<第174通常国会 2009年02月19日 総務委員会 3号>


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、地デジの問題について質問をいたします。
 二〇一一年七月のアナログ波の停波まで五百二十日で、一年半。きのうの大臣所信では、完全移行に向けて環境整備、支援に全力を挙げると述べておられました。同時に、進捗状況に懸念の声も広がっております。
 そんな中で行われたのが、石川県珠洲市におけるアナログ停波のリハーサルでございました。能登半島の先頭に位置する石川県珠洲市と能登町の一部地域で、一月二十二日正午から四十八時間アナログ放送の電波がとめられました。こういった長時間のアナログ停波は初めてのことであります。
 そこで大臣に伺いますが、この珠洲市のリハーサルの結果というのは、来年七月の地上デジタル波への完全移行に向けてどのように生かすことができるものでしょうか。

○原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。
 今お話しのように、デジサポから委託を受けた地元電器店が、直接受信世帯を中心に戸別訪問して、希望に応じて簡易チューナーを無償貸与する。今回、石川県の珠洲のアナログ放送終了リハーサルにおいて、チューナーの支援や住民への周知といったことを行わせていただきました。
 これは七千五百世帯でございまして、事前に周知広報を徹底しましたけれども、一月の長時間休止では、デジサポ珠洲に四十九件の問い合わせがございました。現在、現地において事後アンケートを実施しておりまして、長時間休止の結果を分析し、今後、全国における取り組みに生かしていきたいと思います。
 委員は、この総務委員会で、私もずっと御一緒していましたけれども、ビル陰とかそういったところについての問題意識も特に強く持っておられます。これは、今回、石川県でございましたけれども、都市部のビルの部分についてもさまざまな知見を有することが大事ではないか、このように考えています。

○塩川委員 来年七月のアナログ波停波に向けての取り組みに生かしていきたいというお話でしたか、少し具体的に伺いたいんです。
 今回のリハーサルについては、実際には、相談件数が七千五百世帯停波をしたにもかかわらず四十数件だった。そういう点では、事前の取り組みがかなりしっかり行われていたということをその限りでは示しているんだろうと思っております。国や自治体や業界団体挙げて手厚い支援があったというのが実態だった。
 そこでお尋ねしますけれども、地デジチューナーの貸与が行われたわけですけれども、その貸与はどのような規模と内容で行われたのか、お示しいただけますか。

○原口国務大臣 冒頭、まずお礼を申し上げなきゃいけません。石川県珠洲市の皆さん、それからこの試みに協力をいただきました地元の住民の皆さん初め、多くの皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。
 それでお答えですが、昨年十月から本年一月に、全世帯七千五百世帯のうち、約千九百世帯と二百三十の事業所に、台数にすると、世帯の分が三千六百台、事業所が三百五十台、貸与をしたものでございまして、その中で、大変な周知広報、戸別訪問のおかげでこういう状況を生むことができました。
 以上でございます。

○塩川委員 要するに、希望される世帯についてはお配りした。一世帯最大四台まで、アナログのテレビで地デジが見られるようにチューナーを設置する。一軒当たり最大四台までと言いましたけれども、実際、事業所ではたくさんテレビを抱えているようなところがありました。民宿などでは十台、各部屋にテレビがあったりする。それも全部貸与、つまり、国の費用で行われたわけであります。
 そういう取り組みがあったからこそ、アナログ波を停波しても、実際には苦情が上がらない。つまり、負担そのものも国が行いましたし、また、周知広報の徹底につきましても、全戸訪問をし、国がお金も出してきた、デジサポを中心に業界団体と一緒に行われてきたというのがこういう結果になってきていると思うんです。
 もしこの珠洲市のアナログ停波リハーサルの教訓を生かすのであれば、まさにこういった取り組みこそ必要だと思います。でも、実際に珠洲市で行われたような、つまり、希望する全世帯にチューナーを配布するようなこととか、すべての世帯を訪問するような活動というのは、全国規模で行えるんですか。

○原口国務大臣 そういう意味でも、珠洲市の試みは私たちに多くのことを学ばせていただいたと思います。では、これを全国規模でやれるかどうかといったことについては、予算の関係もあり、それはなかなか厳しいのかなと思っています。
 しかし、委員、これは地域によって特性がありますよね。先ほどビル陰と申しましたけれども、そういったところでどのようなことが起きるのか。そして、今だったらまだ対策を練ることができますから、クラスターというか、その地域特性ごとに検討をして、全部は無理だけれども、幾つかのチューナーの支援、あるいは実験、これをどれぐらいできるか検討をしてみたいと思います。

