<第174通常国会 2010年04月15日 総務委員会 13号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 独法の通則法の改正案について質問をいたします。
 最初に、今回の法案に基づいて今年度の予算で見込まれている国庫納付額は幾らとしているのか、また同様に、昨年度において見込まれていた国庫納付の額が幾らだったのか、お示しください。

○階大臣政務官 お答えいたします。
 今回の提出法案によって独法からの国庫納付が見込まれる額は、現金で六千四百四十八億円、そのほかに現物のまま国庫納付される不要財産として簿価ベースで九百八十七億円、こういうものでございます。そして、前政権のときの旧法案で独法からの国庫納付が見込まれていた額は現金で三百四億円、こういうことでございます。

○塩川委員 現金で国庫納付の額は、今年度は六千四百四十八億円、昨年度が三百四億円ということでございました。
 昨年度の場合には法改正が行われていませんから、それがそのまま積み残しということで今年度ということになっているわけですけれども、ただ、去年想定した三百四億円も、おととし出されました自公政権時代の閣法の仕組みに基づいて行われるということでありますし、ことし見込んでいる六千四百四十八億円も、当然のことながら自公政権時代の閣法と同じ仕組みで国庫納付をするということであります。
 仕組みは同じなのに額がこんなに開きがある、その理由は何なのかをお答えいただけますか。
    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

○階大臣政務官 思いますに、一番大きな要因は、昨年の事業仕分けで独法が積み立てていた基金について幅広く見直しが行われた、その結果がこういう数字の差に反映されているのではないかと思っております。

○塩川委員 枝野大臣に伺います。
 去年の行政刷新会議で「事務事業の横断的見直しについて」という文書を出されておりまして、そこに「公益法人及び独立行政法人等の基金の見直し」という項目で、「運用益で事業を行っているものについては、基金相当額を国に返納し、必要額を毎年度の予算措置に切り替えるべきである。」ということが指摘をされているわけです。つまり、事業そのものの検討をして、事業そのものの必要性がある場合であっても、その基金の運用益の活用はやめて、毎年度の予算措置に切りかえることになっているということで承知をしております。そのとおりでよいかということが一点。
 そうしますと、事業の必要性は認めるものの、運用益の活用をやめて毎年度の予算措置ということになりますと、この毎年度の予算措置が将来どうなっていくのかという見通しも非常に不透明だということを考えますと、結局、国の財政への寄与を理由にして国民にとって必要な事業の縮小、打ち切りにつながりはしないか、こういう懸念を覚えるわけですが、枝野大臣、どのようにお考えでしょうか。

○枝野国務大臣 御指摘のとおり、基金の運用益で事業を行うという考え方は、特に昨今の低金利時代においては、基金を積んでおいてもほとんど運用益が上がらないという経済状況のもとではやはり合理性を失っているであろう。一方で、その財源になっている国の予算そのものが大幅な借金で成り立っているわけでありますから、それは、借金も減らし、基金の部分も減らすということで全体のいわゆるバランスシートを縮小させることが財政の立て直しに向けて必要なことであろうというふうに思っています。
 その上で、もちろん基金があれば何年先もそこから一応金が出るという見通しが立つのかもしれませんけれども、逆を言えば、社会状況、政治状況の変化によってその事業が必要でなくなった場合であっても、あるいはそこに必要な予算の規模が小さくなった場合であっても、その事業が継続をされてしまうという、そういった無駄が発生する余地が一つあります。
 そして、もう一方では、本当に必要な事業はきちっと毎年の予算措置をしていく。まさに政治の一つの大きな役割は、必要なところにしっかりと予算をつける。その予算をどこにつけるのかという判断こそが、あえて言えば政治の一番大きなと言ってもいいぐらいの責任である以上は、そこのところの御懸念には当たらない。少なくとも私どもの政権が続いている限りは、必要なところにはしっかりと必要な予算をつける、こういうことで対応してまいります。

