○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、郵政民営化凍結法案について質問をいたします。(拍手) まず、郵政民営化は何だったのかという問題です。 四年前の総選挙で、自民党は、郵政を民営化すれば、社会保障の充実、地方経済の立て直し、戦略的外交の推進、安全保障の確立などにもつながるという荒唐無稽なバラ色の大宣伝をいたしました。しかし、郵政民営化を本丸とした小泉構造改革がもたらしたものが貧困と格差の拡大であったことは、今や明白であります。 加えて、今回の郵政民営化の背景にアメリカ、外資の要求があったことも明白であります。アメリカは、九五年の簡保廃止要求を皮切りに、毎年のように対日年次改革要望書で郵政の民営化を要求してきたのであります。ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式売却を凍結、停止せずに実施すれば、国民共有の通信・金融インフラとして運営されるべき郵政事業が外資の支配下に置かれる事態も想定されるのであります。 以上、二点について両大臣の答弁を求めます。 しかも、民営化の中で、国民共有の財産を食い物にする新しい利権と腐敗が次々に明らかになったのであります。かんぽの宿など郵政資産をたたき売りしようとしたのは、規制緩和の旗振り役だった宮内義彦氏が会長を務めるオリックスグループにほかなりません。郵貯カード事業との提携で利益を上げたのは、西川善文前日本郵政社長の出身銀行である三井住友グループだったではありませんか。 こうした新たな利権の解明を徹底的に行うべきであります。両大臣の答弁を求めます。 総務省に特別な調査チームをつくって、徹底的に解明する考えはありませんか。 次に、民営化によるサービス低下の問題です。 民営化後、待ち時間が長くなった、手数料が値上がりした、身近な簡易郵便局が閉鎖をされたなど、利用者、国民の苦情、不満の声が噴出しています。約八割の郵便局で郵政民営化前に比べ来客数が減ったとの全国郵便局長会アンケートもあります。民営化による郵便局のサービス低下の現状、要因についての認識を伺います。 郵便局サービス低下の要因の一つに、郵便局会社と郵便、郵貯、簡保を分割した四分社化があることも明らかです。例えば、ゆうちょ銀行の窓口のある郵便局では、保険金の受け取りに郵便局会社とゆうちょ銀行の窓口を行き来しなければならなくなりました。また、郵便局に寄せられた郵便の苦情がたらい回しされています。こうした四分社化の弊害についての認識を伺います。 郵便配達の拠点となる集配郵便局の統廃合がもたらしたサービス低下も深刻です。 兵庫県の郵政産業労働組合支部の利用者アンケートによれば、七割の利用者が土曜、休日の時間外窓口の廃止で不便になったと回答しています。また、郵便配達が夕刊より遅くなり、毎日の配達時間が不規則になったなどの苦情も寄せられています。こうした郵便の現状についてどのように受けとめているか、お答えいただきたい。 地方、過疎地の問題は深刻です。 郵便サービス低下を引き起こした集配郵便局の統廃合と並行して、郵便貯金、簡保の外務サービスも統廃合されました。身近な郵便局の職員が減らされた上に、分社化で、配達途中の郵便外務員による貯金サービスもできなくなりました。こうしたサービス低下のしわ寄せを最も受けたのは、地方、過疎地にほかなりません。答弁を求めます。 最後に、郵政民営化の見直しの方向についてです。 私たちは、株式の売却を停止し、三つの基本点で郵政の民営化を根本から見直すべきだと考えます。 第一は、郵政民営化によって取り払われた郵便貯金と簡易生命保険のユニバーサルサービス義務の復活であります。国民共有の財産である郵便局ネットワークにおいて、郵便、郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスを全国あまねく公平に、そして利用者本位に簡便な方法で提供することを法的に確保すべきです。 第二は、四分社化の見直しであります。三事業一体で経営されていた郵政事業が四分社化されることで、サービスの一体的な提供が阻害された上に、郵便局ネットワークの存続も危うくされたのであります。分社化をやめ、一社体制に戻すべきです。 第三に、経営の目的の見直しであります。郵便局ネットワークは、国民生活に不可欠なサービスを提供する国民の共有のインフラとして営々と築き上げられてきました。この国民共有の財産を利潤追求の道具とするのではなく、公共の福祉のさらなる増進のために効率的に活用することを経営の目的とするべきです。 以上、三点について大臣の見解を求めて、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣亀井静香君登壇〕 |