<第171通常国会 2009年04月07日 総務委員会 12号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、二年余り先に迫りましたアナログ停波に関連する地デジ問題で何点かお伺いいたします。
 最初に、ケーブルテレビに関係してですけれども、ケーブルテレビに関する苦情相談件数というのは増加をしている、このことは国民生活センターにおいても取りまとめられておるところでございます。
 国民生活センターが集約したケーブルテレビに関する相談件数の推移というのが、二〇〇三年度に千十五件、二〇〇四年度が千二百五十四件、それが〇五年度には二千百五十一件、〇六年度二千百八十一件、そして〇七年度は二千五百十七件で、〇八年度につきましても、〇七年度同時期に比べてほぼ同数の数字となっているということで、非常にこの間で増加をしております。
 相談の事例などを見ましても、今のテレビがすぐに見られなくなると思ってしまって契約をしたとか、アンテナ工事費用が高額になると思って契約をしてしまったとか、近所が皆契約したと言われて契約したと。このような例というのはたくさん出ております。
 そこで、総務省に伺いますが、総務省としてもケーブルテレビ等に関する苦情相談件数の取りまとめを行っております。総務省の地デジコールセンター、国民生活センター等に寄せられた苦情相談をもとに総務省が作成をした数字でお聞きしますが、この勧誘に関する苦情相談などで多いものはどういうものになっているのか、お示しください。

○山川政府参考人 総務省の地デジコールセンター等に寄せられているケーブルテレビの勧誘に関する苦情相談の内容として多いものでございますけれども、低額なサービスの説明をしない、あるいは、必要のないサービスに加入させようとするといったサービスあるいは料金の説明不足に関するもの、それから、勧誘がしつこいといった勧誘方法に関するもの、それから、違約金の金額、最低利用期間等の説明がなかったといった解約条件に関する不十分な説明に関するものなどが挙げられております。

○塩川委員 必要性の低いサービスに加入させようとするとか勧誘がしつこいなどとあわせて、低額サービス、安い料金設定のサービスの説明をしないということも挙げられております。地上波のみのメニューがなくなってしまったとか、こういった声なども苦情として寄せられているわけですけれども、その点で、地デジの受信方法の選択肢をきちんと視聴者に示すことが必要であります。
 その際に、ケーブルテレビによります地デジの再送信サービスについての情報提供というのは不可欠であります。「デジタル放送推進のための行動計画(第九次)」では、「地上デジタル放送のみの再送信サービスは地上デジタル放送への円滑な移行に資するものであるため、ケーブルテレビ業界として、同サービスの早期導入を推進する。 ケーブルテレビ事業者においては、地上デジタル放送のみの再送信サービスについて、具体的なサービスメニュー、提供条件等を速やかに検討し、視聴者に対して可能な限り早期に提供できるよう取り組む。」とあります。
 首都圏でいえば、いわゆるテレビの一から十二のチャンネルが見られればいい、有料なチャンネルまでは必要ないよという方は少なくありませんので、こういった地デジ放送のみの再送信サービスを安い料金で設定をすることが必要だということは総務省としても呼びかけているところであります。
 そこで伺いますが、地デジ放送のみの再送信サービスを提供している事業者は全体の何割なのか。一般視聴者向けに提供している事業者は全体のうちどのぐらいになるのか、お答えください。

○山川政府参考人 先生御指摘のとおり、私ども、昨年の十二月、ケーブルテレビ事業者に対して、視聴者が利用しやすいサービスメニュー、提供条件を検討してほしいというふうに要請いたしましたけれども、その背景といたしましては、やはり先生おっしゃるとおり、地上デジタル放送の進展に伴いまして、地上放送しか視聴しないので安価な料金を設定してほしいといった意見が多く寄せられているということがございます。
 全体の中でこうしたサービスを提供している事業者でございますけれども、全事業者五百三十二社のうち、地デジのみの再送信サービスを提供している事業者が二百十二社、約四割になります。

○塩川委員 私、一般視聴者向けに広くサービスを提供しているものと。今お話しのは難視聴とかマンション共聴とかそういうのも含めての事業者数と承知をしておりますけれども、そういう限定のない、広く一般視聴者向けに提供しているのはどのぐらいか、お答えください。

○山川政府参考人 この五百三十二社のうち、難視聴地域など地域限定をせずに地上デジタル放送のみの再送信サービスを提供している事業者は百四十五社、二七・三%、三割弱になります。

○塩川委員 四分の一しかないわけであります。
 大手事業者はどうかということなんですが、こういったケーブルテレビの契約件数の大手でいえば、例えばJCOMグループですとかJCNグループというのは、こういう一般視聴者向けの限定のないサービスというのは提供しているんでしょうか。

○山川政府参考人 私どもが大手のケーブルテレビ事業者に伺いましたところ、地デジのみの再送信サービスを地域の限定をせずに提供しているという事例は、大手ではイッツ・コミュニケーションズ、ケイ・キャット、ZTVでございまして、御指摘のようにJCOMなどは提供していないというふうに承知しております。

