○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 給与法の質疑に当たりまして、前提としての今の、昨日以来の異常な国会運営について厳しく抗議をするものであります。 もともと、財務金融委員会で返済猶予法案の質疑が行われる、そのもとで参考人質疑まで与野党の合意があった。その後、その当日の朝に質疑、採決を与党の方から提案する。こういう事態というのが今の不正常な事態の前提となっている。参考人の意見、つまり国民の声を聞く、その直後に、一層その国民の声を深め、まともな審議も行わずに採決を強行した横暴というのが今の異常な事態の前提となっているということを深く肝に銘ずべきではないでしょうか。 この衆議院の財務金融委員会で与党側は急遽質疑、採決をごり押ししようとしたために、当初から予定をされていた、昨日の参議院の総務委員会において大臣所信質疑が行われていた、その公明党の質疑時間の冒頭に、亀井大臣が衆議院の財金に行かなければいけないからということで公明党の議員の質問時間を中断して、わざわざ亀井大臣を参議院の総務委員会から衆議院の財務金融委員会に引き抜いていく、こういう与党の横暴のもとで行われたのがきのうの強行採決であり、その上に衆議院の本会議が立てられ、強行採決が繰り返される。これが今の異常な事態となっているということをどう与党の皆さんは受けとめておられるのか。 これまで円満、円滑な運営が行われてきたこの衆議院の総務委員会においても、昨日、与党側からの提案によって、給与法についての本日の質疑、採決の提案と、給与法に続いて郵政株式売却凍結法案についても、まだ議運の段階で委員会に付託も決まっていないにもかかわらず、本日の提案理由説明、そして質疑、採決まで一方的に決めてしまう。こういう運営に私は厳しく抗議をしたい、このように申し上げるものであります。 その上で、原口大臣に政治家としての基本認識を伺いたい。 参考人質疑のときに、その直後に採決を行うのはとんでもない、これは野党時代の民主党がそもそも要求してきたことではないでしょうか。また、わざわざ参議院の総務委員会で与野党円満に日程を組んでいた質疑を中断してまで担当大臣を他の委員会に持っていく、こういう事態が正常な国会運営と言えるのか。大臣、どのようにお考えですか。 |
○塩川委員 今お話ありましたように、この総務委員会の運営で、原口大臣とは、円満、円滑な運営に努力するということでともに努力してまいりました。 例えば、旧政権の自公政権のもとで、暫定税率の廃止をめぐって、昨年の一月の当委員会において、与党側が急遽いわゆるつなぎ法案というものを出してきた。事前のそういう話もない中で急にこういう提案を与党が行ってくるのに対して、あの場でも原口氏は厳しく抗議もし、また逢坂委員も非常に激烈な質疑を行っておられたわけであります。 そういう点でも、異常な事態を生み出した与党の横暴に対して強く抗議をしてきた民主党の皆さんだからこそ、こういうことを、それこそポジ、ネガひっくり返したように同じことを繰り返すような姿、これは受け入れることができない。自公政権がやってきたことと同じことをやっているんじゃないのか、こういう厳しい声が国民から上がるのも当然ではないでしょうか。こういう委員会運営は許されない。私どもは、衆議院財務金融委員会に返済猶予法案を差し戻せと要求しておりますけれども、その出発点に立って正常化を図るためにこそ力を尽くすべきだ、このことを改めて指摘しておくものであります。 その上で、法案の質問に入らせていただきます。 昨日の本会議でもお聞きしましたけれども、この間、人事院が公務員の労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしているのか、このことが問われているということを述べました。 この間の経緯を見ましても、小泉内閣が二〇〇二年以来、総人件費抑制政策を出す。定員の純減を図ると同時に、公務員給与についても抑制を図る。この方針のもとで、二〇〇二年以降、マイナス勧告が繰り返される。こういう事態が生まれ、地域間格差を拡大することになる給与構造改革が行われ、また官民比較の前提となる民間企業の事業規模について百人以上から五十人以上へと引き下げる。