<第173臨時国会 2009年11月26日 総務委員会 2号>


○塩川委員 日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案に反対の討論を行います。
 討論に先立ち、一言申し上げたい。
 先週の与党による委員会運営は極めて異常でした。国民の批判の声と野党の抗議を受け、与党は無理な委員会運営の見直しをせざるを得ませんでした。こういう強引な運営は、これまで民主党が権力の横暴ではないかと厳しく批判してきた自公政権のやり方と変わらないものであり、与党に対し猛省を促し、委員長に公正中立な運営を求めるものであります。
 本法案の反対理由の第一は、自公政権の総人件費抑制政策のもと、政治的圧力がかけられた中で出された人事院勧告を、まともな検証もせずにそのまま実施するものだからです。
 人事院は、二〇〇二年には人勧史上初のマイナス給与勧告を行い、二〇〇三年、二〇〇五年とその後も給与引き下げを勧告、ことし四月には民間でもまだボーナス決定をしていない段階で臨時調査を実施し、異常なボーナスカットの勧告を行ってきました。また、給与構造改革によって地域間格差を拡大し、官民給与比較を行う企業規模を見直して、民間給与を低く集計してきたのであります。
 この間の人事院勧告は、自公政権の総人件費抑制政策に従った勧告を繰り返し、国家公務員の労働基本権制約の代償措置としての役割を果たしているとは言えません。
 質疑の中で、原口総務大臣は、人事院の独立性、中立性は大事であることを強調し、与党の圧力によることし五月の人勧について、当時、自公政権においてプロジェクトチームがつくられ、本委員会でも「大変大きな力の発現があったことも事実」と答弁をされ、政府・与党からの圧力、干渉によってどのようにゆがめられたのか、旧政権の対応について検証すべきとの私の指摘に、「政府内で検討して一定の結論を得ていきたい」と答弁したのであります。それならば、まともな検討もないまま勧告をそのまま実施というのは、全く通らない話であります。
 反対理由の第二は、本法案が、国家公務員の給与本体とボーナス等を大幅に引き下げ、一人当たり年平均十五万四千円という過去最大規模の減収を押しつけるものであるからです。持ち家住居手当の廃止にまで踏み込んだことも重大です。
 地方公務員を初め、国家公務員給与に準拠する独立行政法人、国立大学法人、学校、病院等約五百八十万人の労働者にも大きな影響を与えるだけでなく、深刻さが増す景気状況の中、個人消費を冷え込ませることになりかねません。ところが、原口大臣は、その具体的影響については調査していないと答えました。これでは、景気の悪化、賃下げの悪循環を招くだけであります。
 以上申し述べ、反対討論を終わります。