○塩川委員 ケーブルテレビ事業者の大手では実施がされていないということであります。
 あわせて、料金設定についてですけれども、安い料金というのは当然望ましいわけですが、現状どのようになっていますか、お答えください。

○山川政府参考人 こうした再送信サービスの料金、具体的な提供条件につきましては、基本的には各事業者が経営戦略に基づいて独自に判断あるいは決定すべきものというふうに思っております。
 ただ、私どもが行った調査によりますと、平成二十年十二月末で、地デジのみ再送信サービスを提供している事業者のうち、大体、月額五百一円から千円までの料金によりこのサービスを提供している事業者が最も多いものでございます。大体、このサービスを提供している事業者に占める割合は四四・五%となっております。

○塩川委員 大手の事業者で先ほど実施をしているというところで挙げられたケイ・キャットなども、実際には二千百円という形で非常に金額も高いんですよね。ですから、大手の中で実施をしていても、五百円から千円ぐらいということにはなっていないわけです。
 大臣に伺いますが、実際、こういった地域限定のない一般視聴者向けの地デジ再送信のサービスが、まだケーブルテレビ事業者のうちの四分の一程度だ。また、大手のところにおいて実施されているのも実際には少ない。ですから、現実に提供される世帯数で見れば、極めて少ないという実情があるわけであります。これは視聴者にとっては極めて不十分な到達ではないかなと率直に思いますが、大臣の御感想をお聞かせください。

○鳩山国務大臣 確かに、うちもケーブルテレビで入っておりますが、野球等は見ることがあっても、ほかはまず全く見ることがありませんから、したがいまして、今、野球というのは全球場のほとんどでもありますね、そういった意味で、一般の御家庭でケーブルテレビに入りたいが地上デジタル放送だけでいいんだという方が当然多くおられると思いますから、今の二千百円というのは随分高いなと率直に思いました。
 視聴者からの要望が多く、地上デジタル放送への円滑な移行にも非常に資するものであると考えておりまして、昨年十二月に、各総合通信局長から事業者に対し、その早期導入に向け、視聴者が利用しやすいサービスメニュー等を検討するよう要請をしたということで、その際、地上デジタル放送のみの再送信サービスについて、広く情報提供に取り組むよう要請したところでございまして、総務省としては、今後、情報提供の取り組みについても調査を行って、引き続きそのようなサービスの導入が推進されるように頑張っていきたい、こういうふうに思っております。
 私は電気通信のことはよくわかりませんが、今はアナログ停波から地上デジタルということに切りかえるわけですが、ケーブルテレビが仮に今から何十年か後に全部発達したら、地上デジタル波がほとんど不要な時代だって来る可能性はある、全部が結ばれておりますと。だから、そういうことを考えると、やはり地上デジタル放送のみの再送信というのは大いに普及すべきものと思います。

○塩川委員 実際、事業者によると、説明が真っ先に出てこないと。有料なチャンネルの説明から入りますから。その中で、一から十二だけ見られればいいんだというのを聞いて、それは今検討中ですとか言う事業者も実際には多いわけですよね。そういう点でも、十二月におきましてケーブルテレビ事業者に対し要請も行い、情報提供の状況についての実態調査も行うということでございますので、そこも踏まえて事業者の宣伝物にもきちんと選択肢として地デジ放送のみの再送信サービスというのがありますよということが明示をされるようにきちんと指導をお願いしたいと思っております。
 あわせてその点で、総務省の宣伝物がどうなっているのかというのも問われるわけであります。
 総務省の宣伝物において、例えば都市の受信障害対策共聴についてですとか、一般的に地デジを促すような宣伝物、パンフレットなどにおいて、地デジのみの再送信サービスについて紹介しているものはありますか。

○山川政府参考人 先生の御指摘は、現在、例えば総務省でやっておりますデジサポで配っておりますパンフレットでございますけれども、こうしたものには、現在のところ、例えば地デジのみのサービスがありますというような記述はございません。

○塩川委員 もちろん、これは事業者が実施をするものですから……。しかし、このように普及が望ましいと大臣はおっしゃっておられるわけですし、総務省としても掲げているわけですから、総務省の宣伝物にそもそもないというのは大問題であるわけで、今後出されるような宣伝物にきちんと地デジのみの再送信サービスの提供というのを事業者に呼びかけているという文言を入れるとか、つまり、視聴者がそういう選択肢もあるんだなということが総務省やDpaやデジサポなどの宣伝物できちっと伝わるようにするということが最低限必要なことだと思うんですが、お約束いただけますか。

○鳩山国務大臣 今山川局長が御答弁申し上げたとおりでして、「地上デジタルテレビ早わかりガイド」、これは総務省がDpaと一緒につくっているものでございますが、そこでは、デジタルテレビで受信する場合、チューナーで受信する場合、ケーブルテレビで受信する場合というのが確かに書いてあるわけです。どれくらいかかるのかというところは、結局、月額利用料は三千円から五千円程度だろうと。これはいろいろな有料なチャンネル、多チャンネルの場合しか書いていないわけですから、地上デジタル波だけだったら五百円とか千円とか、それが普通だということを書き込むようにします。

