○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 電波法の審議に当たりまして、アナログ放送の停波は二〇一一年七月二十四日、それに際して、地デジの受信機の普及がそもそも間に合うのかという問題を中心に質問をしたいと思っております。 数字の確認を最初にさせてもらいますが、この間、〇八年三月、〇八年九月、そして〇九年一月と、地デジ対応受信機の普及についての調査を行っております。三回それぞれについて、普及の目標と地デジ対応受信機の保有率の調査結果がどうなっているのかをお答えください。 |
○塩川委員 〇八年三月のときに差は〇・三ポイント低かったわけですけれども、昨年九月の段階では五・一ポイントに拡大をし、ことしの一月の時点では八・九ポイントへと大きく拡大をしている、差が開く一方にあるというのが調査の結果であります。 続けて、この世帯普及率の数字そのものの妥当性ということで何点か伺いますけれども、地デジ対応受信機の保有世帯、ことし一月では四九・一%ですが、その中には、保有はしているけれども地デジ放送を見ることができない世帯というのが含まれております。 そこで、お尋ねしますが、この保有世帯四九・一%のうち、地デジ放送を見ることができる世帯及び保有はしているが地デジ放送を見ることができない世帯はそれぞれ何%か、また、保有はしているが地デジ放送を見ることができないとされている理由は何なのかをお答えください。 |
○塩川委員 実際に地デジ放送を見ることができる世帯というのは、四九・一%じゃなくて四四・三%ということであります。 先日も質問しましたけれども、共聴施設におきましても、都市受信障害対策共聴などの対応状況は極めておくれているわけですから、これはこういう数字にも、テレビはあるけれども、そもそも受信ができる環境にないという事態にもなっているわけです。ですから、今後も、地デジ受信機の保有世帯数と実際の地デジ視聴可能世帯数というのは食い違うことになってくるわけですね。受信環境の共聴などが整わない、こういうことも残るわけです。 そのずれが、そのまま二〇一一年に持ち越される可能性も否定できないわけで、本来、実態を正確に反映した世帯普及率は、保有世帯ではなくて、保有し地デジ放送を見ることができる世帯ではないかというのが私が指摘をしておきたいことであります。その点でも、政府が指標とする世帯普及率が実態を反映していないと言わざるを得ません。 もう一点指摘をしたいのが、視聴者にとって地デジのメリットということであれば、当然のことながら高画質、高音質、データ放送といったメリットが享受されてこそ地デジ化の意味があるわけですが、このようなメリットを享受できる地デジ受信対応機というのは当然のことながら地デジのテレビでございますけれども、〇九年一月の調査での地デジテレビの保有率というのは何%なんでしょうか。 |
○塩川委員 世帯普及率よりも一割も少ないわけです。チューナーなどでは地デジのメリットを享受できないわけで、この点でも、本来、地デジのメリットとして言われていたサービスが提供されないということでいえば、普及率の実態は四割。しかも、先ほど言った、共聴施設などで受信環境が整っていないところも含めれば、その四割もさらに切る事態というのは現にあるだろうということが想定をされているわけです。 もともと、過去、地デジについて総務省としても行動計画を立ててまいりましたけれども、例えば第四次の行動計画、〇三年の十月のときには、普及目標の対象というのは、「家庭内で地上デジタルテレビ放送をアナログテレビ放送以上の画質で視聴するために用いられる機器」としていたのに、〇六年十二月の第七次の行動計画以降では、「アナログテレビ放送以上の画質や同等の機能で視聴するために用いられる機器」と、アナログ放送以上の画質を提供するのが地デジ放送ということを基準にしていたのを、わざわざ同等の機能という言葉をつけ足して、地デジのメリットが得られない地デジ対応の受信機、いわば地デジチューナーなども加えてかさ上げをするということがこの間行われてきているわけであります。ここでも、いわば数字のかさ上げが行われているわけです。 加えて、世帯普及率には地域差がございます。昨年三月の調査、これは一定量のサンプルをとった調査ですけれども、全体の世帯普及率が四三・七%ですが、おくれている地域がございます。 そこで、お聞きしますが、東北と四国と九州と沖縄はそれぞれ何%となっているのかをお答えください。 |
