討されていると言っているわけではありませんが、そういう案も存在をしているようでございまして、そういうことは絶対に認められないなと。そうであるならば、もし消費税が一〇%であるならば、そのうち二%、できれば三%を地方消費税にしてもらいたい、こう思います。

○塩川委員 消費税増税を前提とした地方税の拡充や、あるいは交付税の算定率の引き上げということは、やはり福祉破壊にもつながる、認められない。法に基づいたふさわしい対策を強く求めて、質問を終わります。
 申しわけありません。就学援助について質問する予定でしたが、次の機会にさせていただきます。文科省の方、引き続きよろしくお願いします。失礼しました。