<第173臨時国会 2009年11月26日 総務委員会 2号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 給与法についての質問をいたします。
 本法案は、国家公務員の給与本体とボーナス等を大幅に引き下げて、一人当たり年平均十五万四千円という過去最大規模の減収を押しつけるものであります。持ち家住居手当の廃止もその一つであります。
 そこで、きょうは、持ち家住居手当廃止の地方公務員への影響について質問したいと思っております。
 八月十一日の人勧を受けて、八月二十五日の総務事務次官通知では、「地方公共団体においても、廃止を基本とした見直しを行うこと。」と通知をしております。
 人事院に伺いますが、国家公務員の持ち家住居手当の支給対象者、全体に占める割合だけで結構ですから、お答えいただけますか。

○江利川政府特別補佐人 自宅に係る住居手当が支給されている職員は二万三千六百九十五人です。全体の職員二十七万七千六百五十五人に占める割合は八・五%であります。

○塩川委員 続けて原口大臣に伺いますけれども、地方公務員においてこのような廃止対象となる持ち家住居手当が支給されているのは、全体の中に占める割合がどのぐらいかというのを把握しておられるでしょうか。

○原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。
 自宅に係る住居手当だけでなく、借家、借間に係る住居手当も含めた住居手当の支給を受けている地方公務員の割合は、平成二十年四月現在で五三・九%となっています。それで、自宅に係る住居手当に限った支給対象者の割合については把握をしていないということで、御理解をいただきたいと思います。

○塩川委員 要するに、国が地方自治体にあれこれ調査で協力しろということを言うのも、これは余り趣旨としてよろしくないことですから。
 私、幾つかの県を、人事委員会で調査しておりますので調べてみましたら、例えば神奈川県の人事委員会の〇九年度で見ますと、持ち家住居手当の支給対象者は全体の四一%、また愛知県などでは四五・五%と、かなり高い割合。持ち家の割合がそもそも高いということがあるでしょう。国家公務員の場合ですと官舎などもありますから、そういう世帯にはそもそも出ておりませんので。住居手当も一定割合出ていますけれども、その中で持ち家住居手当の割合が高いという状況があるわけです。
 そういう現状にある中で、総務省の事務次官通知では、国に倣って地方でも持ち家住居手当を廃止してくれということを要請しているわけです。
 国と地方とで持ち家住居手当の状況、支給割合というのが大きく違うということを考えたときに、国と地方ではこの持ち家住居手当の重みがそもそも違うんじゃないかと思うんですけれども、その点について大臣はどのように受けとめておられますか。

○原口国務大臣 委員が御指摘のように、中央政府が地方政府に対してああしろ、こうしろと言う必要は全くないと考えておりまして、地方におけるそれぞれの議会、あるいは、それぞれの主権者から選ばれたトップ、首長がいらっしゃいます、そこでそれぞれの違いについて御議論をいただき決定されるものだというふうに考えておりまして、国家公務員における持ち家の性質と地方における性質とはおのずと違ってくると考えております。
 ちなみに、自宅に係る住居手当に関する人事委員会勧告の状況についてもちょっと調べておりますので、後で御質問があればお答えをしたいと思います。

○塩川委員 総務省は、地方自治体に対して廃止を基本とした見直しを求めているわけですけれども、地方公務員でかなり多くの方が持ち家住居手当を受け取っている。国よりも地方の方が持ち家住居手当を受け取っている割合が非常に高いという状況について、国としては把握もしていない中で地方に廃止を求めるというのはちょっと筋が通らないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○原口国務大臣 お答えいたします。
 これは先日の本会議でも委員の御指摘に答えさせていただいた、まさに総務省としては必要な情報提供や助言を行うということを答弁書には書いてあるわけですよ。余計なお世話だと。
 断じて廃止を強制するものではないということは、十九日の本会議でも答弁したとおりでございまして、やはり中央政府が地方政府にあれこれと、助言という言葉を使ってはいますけれども、さまざまなことを通達という形で行うことについては抑制的であるべきだ、私はこう考えています。

○塩川委員 そうしますと、先ほど紹介しました八月二十五日の事務次官通知、その中で事細かに書いてあるわけです。持ち家住居手当のところも、「国においては、自宅に係る住居手当を廃止することとされたが、地方公務員の給与制度は国家公務員の給与制度を基本として決定すべきものであることから、地方公共団体においても、廃止を基本とした見直しを行うこと。」と、上から目線のようなこういう言い方で地方に求めている、これを要請しているということなんです。
 ですから、これ自身が前政権で出されているものですから、そういう意味でも、新しい政権に立った上で、こういう事務次官通知そのものを撤回するとか見直しをする、そういう考えはありませんか。

○原口国務大臣 地域のことは地域で決める、主体的に地域の人たちが決める、それが私たちの地域主権改革の基本的な考え方でございます。
 委員が御指摘のように、前の政権がお出しになったことでございますが、私たちの政権ではそういうものを抑制的にするようにやっていきたいと思いますし、隣に出された前大臣がおられますけれども、どういう意図で出されたのか、政務三役でも聞いて、そして、撤回、廃止も含めて考えていきたい、こう考えております。

○塩川委員 ぜひそういう立場で臨んでいただきたい。
 前政権が出したというだけではなくて、新政権においても引き続きこういう形での技術的助言というのは出されておりますし、それとセットで、事務連絡という形で担当者向けの事細かな指示なども出されているわけであります。それ全体を大きく見直していくことが求められている。
 総務省そのものが、この間、技術的助言を出している件数が年々ふえてきているわけですから、そういった現状そのものを見直すということで、この間の質疑を通じて民主党の議員からもこの点の是正の質疑は行われてまいりました。そういう中で、総務省内部においては、こういった技術的助言について、抑制的という立場で、減らしていくという形での内部的な指示は出されているというふうには承知をしております。そういう点でも、地方に向けてこういうことについて行わないことを改めて徹底していく、そのことを強く要請しておくものであります。
 この持ち家住居手当について、地方公務員への影響が極めて大きいということについて、そういう状況を見ることなしに一律に国から廃止を求める、こういう通知そのものは撤回をし、地方を縛るようなことを行わないということを強く求めて、質問を終わります。