○塩川委員 安い料金ということが極めて重要ですので、その点の具体化をお願いいたします。
 もう一点、地デジ関連で、受信障害対策共聴施設の改修問題についてお聞きします。
 共聴の場合については、辺地共聴の問題もありますし、集合住宅、マンション共聴の対策もそれぞれ重要であります。あわせて、受信障害対策共聴、ビル陰などの共聴についての対応というのが現状どうなっているのか、まずお聞きします。
 受信障害対策共聴施設は、全国でどのぐらいの施設があって、どのくらいの世帯が利用していて、そのうち現時点で地デジ対応がどの程度行われているのかについてお聞かせください。

○山川政府参考人 御指摘の受信障害対策共聴施設でございますが、全国で約五万施設あろうというふうに推定をしております。カバーする世帯は約六百二十万世帯でございます。
 その地デジ対応でございますが、デジタル化によりまして受信障害が解消される場合には各世帯が直接受信することが可能となりますが、受信障害が解消されない場合もございますので、その場合には地デジ対応が必要になるということでございます。
 地デジへの対応状況でございますが、現在、実は三月末現在の数字を調査中ではございますけれども、デジタル化対応済みになっているのは、恐らく全体の一割程度ではないかと考えております。

○塩川委員 今データベースもつくって、正確なものはそろそろ出るかと思いますけれども、実際、地デジ対応が一割というのは、残り二年余りという時点では極めて深刻な事態ではないかなと率直に思います。
 これは、今後の普及といいますか、地デジ改修のテンポ、敷設目標ですとか、今年度中にどこまで改修を進めるとか、こういった目標というのはお持ちなんでしょうか。

○山川政府参考人 この施設は全体で五万施設ございますけれども、この五万施設にもそれぞれ管理者によりまして色分けがございまして、それぞれの施設、例えばこの施設の中には国で管理している施設もありますし、地方公共団体で管理している施設もあります、あるいは公共事業者が管理している施設もありまして、そのほかが一般の民間の施設ということになります。
 それぞれにつきまして、国あるいは地方公共団体、公益事業者、こうしたところにつきましては、私どもも要請をいたしまして、順番に各事業年度ごとに計画をつくって対応をお願いしておりますけれども、民間の施設につきましては、これからいわゆるデジサポを通じまして丁寧な情報提供を行うことにより順番に対応をお願いしていくということになります。

○塩川委員 もちろん、空港ですとかJRとか東電だとか、そういった公益事業者や国が対応しているものについては、この間、私もお聞きしてまいりました。しかし、民間のビル陰などの共聴施設については、現時点でも目標、テンポも示されていないというのが現状だということであります。
 あわせて、民間の場合について、マンションの管理組合などが行っているような場合についてどうするのかという場合に、実際には、そもそもマンションの改修の費用の積み立てだけで手いっぱいで、ビル陰の共聴などについてすぐお金も出ないよということで入り口からスタートできないところもありますし、また一つ大きなビルが建って、そのビル陰の共聴をつくったとしても、その後、そこの場所に新たにビルが建ち上がって、実際には二つ、三つが障害をもたらすであろうと言われるような場合が現に生まれている。
 そういった場合に、複数の原因者があるような事態というのが生まれているわけですけれども、そういった数とかというのは把握されているんでしょうか。複数の原因者があるだろうという施設の数とか。

○山川政府参考人 先生御指摘のものは、恐らく、最初はこのビルが原因だということが明らかであったにもかかわらず、その後また別なビルが建って、今は原因者はどれかというのがよくわからないというものでございますけれども、その現状につきましては、私ども正確に把握しているわけではございません。
 ただ、現在、二十一年度予算におきまして、必要な、例えば受信調査あるいは改修支援の経費を盛り込んでおるところでございまして、そうした経費を活用いたしまして、全体としてこの受信障害対策共聴施設につきましてデジタル化を推進していきたいというふうに思っております。

○塩川委員 最後に一言、大臣に。
 今のように、実際に複数の原因者があるだろうという施設の数も特定されていない。今後の目標、テンポも示されていない。その上、実際に調査費といっても、五万のうちの三千施設分を今年度計上ということ自体、そもそも二〇一一年に間に合うのかと極めて疑問に思うわけですが、大臣としてのお考えをお聞かせいただいて、質問を終わることにします。

○鳩山国務大臣 私が聞いている話では、五万といいましても、実質的に、今後調査していって、デジタルに変換することによって何もしないでも大丈夫なところも相当数あるというふうに考えておりまして、今まで局長が答弁してまいりましたようにきめ細かくやってまいりますし、また、総理からの指示で新しい経済対策が検討中で、結論は出ておりませんが、受信障害対策共聴施設のデジタル化対応施策についても、これはぜひ今回の新しい経済対策に入れてもらおう、そして一気に進めていこう、こう考えております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。