○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 佐藤大臣に質問をさせていただきます。 郵政事業についてでありますけれども、一昨日の総務委員会における総務大臣発言の中で、郵政行政について、「郵政行政については、民営化後、簡易郵便局の一時閉鎖、郵便局における金融サービスの維持に関する懸念等、地域の住民等からさまざまな御指摘をいただいているほか、かんぽの宿の問題、障害者向け低料第三種郵便物の不適正利用、簡易生命保険の保険金等の支払い不足など、国民の信頼を損なう事態も生じております。」と、幾つもの諸課題、諸問題を列挙されておられます。 まず最初に伺いますが、こういう諸問題、諸課題が噴き出したのはなぜなのか、どのようにお考えなのか、お聞かせください。 |
○塩川委員 私は、郵政民営化そのものの矛盾が噴き出していると考えております。 そこで、大臣は会社のガバナンスの問題があったというお話をされました。先ほど来の質疑の中でも大臣は、日本郵政の社長人事の問題につきまして、四月の業務改善命令に対する日本郵政の報告を精査して、関係大臣と協議もし、取締役の認可を判断するとおっしゃっておられます。 しかしながら、この四月の業務改善命令、六月末に回答を求めているこの業務改善命令は、かんぽの宿の問題だけであります。これだけ諸問題が噴き出しているにもかかわらず、なぜ日本郵政社長の人事の判断基準をかんぽの宿問題だけに矮小化しているんですか。お答えください。 |
○塩川委員 それ以外の問題の改善命令といいましても、今出されているのは、この四月のかんぽの宿という事案についての業務改善命令だと承知していますが、これ以外に回答を求めている命令が出されているんですか。 |
○塩川委員 しかし、先ほどからの答弁でも、この業務改善命令についての回答を踏まえて判断をするとおっしゃっておられたわけで、今のお話のように、低料第三種の問題などについては別に命令を出して回答を求めていないわけですね。 だとしたら、大臣自身が先ほどかんぽの宿が基本だと言っているわけですから、結局は、このかんぽの宿問題に係る命令に対する回答を踏まえて判断をする。それ自身が、過去のガバナンスの全体の問題を問うのではなくて、あくまでもかんぽの宿の問題に限定した日本郵政の社長の対応について問うということですから、そういう点では極めて事を矮小化した判断にならざるを得ない。西川社長のいわば続投を前提にした対応となっていると言わざるを得ません。 国民サービスの後退や新たな郵政利権が大問題となっているのに、この不祥事に責任を負う西川社長の続投を容認するような立場での今回の措置では、かえって国民の不信を拡大するだけであります。私どもとして、西川社長がやめるのは当然だと考えております。 このような国民サービスの切り捨てや新たな郵政利権づくりといった一連の不祥事は、西川社長に起因するだけではなくて、私は、郵政民営化路線そのものから生まれていると言わざるを得ません。 四年前の郵政選挙を思い起こしていただきたいんですが、ここに、当時自民党のマニフェストに出されていました「改革を止めるな。」というのがありまして、改革の本丸郵政民営化という宣伝が行われました。ここでも、改革の本丸郵政民営化でどういうことが生まれるのか。少子高齢化のもとでも年金、医療など社会保障の充実が可能になる、雇用と消費を刺激して民間主導の景気回復になる、また、三位一体の改革で地方経済の立て直し、あるいは、戦略的外交の推進、安全保障の確立。郵政民営化でなぜ外交までよくなるのかわかりませんけれども。こういった形で、郵政民営化を行えば年金もよくなるし景気もよくなるし外交もよくなるといって大宣伝したのが四年前の総選挙だったわけですね。 これは、郵政民営化でこういう効果があらわれたんですか。当時選挙も戦われた佐藤大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 いや、四年前にこれはマニフェストで皆さんが配ったわけですよ、自民党が。自民党の公約なんですよ。郵政民営化、改革の本丸を行うことでどうなったのかという検証が必要なんじゃないですか。 では、例えば、郵政民営化で年金はよくなったんでしょうか。大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 少なくとも四年前の郵政選挙のときのこういう宣伝というのは、この宣伝の仕方そのものが中身を含めて間違いだったということは、まずは認めるべきなんじゃないですか。大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 責任を持って自民党が国民に向けて訴えたマニフェストの中身ですから、これについて、今四年、次の総選挙を迎えるときに、何だったのかということを問うべきであります。 担当の大臣として、郵政民営化によって年金も景気もよくなるんだというようなこの四年前の宣伝が正しかったのか間違っていたのか、このことについてぜひお答えください。 |
○塩川委員 いや、何も日本経済、グローバルな話をしているのではなくて、大臣が所管をされている郵政行政、郵政事業にかかわって、郵政民営化は何をもたらすのかといったことについて、四年前、自民党は、景気も年金もよくなる、外交もよくなると言っていたわけですから。何もよその話とか大臣の所管外の話をしているわけじゃなくて、まさに大臣が所管している問題について聞いているんですけれども、正しかったのか間違っていたのか、改めてお答えいただけませんか。 |
○塩川委員 郵政民営化そのものの議論はこの後でまた少ししますけれども、この宣伝は正しかったのか。どうですか。 |
○塩川委員 極めて無責任だと思います。 郵政民営化によって私たちに何が起こるのか、四年前の郵政の特別委員会のときも議論をしましたけれども、結局は、日米の大銀行などの要求にこたえて郵政事業をばらばらにして切り売りするのが最大のねらいであって、結果として、国民サービスが後退をすることになる。これはまさに今の現状がそのことを示しているわけで、結果は明らかであります。 ですから、それを踏まえて、やはりそもそも郵政民営化が間違いだったんじゃないのか、こういうことを改めて今はっきりさせる必要があると思っていますが、大臣は不満が出ているとか是正すべき点は是正すべきと言うわけですけれども、では、郵政民営化でよかったことというのは何なんですか。 |
○塩川委員 鳩山大臣も光と影という言い方をされましたし、もちろん麻生総理御自身も不十分な点は直して改革を進化させていくんだという言い方をされておりますけれども、光と影という、影ばかりは皆さんよく御存じなわけですよ。でも、光の部分について、特に四年前の選挙のときに国民サービスは向上するんだとさんざん言っていたわけですよ。 国民サービスが向上したということについて国民が実感できるような成果が語れないのが今の郵政民営化じゃないですか。逆に、郵政の資産、国民が築き上げてきた共有の資産を切り売りするようなことばかりが目立ってきた、新しい郵政利権を生み出したというのが結果だったんじゃないですか。こういう郵政民営化そのものが間違いだったという立場で施策に臨む必要がある。 何か国民サービスの向上やよくなったことがあるのかどうか、その点をお答えいただきたいのと、間違いだったときっぱり認めるべきだ、その点についてお伺いします。 |
○塩川委員 郵政民営化の目的としていた国民サービスの向上について、その成果を一言も語れなかったというのが今の答弁だったわけで、郵政民営化は間違いだった、この立場から、今からでも、四分社化の見直しや三事業の一体経営や金融のユニバーサルサービスの義務づけなどの必要な郵政民営化の見直しを一から行うべきだということを申し上げて、質問を終わります。 |