○塩川委員 ですから、全国にならしてみますと四三・七%ですけれども、東北、四国、九州についていえば六ポイントぐらいの差がある。沖縄でいえば、全国平均にしてみれば、一六ポイントもの差が生まれているというわけであります。 なぜこのような地域差が生まれるのかをお示しください。 |
○塩川委員 複合的な要因、その分析もまだされていないということ自身が重大だと思います。 要するに、三大都市圏は〇三年の十二月にスタートしたけれども、全国で始めたのは〇六年の十二月と、三年ずれているわけですよ。その三年のずれが、東北や四国や九州や沖縄で普及がおくれることにもつながっているわけですね。それは当然反映されていると思いますが、いかがですか。 |
○塩川委員 大臣にお伺いしますが、今申し上げましたように、総務省の調査を見ても、目標と実際の調査結果が、どんどん差が開いているということが前提にあります。 その上で、ことし一月の四九・一%の数字をとっても、その数字自身が実態を正確に反映していない。地デジの受信機は持っていても、共聴施設、マンション共聴などが改修されていないために映らないという世帯も実際ありますし、本来地デジのメリットということでうたっていた、そのテレビを購入している世帯そのものも、四九・一%から見れば大きく少ないわけですし、さらに地域差も現にある。現状でさえおくれているのが、さらにおくれた地域があるということです。 こういった普及目標と普及実態が大きく開いているということについて、大臣はどのように受けとめておられますか。 |
○塩川委員 この問題で、もともと地デジテレビの普及というのが、二〇一一年ということで、どういう根拠があったのかという問題があるわけです。 二〇〇一年の電波法の改正の際に、では二〇一一年までに地デジテレビが全世帯に普及するという根拠はどこにあるんですかということも問うているわけですけれども、これは当時どういうふうにお答えになっておられますか。 |
○塩川委員 十年あれば無理ない形で買いかえができるという話でしたけれども、今お話がありましたように、そもそも三大都市圏で電波が飛んでいるのが〇三年の十二月からですよね。全国で、まず県庁所在地からでもスタートしたというのが〇六年の十二月ですから、テレビの買いかえサイクルの八年から十年ということを言っても、〇三年十二月からとっても、実際には二〇一一年七月まで七年七カ月しかありませんし、全国でスタートした〇六年の十二月からとれば四年七カ月しかないんですよ。 地デジのテレビを買うのは、地デジの電波が飛ばない限り買っても意味がないですから、そういうことを考えれば、全国でいえば、では買いかえようという気になるのは四年七カ月の期間しかないんですよ。それがどうして八年から十年と言われるテレビの買いかえサイクルにそもそも合っているんですか。そもそも、地デジのテレビの普及目標が、二〇一一年で打ち切るということが全く根拠がないということを当時から示されていたということじゃないですか。大臣、どうですか。 |
○塩川委員 もともと、二〇一一年にテレビが買いかえられる、そういうサイクルじゃなかったんですよ。ですから、そういう点でも、この二〇一一年というのが、打ち切るという根拠がなかった。 もともと十年というのも、周波数帯の変更にかかわって、免許が五年サイクルですから、その二回分で十年という、そちらの方が優先しているわけで、消費者、国民のテレビの買いかえサイクルなんというのは後づけの理屈でしかない。 そういう点でも、二〇一一年の日までこのまま突入すれば、大量に地デジ難民が生まれかねないということですから、二〇〇一年の法改正時に我が党は修正提案もいたしましたけれども、例えば、アナログ停波予定の二〇一一年七月の一年前の時点で地デジテレビの普及率が一定の基準に達していないときはアナログ停波は延期するといった措置を検討、具体化すべきではありませんか。 〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕 |
○塩川委員 大臣にお答えいただきたいんですけれども、平成十年のときに、地上デジタル放送懇談会で議論した。その報告書の中では、停波に当たって条件をつける、つまり、送信側が一〇〇%は当然だけれども、受信側についても、受信機の世帯普及率が八五%以上であることを少なくとも停波の時期を決める条件にするんだということを提言しているわけです。まさに今こういうのに学んで、しっかりとした、地デジ難民が生まれないような措置を考えるべきじゃありませんか。 |
○塩川委員 ええ。 国民にテレビの買いかえを強要するんじゃなくて、アナログ停波そのものを強行せずに延期すべきだということを申し上げて、質問を終わります。 |