○塩川委員 チューナーの配布を検討したいというお話がございました。
 現状でいいますと、この珠洲市の場合、七千五百世帯のうち、二千世帯に対しチューナーが配布されたわけであります。ですから、全体の四分の一以上に配られているわけですね。それに対して今全国規模でどうなっているかというと、全国五千万世帯に対して、現行でチューナーの無償配布を決めているというのは、NHKの受信料の全額免除世帯であります。これは最大規模でも二百七十万ですから、全国の世帯数にしたらわずか五・四%です。
 ですから、本気でアナログをとめてもいいというのであれば、少なくともアナログテレビで地デジが見られるようにするチューナー配布は最低限の仕事である。にもかかわらず、現状はそういう状況ですよ。
 つけ加えて言えば、アンテナも、VHFのアンテナではだめで、UHFに切りかえる必要があります。しかし、この珠洲市においては、既に現行UHFのアンテナですから、アンテナの改修費はかかってないんですよ。でも、関東はみんなVHFですから、そのアンテナの改修の費用まで含めたら、七万とか十万とかかかってくるわけなんです。そういう費用負担についてどうするのかというのは、この珠洲市のリハーサルでは教訓をくみ出すことができないんじゃないですか。そういう点でも、私、現行の計画というのは非常に無理があるということを率直に言わざるを得ません。
 その点、いかがですか。

○原口国務大臣 お答えいたします。
 私も委員の質問をずっと聞いていましたので、多分そういう御質問になるだろうと思って……(発言する者あり)いや、それはとても大事なことなんですよ。
 つまり、この地域の特性に沿った実験であって、今おっしゃるような、関東、特に都市部、ビル陰のあるところについてはまた違う結果が出てくるかもわからない。あるいは集合住宅、それぞれの地域との結びつきが必ずしもこの珠洲のように密接でない地域も、それはあると率直に認めなきゃいけないと思いますので、だから先ほどのお答えをしたところでございます。

○塩川委員 実際、珠洲市というのは、そういう意味でも条件の有利なところで、ケーブルテレビについても各戸が受けるような状況が整っているところでもあります。そういう点では、これをもってうまくいくという話には絶対ならない。
 逆に言うと、リハーサルであっても、このような規模でやらなければ一〇〇%にならないということを見たときに、率直に言えば、リハーサルの結果というのが、全国規模で停波を行うのが困難だということを示すものじゃないのかということを言わざるを得ません。
 もう一つ、この停波に関して困難さを指摘したいのが、アナログ停波にとって大きな障害の一つとなっているのが、先ほど大臣も紹介をされた、都市部の受信障害対策の共聴施設の問題であります。
 珠洲市の場合でいいますと、受信障害対策共聴施設はわずか二つなんですよ。その二つは当然措置をされているわけです。ですから、この受信障害対策共聴施設についてリハーサルは何の教訓にもならないわけであります。
 二〇〇九年九月末現在、一番の直近で把握しているデータでいうと、全国ベースでデジタル化の対応済み率が一八・七%です。つまり、受信障害対策共聴、ビル陰の受信障害に対して対策をとっているというのが二割にもならない。さらに言うと、関東では七・八%、近畿は八・三%にすぎません。
 ですから、総務省としても、関東や近畿では、施設数が多いにもかかわらず対応済み率が低いため、特に重点的な対応が必要としております。そもそも、計画なしという割合が高いんですよね。関東では計画なしの割合が七〇・九%、近畿では八五・五%ですから、何の検討も具体化がされていないというのが圧倒的というのが受信障害対策共聴の現状であります。
 そこでお尋ねします。
 この受信障害対策共聴施設のデジタル化対応について、今までは目標すら持っていなかったわけですから、それが今は目標は持つようになりました。今後、どのような目標と対策を持って取り組むのか、受信障害対策共聴のデジタル化対応について、目標と対策についてお尋ねします。

○内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。
 委員御指摘のように、いわゆるビル陰難視というのはまさに都会が抱える問題でございまして、実際に対応済みのものは一九%に満たない、計画も含めてようやく四〇%というところでございます。
 このビル陰難視に対しての対応は今年度からようやく始めたということで、確かに出おくれ感を認めないわけにはいきません。ただ、これら都市部の問題という認識のもと、これから残り一年半、実質ことしが最後の一年だという認識を持ちながら徹底的に対応していきたい、いろいろな支援策、予算的な措置も含めて対応していきたいと思います。
 ただ、一つ御理解をいただきたいのは、ビル陰難視というのは、実は、アナログ時代とデジタル時代で大きく変わってきます。ビル陰難視というのはどういうものかというと、ビルに電波が反射して、複数の電波がぶつかり合って互いに干渉し合って見えなくなるというものでございます。しかし、デジタルになると一番強い電波をキャッチして見られるようになるということで、むしろデジタルになって一気にビル陰難視というものが一掃されるということも大きく期待されているわけでございます。
 しかし、だからといって、何もせずに安心するわけにはいきません。しっかりと、調査を踏まえながらどこを対処すべきか、そういったものを早急に検証しながら進めてまいりたいと思っております。
    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

