○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 人事院の異例の勧告について、質問をいたします。 最初に、人勧の手続、ルールについて確認をさせていただきますが、国家公務員の特別給は、毎年五月から実施をされます職種別民間給与実態調査において、前年の八月からその年の七月までの一年間に民間で支払われた特別給の実績を精確に把握し、官民較差を算出した上で、八月に人事院が勧告を行ってまいりました。 これまでも、景気の影響で民間の夏季一時金が削減された場合には十二月の特別給で調整をしてきた、このようなことになっていると思いますが、これでよろしいですね。 〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕 |
○塩川委員 通常のルールは今のとおりだと確認をいたしました。 ことし六月の特別給は昨年の人事院勧告で既に決まっているものであるにもかかわらず、今回突然四月に臨時調査を行って特別給を削減するという勧告は、これまでのルールを変更するものであり、こういうやり方はおかしいと率直に思いますが、総裁、この点についてお答えいただけますか。 |
○塩川委員 大きく落ち込んでいる傾向ということで、これが正確な一時金の額ではないということは今お認めになったわけで、この調査の内容についてはこの後質疑をいたしますけれども、本来、もし下がるのであれば年末において調整をする、そういうルールでこれまで行ってきているわけですし、夏の一時金の額については、当然公務員の皆さんもそれを織り込んだ支出、消費の計画などを立てておられる。中には、今の地デジの問題がありますから、地デジのテレビを、夏のボーナスで一括払いをするというようなことを予定して支出をされる方なんかもいらっしゃるわけで、そういう公務員の期待を損なうものとなっているという点でも極めて重大であります。 一方的なルール変更による勧告は認められないとまず最初に申し上げて、この勧告の正確性にも疑問があるということを申し上げたい。 通常の職種別民間給与の実態調査と今回の特別調査の違いについて何点かお聞きしますが、いわば本調査においては何社を調査対象にし、今回の特別調査では何社を調査対象にしたのか。それぞれ調査方法はどのような形で行われたのか。この点について、まずお聞かせください。 |
○塩川委員 通信調査を行った二千七百社に対して、いわばアンケートですけれども、回答が何社で、そのうち夏季一時金を決めたとする企業は何社、どのぐらいの割合だったのかについてお答えください。 |
○塩川委員 今回の特別調査は、本調査に比べてサンプルそのものも五分の一と極めて少ないわけですし、また、実地調査、面接の調査ではなくて、郵送による書面、あるいは電話などでの確認の通信調査ということであります。しかも、実際に一時金を決定しているのは、企業数でいえば一割程度にすぎないわけで、大半が一時金について決まってもいない。決まっているところも、実際には当然払われておりません。 ことしの夏の一時金についての実態調査と言うには、これは余りにもずさんな調査ではありませんか。総裁、この点についてのお考えをお聞かせください。 |
○塩川委員 人事院の報告自身でも、みずから「データ確保の精確性等の不確定要素がある。」と述べているとおりでありまして、いわば決まってもいない、実際支払ってもいないという一時金についての今回のような調査で引き下げを決めて行うというやり方そのものが極めて乱暴だということを言わざるを得ません。 それが、単に国家公務員だけではなくて、他の労働者の一時金にも影響を与えかねないということもあわせて極めて重大であります。人事院自身も不正確と認める今回の調査結果が、関連労働者の一時金にもマイナスの影響を与えることになりかねません。 そこで、人事院にお聞きします。人事院の勧告が他の労働者に影響を与える、その人数についてお聞かせいただきたいんですが、国家公務員を含め、地方公務員やその他の労働者について、どのような分野、職種の労働者にどのくらいの人数の影響が人勧において生まれるのか、この点について数字をお示しください。 |
○塩川委員 合計すると約五百八十万、六百万人近い影響が出てくるわけであります。 この場合に、学校、病院等で約百四十万人ということですが、私立の学校や民営の病院あるいは社会福祉施設等ということでお聞きしておりますけれども、ここはいわゆる営利企業は含まないという中身ということでよろしいんでしょうか。こういういわゆる民間が影響を受けるというのは、どういう理由なんでしょうか。以上二点、お聞かせください。 |
○塩川委員 この学校、病院等で百四十万人が影響を受けるというのは、どういう理由でここにそういう数字を盛り込んでいるのか、その点を聞かせてもらえますか。 |
○塩川委員 俸給表などもそのまま使っているような法人もあるというふうにお聞きしていますけれども、いずれにせよ、その六百万人近い労働者に人勧が影響を及ぼすということになりますと、一時金の引き下げというのもこういう形で六百万人に大きく影響を与えることになるということも極めて重大であります。このこと自身、人事院は認めているわけです。 そこで、総裁に質問いたしますが、今述べたような公務組織や独立行政法人、国立大学法人、民間の法人以外のいわゆる民間企業においても、人勧を念頭に置いて、参照して給与あるいは一時金などを決めている企業は少なからずあると承知をしておりますけれども、人事院の勧告が民間企業の給与や一時金に影響を与えるものとなっているということは総裁もお認めになりますか。 |
○塩川委員 給与ベースなどについて何がしかの影響はあり得るという御答弁でした。 人事院の今回の特別調査でも、実際に一時金を決定している企業でいえば一割程度であります。中小の春闘は終わっておりません。そういったときに、今回の人勧による一時金の削減が民間の労使交渉において労働者の一時金にマイナスの影響を与えるということは当然お考えになることではないかなと思うんです。 今回の人勧というのが民間の労使交渉の一時金の決定においてマイナスの影響を与えるのではないかということについては、当然認識をされておられますね。 |
○塩川委員 今回の人勧の措置は暫定的な措置だと、凍結ということで示しているんだということなんですけれども、では、民間のボーナスが引き下げられているときに、民間の一時金の決定において人勧の影響はあり得るとお認めになったわけですから、そういった形で、もし民間で一時金を決めたとした際に、その一時金のカットというのは凍結となるんですか。 |
○塩川委員 労働組合のないような中小の職場においては人勧を賃金相場の参考としているような事例もあるわけで、今回のようなずさんな調査による一時金の引き下げというのが民間の一時金引き下げの口実に使われるということになれば極めて重大であるわけです。そういう点でも、今回のいわばずさんな調査がこういう形で民間に悪い影響を与えていく、民間準拠と言いながら、結果として人勧がまた民間にマイナスの影響を与えるようなことになるという点では、極めて深刻な事態につながります。 あわせて、経済への悪影響ということも考えなければなりません。 財務省に聞きますが、人勧を踏まえて夏季一時金を〇・二月分削減した場合の影響額について、国家公務員及び地方公務員でどのぐらいになるのかをお聞かせください。 |
○塩川委員 合わせて二千七百億円に上るわけで、実際に六百万人に影響を与えるとすれば、その額はさらに広がるわけですし、さらにそれ以外の民間企業への影響を考えれば、今のこのGDPの戦後最大規模という落ち込みのときに、こういった人事院の対応に基づく今回の政府の給与法というのが、経済に対し大きなマイナスの影響を及ぼさざるを得ないという点でも、やっていることが極めてちぐはぐな対応になっているという点でも、極めて重大であります。 今回のこの人勧の背景には与党の動きがあるわけで、与党は、ことし二月に国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチームを立ち上げて、四月初めに夏季一時金を減額する方針を決定しました。人事院の対応はこの与党の動きに追随するもので、いわば今回の人勧は与党の圧力に屈したものと言わざるを得ません。 労働基本権制約の代償措置としての人事院の中立公平な第三者機関の立場を投げ捨てるものだということを厳しく指摘して、時間が参りましたので、質問を終わります。 |