<第171通常国会 2009年06月19日 総務委員会 23号>


○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、住民基本台帳法改正案に対する反対討論を行います。
 最初に、当事者であります外国人住民の方の参考人質疑も行われることなく質疑が打ち切られ、採決に付されることを極めて遺憾に思います。
 外国人住民の住民基本台帳を制度化し、整備することは、外国人住民に対し、行政サービスの適切な情報提供を行い、教育や社会保障の権利をひとしく保障していく上でも必要なことであります。
 しかし、以下の理由からこの法案には反対するものです。
 第一の理由は、住民基本台帳制度に外国人の在留管理強化を持ち込むものだからです。
 市区町村は、外国人住民について法務大臣からの在留資格等の変更の通知を受け、適法でないとされた外国人住民を住民基本台帳から削除することになります。
 一方、入管法等改正案に基づき、死亡、出生などの情報を法務大臣に通知することとなります。本来、外国人住民基本台帳の制度は自治体が行政サービスを行うために活用すべきもので、この制度を新たな在留管理強化のために利用すべきではありません。
 また、このことは、外国人住民の情報を差別的に取り扱い、住民基本台帳法の個人情報保護のルールを逸脱するものです。
 第二の理由は、外国人住民基本台帳の対象を、在留カード交付対象者、特別永住者、一時庇護許可者または仮滞在許可者、出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者の四類型に限定し、それ以外の在留資格を有しない者は住民基本台帳から一律に排除するからです。
 除外される外国人住民には、難民申請中で仮放免となっている人など、人道上配慮が必要な人も含まれています。
 また、外国人住民が、住民基本台帳から一律に排除されることによって、子供の教育を受ける権利や医療、福祉の各種サービスから除外されかねないものとなっています。在留資格を有していない外国人であっても、基本的人権は原則として保障されるべきであり、国際人権規約の医療、社会保障を受ける権利等を侵害するもので、許されるものではありません。
 以上、表明して、討論を終わります。