そういう中で、実質的に公務員の給与の引き下げということも行われてきた。この前提というのが、政府による人事院に対する圧力だった。 こういう一連の経緯の中で、ことし五月、人事院の勧告が行われる、給与法も出される、ボーナスのカットと言われる、これもまたルールを踏み破った暴挙が行われた。このときにも、民主党の皆さんは、与党の圧力によってこういった異例な勧告が行われたのではないのかと。このことは大臣政務官の小川さんも厳しく指摘をしていたところじゃないでしょうか。そういう点でも、こういった自公政権、与党がみずからの総人件費抑制政策を貫くために人事院に押しつけてきた、このことに対してしっかりとした検証が必要だ。 原口大臣として、自公政権、与党がみずからの施策を推進するために人事院に押しつけを行ってきた、こういう事態についての認識はいかがお持ちでしょうか。 |
○塩川委員 政府による人事院に対する圧力、干渉ということについて、私はしっかり検証する必要がある。二〇〇二年以降の総人件費抑制政策、小泉政権以来の政策についての検証も必要ですし、民主党の皆さんも指摘をされておられた、ことしのボーナスカットの勧告、この背景に何があったのか、このことについて政府・与党からどのような圧力、干渉が人事院に行われていたのか、それによってどのように人事行政がゆがめられたのか、こういう問題についてしっかりとした新政権としての検証を、旧政権の対応についての検証を行っていただきたいが、いかがですか。 |
○塩川委員 前政権の検証をしっかり行うということが、今の新政権において人事院に対し不当な圧力をかけることがない、こういうことにもつながるものでありますから、しっかりとした検証をお願いしたい。 その上で、今回の給与、ボーナスの引き下げについて、これが大きなマイナスの影響をもたらすことになる。もちろん、公務労働者の生活に対しての影響と同時に、日本の経済、景気に対しての大きな影響をもたらす、このことも懸念をされているところであります。 国家公務員一人当たり平均十五万四千円という過去最大規模の減収というのは大きな打撃にもなるわけで、この人勧の影響を受ける労働者数というのは、人事院の指摘でも約五百八十万人に上ります。 そういった労働者への直接の影響と同時に、この間、人事院として民間準拠で勧告を行ってくるわけですけれども、民間の賃金そのものが、この間の自公政権のもとで、労働法制の規制緩和を初めとした雇用破壊によって賃下げが行われる、賃金が抑制をされているという事態を生み出している。つまり、民間の給与の実態そのものが、かつての自公政権による雇用破壊の政治によって大きく給与が抑え込まれてきたということが前提にある。それが、今回、民間準拠といって公務員の給与引き下げをするということにもつながる。いわば悪循環にもなるわけであります。 こういった賃下げの悪循環について、どういう影響がもたらされたのかということについても、日本経済への影響をしっかりと調査をすべきではないか。大臣、いかがですか。 |
○塩川委員 景気、経済への影響について既に調査が具体的に行われているのかということをお聞きしたかったんですが、その点はいかがですか。 |
○塩川委員 先ほど原口大臣の答弁の中にもありましたけれども、前政権のもとで出されたのが今回の人事院勧告だったわけであります。先ほど指摘しましたように、この間、自公政権のもとで人事院に対しての圧力が行われてきた、そういう中で出されたのがことし八月の人事院勧告であったわけであります。 だとすれば、皆さん、自公政権下の人事院に対しての圧力について検討したいとおっしゃいました。でも、そうなりますと、そういう立場であるのであれば、そもそもこの八月の人勧そのものが前政権の圧力によってゆがめられているのではないのかという前提で今回の給与法は出されるべきだったのではありませんか。 |
○塩川委員 尊重されるべき人勧そのものが前政権の圧力によってゆがめられているのではないのか、このことについてのしっかりとした検証、対応もなしに、この人勧に基づいて給与法をそのまま出したということについては同意ができないということを申し上げて、質問を終わります。 |