<第174通常国会 2010年04月15日 総務委員会 13号>


○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の独立行政法人通則法の改正法案並びに自民党、公明党、みんなの党提出の改正法案の両案に対し、反対の立場から討論をします。
 政府提出法案に反対する第一の理由は、独立行政法人の不要財産についての国庫返納規定を一律に持ち込めば、医療、福祉、教育など公共性、公益性の高い、国民生活にも深いかかわりのある事業が縮小、廃止となるおそれがあるからであります。
 もちろん、真に無駄な資産等を国庫返納することは当然であります。しかし、問題は、当面の財源確保を最優先にして、「運用益で事業を行っているものについては、基金相当額を国に返納し、必要額を毎年度の予算措置に切り替えるべきである。」などと、事業仕分けの方針に沿った独立行政法人の資産取り上げを行うことであります。
 例えば、情報通信研究機構、NICTは、アナログ地上波が受信できない絶対難視世帯に対する衛星放送での受信支援対策を実施しています。これを支える衛星放送受信対策基金は、基金の運用益で実施するからこそ、不測の事態にも対応するセーフティーネットとなって機能するのであります。
 また、国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金の廃止についても、事業は継続されるものの、運営費交付金頼みでは、基金だからこそ継続的な事業が行える、単年度の予算措置だと将来の見通しが立たなくなるといった不安の声を解消できません。
 このような独法資産の国庫返納を強めるならば、国民の居住権を侵害する雇用促進住宅の廃止やUR賃貸住宅の売却など、公共サービスの後退にもつながることを指摘せざるを得ません。
 反対理由の第二は、本法案は、自公政権が〇七年十二月に閣議決定した独立行政法人整理合理化計画に基づいて〇八年に提出、審議未了、廃案となった見直し法案から、不要財産の国庫返納規定だけを切り出したものであり、構造改革路線の立場から、独立行政法人の整理縮減、民営化をねらったものであるからです。
 日本共産党は、そもそも、独立行政法人制度は、国の行政から国民生活に関連する部門を切り離すための仕組みであり、本来国が責任を持たなければならない事業を、効率化と採算優先の短期的評価で切り捨て、地域医療や不採算医療を担う公的医療機関や産業活動の基盤を支える試験研究機関などの公共サービスを後退させ、労働者の労働条件を切り下げ、最終的には民営化への筋道をつけるものとして反対してきたのであります。
 本法案は、我が党が指摘してきたこの方向を加速するものであり、容認することはできません。
 自民党、公明党、みんなの党の提出法案は、政府が事業仕分けで独立行政法人を切り刻むのに対し、評価委員会の一元化と監事の権限強化で整理合理化を進める違いはありますが、その方向は全く同じであり、賛成することはできません。
 以上、両法案に反対であることを述べ、討論とするものです。