○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 締めくくり総括質疑に当たりまして、現下の経済不況下における国民生活の実態とその中での地方自治体の役割の問題について、主に質問をさせていただきます。 この不況下で国民の暮らしの底が割れるような危機的な状況だからこそ、住民の福祉の増進を図るという地方自治体の役割が強く求められているところであります。昨年秋からの雇用危機で派遣切りなどが吹き荒れたときに、生活保護やあるいは生活資金の確保のために、仕事、住居を失った方が頼ったのが自治体の窓口でありました。また、新型インフルエンザ対策でも、感染防止の取り組みなど、保健所や公立病院を初めとした自治体の役割が一層重要になっております。 総務大臣にまず伺いますが、今、このような命と暮らしを守るとりでとして、地方自治体の役割が極めて重要になっているときではないかと思いますが、御認識を伺います。 |
○塩川委員 そこで、総理に伺います。 今、総務大臣がお話しされましたように、国以上に大きな役割を担う地方、そういう地方に対して今まで国が何をやってきたのかという問題であります。 まず、市町村合併の問題ですけれども、鳩山大臣が一月三十一日の発言で、地域の特色がなくなり、これ以上の市町村合併はどうかと思う、過去の市町村合併がいいものを壊してきた、このように述べましたけれども、その点での麻生総理の認識ですが、この間の合併を推進した総務大臣をお務めになったのが麻生総理であります。その結果の市町村合併がいいものを壊してきたのではないか、このことが問われているわけです。いいものを壊してきたと私は率直に思いますが、総理はどのように受けとめておられますか。 |
○塩川委員 合併のメリット、デメリットのお話がございました。 いい面の筆頭に、財政基盤の強化の話がございました。財政基盤の強化などといって、財政効率化、財政健全化を進めてきたのが国であります。 そこで紹介をしたいのが、全国町村会がまとめました「「平成の合併」をめぐる実態と評価」の調査報告でございます。これはダイジェスト版、昨年の十月ですけれども、ここでは合併によるプラス効果についても紹介をしております。合併によるプラス効果について、財政支出の削減とあります。 しかし、この指摘には、「財政論としてはたしかに支出は減った側面があるが、これをメリットとしてそのまま捉えて良いのかは、甚だ疑問である。」と。どういうことかというと、実際には、財政支出を節約しただけであって、地域の特性に合った行政を行うことで生じる効率性や従来のサービス水準などを犠牲にしながら、財政支出を縮小しただけではないかと指摘をしています。地域の特性に合った行政効率化や住民サービスを犠牲にした財政支出削減は合併のメリットとは言えないという声であります。 一方で、デメリット、負の側面について、役場が支所になる、住民から行政が遠くなる、地域の活力で差が生じてきているのではないのかというお話がございました。 この点についても、全国町村会がまとめたこの調査報告では、合併によるマイナス効果を挙げております。五点挙げておりますが、行政と住民相互の連帯の弱まり、財政計画との乖離、財政規律の低下、周辺部となった農山村の衰退、過大な面積を持つ市町の五点を指摘しております。現場からは、議員や職員の削減で合理化は進んだが、行政に守られているという安心感が大きく後退をした、本庁舎がある地区から遠い周辺部が衰退をした、日常生活圏を超えた広域合併で周辺部に行政の目が行き届かなくなったという声が上がっています。 こういう町村会における合併によるマイナス効果、こういう指摘について、率直にどのように受けとめておられますか。 |
○塩川委員 鳩山大臣の答弁は総務委員会でさんざん聞いております。 鳩山大臣以上に総務大臣の経験者が麻生総理ですから、麻生総理に伺いますけれども、今、鳩山大臣の方からもデメリットの話が改めてございました。私がお聞きしたいのは、これからどうするかという話の前に、こういう事態になってきた過去の合併の総括の問題をお聞きしているわけであります。このようなマイナスをもたらした合併を推進したのはだれかという問題です。 この全国町村会の調査報告では、国の合併推進策の問題点を指摘しています。国が合併推進のために用いた手段は、合併特例債、地方交付税の削減など、その多くが財政措置、こうした行政手法は、分権時代の流れに逆行し、将来に禍根を残す、また、国と府県による強引な合併誘導策が目立ち、市町村の自主性が尊重されたとは言いがたい実態が顕在化、このように、現場の町村からこういう厳しい指摘が国に対して向けられている。 この報告では、合併を選択しなかった町村についても紹介しておりまして、合併を選択しなかった町村では、地域に対する愛着と責任感の共有が生まれている、また、身の丈に合った地域経営が行われる、手ざわり感のある範囲での行政運営となっているといった、自治の新たな可能性が展望できる、このようにしております。 合併しなかったことによる自治の新たな可能性もあったのに、国は合併を推進してきました。この報告でも指摘をしている、いわば国の押しつけ合併が市町村のいいものを壊してきたのじゃありませんか。そのことへの反省はありませんか。 |
○塩川委員 一点の非の打ちどころもないどころか、非ばかりというのが、この間の地方の実態じゃありませんか。財政健全化を口実にして市町村合併に追い込んだ国の責任というのがまさに問われているわけで、平成の市町村合併は大失政だと言わざるを得ない。 そういう点で失政というのであれば、三位一体改革の総括も問われてまいります。 鳩山大臣が三位一体改革は失敗だったと答弁をされましたけれども、総理に伺いますが、この三位一体改革による地方交付税や補助金の削減が、住民の福祉の増進を図る地方自治体の機能を大きく低下させて、住民サービスの後退や貧困と格差の拡大をもたらした。この三位一体改革は失敗だったんじゃありませんか。総理の答弁を伺います。いやいや、総理、過去の総括を聞いているんですから。 |
○塩川委員 失敗だとは言っていないと言いますけれども、とんでもないですよ。本会議質問で答えていたじゃないですか。原口さんの地財に関しての本会議質問のときに、失敗だとはっきりおっしゃった、そのことについて否定はされなかったんですよ。だから聞いているわけで、この点について失敗だったんじゃないのか。 三位一体改革の総括について総理に伺います。総理、二年も総務大臣を務めた方が何で答えられないのか。 |
○塩川委員 では、なぜ地方から地方交付税の復元を求める声が上がっているんですか。三位一体改革というのは、結局は、地方交付税を削った、国の財政健全化のためだったんだというのが地方の声だったんじゃありませんか。 だからこそ、今のこの問題について、今回の地方交付税の一兆円といったって、その半分というのは二年間の限定措置だと。そういう点でも、一時的な対策、いわばその場しのぎでやってきたというのがこの交付税についての実際の対応であります。 そして、この間の地方において深刻な事態となっているのは、今回の市町村合併の問題もあり、そしてまた、三位一体改革もあり、社会保障費抑制政策もあり、いずれも、国が財政健全化を口実にして進めてきたことが、本来、今この危機に当たって、住民の暮らしを保持する上での一番の仕事をしなければいけない地方自治体の業務をずたずたにするような事態になっているんだ、このことが問われている。 今回の補正予算案の中身を見ても、実際、地方に対して、人手もない中で国から山ほど仕事が来るじゃないですか。一方で、お金の面についても、相変わらず、今回の公共事業を見ても、直轄事業負担金についてもそのまま押しつけるし、維持管理費、きっぱりと地方がやめてくれと言っているものについてもそのまま続けているし、借金についても地方に対してどれだけ求めていくのか。九〇年代と同じような借金漬けにするような、地方にまた痛みを押しつけるようなことになりかねない。こういったのが今回の補正予算では大問題。 この政治の転換を強く求めて、質問を終わります。 |