<第171通常国会 2009年04月21日 総務委員会 16号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうはお忙しい中、各参考人に貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 この直轄事業負担金の問題をめぐりましては、やはり国民の目線からこの問題をどう考えるかということがございます。それぞれ皆さんからお話がありましたように、直轄事業負担金をめぐって情報開示や事前協議については当然の要求であり、維持管理の負担金などは直ちに廃止をする、そして、直轄事業負担金制度の廃止を含めた抜本的な見直しが必要だ、その点で国と地方のそれぞれ何が必要な事業なのか、こういう問題についても首肯できるものであります。
 その上で、国民の目線からといった場合に、国が出そうが地方が出そうが同じ税金で、そういう点ではそれがどういう目的にどのように使われているのかということについての説明責任は、国も求められているし地方も求められている。今回、香川県でこのような直轄負担金の明細を要求して退職金なども入っていたということがわかるきっかけは、県会議員の方が前年に比べて今回ふえている理由が何なのか改めて地方整備局の方に問い合わせをしたら、そういう中身がわかったというふうに承知をしているわけですけれども、いわば国民、県民に答える立場で調べていけば、おのずと明らかになってきたことなのかなと思っています。
 二井知事がお話しになりましたように、もともと直轄負担金の明細については以前から知事会でも要望が出されておりましたし、旧自治省の時代から明細を明らかにするようにと各省に求めてきたこともありますし、地方分権改革推進会議でもそういう要望があったわけです。
 そういう点で、それがなかなかできなかったということについて、各知事において問題意識の差があったというお話も、直轄負担金の中身が県の要望と同じ方向だったということで出なかったということもありましたけれども、二井知事にぜひ伺いたいんですが、もともと以前から明細の要求があったわけですけれども、何か統一的に明細を求めるようなルール化とか、そういうことは知事会の方から出されなかったのか。出されなかったのであれば、それはなぜなのかなというのが率直な疑問でありますので、その点をお示しいただけないでしょうか。

○二井参考人 知事会としては、先ほど御答弁申し上げましたように、昭和三十四年以来、直轄事業負担金の廃止、そしてその後、何年かたちましてから、特に維持管理費の負担金の廃止の問題を中心にずっと要望をしてきました。したがいまして、手続の方については、はっきり申し上げまして、余り関心がなかったというような形になってしまったというふうに思っております。
 確かに、旧自治省時代から国の方に具体的なものを出しなさい、出してくださいという要請はいろいろありましたが、知事会といいますか、知事の立場からはそのことについて統一的な要請を関係省庁にしなかった、後は事務的に任せてしまったというのが今の反省点であるというふうに考えております。
 したがいまして、今のような状況でありますから、知事としても、当然、具体的な説明責任を果たさなければならないという中で、今回、ぜひ情報開示をしてもらいたいというのが強い願いであります。そうしませんと、私どもも、今年度、直轄事業負担金を払わなければならないという時期がいずれ来るわけであります。八月から九月ごろ請求が来ますので、その際は必ず明細を出していただかなければ、今のような状況の中ではお支払いができないということになりますので、全国知事会としては、国の方で早く、五月中に情報開示をしてもらいたいということをお願いしておりますので、ぜひそういう方向にしていただきたいと願っております。
 以上です。

○塩川委員 先ほど橋下知事のお話にもありましたし、泉田新潟県知事も、地方には二人の上司がいるという話がありました、霞が関に顔を向けているという職員の話がありました。その点で、県の職員の中に国交省など国からの出向があるという問題があります。
 その点が人事の面でもこういった開示についても妨げとなるような実態が生まれていないだろうか、そういう懸念というのを覚えるんですけれども、地方自治のあり方として、こういう国からの出向のあり方の問題についてどのようにお考えか、皆さんに一言ずつ短く、いかがでしょうか。

○上田参考人 人事交流という立場では、新鮮な感覚をそれぞれが味わう。例えば霞が関の皆さんは現場を味わう、また、県から国の方に行くときには全体の流れを知るとか。県と市町村との関係の中でも、市町村から県に派遣があると、全体のことを学んで役に立ったという意見も多く聞いています。
 私も感想文を読んでおりますけれども、例えば市町村から七十人から県に来ておりまして、そういう感想文を読んでおりますが、大方は勉強になったと。そして、県の立場からは、市町村から副市長などを求められることもありますが、とにかく実家のことは考えないで市町村のためにだけやれという訓令だけは出しております。大方は勉強になったという形で帰ってきております。
 問題は、首長のリーダーシップではないかというふうに思っております。甘んじて受け入れているのか、それとも求めて受け入れているんでしょうか。私の場合は、何人か求めております。