○塩川委員 無駄が発生するのについて、毎年度の予算措置を通じてチェックをするし、当然必要なものにはお金をつけるんだという話ではありますけれども、一方で財政の立て直しという観点というのは当然のことながら挙げられているわけで、結果としてその財政立て直しが優先されるがゆえに必要な事業さえも切り込まれることになるのではないのかという懸念が、今回の独法の資産の国庫返納について私はその懸念が払拭できないと考えております。
 具体例を挙げて聞きます。
 一つは、総務省の情報通信研究機構、NICTで、衛星放送受信対策基金、BS基金三十一億円の国庫返納がございます。この三十一億円の中で、基金で行っていました事業として、地上波でアナログ放送が受信できないいわゆる絶対難視世帯、つまり、現行のアナログ放送も届かないような地域というのが、推定ですけれども、四万世帯ぐらい残されているとされているわけですけれども、そういういわゆる絶対難視世帯には、今、衛星放送で対応しているわけですね。この対象世帯が衛星放送を受信するためのBSのアンテナとか受信機などの設備を設置した場合に、経費の一部を助成するという事業をこの基金で行っているわけであります。
 これはまさにユニバーサルサービスとしても、国民にあまねくこの環境を整える事業を進める上でも重要ですし、何よりもセーフティーネットとしても欠かせない事業だと思いますが、この点についての総務省の御見解をお聞かせください。

○内藤副大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御指摘のように、この基金の運用益を使って二つの事業を行ってきたわけでございます。一つは、目の見えない方、目の不自由な方に対して字幕放送とか解説放送の充実、そしてもう一つは、NHKも含め地上波のアナログ電波が届かないところに対して衛星放送が受信できるようにその受信側の設備を助成してきたわけでございます。
 ところが、今回の基金の廃止に伴ってこれができなくなる。その代替措置といたしまして、衛星放送受信対策事業というものを新たに設けまして、一般会計で今年度は一億八百万円を措置して継続をさせていただくことになっております。
 以上でございます。

○塩川委員 基金は廃止、それで一般財源措置で一億円余りをつけたという話でございますけれども、確かに、近年の実績はほとんどないんですよ。〇八年度も一件なんです。〇九年度も六件なんです。
 しかし、来年七月にアナログの停波が行われます。ですから、それとあわせて、当然のことながら、現行のアナログは映るけれどもデジタルが映らないという新たな難視世帯も生まれてくるわけで、改めてきちんとした受信環境の整備のために努力をしなくちゃいかぬという点では、この絶対難視世帯に対しても、現にNHKが調査もやっているわけです、地図の上に落としてみて、映らない地域にどのぐらい世帯があるかというのを拾い集めるような作業なんかも現に行っているわけですよ。そうしますと、多数の申請が行われるかもしれない。そういう点で、今年度、そして来年度、私はアナログ停波そのものを延ばせと言っていますから、そういうことも含めて、場合によってはその先もあり得るかもしれないという点でいえば、このアナログ停波前後の不測の事態が想定されているときに、あえて今この基金をなくす必要があったのか、このことが問われていると思うんですが、原口大臣、いかがですか。

○原口国務大臣 これは、塩川委員、完全デジタル化に向けての取り組みについて、大変この委員会でもさまざまな御指摘をいただき、御支援をいただいております。まずそれをお礼申し上げます。
 その上で、先ほど枝野大臣がお話をされましたけれども、必要なものはちゃんと予算措置しましょうね、そして、さまざまな基金という形で残っていることによって、今、実績についてもお話がございましたけれども、本当の意味での政策効果、これは国が、今回も基金廃止に伴う新制度創設により絶対難視聴地域の居住者については経費の一部を助成してそのとおりのことをやるわけでございまして、やはりストックとフローのバランスをちゃんと見直そうじゃないかということでやっておりますので、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

○塩川委員 必要な予算措置という場合でも、どのぐらい必要かというのは結構わからないわけですよ。現にどのぐらい出るかというのは見込めないわけで、過去の実績のピークの数字をとっておおよそ三千八百世帯ぐらいかななんという織り込みで一億とかという予算をつけているわけですけれども、それだってわからないわけですよ。場合によってはもっと出るかもしれないし、出ないかもしれない。そういう点では、今年度の予算措置が適当かというのもよくわからないし、来年度はどうなるかという見込みだってよくわからないんですよ。
 であるならば、基金という形でしっかり残した上で、その基金の中でしっかりやるということがあれば、まさにいざというときのセーフティーネットだからこそできる仕組みになっている。ですから、単純に毎年度の予算措置ではなくて、基金方式というのが望ましいような事業の形態だってあるはずだ。それをこういう形で一律に基金の運用益の事業はやめて予算措置というのは余りにも機械的な対応じゃないのかと思うんですが、原口さん、いかがですか。