○塩川委員 内藤副大臣もよく御存じだからわかることですけれども、ビル陰共聴の場合につきましては、もちろん、アナログに比べて障害を受けるような世帯が減るだろう、十分の一になるとか場合によってはなくなるような場合もあるだろうと。しかし、減ったとしても残るわけで、その場合に、残った世帯をどうするかというのは引き続き課題となるのは同じであります。
 同時に、全部なくなったとしても、これまではビル陰の共聴施設という形で、被害を受ける方は無料でそういう施設の提供を受けていたわけですけれども、今後はそれを自分の懐で賄うのかといった問題が出てきたときに、でも、そんなのはもともとビル陰の問題があったんだからマンションの管理者の責任でやるべきじゃないのか、そもそもアナログから地デジに切りかえたのは国なんだから国の責任で負担してくれ、こういう声が上がるのは当たり前で、だからこそ、この利害関係の調整、関係者の調整に丁寧な努力が必要なわけですよ。それが、これだけたくさん残っているのに、何で一年半という短期間でできるのか、このことが聞きたいんです。いかがですか。

○内藤副大臣 先ほども議論になりましたが、珠洲市の事例から得られる教訓は何かというと、やはり一にも二にもきめ細かな対応ということでございます。
 そういったことも踏まえて、デジサポ、地方自治体、そしてテレビ事業者、そういった協力も得ながら、相互に連携をしてきめ細かな説明並びに相談をことし一年かけてしっかりとやってまいります。
 今までは、相談だとかそういう説明会は特に重点的に行ってきたわけではありません。しかし、これからは、例えば高齢者だとか、あるいはビル陰難視を抱えるエリアを対象にして行うだとか、そういうふうにめり張りをつけた説明会、相談を行っていくことによって、向こう一年半で完全実施に向けて取り組んでいきたいと思っております。

○塩川委員 今まで進んでいないものが、一年半でそういう利害関係の調整が本当に進むのかという懸念が当然出てくるわけです。それはもちろん、人手をかければ話し合いのスタートは切れるかもしれませんけれども、どう決着がつくのか。そのことなしに実際には対策は進まないわけですから、そういう意味でも、私は、現行の受信障害対策共聴施設についてデジタル化対応をすべて来年七月までにいくというのは困難だということを率直に言わざるを得ません。
 同時に、全国規模で見た場合には、アンテナの直接受信の世帯についても、それこそ一軒一軒訪問してこそ必要なのに、現状でいえば、ことし九十万訪問で、来年度百万の訪問軒数ですよ。五千万世帯あるいは直接受信世帯二千万に比べれば、ごくごく一部でしかないわけで、それでどうして徹底してできるのか。珠洲市のリハーサルの教訓は生かせるのかということが言われているわけで、率直に言って、現行で本当に間に合うのかということを改めて言わざるを得ません。
 その上で、原口大臣に伺います。
 受信機の普及の面でも、この受信障害対策共聴を含めた共聴施設の整備の問題でも、おくれが明らかであります。
 原口大臣が、昨年九月十八日の記者会見で、まずは目標どおりにデジタル化を完成していくということを述べながらも、地デジについて、普及率が九五%いっていればあとはお配りした方がいい、九五%いっていなければやめた方がよいというような検討の結果がありました、このようなことを述べておられます。一つの目安を設けて、普及率が届かないようであれば一定の時期にアナログ停波の延期を決断する、今こういう検討を行うときに来ているんじゃないのか、そのように考えますが、原口大臣、いかがですか。
    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

○原口国務大臣 野党時代に、当時の旧政権の進め方を見て、これは大丈夫だろうかと正直に思っていたところなんです。
 それで、今、私がその責任者になっているということで、真っ先に大丈夫かと不安に思いましたので、アメリカのFCCに行きました。アメリカは、あそこも停波を延ばしたんですね、半年でしたか、延ばしたんです。それで、丁寧に丁寧に聞き取りをしました。その上で何が必要かということが、今お話しの、それは野党時代の私たちが民主党の総務部門会議で一定の結論を得たものであります。
 しかし、これを半年なりなんなり延ばしても、そのコストはだれが払うのか、それから、いつまでそれをやるのかを考えてみても、現実的ではない。今、塩川委員が前段で御指摘をされたように、しっかりとビル陰対策をやって全力でそこに向けて障害を取り除いていく、このことが今求められていると考えています。