○二井参考人 山口県の場合も、国から来ていただいている職員は数名いるわけでありますけれども、これは人事交流という立場の中で来ていただいていると私は理解しております。
 私自身も旧自治省の採用でありましたし、鹿児島県とか長崎県で勤務をさせていただきました。このことを通じて地方自治のあり方等々についても大変勉強になった、それが今も生きているというふうに理解をしておりますから、そういう意味での人事交流をお互いにしているわけであります。
 したがいまして、国の方から、例えば私どものところは土木建築部長が来ておりますけれども、来ておるから国に対して遠慮するとかいうことは一切ありません。
 以上でございます。

○橋下参考人 大阪府も国から出向していただいております。適材適所ということで、非常によく頑張ってくれています。
 ですから、国の出向者がどうのこうのよりも、それは自治体のプロパーの職員の意識といいますか、直轄事業の負担金の話ではないんですが、例えば国所管法人の、いわゆる天下り先の所管法人に対して自治体は分担金を出しておりまして、僕はその天下りの役員報酬が自分の報酬よりも高いこともあって頭に来たので、分担金はもう払わなくていいんじゃないかという話をしたら、各担当課が、百幾つぐらい所管法人があって、僕は一切払うなと指示を出したんですが、僕の前に一斉に行列ができて、各部局部局がこの所管法人は必要なんです、この事業は必要なんですとみんなが言うんですね。僕は職員に、自分らの給料を、僕が切ったわけなんですけれども、退職金まで切られて、人件費まで切られて、天下りの報酬は何千万ももらっていて悔しくないんですかと言っても、だれもそれに対して悔しさを出さないというのが今の現状であります。
 だから、これは出向者がどうのこうのというよりも、これは直轄事業の負担金や補助金制度によって完全に主従関係に操られている。この現状が根本にありますので、国の出向者がどうのこうのという問題とはまた別の根本的な問題だと思っています。

○神野参考人 私は三知事の御意見とほぼ同じなのですけれども、違った観点から行政を見直したり、公務員そのものの能力を引き上げていくということでローテーションをさせるということ自身、必要というよりも、あってもいいのではないかと思っております。
 ただ、問題は、出向をした人間であろうとなかろうと、中央官庁の方を向いて仕事をせざるを得ないような仕組み、つまり、総合行政ができないような仕組みにあるというふうに考えています。いわゆる縦割り行政と言われている現象ですね。この現象をつくり上げているシステムの改革が必要なのではないかというふうに考えます。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、都道府県と市町村との関係でも負担金がございます。これは、日本経済新聞の社説でも、「都道府県が実施する公共事業における市町村の負担金にもそのまま当てはまる。国を批判するなら、市町村の声もしっかりと受け止め、早急に改善すべき」とありますし、時事日報でもそういうコラムがございました。
 この点について、県の事業において市町村に対し情報開示を行うとか県との協議のルール化というのはどのようになっているのか、その点について三知事にお答えいただけないでしょうか。

○上田参考人 県と市町村との関係では、一般に言えば、下水道事業が大半であります。各市町村別に利益を受けるという形の中で一定の負担をしていただいているという形になっていますので、この考え方が正しいかどうかはわかりません。
 国との関係でいえば、私は、県益だったから圏央道あるいは利根川、江戸川の堤防強化について負担をしていたつもりでありますが、市町村が、これは市町村の利益ではなくて県民全体の利益だという判断でそういう御要望があれば、そうした要望を私たちは率直に受けて何らかの形での改善をしなきゃいけないというふうに思っています。多分に国と県との関係が県と市町村との関係に投影しやすいことだけは間違いないというふうに思っておりますので、しっかり検討したいと思います。

○二井参考人 山口県の例で申し上げますと、私どもは、直轄事業負担金は今年度予算で約百十六億円国の方に払うという形になっておりまして、一方、市町村からは、例年、大体六十億円ぐらいいただいておるという形になっています。
 しかしながら、今、直轄事業負担金の見直し問題が出てきておりますから、私どもは、市町村には説明はしているというふうに理解をしておりますけれども、やはり、この機会にそのあり方については見直さなければならない、市町村からの負担金についても見直さなければならない、そのように考えております。
 したがいまして、直轄事業負担金の見直しと並行しながら、市町村の負担金についても検討をしていきたいと考えております。

○橋下参考人 塩川先生がおっしゃるとおり、府も反省しなければなりません。大阪府域内のある市から、水道料金の料金決定について、これは大阪府もえげつないぼったくりの請求書じゃないかというような声が上がりまして、すぐに値下げの検討指示を幹部に出しました。
 やはりこれは行政マンの長年のあしき慣行といいますか、そういうものだと。国からの請求書は根拠がなくても払う、都道府県からの請求書については市町村が根拠なくして払う。
 ですから、今回の直轄事業の負担金の問題は、国と都道府県の問題だけでなく、都道府県と基礎自治体との関係もきちんと見直すきっかけとなる非常に重要な、日本国全体の行政組織、行政システムのあり方全般を根本的に見直すきっかけとなる重要な問題だというふうに思っておりまして、大阪府庁も、これは厳しく、市町村に対する説明やそういうものを果たしていくようにこれから取り組んでいこうと思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 公共工事のあり方をめぐってということで……。
 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。