<第174通常国会 2010年04月08日 総務委員会 11号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、まず最初に、郵政に関連して一つお聞かせいただきます。
 民営化に当たりまして、さまざまな問題が起こったのが日本郵政でございました。そのガバナンスの問題について、原口大臣のもとで日本郵政のガバナンスについての検証を行う委員会が立ち上げられて、先日、その検証結果についての中間取りまとめというのが出されたと承知をしております。
 この点では、本当に野党時代、大臣と一緒に、不動産の売却、バルク売却の問題ですとか、かんぽの宿の問題ですとか、あるいは三井住友カードの問題を追及してまいりました。民営化の過程の中でどういう問題があったのか、こういうことについてしっかりと明らかにしていくことが求められていると思っております。
 この検証結果におきましても、私も雇用問題ともかかわってJPエクスプレスの問題についても質疑を行ってまいりましたが、西川社長ら旧執行部の責任も指摘をしております。このJPエクスプレスの問題については、このガバナンスの検証結果の中間取りまとめにおきましても、郵便事業会社の首脳陣の反対を押し切って西川社長が統合基本合意を締結したとか、そういう過程の中でJPエクスプレスが設立をされました。
 同時に、この過程の中で、二〇〇九年の三月末には、ペリカン便事業の承継に当たっての増資について総務省が認可を行っております。この検証結果の中でも、「本事案に係る日本郵政のガバナンスとしては、経営判断としての合理性を大きく逸脱しており、その結果も重い」と指摘をしておりますけれども、こういう合理性を逸脱した日本郵政のガバナンスを実際容認してきたのが当時の総務省の対応だったのではないのかということが問われてくると思います。この点でも総務省の責任も一体に厳しく問われているんじゃないのか。
 この点についての大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

○原口国務大臣 塩川委員とは野党時代にこの問題を追及させていただきました。あのときに追及をしていたとおり、ガバナンスはもうほぼ崩壊をしていたのではないかというおそれを、この調査委員会、検証委員会の報告を聞くと、調査に当たった弁護士の人たちでさえ、ここまでひどいとは思わなかったという状況が出てきております。先ほどのJPエクスプレスでいうと、しっかりとした事業計画や収支見積もりといったものがどこまであったのか、それもまだ私たちは目にしていないという状況でございます。
 そこで、三月三十一日には、個別検証は一応終了しましたことから、郷原委員長から中間取りまとめとして対外的に発表を行いましたけれども、専門委員会としては、過去の個別事案のガバナンスの検証に当たり、総務省が適切に対応していたかどうか。確かに、当時の総務大臣、鳩山大臣のころからはできレースというようなことで総務省はさまざま調査をしております。しかし、その前はどうだったかも含めて幅広く検討をしているものと聞いておりまして、専門委員会においては、ガバナンスの脆弱性を補完するには、例えば事業計画へ重要な個別案件を詳細に記載させるべきではないかというような意見もございまして、今の法案の中に生かせる、あるいは日本郵政の管理監督の中にしっかりと生かしていきたい、こう考えておるところでございます。

○塩川委員 検証結果の中間取りまとめに当たっての郷原委員長の記者会見でも、委員会設置会社という形態そのものがよかったのかということの総括も必要だと。その点におきましても、本来、総務省がさまざまな認可権を持っているわけだから、総務省としての関与についてもしっかりと総括を行うべきだ、検証を行うべきだということを改めて求めておくものでございます。対応方をぜひお願いしたいと思っております。
 その上で、このJPエクスプレスの件ですけれども、推測だが結局は目先の民営化の成果を出したいということでスタートさせたということになるんじゃないのかということで中間取りまとめでも指摘がございます。実際に、労働者の皆さんは、行ったり来たりするような状況の中で大変な御苦労をしておられるわけであります。
 このJPエクスプレスの雇用問題について、ことしの七月にJPエクスプレスを解散して、資産の郵便事業会社への承継を予定していると承知をしております。報道では、JPエクスプレスは、七千八百人の従業員や三百七十六カ所のターミナル、支店のうち、必要な部分のみを日本郵便が引き受けた後、解散をするとか、JPエクスプレスから三割程度の人員と約二十カ所程度の集配拠点が日本郵便に移る見通しだなどとされております。
 そこで日本郵政にお尋ねしますけれども、JPエクスプレスの約七千八百人の雇用の内訳がどうなっているのか。JP側から行った人、日通側から行った人、正規、非正規の方もいらっしゃいますが、その内訳を教えていただきたいのと、この雇用について日本郵政として今後どういうふうに対応されていかれるおつもりなのかをお答えください。