○塩川委員 少なくない視聴者の方が別にアナログでもいいと。地デジの電波について、そもそも国民的な要求で出発しているわけではないわけです。そういう意味でも、テレビが見られなくなるようなことは決してあってはならない、そのためにこそ全力を挙げるべきであります。
 もともと国策として進めたんですから、コストの問題が出てくるとしたら、それはこのコストを減らすために努力しながら、住民、利用者に負担を押しつけるようなことは絶対あってはならない。そういう意味でも、映らないということが起こらないようにする、また、余計な負担を住民、利用者に押しつけないようにする。
 そういうことを考えたときに、やはり一定の普及率に達しないようなときには、一定の時期に延期を決断するような目安こそ必要です。だから、アメリカの場合においても、総務省と業界団体の方が現地調査に行って報告書を出されたというのも承知しておりますけれども、その報告書の中でも、アメリカの移行はおおむね成功したというのも、移行期限の延期というのが結果的に功を奏した、こういうことも述べているわけですよね。そういうことであれば、アメリカがまさに政権交代でオバマ政権になってから延期を決断したわけですけれども、こういう機会ですから、過去の自公政権のしがらみにとらわれず、必要な時期に必要な延期の措置をとるということを政策的に示すべきときに来ているんじゃないのか。
 改めてお聞きします。

○原口国務大臣 お答えいたします。
 しがらみにとらわれずと、その言葉は、確かにそのとおりだと思います。
 ただ、アメリカでFCCと議論したときも、少し騒ぎ過ぎた、半年延長したんだけれども本当に延長する必要があったのかと。四十ドルだったと思いますけれども、カードを配ってデジタル化が早期にできるようにしたというのがアメリカだというふうに認識をしていますけれども、まずは、ここまで計画も進んできましたから、委員が御指摘のような地域について集中的に資源を投資して、国民の御理解、御協力をいただきながら目標を達成していく、私はそこを今変える気はありません。

○塩川委員 延期をしたアメリカの現状は、実際にはケーブルテレビや衛星の普及が高いところですから、日本のように地上波を直接アンテナで受けるような直接受信の世帯というのは少ないんですよ。そういう意味でも、日本は延期の判断をせずに突入するということがいかに無謀なことかということが問われてくると思うんです。そういう意味でも、今しっかりとした対応策をとって、しかるべき時期にしかるべき延長の手続を踏むような、そういう選択肢を示すことが今求められているということを述べておくものです。
 残りの時間は、ケーブルテレビに関してです。
 私、前々から要求しているんですが、ケーブルテレビで地上デジタル波の放送を見るということを総務省としても推奨しているわけですけれども、その場合の負担が大きいわけです。工事費や加入料の負担も五万とか七万とかかかったりしますし、それだけではなくて、月額の料金負担というのは少なくありません。そういう点で、情報通信審議会の答申の中でも、こういった負担の軽減ということが言われているわけです。
 珠洲市の場合でも、実際にケーブルテレビに切りかえた方がいらっしゃるんですが、加入金と工事費で七万円から九万円かかる、月額料金は最低でも千五十円だ。地デジ視聴のために新たに加入した方は、テレビを買いかえてケーブルテレビに加入したら十五万円かかった。それに、月千円は高い。つまり、今までテレビを見るのにお金を払っていないわけですから、それが毎月毎月千円出るということ自身、負担を感じるというのは当然のことだと思うんです。
 そこで、この数字は細かいからお聞きするのも恐縮ですけれども、昨年九月末現在で、この地上デジタル放送のみの再送信サービスについて、地域を限定せずに提供している事業者がどのぐらいに上るかというのは、よろしいですか。
    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

○内藤副大臣 難視聴地域だとかそういったものを限定することなく全国に提供している事業者は、昨年九月末の調査によりますと、二百社となっております。
 以上でございます。