○原口国務大臣 先ほどGPIFの百二十兆円、あれは年金基金でございますけれども、それを運用するだけでもコストはかかるわけです。そして、キャッシュフローマネジメント、私たちは新たな考え方で、さまざまな国民からお預かりした、税金を含めて決してそれを寝かせないあるいは無駄にしない、これは当たり前の話です。
 私は、委員がおっしゃるように、基金対応した方がいいものも確かにあると思います。しかし、私たちが今目指しているものはそこではなくて、要は、不測の事態があるから基金を積んでおこうといったことではなくて、むしろ予備費でそれは対応すべきだし、そして、厳格にどれぐらいの不測の事態が起きるのかといったこともしっかり政策評価した上で、委員がおっしゃるような下支えの政策を一般会計予算の中でやるべきだ、このように考えています。

○塩川委員 このBS基金について、ピークとして考えられるのはアナログ停波の時期前後の話なんですよ。そのときに集中的に問われるわけですからね。それを一年、二年後に回せばいいものを何でことしなのかという点でも、道理がないじゃないのかと。結局は、目先のお金の確保のために基金を廃止したと言われても仕方がないということを私は言わざるを得ません。これが一つ。
 それとあともう一つ、文科省の方の国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金百億円の国庫返納について伺います。
 この事業は、超党派の子どもの未来を考える議員連盟が子供の未来のために有意義な基金の創設を発意し、スタートしたものです。ここも基金廃止によって、運営費交付金の一部として事業費が予算措置をされております。
 そこで文部科学省にお尋ねします。
 運営費交付金の一部として事業費が予算措置をされるということです。そういう点で、運営費交付金自身は、全体はマイナスシーリングがかかっております。そうなりますと、事業の経費が交付金になると、事業縮小のおそれにつながるんじゃないのか。活用している団体からも、基金だからこそ継続的な事業が行える、単年度の予算措置だと将来の見通しが立たないという声が寄せられているわけですが、こういう交付金化による事業縮小のおそれがありはしないか、このように考えますが、文科省はいかがですか。
    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

○高井大臣政務官 子どもゆめ基金についての経過は委員が御指摘になったとおりでございますが、原口大臣、枝野大臣がおっしゃったとおりの趣旨から、事業費について、基金は政府出資額の百億は国庫返納して、今年度の事業費について前年度と同額の二十三億を確保できるように国立青少年教育振興機構の運営費交付金を措置いたしました。事実関係はもう委員は御承知のとおりだと思います。
 運営費交付金について、中期目標に沿って毎年一定度の効率化を図ってきてはおりますけれども、子どもゆめ基金事業は子供たちの健全育成のための草の根的な事業に支障のないように確保されてきたところで、今回もそういう措置をいたしましたので、今後とも事業費の確保に努めてまいりたいと思います。
 シーリングについては、政府全体として二十二年度のシーリングは廃止されましたので、来年度に関してはまだ承知はいたしておりませんけれども、文部科学省として必要な事業費は確保してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 利用している団体のお話なんかをお聞きしましても、例えば年間十万円ぐらいの助成によって読み聞かせの事業とかをやって、そういうもので子供たちが読書に親しむような環境をつくる、地域からそういうボランティアの運動なんかに大いに取り組んでいるという話になっているわけですけれども、事業仕分けなんかの議論を見ますと、そういうのは国がやらなくてもいいんじゃないかみたいに頭ごなしに言う。この事業仕分けのシートを見ても、事業は縮小すべきだ、こういう観点で議論が行われるという指摘もされているわけで、私は、そういう意味でも、今回のやり方は、一律に基金の運用益で行っているような事業を廃止する、そういう中で実際に必要とされる公共サービスが後退をする、そういう懸念を覚えざるを得ないということを申し上げておくものでございます。
 そこで、こういう独法の不要財産の国庫返納について、今回の法案に直接かかわるものではございませんが、平和祈念事業特別基金の運用資金の国庫返納の問題がございます。
 これは、今年度の独法などの不要財産の国庫返納の一つとして、平和祈念事業特別基金の運用資金二百億円が国庫返納されます。これは四年前に個別法が廃止されたことに伴って、ことしの秋に基金が解散ということで返納ということになっているわけです。
 そこでお尋ねしたいんですが、戦後、旧ソ連によってシベリアやモンゴルに強制連行され、奴隷のように働かされた日本兵や民間人の方が約六十万人、うち約六万人の方が亡くなったとされております。抑留中は、零下四十度と言われるような酷寒の地で、炭鉱ですとか森林伐採などの重労働を強いられ、一日の食事はわずかな黒パンと塩スープだけだった。酷寒と重労働と飢えという三重苦のもとで苦しめられ、亡くなった方たちの遺骨の多くはいまだ異国の地に眠ったままでございます。
 終戦直後、旧ソ連のスターリンが旧日本軍人らの労働利用について触れた極秘指令を出していたなど、国際法違反は極めて重大でありました。一方、こういう軍人や軍属らを労働力として旧ソ連側に提供する方針を示していた当時の日本政府の国策というのも、表裏一体となって抑留者を生み出した。まさにこの棄民棄兵政策というのが問われたわけであります。
 原口大臣は、野党時代に、シベリア特措法の法案を野党としての取りまとめで中心となってこられた方でございます。そこでお尋ねしたいんですが、こういう抑留者の方の強制労働に対する対価の支払いがないのはおかしい、国には責任があるはずだ、こういう切実な要望にこたえるという法案の中身でもございますが、シベリア抑留に対する国家補償の観点での特別給付金を支給する、こういうシベリア特措法の必要性についての大臣としての御認識を伺いたいと思います。