○中城参考人 お答え申し上げます。
 現在のJPエクスプレスの社員数でございますが、正社員三千百名、非正規社員四千七百名、計七千八百名でございます。うち、郵便事業会社から出向している者は、正社員約四百名、非正規社員はございません。それから、日本通運から正社員として出向している者が二千六百九十名、非正規社員が三千五百名というふうになっております。
 なお、お尋ねの従業員の雇用でございますけれども、先生御指摘のように、JPエクスプレス株式会社は本年七月一日に郵便事業株式会社に事業承継することになりますが、JPEXの従業員につきましては、郵便事業株式会社及び日本通運株式会社の両社にて雇用の確保に向けて最善の努力を尽くすこととしております。

○塩川委員 最善の努力という話でございました。
 JPエクスプレスで直接雇用されていらっしゃる方がどうなるのかという雇用の懸念がございますし、聞くところによりますと、日通側での雇用がどうなるのか、戻れない人がいるんじゃないのか、そういう声などもお聞きをしているところでございます。その点で遺漏のないように、希望される方がしっかりと雇用の機会が確保されるように日本郵政側での対応を強く求めたいと思いますが、改めてその点をお聞かせください。

○中城参考人 先生の御指摘の点も踏まえまして、承継希望者の意向も考慮してしっかりやっていきたいと思います。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
 このJPエクスプレスをめぐる混乱というのは、検証結果の中間取りまとめにもございますように、民営化の過程に当たってのゆがみとして出てきている。そういう点では、やはり日本郵政だけの責任ではなくて、国としての対応も問われてくるところでございます。雇用をしっかりと確保するという点で、JPエクスプレスの解散に当たって、希望される方の雇用がしっかりと確保されるように大臣としての特段の働きかけをお願いしたいと思っておりますが、その点についてぜひお聞かせください。

○原口国務大臣 おっしゃるとおり、平成二十一事業年度事業計画の変更の認可の際に、私の方から、郵便事業株式会社の経営陣の方には、承継に伴い雇用不安が発生しないよう十分配慮して計画を進めてほしいとお願いをしたところでございまして、計画を進めるに当たっては、将来の労働条件の十分な説明を行うとともに、承継希望者の意向も考慮する等、雇用の確保には十分配慮してもらいたいと思います。
 一方で、今委員がおっしゃったように、ガバナンスが壊れている。ゆうパック事業とペリカン便事業との統合については、西川社長において、日本郵政の三井住友銀行出身者に担当させる一方、所要の検討も行わず、かつ、統合に慎重であった郵便事業会社首脳陣に知らせないまま、平成十九年十月五日に日本郵政と日通との間で基本合意書を締結しています。多額の赤字が予想されたことから直ちに統合を行うことに反対したにもかかわらず、反対を押し切ってやっているわけです。今までの累積損失額の総額が九百億を超えているということでございますので、日本郵政においてしかるべき措置がなされるものと考えております。

○塩川委員 JPエクスプレスのもとでそういうさまざまな民営化に伴うゆがみによって公共サービスの後退も生まれるし、赤字が拡大をするし、また雇用の不安もある。そういう点での対応方についてしっかりとお願いしたい。
 その点でも、改めて御確認したいんですが、日通側での雇用の継承に不安の声があるわけであります。そういう点では、日本郵政と同時に、日通側との雇用継承についてのしっかりとした調整についても大臣の方からの働きかけもお願いしたいと思っておりますが、その点、一言御答弁をお願いします。

○原口国務大臣 日本郵政については私の認可ということで、いろいろな、これはあくまで民間の企業でございますからお願いベースでございますが、今回こういう事態も検証委員会で明らかになったところでございまして、社員の皆さんの雇用の配慮とともに、顧客にも十分説明を行って、混乱がないようにしてくださいと日本郵政にも申し上げたところでございますが、日通についても、私は本当にこの合併のことが不可解でなりません、これは大臣がお願いできる話ではございませんけれども、しっかりとした雇用の確保を期待するものでございます。