○塩川委員 これは、ケーブルテレビ事業者全体からしますと、三七・三%なんですよね。四割にまだ届かないわけです。そのうち月額料金が千円以下の割合というのが百五社ですから、一九・五%、二割に届かないんです。つまり、情報通信審議会の答申でも、繰り返し、アナログでいえば一から十二チャンネルだけを見られるようなケーブルテレビの料金設定をしてほしいということをこの二年間要求しているにもかかわらず、千円以下という安い料金でやっているというのは、まだわずか二割にも届かないという現状なんですよね。
 そういう中でも、結構地域に結びついた、市が出資をしているようなケーブルテレビ事業者というのは、それなりに配慮をして一定低い金額に抑えた別枠の料金設定もしているんですが、問題は大手なんですよ。大手のケーブルテレビ事業者はどうなっているのか。最大手と言われるジュピターテレコム、JCOMですね、今いろいろ買収の話の方が盛り上がっていますけれども、いわば成長株の企業ということでもあるでしょうが、このJCOMの今言った地デジ放送のみの再送信サービスについて、地域を限定せずにしたサービスメニューというのは提供しているんですか。

○内藤副大臣 先ほど委員が千円以下でサービスを提供している事業者は、最新情報によりますと、百七十五社になっておりますことを御報告申し上げます。
 そして、御質問の件、ジュピターテレコムでございますが、ことしの一月に関東で地デジ・BSパックとして電話とセットで月額二千四百八十円のサービスを開始し、順次、札幌、関西、九州とサービスを拡大しております。一方で、地上デジタル放送のみのサービスについては、難視聴地域等に限定して提供しているものと承知しております。

○塩川委員 最大手のJCOM自身が、地デジのみのメニューをつくっていないんですよ。IP電話、固定電話とセットで二千四百八十円でも安いじゃないかと言われても、別にそっちは要らない、地デジだけでいいんだ、千円以下にしてくれあるいは五百円にしてくれ、こういう声が現にあるんですよ。それなのに、いまだに最大手がこういう状況ですよ。
 あるいは、二番手でいえばジャパンケーブルネットですけれども、ジャパンケーブルネットはどうですか。

○内藤副大臣 地デジのみにつきましては難視聴地域のみが基本でございまして、その他はトリプルサービスと言われる、いわゆるテレビ、電話、ネット、三位一体でのサービス提供となっております。これが月額七千円だと承知しております。

○塩川委員 ですから、ジャパンケーブルネットのエリアの住民の方が、地デジだけ見たいというのでケーブルテレビを契約しようと思ったら、いや、インターネットもついています、IP電話もついています、だけれども料金は七千円ですと言われるんですよ。こんなことでいいんですか。
 つまり、ケーブルテレビ事業者というのは、現実的には実質的に地域の独占ですから選びようがないという状況も生まれているわけですよ。ですから、JCOMのエリアだったらJCOM、JCN、ジャパンケーブルネットのエリアだったらJCNだけといった場合に、二千四百八十円とか七千円とか言われても困る。
 ですから、住む場所によってこういった地デジ受信の定額のサービスにばらつきがあるようなことであってはいけないのじゃないのか。本気で地デジに完全移行するというのであれば、ケーブルテレビでの受信を促す上でも、地デジのみの料金設定のメニューをすべての事業者にしっかり持ってもらう、こういうことこそ必要で、そのためにこそ知恵を使うべきだと思いますが、原口大臣、いかがですか。

○原口国務大臣 地上デジタル放送のみのサービスの導入の是非や具体的な提供条件等については、これはあくまで資本主義市場でございますので、事業者が経営戦略に基づき独自に判断、決定すべきものと認識いたしますが、他方で、今委員がおっしゃるような地域の独占といったこともこれあり、地上放送しか視聴しないので安価な料金でという視聴者の希望が今委員がおっしゃったようにあるのも事実でございまして、総務省としては、各ケーブルテレビ事業者においてこうした視聴者の要望にこたえていただきたい、こう考えているところでございます。
 また、地デジの普及についてもさらに一層の御助言、御指導をいただければと、そのように考えています。

○塩川委員 ですから、住んでいる場所で高かったり安かったりするということじゃまずいだろうと。
 つまり、国策で進めているものですから。別に利用者が希望して、地デジにしたいから、その場合にケーブルテレビは高くて仕方がないねという話じゃないんですよ。迫られてそうなっているんですから。そういったときに、しっかりとした対応というのは、ぜひもうちょっと知恵を出して頑張っていただけないですか。最後に一言。

○原口国務大臣 お答えいたします。
 地デジへの完全移行については、これはやはりいろいろな悩ましい問題があります。知恵を出してということでございますので、次回の政務三役会議でも検討事項として議論を進めてみたいと思います。
 この政務三役会議をどうするか。与党議員だけ公表するか、開放するか、参加してもらうか。場合によっては、お許しを党からいただければ、皆様にもどこかで参加をしていただいて、オープンな場で議論できる、あるいは知恵をさらに練れるように頑張っていきたいと思います。
 ありがとうございました。

○塩川委員 終わります。