○原口国務大臣 お答えいたします。
 塩川委員が御指摘のように、戦後、酷寒の地で乏しい食料と劣悪な生活環境、まさに過酷な強制労働。私の後援会長は九十四歳でございますが、シベリア抑留者でございます。もう何十年も御一緒していますけれども、最初は多くのことを語ることがありませんでした。しかし、今九十四の年になって、その筆舌に尽くしがたい経験を少しずつお話ししてくださっております。その話を聞くだけでも、私たちが想像できない御苦労があったというふうに考えております。
 今委員がおっしゃるように、私は、民主党のネクストキャビネット総務大臣時代に、シベリア抑留者についての特別措置法の取りまとめを行ったところでございます。
 戦後、抑留者への給付金については、今関係者の間で真剣な話し合いをしておりまして、今委員がおっしゃったような形で一刻も早く、これは給付金が来たからといって、その方々の傷がいえたり、その時間が取り戻せるということはありません。しかし、その上でも、今補償という言葉をお使いになりましたけれども、シベリアに抑留をされた方々や、そのほかにもたくさんの、まだ南方やさまざまなところで帰国できないまま野ざらしにされておられる御遺骨もございます。そういったものに対し、祖国に帰ることを夢見ながら帰ってくることができなかった、あるいは今なお多くの心の傷を抱えながら生活をされている方々に対して、国家としての姿勢をしっかりとするべきだ、私はそのように考えております。

○塩川委員 国家としての責任はやはりしっかり認める、そういうものとして我々は立法措置をぜひやっていきたい、その点でも原口大臣自身が御努力をされてこられたわけであります。平均年齢八十八歳と言われている方々に一刻も早く実現させたい、してもらいたい、これが関係者の共通の願いでございます。
 ですから、政権交代がいいきっかけだったわけですけれども、秋の臨時国会でできるのかと思いましたら、ごたごたがあって、それがかなわなかったということもありました。では、年が明けたらと思って関係者の方が願っていたのに、これも残念ながらかなわなかった。では、桜の咲くころにという話をしていたのも、もう散り始めてしまっているというので、どんどん先延ばしをされているわけです。この間にも、そういう抑留者の方が、高齢で亡くなられている方も現におられるという点でも、一刻も早いこの実現が求められているわけで、何でこんなにおくれているのかと私は率直に思うんですけれども、大臣、その辺はお聞きになっておられませんか。

○原口国務大臣 総務省としての立場は、今お話をしたとおりでございます。
 先日も、民主党を中心とした有志の議員その他の関係者の皆さんが総務大臣室にお見えになりまして、先ほど私が述べたことと同じことをお話しくださいました。今政府の中で、あるいは関係者等で真剣な御議論をいただいていると聞いております。総務大臣としては、今委員がおっしゃったように、一刻も早い、しっかりとした支えというものを期待するものでございます。また、そこに向けて努力を重ねてまいりたい、このように考えています。