○塩川委員 よろしくお願いいたします。
 残りの時間でKDDIの国際オペレーターの雇用問題についてお尋ねをいたします。
 KDDIにおきましては、これまで国際オペレータ通話と言われる日本語によるオペレーターを介した国際電話サービスを提供しておりました。例えば、外国語が苦手な方でも国際オペレータ通話のところに〇〇五一とか〇〇五七と電話をしますと、つないでくれるわけですね。海外のホテルに居住している、現地で災害が起こった際に安否を確認したいという際に、外国語、英語が心配でもオペレータ通話を通じて対話ができる、海外のホームステイの子供との連絡もとれる、こういうサービスが行われていたわけですけれども、二年前にKDDIがこの事業の廃止を表明いたしました。
 それによって、多くの方から災害時などの安否確認など公共性の高いサービスの継続を求める声が広がっておりました。また、従事をしておられる労働者、非正規労働者の雇用の継続も懸念をされていたところでございます。
 この間、私からも総務省に説明を求め、サービスと雇用の継続を求めてきたところでございますが、このKDDIの国際オペレータ通話の業務と雇用がどうなったのかについて確認させていただけますか。

○長谷川大臣政務官 委員御指摘のKDDIの国際オペレータ通話でございますけれども、今御照会がありましたように、ことしの三月末でサービスを終了することを既に公表しておったところでございますけれども、この問題について各方面から御指摘をちょうだいいたしまして、結果的に、KDDIは、二〇一〇年の二月二十五日に、四月以降もサービス提供を継続するということを発表したところでございます。中身につきましては、今までと同じ料金、同じ内容でサービスの提供を継続するというふうに承知をしております。
 なお、業務につきましては、子会社のKDDIエボルバというところに業務が委託されておりまして、ここのオペレーターが仕事をしておったわけでございますけれども、今回、これを一時中止するというようなことを発表して、その後、一部の業務が他に移ったというようなこともありまして、希望するすべてのオペレーターが雇用を継続されるということにはならないようでございますけれども、できるだけ雇用に努めるというふうに聞いております。

○塩川委員 雇用について不安な状況が生まれている、一部継続されないという事態が生まれているということであります。この点、大臣は、国会の質疑の中でも、国際オペレータ通話は命綱、ライフラインだと述べてこられました。まさにそうだと思っております。
 私は、KDD法が廃止をされた際に、こういう国際オペレータ通話を含むユニバーサルサービスの義務が外されたというところにそもそも問題があったと思っております。
 そういう点でも、この国際オペレータ通話をしっかりと確保するというのは当然の責務として求められていることと思いますし、これを担う労働者の皆さんの雇用もしっかりと確保されなくちゃいけない。一部沖縄に移るといいますけれども、大体、今働いている方の時給は初任給で千三百円から千三百五十円なんですよ、沖縄での時給が幾らかというと六百八十円なんですね。英語をしゃべれる人をお願いしますと言うんですけれども、集まらないんですよ。それで、実際対応ができなくて、沖縄に回った者が新宿の方に移らざるを得ないということが生まれているわけです。私は、そういう点でも、今新宿で働いている方々、雇用を希望される方がしっかりとその雇用が確保されるように行ってこそ、まさに命綱、ライフラインが保障されるのではないのかと思います。
 大臣、その点での雇用に当たって、希望される方の雇用がしっかりと継続されるような、そういう働きかけというのをぜひお願いしたいと思っておりますが、御答弁をお願いします。

○原口国務大臣 これは国会で御質問いただいて、私の方から、例えば日本人妻の日本へのコール、あるいは今おっしゃったようなライフラインとしてのオペレータ通話、災害時等における通信手段としても引き続き重要な役割を果たしていくことを期待して、KDDIの社長にもいろいろな御事情を聞いたわけで、今回の御決定になったわけでございます。
 三月三十一日時点で雇用されていたオペレーターの方の四月一日時点の雇用状況は、オペレーター業務を希望された方で、選考により継続雇用した方が五十五名、選考により継続雇用しなかった方が八名、他業務に配置転換した方が七名、そして退社された方が十一名というふうに聞いております。
 いずれにせよ、一般論として、雇用に関することはKDDIエボルバの経営の自主性を尊重すべきものと認識をしておりますけれども、雇用ということは大変オペレーター業務の質を維持する上でも大事なことである、このように認識をしております。

○塩川委員 希望する方全員の雇用継続を強く求めると同時に、非正規の方の均等待遇というのをぜひ実現することこそ、命綱、ライフラインの保障につながっていく、ユニバーサルサービスとしての業務を提供することにつながるということを求めて、質問を終わります。