○塩川委員 本当に実現を願っているわけですけれども、何でこんなに先延ばしをされるのか。仄聞するところでは、財政当局の方がオーケーを出さないんじゃないかとか、そういう金目の話になっているようなことであれば、これこそ問われるんじゃないでしょうか。
 この平和祈念事業特別基金そのものの廃止、まあ、独法の廃止そのものは、もともと余り役に立ってないんだという声も現にあるわけで、廃止そのものは措置をされるわけですけれども、その際に、二百億円の基金が国庫に返納されることになっているわけです。
 この間、民主党など野党は共同してこのシベリア特措法案を国会に提出し、政権交代を受けて以降も立法化の努力を重ねてきているところでございます。そこで、民主党などが取りまとめております法案骨子案の概要で何と書いてあるかというと、「特別給付金の支給のために基金の資本金を取り崩すことができることとする。」としているわけですね。つまり、基金の資本金二百億円を特別給付金の支給に手当てをするものとなっているわけです。抑留者の方は、何もお金の話じゃないんです、国が責任を認めて自分たちの労苦に対してきちんとした姿勢を示してもらいたい、そのあらわれがこの特別給付金であるわけです。そういう提案をしている法案そのものが、特別給付金について、基金の資本金二百億円を取り崩すことができるということで措置するようになっているわけです。
 では、今年度の予算に見込まれています平和祈念事業特別基金の運用資金、国庫返納額の二百億円というのは、この抑留者の方への特別給付金の支給に充てられることになっているんでしょうか。

○原口国務大臣 平和祈念事業特別基金の資本金は、今おっしゃるように二百億円でございますが、廃止法に基づき、平成二十二年九月三十日までに廃止し、国庫に返納が予定されております。資本金二百億円は、二十二年度歳入予算に計上をしています。
 その上で、今お尋ねの戦後強制抑留者への給付金については、関係者の間で真剣な話し合いが行われていると聞いておりまして、総務大臣としては先ほど申し上げた姿勢でございます。なお関係者の話し合いを見守りながら、今委員がおっしゃった趣旨の方向で決着することを期待しておるところでございます。

○塩川委員 議員立法を出そうという議員の皆さんは、別にブレーキなんかだれもかけていないわけですね。だれがブレーキをかけているんですかということなんですよ。このままでいいんですか。
 実際、一刻も早く実現を願っていたのに、結果的にもう半年が経過をするような状況になっている。自公政権の退場をきっかけとして大きく前進させようと思っている、そういう点では関係者、まさに立法化を目指す皆さんは共通の願いであるわけですけれども、それが現時点で見通しはどうなんでしょうか。私は、そういった財政当局の金目の話が理由で事が前に進まないとしたら、そのこと自身がおかしいと思いますが、原口大臣、いかがですか。

○原口国務大臣 委員がおっしゃるように、この戦後補償、あるいは強制抑留者の皆様に対する国としての責務、この問題は大変重い問題でございます。ですから、金目の問題でこれが動かないというようなことがあってはならないというふうに私は思います。
 ただ、関係者という場合、これはさまざまな関係者がいらっしゃいます、その関係者の皆様との話し合いや、政府として整理をすべき点があることも事実でございまして、委員がお話しくださいましたその方向を一刻も早く実現できるべく総務大臣としての努力を重ねてまいりたい。
 今申し上げられるのは、残念ながら、だれが邪魔しているかとか、かれがどうしているかとかいう話を今ここですべきでもないし、また、そうではありません、政府として一丸となってやっているところでございますが、いましばらくお時間を賜ればと。しかし、その時間もそんなに何年もなんという話じゃないということも申し上げておきたいと思います。

○塩川委員 全国抑留者補償協議会の方は原口大臣にも要請をされておられて、その広報ではこの予算二百億円の財源も平和祈念事業特別基金の残余資金が充てられることでクリアできると見られていますと。そういう期待も寄せておられるわけです。独法資産の不要財産国庫返納による国の財政への寄与が優先されることによって、この抑留者への補償が棚上げというようなことがあってはならないわけで、一刻も早い実現を改めて求めて、質問を終わります。